東方英雄章~【妖怪と人間と】   作:秦喜将

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来月からテスト期間……嫌ですねぇ

それではどうぞ!!


七話 鬼人正邪とフランドール・スカーレットと封獣ぬえ

Side乖離

 

 

 

人里から離れて一体どのくらい経ったのか。数十を超えたキメラ共を一掃してからというもの、まったくキメラに遭遇していない。キメラはおろか、動物や虫でさえ見ていない気がする……。動物の代わりに俺の周りにあるのは、木!木!木!

三つ揃って森だ!なんてアホな事を考えている暇はないが、兎に角俺の周り一面は森で囲まれていた。人里を慧音さんと妹紅が守ってくれているからいいんだが、さっきから何の気配も感じないというのは些か異常だ。

 

「まったくどうなってやがる……あのキメラ共は全く見つからないし、さっきまで感じていた強い気配も突然消えてしまっているし……ああーもう!マジでどうなってんだ!」

 

行き場の無い怒りを露わに、俺はその場で地団太を踏んだ。

しかし、本当におかしい。ここまで来る道中、確かに感じていた強い気配が突如として消えてしまったのだ。これでは捜索の目処も立たないばかりか、最悪俺だけが迷子なんていう可能性もある訳だ。そんなのは御免被りたいのだが……。

 

「焦っていても仕方ない。一端人里に戻って妹紅達の手伝いでもしようかな~~……ん?この霊力と魔力は」

 

俺が頭を悩ませていた時、急速で人里へ接近する二つの力を感じ取った。おそらく霊夢と魔理沙だろう。この妙な事件に勘付いて、人里の安否確認に来たといったところだな。

あの二人が動いたという事は、いよいよもってただ事ではないらしい。最初からただ事ではないんだけどな。

 

「霊夢と魔理沙が来たという事はもう人里は大丈夫だろう……。妹紅と慧音さんもいる訳だしさ。俺帰ってお昼寝でもしようかな~………なんて、簡単には帰らせてくれないよな。俺が主犯を見つけ出すって言ってしまった訳だし、最後までやり通すのが筋ってもんだ」

 

男に二言は無い!の精神で、俺はとりあえず先程まで感じていた気配のする方に向かう事にした。勿論徒歩でなんだがね。

 

 

※※※

 

あ…ありのまま今起こっている事を説明すぜ!『俺は人里から離れるように走っていたと思ったら、いつのまにか人里に近づいていた』

な…何を言っているのかわからねーと思うが俺も何をされているのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった…催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ!もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

なんて、どこかの有名アニメ漫画の台詞を使って説明した訳だが、実際は結構簡単な現象だ。どうやら、俺をこの先に行かせない為に一定のラインに結界を張っているのだろう。その結界ってのが多分、ある程度の範囲まで近づいたらその対象の意識と方角を逆向きにするものだろうな。

 

「まったく、猪口才が……手間を取らせるなよ」

 

俺は右手に自然エネルギーを集中させ、一枚のマントを作り出した。

これぞ俺のビックリアイテム、〇らりマントだ!これを使うのは魔理沙との初戦以来だろうか。

 

「逆向きに変えてしまうのなら、それすら逆向きに変換して元に戻せばいいだけの話だろ?」

 

俺はひら〇マントを羽織り、もう一度人里から離れるように走りだす。

そしてどうやら俺の作戦は成功したようで、どんどん人里から感じる色々な気配が遠ざかっていくのを感じた。

 

「フフフ……思い通り!思い通り!!思い通り!!!」

 

あまりに幼稚な結界を難なく破ってしまった為、俺は柄にもなく下品な笑いが出てしまった。自重せねば……。

しかし、そのおかげで感じ取れなくなっていた強い気配を再度感じることが出来た。さっきの結界には気配察知の反射も出来たのか。

そして感じ取れる気配は、強い存在だけではなく目の前に空から降りてきた三頭の翼を持った巨大なキメラも含まれている。

キメラは降り立つやいなや、瞬時に戦闘態勢に移行していた。だがこの三頭のキメラは他の個体より、明らかに違った点が見てとれた。

一つは、俺の出方を窺うようにゆっくりと近づいてきている事。

二つ目は、一頭が突っ走ることなく連携をとるように、俺を囲もうとしているところだ。おそらく、この三頭には他の個体と違い知性がある。

三つ、この三頭は俺に敵意と殺気を向けてはいるが、何らかの指示を待つように俺を囲んだ状態から動こうとしない事だ。

そして気付く―――先程から感じていた強い気配がどんどん強くなっている事に……。

どうやら、この事件の主犯の御出座しのようだ。

 

「随分とここに辿り着くのが早かったな!少しばかり驚いたわよ、人間!」

 

そう言って空から深紅の瞳と背中には六本の異形の翼を持つ、黒髪の少女が真ん中のキメラの頭の上に降り立った。手には三又の槍を持っており、それを俺に向けてきた。

 

「よく正邪の反逆結界を越えてこられたわね!でも、それまでだ!これからはこのお気に入りのキメラ達が相手だからな!お前はここで終わりだ!」

 

清々しい程の勝利宣言に、俺は若干の呆れと楽しさを感じた。それと正邪とは誰ぞや?

 

「えっと?お前がこの妙な事件の主犯で間違いないんだよな?」

 

「その通りよ!平安京を恐怖のどん底に突き落とした大妖怪……正体不明のアンノウン!封獣ぬえとは私の事だ!!」

 

ドヤ顔と共にとんでもない事を口走る封獣ぬえと名乗った大妖怪?の少女。

この子はアレだろうか……その、アホな子なのかな?

 

「あの~ぬえ?今思いっきりお前自身が言ってはならない事を言わなかったかな?平安京の大妖怪、鵺っていえばさ……正体がバレたらアウトじゃなかったっけ?」

 

「あ……」

 

ぬえは「しまったぁぁ!」と大声を上げて慌て始めた。うん、やっぱりこの子アホな子だ(確信)

するとぬえは半泣き状態になりながら俺に悲願してきた。

 

「い、今のは忘れなさい!!」

 

「……いやぁ、それは無理だろ?」

 

「いいから忘れなさいってばぁ!!」

 

「え、嫌ですが?」

 

最早否定形ではなく完全な否定になってしまった。ぬえは「なんでさー!」と騒ぎながら真ん中のキメラの頭の上でジタバタし始めた。これには流石のキメラ達もどこか困ったような視線をぬえに向けていた。

やばいこの子超面白い!

 

「くぅ~~こうなったら、お前を殺してさっきのを無かった事にするまでだ!やってしまえキメラ達!」

 

半ば八つ当たりで俺に三頭のキメラをけしかける。

ぬえの言葉を合図に、三頭のキメラはまるで鎖の外れた獣のように俺に襲い掛かってきた。

俺は脚に自然エネルギーを集中させ、跳躍で三頭の攻撃を回避した。だが直ぐに三頭の尻尾の蛇が俺を食い殺そうと接近していた。

 

「やれやれ、ままごとでもする気か?こんなもの、(ハナ)から避けるまでもない!」

 

俺は右手に紫色の刀を顕現させ、それを大きく横薙ぎして三匹の蛇の首を斬り落とした。斬り落とされた蛇の首は、地面に落ちた瞬間―――まるで液体のように弾けた。

その光景に流石の俺も驚きを隠せず、一瞬隙を作ってしまった。

 

「ハハ!隙ありだね!」

 

俺の隙を見逃さなかったぬえは、三又の槍で俺の背中を貫こうと、猛スピードで接近してきた。

だが―――

 

「なんてね……隙ありはお前だよ、ぬえ」

 

「なっ!」

 

俺はぬえが背後に回っている事を知っていた為、案外楽に彼女を誘う事に成功した。俺はすぐさま脚に自然エネルギーを送り、強化を施しブースターの如く自然エネルギーを開放し、その勢いを利用し、回転して背後から接近してきたぬえの槍を蹴りつける。

バキーン!と鉄と鉄が衝突したような音をたて、俺の蹴りとぬえの槍はぶつかり合う。しかし、ぬえの方は俺の蹴り耐えられず吹き飛ぶ。

 

「クゥッ!」

 

だが、ぬえは少し苦間の表情を浮かべただけだった。

それにしても流石は大妖怪の武具、今の一撃で傷一つ付いていない。そこいらの武具程度なら今ので粉々になっているはずなんだがな。

なんて考えている余裕もなく、後ろからは三頭のキメラが前足を上げて俺を叩き落そうとしていた。

 

「お前ら……邪魔だ!」

 

俺はそこで初めて能力を使用し、俺とキメラとの距離を一瞬で覆し接近する。

流石のキメラも驚いたような顔をしたが、俺にとって今はそんな事は関係ない。そのまま頭から縦に刀を振り降ろし、キメラを真っ二つに切り裂いた。

真っ赤に飛び散る鮮血を他所に、俺は再度能力を使用し二頭目のキメラの腹下まで移動し、刀を横薙ぎにキメラの上半身と下半身を分けた。既に俺の足場は二頭のキメラの血で塗りたくられていた。

その光景にぬえは驚きはしたが、直ぐに不敵な笑みを浮かべた。

 

「驚いたよ……まさか、そのキメラを一瞬で二頭殺してしまうなんて……。でも、残念だったな!お前のした行動は、逆に私を強くした!」

 

突如、ぬえの妖力が今までと比べ物にならない程に膨れ上がった。

その膨大な量は、もしかしたら紫に迫るかもしれない程に。

 

「フフ、感じる……。感じるぞ!人間達の恐怖の念が……!ようやく私の願いは成就されるんだ!」

 

「願い?」

 

「そうさ!私の願いは、人間達に格の差を知らしめること。妖怪(わたし)こそが絶対であることを……もう一度!この幻想郷に教えてやるのさ!」

 

「そうか……この幻想郷にねぇ……。ぬえ、ハッキリと言ってやるよ!お前程度ではそんな事は不可能だ。上には上がいるもんだからな」

 

「急に何を言い出したかと思えば、そんなことか……分かってるよそんなことぐらい……。だから私は協力者を欲し、そして得たのさ!その協力者って奴を……。そうだろ?二人共―――」

 

ぬえの言葉を合図に、俺の背後に二人の妖怪の気配を感じ、反射的に全力で後ろに跳躍した。

その反射が幸をそうしたのか、さっきまで俺のいた所が突然爆発した。

俺は着地し、先程爆発した場所を確認すると、そこには金髪でぬえと同じ紅い瞳と背中から宝石のような翼を持った少女が立っていた。

 

「あれ?今のは取ったと思ったのに、避けられちゃったわ」

 

「しっかり狙えよフラン」

 

フランと呼ばれた少女の後ろから、悪態をつきながら二本の角を生やしたこれまた紅い瞳の少女が現れた。

 

「ごめんね?でも、次は外さないから大丈夫だよ正邪ちゃん!」

 

正邪?ああ、彼女がさっきぬえの言っていた反逆結界ってやつを張った張本人なのか。

 

「そんな事よりさぁ、ぬえ……なんだこの有様は?たかが人間一人に手こずり過ぎなんじゃないか?」

 

「そんな事言ったってさ、この人間結構やるんだよ?瞬間移動したり、私の槍を蹴りで弾いたりとかさ!」

 

「瞬間移動?咲夜みたいなのね!」

 

「ふ~ん……只者じゃないって事か」

 

その只者じゃない人間は今結構焦ってたりするんだけどね……。

まさか、今のぬえ並の妖力持ちの妖怪が二人追加され、その結果合計三人になってしまっているんだからな。あ、まだキメラも居たね!忘れてたよ。

しかし、この状況はちょっと厄介かもな。キメラは瞬殺できるとして、他三人とやりあう余裕なんて、今の俺の自然エネルギー残量では無理だ。

 

 

 

ただ、今の俺(・・・)ならの話だがな………。

 




なんか詰め込んだ感がある気がします。

しっかし戦闘描写が難しいのなんのって……。


次回もお楽しみに!!
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