いつも頑張るお前の傍に。いつも支えてくれる君と一緒に。   作:小鴉丸

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いついつは久しぶりな気がする……。

お気に入り、評価してくださった方ありがとうございます! これからも頑張ります!


第四話 騒がしい朝

~総士side~

 

 

「――う、……しく――」

 

寝ぼけている中声を掛けられる。

こんな朝早くから誰だよ、と思いながら毛布を深くかぶる。

 

「ね――、きて……! …………ってば!」

 

体が強い揺れに襲われる。外から揺さぶられてるようだ。

 

「総士くん、起きてってば!」

 

バッ、と勢いよく布団を剥がされる、そして窓も思いっきり開けられた。

 

「朝だよー!」

 

「(ま、眩し……)」

 

いきなり明るくなった部屋にうまく目を開けられずにいる。おまけに窓も開けられて朝の冷たい風が入り込んできた。

 

俺は目を擦りぼやける視界の中、窓のそばに立つ人物を見る。

 

「今日は日曜だろ? ゆっくりさせてくれ……。てかどうしてつぐが居るんだ……」

 

「? 日曜日だけどお店はあるんだよ? それと昨日は私の家に泊まってるんだからね? 」

 

…………あぁ、そうか。泊まってたんだった。

 

こんな感じに朝はとても寝ぼけている。

俺は絶望的に朝に弱い、学校に遅刻しない方が珍しいくらいだ。

 

「ご飯できてるから降りてきてね?」

 

俺が頷くとつぐは「ん。待ってるね」と言って部屋の外に行った。

 

俺は一旦立って背伸びをして目を覚ます。

 

「さてと、降りますか」

 

半分寝ぼけながら下に降りるのだった。

 

 

 

 

〜つぐみside~

 

 

「おはよーっす」

 

「おはよー」

 

総士くんが上から降りてきて挨拶をした。それに私じゃなくて少し間の抜けた返事が聞こえる。

 

「……何でお前が居るんだ」

 

「いや〜まさか本当にお楽しみだったとは〜。もうモカちゃんはびっくりですよ〜」

 

「だから違うってば〜!」

 

「お楽しみ?」

 

「そ、総士くんは気にしないで!」

 

「? おう」

 

幼馴染みの青葉モカちゃん。

私達のバンドAfterglowの一人でとてもマイペースな人。たまに凄い事を言っちゃうから私やひまりちゃんはびっくりする事が多い。

 

私はご飯を二人の前に持っていく。

 

「おー相変わらず美味そうだね~」

 

「毎日食べたいくらいだな」

 

「〜~~~!?」

 

総士くんが何気なく言っただろう言葉に私は反応してしまう。

 

「はっ、恥ずかしいよ……っ」

 

「あっ――わ、わりぃ……」

 

お互いに目をそらす。

総士くんも自分で言った言葉をその意味で理解したようだ。

 

二人の間に微妙な雰囲気が流れる……と思ったが……。

 

「むふふ〜、毎日ですか~」

 

「何だよモカ」

 

「いや〜? 別に〜?」

 

モカちゃんはご飯を食べながらどこか意味を含めるように言ってくる。

 

私はモカちゃんの横に座りご飯を食べ始めた。

 

その間にモカちゃんと総士くんの話を聞いていた。

 

「で、何でお前は居るんだよ。ここは人の家だぞ」

 

「それは総士もじゃない? ここは女の子の家だよー?」

 

「俺は訳ありだ」

 

意外とモカちゃんは総士くんと仲がいい。

 

私達Afterglowの練習を見てくれる時があるからバンドメンバーと全員仲はいいがモカちゃんとはその中でも特にいい。

仲がいいというかマイペースなモカちゃんと結構話してる姿を見るという事だ。

 

「ふむふむ〜。ところで女の子、それもつぐみたいに可愛い子とこの年になって一つ屋根の下、一夜を共に過ごした訳ですが~……何かありましたか白羽さん?」

 

「何もねぇよ」

 

「ふーむ。私も総士に抱かれたかったな~、つぐだけずる――」

 

「もう! モカちゃんってば――」

 

とモカちゃんが冗談交じり(かどうかは知らない)に言うと、次の瞬間総士くんが動いていた。

 

席を立ってモカちゃんの後ろに立った総士くんの行動で私達はびっくりする。

 

「「っ!?」」

 

何のためらいもなく、後ろから抱きついたのだ。

 

そのまま総士くんはモカちゃんの耳元で何かを言っているが聞き取れない。

 

「――――――」

 

総士くんがモカちゃんから離れようとしたその時だった。

 

「おはようつぐみ、総士」

 

「よお! 二人共元気か?」

 

「おっはよー!」

 

蘭ちゃん、巴ちゃん、ひまりちゃんが何故か入ってきた。

 

三人は今の光景を見て少し驚いている。

 

「朝から大胆だな総士」

 

「こうでもしないと黙らないと思ったからな。いつもこいつが抱きついてくるし、逆でもいいだろ」

 

そう言いモカちゃんから離れる。

 

巴ちゃんと総士くんが話している姿を見るとやっぱりお姉ちゃんとお兄ちゃんが話してるように見える。

 

「何で朝ごはん中に……」

 

「あはは、色々とあってね……」

 

「どうせモカが変な事を言ったんでしょ?」

 

「んー、そんな感じかな?」

 

苦笑いをしながら蘭ちゃんと話す。

 

ひまりちゃんはモカちゃんの目の前で手を振っている。

 

モカちゃんはいつものようにぼーっとしているから何を考えてるのかは分からない。

 

「ってか多いな。朝なのに騒がしいわ」

 

総士くんが椅子に座ってお茶を飲み言った。

 

「朝ご飯中か。それは邪魔しちゃったな」

 

「どうする? 一回帰る?」

 

「あ、それなら私の部屋で待ってて。今日は練習でしょ?」

 

「それなら助かるよ~、さすがつぐ~!」

 

「きゃっ!? もう、ひまりちゃんってば〜」

 

ひまりちゃんに抱きつかれて笑い合う。

 

三人は二階に上がっていって私達は再びご飯を食べ始めた。

 

 

 

 

~モカside~

 

 

ご飯を食べた後、私は少し外に出て風に当たっていた。

 

「(まさか、あっちから抱きつかれるなんて……)」

 

今あたしの意識を支配してるのはさっきの総士の行動だ。

 

まだ匂いが残ってる。体が触れた場所の温もりが残ってる。

そして、耳元で言われたあの言葉も……。

 

『……これで満足かよ、モカ』

 

「――っ」

 

あんな事を優しく言われたらますます……私は……。

 

私は誰にも聞こえない声で呟く。

 

それはいつの間にか生まれていた気持ちだ。そしてAfterglowの中では蘭しか知らない事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「総士の事――もっと好きになっちゃうよ」

 

 




パスパレも書き始めちゃいましたw

もうここまで来たらやりますよ、そのバンドのイベの開始とともに投稿って予定ですね。後二つですけど……。

と、今回は次の朝の話、最後はモカの話でした。
「おい鴉、モカのキャラが違うぞ」 なんて事になりそうですがそこは目をつぶってもらえると……。

取り敢えずは今回も読んでもらいありがとです!

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