東方英雄章~【妖怪と人間と】   作:秦喜将

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十五話 文々。新聞

Side乖離

 

 

 

 聖さんと軽い雑談に興じた後、俺はじゃれ合いをしていたおバカさん達を落ち着かせ、再度聖さんと数分雑談をしていたが、彼女も住職の身である為一足先に帰ってしまった。

 もちろん命蓮寺に遊びに行く事を約束させられてね。

 

 

 そして、その後どうしているかというと―――

 

「アハハハ!高い高ーい!」

 

「ちょっと、もっと早く歩けないの?」

 

「乖離遅い…」

 

「………」

 

 フランは俺に肩車された状態、ぬえとこころちゃんは俺の背中に浮遊してくっ付いている状態で歩かされていたのだ。………どうしてこうなったんだ。

 ことの顛末だけ説明すると、聖さんと別れた後直ぐに俺は紫達の元まで戻ろうと歩いていた。そうしていると、突然この三人が俺に飛び掛かってきたのだ。何故かは知らないが、おそらく子供のイタズラってところだろう。

 

「なあお三方、さっさと降りてはくれませんかね?」

 

「「「だが断る!」」」

 

 三人揃って有名漫画家のセリフで拒否されてしまった。俺に拒否権は無いようで、困ってしまう。別に嫌だという訳ではない。むしろ嬉しい方だ。だが、この三人のTPOを弁えない行動のおかげで、またもや周りの妖怪達から嫌な視線を感じてしまう。俺の勢ではないというのに。

 

 

 まあそれはともかくとして、俺は少し気になった事をぬえに聞いてみた。 

 

「そういえばさぬえ、異変の日の最後に残ったキメラ、あれどうなったの?」

 

「ああ~~、居たわねそんなの。さあ、今頃どこかで幸せに暮らしているんじゃない?」

 

「ふ~ん。それならいいんだけどね」

 

 俺が最後の最後で結局仕留め損ねた……いや、敢えて見逃したキメラは今も元気にやっているだろうか。別に心配している訳ではないがなんとなく気になる。というか、今日のいままで、ぬえの顔を見るまであのキメラの事を忘れていたのは秘密だ。

 

「んじゃもう一つ聞くが、お前聖さんと帰らなくてよかったのか?」

 

「別にいいわよ。私は帰りたい時に帰るだけだし……」

 

 ぬえの言葉には、どこか寂しいといった感情があった。俺にはどうしてぬえが寂しいと感じてしまったのかはなんとなくだが理解できた。それに、彼女は俺に抱きついている腕の力を少しばかり強めていたのだから。

 

「一人は寂しいかぬえ?」

 

「は、はぁ?急に何言ってんのよ!」

 

「いや~、なんとなくね」

 

 俺がそう言うと、ぬえは少しの間黙り込んでしまった。

 しばしの沈黙が流れた後、ようやくぬえが口を開いた。

 

「うっさいわよ……バカ死ね!」

 

「ぐほッ」

 

 開口早々にこれだ。俺への罵倒と同時にぬえは背中を殴って来た。痛みはそれほど大したものではないが、先程折角聖さんに治してもらったばかりの背中なのだから、あまり痛めつけないでほしいところだ。

 しかしまあ、俺はぬえの事はあまり知らないがこれが彼女なりの照れ隠しのようなものなのだろう。であればこの程度の痛みくらいは我慢できる。流石に本気で殴られたら死ぬがな。

 

「ぬえちゃんばっかりズルいわ!お兄様、私ともお話しましょう」

 

「乖離、私も私も!」

 

 ぬえとばかり話しているのが気に食わないのか、フランは俺の頭上でジタバタし始め、こころちゃんは俺の横腹を軽く小突いてきた。

 

「わかったわかった。落ち着けって二人とも!」

 

 子供の相手をするというのは中々に苦労する。一度機嫌を損ねれば拗ねてしまってこちらの話しを聞こうともしなくなってしまうのだから。それを思えば、この三人は幾分かマシに見えて来る。それは、それぞれがそれぞれのちゃんとした考えを持ってくれているからだろう。ぬえ以外は中身も外見も子供だがな。

 

 

 

 そういえばだが、どうして俺はぬえに気に入られているのだろうか。不思議~~。

 

 

 

※※※

 

 やっとこさ皆のところに戻ってこれた。

 

 戻ってこれたのはいいのだが、俺があの三人そのままの状態で連れて来た時は、結構危なかった。何がって?俺自身ではなく、紫があの三人に対する殺意が兎に角ヤバかった。なんとか落ち着いてはもらえたが、まだ完全にほとぼりが冷めておらず、今でもあの三人に対して殺気の籠った視線で睨みつけている。おお、くわばらくわばら。

 そして俺はというと、魔導書を読み終えていた魔理沙と、本に興味があるということで藍と霊夢、更にはレミリアさんも加えて魔導談義をしていた。

 

 魔理沙が重点的に読んでいたページの説明から解釈まで、全てを手取り足取り隅から隅まで教えていた。魔理沙が聞いてきたのは固有結界と虚構世界の真理だ。

 

「んで、どこまで説明したんだったか?」

 

「固有結界の発動からその術式までだったはずよ?」

 

「ああ、確かにその辺だったね」

 

 意外なことに、魔理沙はともかく霊夢や藍まで真剣になって俺の話を聞いていた。レミリアさんは興味本意らしいが、彼女も彼女で割と真剣に俺の話を聞いてくれていた。

 説明に戻るが、そもそも固有結界とは術者の記憶、またはその魔術回路に刻まれた歴史などを疑似的に再現し、現実を歪め浸食する大禁呪である。結界とは名ばかりで、その本質は空間断絶に等しいものである。

 

 簡単な例え話だが、霊夢が魔理沙と草原で対峙しています。そこには第三者もいます。そして魔理沙が霊夢に対し固有結界を発動します。魔理沙の固有結界(記憶に基く心象風景)は自分の家とします。となると、霊夢は魔理沙によって、記憶だけの魔理沙の家に強制転移されてしまいます。もちろん術者である魔理沙も一緒に。そして二人を見ていた第三者からすれば、突然目の前から二人が急に消えてしまったように見えるのです。

 ここで一番のポイントとなるのが、先程言った空間断絶。魔理沙の発動した固有結界はどこの世界とも繋がらず、魔理沙だけの疑似空間・スケールでいえば魔理沙だけの世界となる為、固有結界が解除されるまではどこをどう探しても霊夢と魔理沙は見つけることが出来なくなるのです。例え紫が境界を操ったとしても、この二人を見つけ出すのは困難を極めるでしょう。

 

 

 

 次に発動となるだが、訂正しよう。先程の例え話は少し極端だっただろう。……何せ、固有結界は魔術師三人で行うものであるからだ。先の説明で予想はつくだろうが、あれほど大掛かりな大魔術なのだから、たった一人での発動などまず不可能。それに、先程三人とは言ったが、その三人も並大抵の魔術師では不可能。幻想郷に魔術師や魔法使いといった者達が何人いるかは分からないが、せめて魔理沙以上のレベルの魔術師が三人揃わないと発動は難しい。

 

 

「とまあ、こんな感じになるかな」

 

「ん~要は、ビックリ魔術ってこと?」

 

 俺が説明下手だったのか、霊夢は首を傾げてしまう。しかもそれは霊夢だけではなく、レミリアさんまで首を傾げてしまっていた。まあ霊夢の質問はある意味正解ではあるが、ビックリ魔術の域ではないのはご理解頂きたい。

 

「乖離殿、その固有結界なのですが、妖術という形で再現することは可能でしょうか?乖離殿の説明を聞く限り、不可能ではない。と思ったのですが」

 

 流石は藍だ、俺の話をしっかりと聞いていてくれた。紫の教育が良かったのかそれとも才能か……もしくは両方か。どちらにせよ俺にとってはありがたいことだ。

 

「不可能ではないけど、完全な固有結界という形はとれないかな。魔力ではなく妖力を核とする辺り、オリジナルとは別物になるかもね」

 

「なるほど、勉強になります!」

 

 藍はどこから出したか分からないが、一冊のノートにペンを走らせ始めた。勤勉なのは良いことだが、ほどほどにね。

 

「なあ乖離、私の知り合いに私と同等かそれ以上の魔法使いが二人いるんだが、そいつらとなら固有結界の発動ってできるか?」

 

「条件さえ揃えればおそらく」

 

「そっか!なら今度試してみるぜ!」

 

 俺の答えに満足したのか、魔理沙は喜びの声を上げた。万が一の為にも、魔理沙達が固有結界を発動させようというのなら俺が監視人として居た方がいいかもしれないな。あれ結構危ないし。

 

 とりあえず説明し終わった俺は、喉が渇いたので麦茶を一口だけ飲んで机にコップを置いた。さて、紫達はどうしているか…。

 

「だ~か~らー!乖離の左腕は乖離の自業自得じゃんか!」

 

「何度も言っているでしょう?それを差し引いてもあなた達が悪いと」

 

「お前私の話聞いてないでしょ!」

 

「あなたが言えた義理でもないはずよ!」

 

 

 なんの喧嘩だよまったく。千年以上生きてきた大妖怪二人が子供みたいに騒いじゃってまあ……見苦しいったらありゃしないよ。

 そもそもこの左腕はぬえの言う通り俺の自業自得であるが故、紫がぬえに対して怒りの感情を向けるのは筋違いというものだ。そしてぬえもぬえで、どうしてそこまで食って掛かるのかねぇ。俺には理解できないな。

 

「はいお二人さん、そこまでな」

 

 そろそろ危なそうなので、俺は紫とぬえのいがみ合いの仲裁に入った。

 

「乖離様……」

 

「乖離……」

 

「紫、この左腕はぬえの言う通り俺の自業自得だから、ぬえ達を責めるのは筋違いだぞ?」

 

「しかし!」

 

「ほら見ろ!乖離だってこう言ってるぞ!」

 

「ぬえもだよ。いちいち紫を煽らんでいい」

 

「うぅ…」

 

 まったくぬえもだが、紫もいい歳の大人なんだから、子供みたいなやりとりはしないで欲しいものだ。見てるこっちが恥ずかしい。

 

「あややや、大妖怪二人を諫めてしまうとは……あなたが噂の外来人ですか?」

 

 俺が紫とぬえに注意をしていると、急に後ろから女性の声が聞こえてきた。誰だ?と一瞬考えたが、感じる妖力からして俺が幻想郷に来た初日に見掛けた黒い翼の者であることが分かった。

 俺は声の主を確かめるべく振り返ってみると、そこにはカメラを持った黒い大きな翼を付けた少女がキラキラした笑顔で立っていた。

 

「あら、文じゃない。今更来たのね」

 

「お久しぶりです紫さん。これでも急いで来たんですよ~」

 

 文と呼ばれた少女は紫の言葉に対し少々うなだれるように答えた。しかしなんだろうかこの娘は……。俺自身初めての感覚なのだが、この娘に相手取るととても面倒くさいことになる気がする。失礼なことであるのは承知の上だが、何故か俺の直感がそう告げている。

 それに、紫以外のメンバーが彼女を『うわっ!面倒なのが来た!』みたいな目で見ていたことからなのかもしれない。

 

「そんなことより本題に入らなくては!私は清く正しい射命丸文と申します。文で構いません。あなたが噂の外来人で間違いありませんか?」

 

「え?あ、うん。間違いないよ」

 

 考え事も束の間、文はメモ帳を取り出しグイグイと俺に寄って来た。

 

「やはり、グッドタイミングでした!あの、申し訳ないのですが取材させてもらってもよろしいですか?」

 

「しゅ、取材?」

 

「はい!私、幻想郷で『文々。新聞』と言う新聞記者をしておりまして、ネタの提供をして頂きたく、取材をさせて欲しいのです!」

 

 取材……悪くない。面白しろそうなので乗ってみることにしよう。あと文さんや、顔が非常に近いです。

 

「俺でよければ、いいぞ?」

 

「ありがとうございます!オホン、では早速取材させてもらいますね?まずは、お名前を教えてください」

 

「氷鉋乖離だ」

 

 氷鉋乖離さんですね~っと、メモ帳にスラスラか書いていく。その手慣れた様は、本当に記者のようだった。自分で名乗ってたから記者なんだろうけどさ。

 

「では次、職業はなにをされてます?」

 

「今のところは何もしてないかな」

 

「ニートって事ですか?」

 

「そんなこと言わないでくれない?」

 

 さすがにそれは傷つくな。でも否定できないというのがなんとも心苦しい。よし、職を探す。これからの課題として憶えておこう。

 

「幻想郷に来たのはいつ頃ですか?」

 

「ん~、大体一週間と三日前くらいかな」

 

「なるほどなるほど。趣味はなんですか?

 

「ゲーム・将棋・読書・釣り・料理等々」

 

「将棋もされているんですね!因みに実力はどのくらいですか?」

 

「さあね、分かんないかな?あ、でも紫には勝ったぞ?」

 

「ファッ!!」

 

 突然の大声とともに、文の顔が驚愕に満ちた表情に変わってしまった。メモ帳を手から滑り落としてしまうほどに。そんなに驚くことなんだろうか。

 

「事実ですか紫さん!?」

 

「ええ、事実よ?私の無敗録は乖離様によって幕を閉ざされたわ」

 

 そんなに重く語らなくてもいいだろうに。それに、俺が紫に勝てたのは最後の最後で紫がミスをしてしまったからであって、俺の完全勝利と呼べるか分からないのだ。まあ、集中を乱した紫が悪いと言ってしまえばそれまでなのだが。

 

「驚きました……将棋で紫さんに勝てる者がこの世に存在していたんですね!」

 

「大げさだろ!そこまで大したことでもないと思うんだが」

 

「何言ってるんですか!紫さんはこれまで幻想郷で行われてきた将棋王決定戦で全試合無敗を誇っていたほどの実力者なんですよ?!」

 

(将棋王決定戦だとっ!?なにそれ面白そうなんだけど……俺も是非参加したい)

 なんて思う事を許してもらいたいな。

 

「しかも将棋王決定戦に参加したメンバーは霊夢さんを始め、天人さんのお目付け役の方や、妖怪寺の僧侶さん、神霊廟の太子さん、白玉楼の幽々子さん、妖怪の山の軍神、我らが天狗の長である天魔さま、永遠亭の薬師さん、果ては地獄の閻魔様まで。皆歴戦の覇者と言っても過言ではない方々なんですよ!」

 

「そうなんだなぁ。てか文は天狗だったのか」

 

「そういえば言ってませんでしたね!私は鴉天狗なんです!」

 

 しかし、文の言っていたメンバーの中には見知った者がいる気がする。妖怪寺の僧侶さんと言えば、今日出会った聖さんだろう。それに神霊廟の太子といえば、十中八九豊聡耳だろう。それに地獄の閻魔様って……おそらくあの説教好きのロr……いや、これを言うのはやめておこう。嫌な予感しかしないし。

 でもまあ、聞くところによると確かに凄そう者達ばかりではある。

 

「てか、本題から逸れてないか?」

 

「あ、そうでした!えっと、次の質問なんですが……好みの女性のタイプです!」

 

 そう言って文は気を取り直したのか、地面に落ちたメモ帳を拾って再度取材を開始した。しかし、次はそう来たか。まあ答えられない訳でもないし、答えてみてもいい気がする。

 

「「「その辺詳しく!!!」」」

 

「!?」

 

 突然紫と藍とこころちゃんがとてつもない勢いで押し寄せてきた。その顔はまさに鬼気迫るかのような表情で(こころちゃんは除く)。そこまで気になるのだろうか。紫はまあ、分からんでもないが藍とこころちゃんは何故なのだろう。分からんなあ~。

 

「えっと、好みの女性のタイプは……そうだな~、ユーモアのある娘とかかな?それと、俺の作った料理を美味いと言って食ってくれる人もいいな」

 

「そういえば料理もできると言ってましたね、何が得意ですか?」

 

「得意な料理は色々あるけど、やっぱり一番得意といえばスイーツ系かな?」

 

「あやや、乖離さんはスイーツ系も作れるのですか?凄いですね!」

 

「俺は甘い物とか結構好きだからさ、自分で色々作って食ってるんだよ」

 

「乖離……私もスイーツ食べたい」

 

 こころちゃんは若干よだれを垂らしながら俺にスイーツを作って欲しいとせがんで来た。作ってやりたいが、まずはよだれを拭いてからにしようかこころちゃん。

 そしてスイーツ好きはこころちゃんのみならず―――

 

「お兄様!私もスイーツ食べたいわ!!」

 

 フランは走って俺の背中に飛びついてきた。やはりだ。女の子は皆美味しいスイーツに惹かれるものだ。それは人間以外であっても例外ではない。ていうか女の子は皆甘い物が好きなんだろう。

 

「仕方ないなぁ~。よし、今度プリンを作ってやろう!」

 

「「わーい!」」

 

 フランとこころちゃんは嬉しそうに声を張り上げる。まったく、女の子ってのはスイーツに目がないようだ。ま、そこが魅力でもあるのだがな。

 そんな中、不意に右手をツンツンとつつかれそちらの方を見てみると、少し顔を赤くしたレミリアさんが居た。

 

「ね、ねえ乖離……その、失礼は承知の上なのだけれど……私にもプリンを作ってもらえないかしら」

 

 スイーツって凄いね!最初に会った時は肌が痺れる程に強い妖力を感じていたのに、今ではそれが嘘のようだ。しかし、俺に断る理由があるはずもなく―――

 

「いいよ!」

 

「本当!?」

 

「ただし、条件がある」

 

「わ、私だけ?!で、でもいいわ……言ってごらんなさい」

 

 おおう、威厳を示しているつもりなんだろうけど、まったくその威厳を感じない。それに、若干涙目な気が……。

 気を取り直して、条件を言うとしよう。ただ、安心して欲しい。決して無理難題を言うつもりはないから。

 

「それじゃあ……レミリアさんの事さぁ、レミさんって呼んでいいかな?俺が提示する条件はこれだけ」

 

「そ、それだけ?!」

 

「うん。多分レミリアさんとはこれから長い付き合いになりそうだからさ、今のうちに親しくなっておこうと思ったんだが……ダメかな?」

 

 俺の提示した条件を聞くやいなや、レミリアさんはボケ~っとして固まってしまった。そして、レミリアさんは少し顔を下にさげると、小さく肩を小刻みに震わし始めた。

 

「レミリアさん?」

 

 俺が声を掛けると、レミリアさんは更に肩を震わし、勢いよく顔を上げると―――

 

「アハハハハハ!最っ高よあなた!フフフ、ダメ~お腹痛い」

 

 ―――突然大声で笑い始めたのだった。

 その笑い声にその場に居た者達はなんのこっちゃ?といった表情に変わった。フランでさえ(お姉様は壊れてしまったの?)なんて俺に耳打ちしてくる始末だ。それほどまでにレミリアさんの笑いは奇妙なものだったのだろう。

 

 

 そして、ようやくレミリアさんは落ち着いたのか、俺の提示した条件の返答をくれた。

 

「あー面白かった!それと、条件の事だけど……もちろんOKよ?好きに呼んでちょうだい」

 

「じゃあ、これからよろしくな。レミさん(・・・・)

 

 俺はそう言って彼女に握手も求めた。

 

「ええ、こちらこそ」

 

 彼女も快く握手をしてくれた。―――瞬間、ほんの一瞬だけ眩しい光が俺とレミさんを覆いつくした。しかもその正体はカメラのフラッシュであったのだ。

 

「外来人紅魔の吸血鬼を口説き落すっと……いいネタになりますねぇ~フフフ」

 

「…………」

 

 ここでようやく俺は理解した。何故俺が文に初めて会った瞬間妙な感覚を覚えたのか……きっとこのことだったのだろう。

 さて、明日の朝ごはんは焼き鳥かな?

 

 

 宴会はまだ続くのだろうか。そろそろ幕引き時じゃない?




≪余談≫
実は最後に残ったキメラはあの後太陽の花畑を通ったのでした。これ以上は語る必要はないでしょう。


今回も大幅に時間が掛かってしまいましたが、なんとかなりました。

次回で宴会終結。

次回もお楽しみに!!
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