尾行中なこいしちゃん   作:自由なこいし


原作:東方project
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尾行中なこいしちゃん

お姉ちゃんにデートのアドバイスをしてみたというのがこの前の出来事。でもお姉ちゃんのことだしちょっと心配。

という訳でこっそりとついてきちゃいました!河童さんから透明マントと盗聴器をついでに借りちゃったけどね。河童さんに事情を話したら一発おーけでした。なので、鏡の前で何度も自分の姿を確認してるお姉ちゃんに「おまじないをかけたペンダントだよ」って言って渡して、盗聴器を起動!彼を待っているお姉ちゃんの声が聞こえてます。時間を気にしてる姿もちゃんと見えてるよ!

 

『早く来すぎたかしら。あと30分……早く来ないかな』

 

待ち合わせはとある駅の前、目印となる物は噴水。恋人の待ち合わせとして定番の場所だし、結構無難なチョイスだと思う。さすがお姉ちゃんだね!

 

「あの子、お人形さんみたいだね~」

 

「ね~。最近よく現れる妖怪ってあんな感じ?」

 

「まさか!皆あんなのだったら男みんな取られちゃうじゃん!」

 

すれ違った女子二人の声。うんうん、お姉ちゃん見た目は小さめだからやっぱりああいう服フリフリなのが似合うね。盗聴器付きネックレスもいい感じに似合ってる。

あ、少ししてようやく彼を発見。お姉ちゃんを見つけてから急いで走ってる。30分前行動はいい心がけだけど、女性を待たせるのはちょっとね……なんて思ったけど、お姉ちゃんが早く来すぎただけでした。

 

『ごめん!待った?』

 

『ううん、そんなに待ってないわ』

 

でた、私も今来たところなのよアピール。まあいいんだけど。それよりもだ、彼はいつ言ってあげるのかな……って、めっちゃ見てる。食い入るように見てる、舐めまわすように見てる。お姉ちゃん恥ずかしがってモジモジしちゃってるんだけど、気づいてあげてほしいな。まあ好みにはまったみたいだし、これでいいかも。

 

『……恥ずかしいわ』

 

『っ!ご、ごめん!つい、見惚れちゃって』

 

『~~ッ!』

 

あ、トマトみたいになってる。目を凝らしたら頭から湯気出てるのが見えそうかも、しゅぽーって。恥ずかしすぎたからかな?お姉ちゃんが結局彼からふいと目をそらしちゃったけど、こっちからはにやにやとだらしない表情が丸見え。嬉しいのが隠しきれてない、お姉ちゃんかわいい。

 

『それで、今日はどうする予定?』

 

あ、聞いちゃうんだ。こういうのは何も聞かずにつれてってもらうだけなのがいいと思うんだけど。まあそれほど楽しみって事なのかな。

 

『今日は食べ歩きでもしようかなって。少しお金もかかっちゃうけど』

 

『今日のために多く持ってきたし大丈夫!限りはあるけど』

 

『私も払うから大丈夫よ』

 

『いやいや、俺が払うから大丈夫だって』

 

お、なんだかイタチループになりそうな感じ。さてさてどっちが先に折れるのかな?

 

『だって、一緒に払ったら沢山食べられるでしょう?』

 

『なるほど。それは一理ある』

 

おー、お姉ちゃんが丸く収めに来た。こういうのはお姉ちゃんの得意分野だからね、伊達に心を読む妖怪やっていないってところ。

 

『それに……ちょっと残しておかないといけない理由もあるから』

 

『理由?』

 

『き、気にしないでいいわよ?』

 

両手を振って誤魔化そうとするお姉ちゃん。何だろう、私にも何を計画しているのかはわからない。公園でだべって帰ってきたらと遠回しに伝えたつもりではあるけど、まさか伝わっていなかったり?まあいっか、私は尾行がバレちゃいけないからさっさと帰らないといけないし。

 

『さ、早く行きましょう?』

 

『あ、ああ。行こうか』

 

さっさと歩きだすお姉ちゃんに急いでついていく彼。とはいっても体格差はあるのですぐに追いついてピッタリと隣につく。まるで兄妹みたいに見えるけど大体のカップルってこんな感じなのかな……とりあえず見失わないように私も移動を開始する。いざとなったらペンダントの機能を使えば簡単に場所がわかるらしい、河童さんすごいね。

 

 

 

 

さて、今二人は食べ歩きの方へと向かっている途中ですが……視線が集まりすぎてます。お姉ちゃんの能力が無くてよかったと思うばかり。無くても何を考えられているか分かるけどね、見れば一発。

 

『あの……さとり、さん?』

 

『……何?』

 

おっと、ここでようやく彼が切り出しにかかった。すぐそばにあるお姉ちゃんの顔を見ながらまっすぐに言っているけど、お姉ちゃんの視線は前の方を向いている。もちろんそれは視線だけで意識は彼の方にあるだろう。というかないとおかしい、あの恥ずかしがり屋なお姉ちゃんじゃない。

 

『もうちょっと離れてくれませんか?その、視線が』

 

『……離れてほしい?』

 

ここで視線がようやく彼の方に移動する。顔はいつもの無表情に近い感じではあるけど耳は真っ赤である。そしてもって問題となっている体勢である。身長差はもともとなので上目遣いになるのは仕方ない。でもね───さすがに腕を抱きしめる感じに距離を詰めているのはどうかなって思うんだ。今時のカップルでもあんまりしないようなこと、手を繋ぐぐらいなら結構あるけど。でもってここは街中、嫌というほど目につくわけで。

 

「チッ、リア充め……爆ぜろ」

 

「流石にアレはなくない?ヤバいわ~」

 

すれ違う人の様々な声、嫉妬の緑が含まれているのがなんとなく伝わってくる。パルスィさんを連れてきてもよかったかもしれない。まあ外に出たら能力が消えちゃうから意味がないんだけど。

 

『……離れてほしくないです』

 

『なら、このままで』

 

結局体勢が変わることなく二人は歩みを進めていく。彼も歩きづらそうではないからもういいかな。全く誰のせいで……って思ったら私のせいでした。ガンガンいっちゃえって言ったのは私だったね、失敬失敬。それにしてもお姉ちゃんかなり頑張ってるね……

 

 

 

 

 

少し時間は立ってお昼の時間となりました。私は適当にコンビニでツナマヨおにぎりを選択。それにしてもコンビニはすごい。幻想郷にいっぱいあったらいいのにね。

その一方お姉ちゃんたちは唐揚げとか好きなものを買って移動中。私の想像してた食べ歩きとちょっと違うけど、それはそれでいいかもしれない。今はきょろきょろと座れるところを探している感じかな?あ、公園。丁度ベンチも空いているみたい。

 

『じゃああそこで食べようか』

 

『わかったわ』

 

お姉ちゃんたちはベンチに向かう。私はばれないようにそそくさと裏手の方に。特に回る意味はそんなになかった気がするけど気にしない。

 

『いただきます。さて、まずは唐揚げかな』

 

『本当に好きなのね、かなり並んでいるのには驚いたけど』

 

『ほら、あそこの店は映画にも出てたから。あれ、元の小説の方だけだっけ……』

 

『……今度見に行ったら分かるわ。ほら、口開けて?』

 

『ん?あー』

 

何の疑問も持たずに口を開ける彼、もちろん私には容易に想像がつく。お姉ちゃんは顔を少しだけ赤くしながら口に唐揚げを放り込んであげる。出来立てのをすぐに放り込んだからしばらく彼は熱そうにしていたけど、食べ終わってからようやく何があったか気づいたっぽい。

 

『っ!さ、さとり!?』

 

『……どう?おいしい?』

 

『わかんなかったよ!?』

 

『ん……じゃあ』

 

と餌を待つひな鳥の様に口を開けるお姉ちゃん。彼は少したじろいでから熱くなさそうなやつを一つ取り、念のためにふーふーと冷ましてから口に優しく運ぶ。少し焦らされちゃったお姉ちゃんの顔は真っ赤になってしまっているけど彼の顔も真っ赤で、傍から見たら初々しいカップルにしか見えないだろう。実際そうなんだけど。

 

『……美味しいわね』

 

『……それはよかったです』

 

すっとお互いに視線を逸らしてしまっている。恥ずかしいならやらなきゃよかったのに。

 

『ふ、普通に食べましょ!?まだたくさんありますし!』

 

『そうね!そうしましょう!』

 

今日のお姉ちゃん結構おかしいよね……まあ見ていて悪くは思わないけど。それとも彼の前だからなのか。恋すると乙女は変わるって言うからね、私の知らないお姉ちゃんがいるのも当たり前なのかもしれない。

 

それにしてもこのおにぎり甘い気がする。砂糖が混ざっちゃった不良品だね、うん。

 

 

 

 

ご飯を食べたのでおやつの時間、という訳で次は甘いもの巡り。ガラスの箱に入れられた美味しいデザートをお姉ちゃんは食い入るように見ている。その様子を彼は止める訳ではなく、お姉ちゃんの様子が微笑ましいようで唯々優しく笑っていた。

 

『やっぱり甘いもの好きなの?』

 

『……そうよ?何か問題でも?』

 

『ううん、ない。ゆっくり選んでいいよ』

 

その言葉を受けてお姉ちゃんの視線は再びクレープの方に。私の予想では一番シンプルなものを選ぶと思うんだけど、クリームにバナナだけのやつね。値段のこともあるけど、お姉ちゃんごちゃごちゃしてるの結構嫌いだし。

 

『……太ったりしない?』

 

『ッ!』

 

あ、と思った瞬間に肘をつつかれてしまう。ちょっといい感じに入ったようで、しばらくはそこを痛そうに抑えてる。

 

『その話題は禁止!絶対によ!』

 

『……わかりました』

 

お姉ちゃん最近増えちゃってたからね……名誉のためにほんの少し増えているだけと言っておこうかな。ほんの少し、気になっちゃう程度だから大丈夫。うん。

 

『あ、でも俺は気にしないよ?どうなってもさとりはさとりだし。流石に見た目が変わるほどだと……まあ』

 

『そこまではならないわよ!……でも、ありがとう』

 

最後の方は彼に聞こえないように、言ってあげたほうがいいと思うんだけど。しかしこの盗聴器、なかなかの高性能。聞こえないぐらいの小さな音でもしっかりと拾ってくれるね。

 

『とりあえず選ぶなら選んでください。ここは俺が払うので』

 

『……じゃあこれ』

 

『わかりました』

 

彼は店員を呼んでご注文通り、一番シンプルなものを選ぶ。私の予想的中、やったね!店員さんは慣れた手つきでぱっぱと準備するとお姉ちゃんに手渡す。

 

『そちらの方は注文しますか?』

 

『いえ、大丈夫です』

 

『わかりました』

 

簡単にやり取りを進め二人は移動を再開、私も見失わないようにばれないように追いかける。途中再び座れるところを見つけて座る。そうしてようやく一段落着いたところでお姉ちゃんがようやくクレープを一口。おいしそうにちょっと大きめの口でほおばる。その幸せそうな顔につられて彼の顔も自然と笑顔になる。

 

『……あなたは頼まなくてよかったの?』

 

『うん、別にいらないしね』

 

『そう……』

 

ちょっとだけ彼のことを気にしたけど、すぐに食べる方に集中する。少しずつ食べ進めていく様子はハムスターを連想させる。お姉ちゃんがハムスター、それはそれでありかもしれないね。

 

『……やっぱり気になるわ。ほら、一口あげるから』

 

『いや、でも』

 

『いいから、ほら』

 

食べかけのクレープが彼の前に差し出される。しばらくの間躊躇っていたが、結局彼の方が折れ勢いよく食べる。その様子をお姉ちゃんは少し顔を赤くして見ている、彼の方はお姉ちゃんより顔を真っ赤にしてるけどね。赤くなった顔をお姉ちゃんから背けていたけど、お姉ちゃんが耳元に口を寄せて小さく彼に囁く。

 

『間接キスね』

 

『知っててやったでしょう!?』

 

思わず大きな声が出てしまう彼。お姉ちゃんは否定の言葉をいう訳ではなくすっと顔を逸らしている。ちなみに彼が大きな声を出してしまったせいで周囲の視線はお姉ちゃんたちの方に向いてしまっている。少し遅れて気づいた彼だけど、そのころにはもう周囲の意識は別の方向に向いていた。

 

『ダメ?』

 

『……なんかさとりらしくない気がする』

 

彼の一言。お姉ちゃんがぴたりと動きを止め、そして目を伏せる。

 

『そう……よね』

 

『あ、でも嫌いじゃないから!さとりのことは大好きだから安心して!』

 

やってしまったと感じたのか彼の全力のフォロー。ちょっとだけ顔を赤くしたお姉ちゃんが彼に抱き付きながら優しく言う。

 

『ありがとう。あなたのそういう真面目なところ、私は大好きよ』

 

『ど、どういたしまして!』

 

それにしても、私に見せつけられているわけでは決してないのだろうけど、見ててこうもやもやとする。なるほど、これが世に言う『リア充爆ぜろ』の気持ちか。まあ爆発してほしくはないけど。思いを伝えた後、お姉ちゃんは彼から離れてクレープを食べ進める。

 

と、しばらくして彼がとあることに気付く。

 

『さとり』

 

『ん?なにかしら?』

 

一旦食べる手を止め、彼の方に向き直る。

 

『クリーム付いちゃってますよ』

 

『本当?』

 

右の頬を手でなぞるけどもクリームが付いているのは左の頬。クリームが取れるはずはない。と、ここで彼が一つ思いつく。

 

『そっちじゃないですよ。とってあげるのでじっとしててください』

 

『ん、わかったわ』

 

言われた通りにじっとするお姉ちゃん。彼はそっと顔を近づけるとクリームを舐めとった。

 

『ッ!?』

 

『……お返しです』

 

舐められた部分を手で触るお姉ちゃん、対して彼は再び顔を背けてしまう。お互いに顔は真っ赤、お姉ちゃんが誤魔化すようにクレープを少しづつ食べているけど視線と意識は彼に向いたまま。二人の間に甘い空気が漂っている……感じがした。お姉ちゃん、本当ここまで積極的になれるんだね。

 

 

 

 

お姉ちゃんたちはファミレスで、私は再びコンビニで夕食を済ませた。コンビニ本当に便利だね、幻想郷に絶対あるべきだと今日痛感した。

しばらくお姉ちゃんたちは駄弁りながら歩いていたけど、私はおかしなところに気が付く。お姉ちゃんたちの足が帰る方向に向いていない。それはまだよるところがあるって事でいいんだけど、彼はそのことに明らかに気づいていない。この方向に何が……と思ったところで、まさかの可能性に思い当って私一人が立ち止まる。

 

この先にあるのはあの建物、所謂お泊り以外のホテル。そこで休憩しちゃうの……?お姉ちゃんも大人になるのかな、もともと大人だけど。

 

となればお姉ちゃんに電話しよう。物陰に身を隠し、お姉ちゃんの様子を確認しながら電話開始。すぐに尾根ちゃんは電話を取り、彼から離れる。

 

『もしもし、こいし?』

 

さて、どうとぼけながら聞き出そうか……

 

「うん。デートの調子はどう?」

 

『結構うまくいっている……とは思うわ。アドバイスありがとうね』

 

「ふっふーん、どういたしまして!で、今日は帰ってくる?」

 

返事は帰ってこない。さすがに露骨だったかな……

 

『……まあ、そうね』

 

「!わかった!じゃあ切るね!」

 

返事を待たず一方的な電話を終わらせる。うん、これで確証は取れた。お姉ちゃんはホテルで一夜を過ごすつもりである。本当今日は大胆なお姉ちゃんである。

 

『電話、こいしちゃんから?』

 

『ええ。いつ帰って来るかの連絡だけ……』

 

会話の途中だけど盗聴器の電源を切る。流石にこういう事までを聞く気はない。くるっと向きを反転させてまっすぐ家の方に足を進ませる。

 

明日は赤飯でも炊いておけばいいかな?お燐にそういうのは全部任せちゃおーっと。


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