東方英雄章~【妖怪と人間と】   作:秦喜将

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夏コミ行っていて更新遅れました!
ごめんなさい(言い訳)

ではどうぞ!!


特別篇 サマー・メモリーズ③

Side乖離

 

 

 空から女神様と閻魔様が降ってくる。構図がこれだけなら鼻で笑っているところだが、如何せんこちらに落下してくる二人がアレなので、俺は何とも言えぬ状態だ。

 

「乖離、あれはどうするの?」

 

 こころちゃんは小首を傾げて問いかけて来るが、丁度俺もあのお二人さんをどうしようか考えていたところだ。

 

「どうするって、どうしようね~」

 

 色々とほぼ諦めムードで口からそんな言葉が零れ落ちる。

 あの二人はおそらく後五秒くらいすればこちらに激突するのは火を見るより明確だろう。しかしだからと言って何もしない訳にはいかないので―――

 

「こころちゃん、映姫様のキャッチお願いできる?」

 

「わかった!でももう一人はどうする?」

 

「ヘカちゃんは俺がなんとかするよ」

 

 ぶっちゃけ二三歩下って落ちて来るのを待てばいいだけの話なのだが、それをすると、映姫様のウザ……ありがたいお説教がお待ちかねになってしまうので、それだけは回避したいのだ。

 

 とりあえず、俺は半歩前に進んで落下してくる女神様キャッチの態勢に入る。

 本音を言うなら『空飛べよ!』って言ってやりたいところだが、それもそれで後々面倒なので黙っておく。

 

 各も思いつつ、俺は全身強化を施し降って来た女神様をお姫様抱っこの要領で見事キャッチした。

 

「痛い!」

 

 それでもやはり数百メートル上空から落下してきたので、キャッチの際に掛かる落下エネルギーを殺しきれず、思わず上記の言葉が出てしまった。

 

「乖離クン久しぶりねん!会いたかったわ~!」

 

 俺がある意味不幸な目にあったというのに、相変わらずこの女神様はテンション高く俺に抱き着いて来る。そしてその際俺の胸部に当たる柔らかな感触が……。

 

「んっん~」

 

 どうやらこころちゃんは映姫様のキャッチに成功していたらしく、二人は横に並び、映姫様が一つ咳払いをした。

 

「ごきげんよう、氷鉋乖離。お変わりないようですね……」

 

「え~っと、うん、変わりはないです」

 

「そうですか、なら良いのです。……それより、いつまでそうしているつもりですか?」

 

 そう言って映姫様は目を細め現在の俺の状態を指摘して来る。

 

「そうですね。降りろヘカちゃん」

 

「やだ!」

 

 ごめんなさい映姫様俺には無理だったようです。この甘えん坊女神様をどうにかするなんてことは俺では不可能なようです。

 

「ヘカーティア様……!」

 

「うぅ………」

 

 映姫様は更に目を細めヘカちゃんを睨みつけると、流石にマズイと感じたのかヘカちゃんは渋々といった表情で俺から降りた。閻魔様スゲー!!

 

「それで、二人は何をしに来たの?」

 

 先程までこの構図を見ていたこころちゃんは俺の腕を取るなり、そんなセリフを吐いて明らかな敵対心を向けた。

 しかし流石は地獄の支配者達、そんなこころちゃんの意をどこ吹く風の如く受け流し、余裕の笑みで答えた。

 

「遊びに来たのよん♪」

 

「遊びに来ました」

 

 二人の回答にこころちゃんはムスッと頬を膨らませる。

 しかし遊びに来たとはさっきも聞いたけど、地獄のツートップが遊びにきていいのだろうか……。

 おそらくだが、小町あたりは今頃『映姫様ーー!!』って叫んでいるのではないだろうか。でもあれだね、いつもサボってるつけが今になって押し寄せて来たってところかな?それに引き替え映姫様は働き者だから今日くらいは羽を伸ばしに来たってところだろうね。

 まあ、ヘカちゃんは別として……。

 

「それはそうとして、クラッピーはヘカちゃん?」

 

 ヘカちゃんが居るのであれば、その部下であるクラッピーが居てもおかしくないのだ。しかも夏の海で遊べるとなると一番はしゃぎ出しそうな人物が居ないのは以外だ。

 

「クラピーちゃんなら寝てるわよ」

 

「寝てんの?」

 

「ええ、仕事でかなりお疲れの様だったわ」

 

 何それ羨ましい!俺も許されるならさっさと帰って昼寝がしたい。でも俺を連れ出しに来た連中がそれを許す筈もないのでどうしようもないのだけどネ!

 

 そんな事を思いつつ諦めるようにタメ息を吐いていると、こころちゃんが俺の腕を引っ張った。

 

「どうした?」

 

「神子達を探しに行かないの?」

 

 そうでした、俺は豊聡耳を探していたのだった。こんな事をしている暇はないとは言わないけど、本来の目的を見失うところだった。

 

「悪いお二人さん、俺は豊聡耳を探さないといけないから先行くな?」

 

 そう言って、その場を去ろうとすると、こころちゃんが掴んでいる俺の腕とは逆の腕をガッシリと掴まれた。

 掴んだのはもちろんヘカちゃんなのだけどな。

 

「私も探すの手伝うわ!折角だしねん♪」

 

 まあ、そう言うだろうとは思ったけどね。

 すると、今度はこころちゃんがあからさまに嫌そうな目付きでヘカちゃんに言い放った。

 

「ならあっちを探せばいいと思う!あなた一人で」

 

「それはこっちのセリフよ付喪神。乖離クンとは私が探すからあなたがあっちを探すべきよ?」

 

 売り言葉に買い言葉ってあるけど、二人共なんでこうも喧嘩腰なんだろうか。いつもはおっとりした感じのこころちゃんなのに、こういう時に限って妙に敵を作りやすくなる。それはヘカちゃんも同じなのだけれどね~。

 

「二人共そこまでです。子供じゃないんですからそんなくだらない喧嘩はやめてください!見ているこっちが恥ずかしいです」

 

 この二人のやりとりを見かねた映姫様が助け舟を出し一触即発の二人を静止てくれた。

 映姫様に注意された二人はプイッとお互いにそっぽを向き合った。それを見てやれやれといった表情でタメ息を吐く映姫様に、俺も同情した。

 

 

 

 

 なんやかんやで、俺とこころちゃん、それと映姫様とヘカちゃんの四人で豊聡耳達を探していて、ようやく見つけた。

 ―――見つけたのだが……。

 

 

「だから!こっちの方が氷鉋様も喜ばれると言っているだろう!何故それが分からんのだお前は!!」

 

「それはこっちのセリフです!乖離さんにはこちらの方がきっと喜ばれます!あなたのような時代遅れな品では落胆されるのでは?!」

 

「それはお前も同じだろう!!」

 

 ………なんじゃありゃ?

 道教と仏教のトップが対峙して訳の分からない言い合いをしている。何の言い合いかというと、かき氷に掛ける蜜とトッピングについてのようだ。

 

 まあそれは良いとして、何故それであんな言い合いに発展するのだろうか。理解に苦しむとはこの事だなまったく。

 バカじゃねえのあの二人………。

 

「バカっぽい……」

 

「バカっぽいですね」

 

「バカっぽいわねん」

 

 後ろのお三方は呆れて上記のセリフを呟いてしまう始末だ。

 なんだろうか、見ていて恥ずかしいを通り過ぎて見ていてイライラしてきた。しかもその話題の胸中が俺だと思うと尚更だ。

 

 

 今も尚ギャーギャーと喚き合う二人に、俺は無表情で近づく。

 すると、喚き合う二人の部下達は俺の表情を見るなり恐怖に近い表情で凍り付いてしまっているが気にしない。

 

「「あ、あの~……太子様………」」

 

「どうした布都、屠自古?何かあっ……た………ヒィ!」

 

「あ、あの、ひ、聖……」

 

「聖様……その、あの………」

 

「どうしました星、一輪?今大事……な……とこ………ファッ!」

 

 二人の表情は急激に真っ青に変わり、涙目で俺を見上げていた。

 

 

 俺の告げるべき言葉は一つだけだ。そのことに対して慈悲もクソない。

 

 俺は両腕を掲げ、手刀の形を作り――――

 

「『や』『か』『ま』『し』『い』『わぁ!!』」

 

 言霊を籠めて大きく振り降ろし、二人の頭に直撃させる。

 

「グホッ!」

 

「ガッ!!」

 

 見事に命中した俺の手刀で、二人は地面に倒れ伏しゴロゴロと頭を抱えて転がっている。

 可哀想とは思わない、だってこの二人が煩かったんだし、二つの勢力のトップが部下の前でくだらない争いをしていたのだから、その制裁を加えたに過ぎん。

 だから俺は悪くないぞ?そうだろ映姫様?

 

「判決……ハァ……白ですねこれは」

 

 俺の意を察してくれたのか、映姫様はタメ息混じりに判決を下してくれた。流石は閻魔様と褒めてやりたいところだ!

 

「しかし、なかなか綺麗なクリーンヒットね!私なら泣いちゃうわねん」

 

 女神様のお褒めも頂けたことだし、さてと、次は頭を未だに抱えている二人についてだが。

 

「何をやってんだよバカ(×2)が」

 

 俺はゴロゴロのたうち回っている二人に少々冷たい言葉を投げかける。

 

「うぐぐ……」

 

 最初に頭を抑えながら豊聡耳が立ち上がった。それに続いて聖さんもよろよろと立ち上がった。

 

「お前ら、自分の部下の前で何醜態晒してんだよ!」

 

「それには深い訳が……」

 

「はい、深い訳があるんです」

 

 少しションボリした様子で、二人は俯いたまま喋り始めた。

 曰く、俺に合うかき氷の味は餡蜜風味だとか。by神子

 曰く、俺に合うかき氷の味はお汁粉風味だとか。by聖

 曰く、俺に合うトッピングは豆だとか。by神子

 曰く、俺に合うトッピングは小豆だとか。by聖

 

「どっちも大差ないじゃん……」

 

 なんというか、団栗の背比べだ。まったくもって下らない話じゃないか。何故そんな事であれほどギャーギャーと喚き合っていたのか……考えたくないな。

 そもそも俺はイチゴのかき氷が好きなんだけどなぁ。

 二人の話を聞いて呆れていると、豊聡耳が小さく聖さんに呟いた。

 

「お前の勢だからな……?」

 

 それを聞いた聖さんは青筋を浮かべて言い返した。

 

「あらあら、自分の非を棚に上げて責任を全て私に押し付けるのですか?矮小な方ですねあなたは……」

 

「なんだと……」

 

「なんですか……」

 

「黙ろうか、お前ら?」

 

 今度はグーをチラつかせると、二人は『ハイ』と子猫のように弱々しく返事をした。

 

「やれやれ、折角の海なんだから仲良くくらいしろよ」

 

「「すいませんでした」」

 

 二人は流石に懲りたのか、頭を深々と下げて来た。

 まあいいとして、二つの勢力のトップ同士が俺に頭を下げるっていうのもちょっとした問題になりそうなんだけどね。

 

 それはそうと、俺はこころちゃんから豊聡耳が俺を探していると聞いてたので、丁度いいから聞いてみることにした。

 

「そういえば豊聡耳さあ、俺を探していたってこころちゃんから聞いたんだが、何か用でもあったのか?」

 

「それは……えっと、もう終わりました」

 

「?そうか」

 

 どうやら既に終わってしまっていたようだ。であれば、俺がここにいる理由はもう無いだろう。

 そう思い、俺はこの場を後にしようとすると、急に聖さんに呼び止められた。

 

「あの、乖離さん」

 

「はい?」

 

「そういえば、先程ぬえがあなたを探していましたよ?」

 

「わかりました、ありがとうございます」

 

 ぬえが俺を探しているとなると水着の事だろうか。ならば今度はぬえを探すしかあるまい。

 俺は聖さんにお礼を言った後、今度はぬえを探す為に捜索を始めた。もちろんあのお三方を引き連れて。

 

 

 

 

 

 

「聖」

 

「何ですか神子さん」

 

「氷鉋様を怒らせるような真似はするべきではないな………」

 

「……そうですね。しかし、芝居を打とうなどと言い出したのはあなたですからね?」

 

「しばかれた際自分の浅はかさを後悔したよ……もう二度とせん」

 

 

 

 

 

 

※※※

 

 

あれから四人でぬえを探し回ること早十分、俺達は色んな場所を行ったり来たりを繰り返していた。

 そんな中―――

 

「腹が減ったなあ~」

 

 海に来てからというもの、俺はあまり食べ物を口にしていない。食べたというなら、ぬえにくれてやった魚を一口だっただろうか。

 そしてどうやら、腹ペコなのは俺だけではないようで、他三人も腹を抱えるようにしていた。

 

「何か……食べ物~」

 

「くう、閻魔たるものこの程度では『ギュルルル~~』うぅ////」

 

「……マジ無理何か食べ物が欲しいわ~」

 

 緊急事態ですねこれは………。俺も俺だが、この三人は心なしか萎れていっている気がする。ピンチじゃんかこの三人!

 しかし、現在地からmyテントまでそれなりに距離がある。それをこの三人が耐えられるか不安だ。

 ならばもうやるしかないだろう。自然エネルギーの消費とか考えてる場合じゃないしな。

 

「三人共、俺に掴まれ!転移で俺のテントまで移動するぞ。そんでもって、美味い飯を作ってやる」

 

「「「やったー!!!」」」

 

 盛大に喜んだ声を上げた三人は、一斉に俺に抱き着いてきた。

 

「おっとー!」

 

 急に抱き着かれたので転びそうになったが、なんとか留まれた。ていうかちょっと苦しい。そして暑苦しい!

 

「それじゃあ飛ぶぞ?」

 

 俺のテントの位置は憶えている。現在地からそこまでどのくらい離れているかも解析済みだ。後はそこに座標を合わせて―――――

 

 

 

「着いた……」

 

転移完了、尋常じゃないレベルで自然エネルギーを消費してしまった。まさしく疲労困憊といったところだ。流石に俺を含めた四人を転移させるのは無茶だったな。

 

「あ……」

 

「ん?」

 

 俺が疲れた表情で自分のテントに目を向かわせると――――そこには先程まで探していたぬえがフライパンとお玉を持ちガス焜炉で料理をしていた。

 

「おかえり乖離」

 

「ただ、いま?ぬえ」

 

 思わず自分の目を疑った。

 ぬえは黒い水着を着ており、更にその上から白いエプロンを羽織っており、長い髪をポニーテールにして結んでいる。

 その姿がなんとも言えないほどに可愛らしかったので、俺は天使でも見ているのかと錯覚してしまいそうになった。

 

「可愛い……な」

 

「えっ?!えと、その……ありがとう///」

 

 ついつい零れたセリフに、ぬえは顔を赤くして上記の言葉を呟いた。照れてる姿もまた可愛らしいけどね!

 

 少しの間沈黙していると、俺の後ろからのそのそと三人が腹を抱えて現れた。

 

「飯~~」

 

「何か、食べ物を~」

 

「お腹がぁぁ」

 

 すっかり失念していたが、居ましたね君達。

 腹ペコな三人はゾンビのように這いながらぬえの方へ近づいて行った。

 流石のぬえもそれにはビビったのか、慌てて料理しているフライパンを持って後ずさった。

 

「乖離、なんなのこの三人は?」

 

「ゾンビ(腹ペコ)だよ。多分お前の料理に惹かれてるんだと思うぞ?」

 

「怖いわこの構図は!!」

 

 そう言いながらも、ぬえは落ち着いてフライパンを焜炉に戻し、三人に一枚ずつ皿を持たせて待機させていた。

 流石は我が店の副料理長だな!

 

「さてと、俺は俺で作るとしますかね」

 

 そう思い俺が料理に移ろうとした時、全身に強烈な痛みが走った。

 

「んぐっ……!」

 

 あまりの痛みに耐えかね、情けない声を上げ膝をついてしまう。

 どうやら自然エネルギーの使い過ぎということだろう。無理は禁物だねホント!

 

 一度態勢を立て直すべく、立ち上がろうとしたその時――――

 

「乖離様?」

 

「ん?」

 

 名を呼ばれ顔を上げると、そこには蓬莱人のお三方と兎二匹が居た。

 

 

 何故―――このタイミングなのだろうか……。神はついに俺を見放したのだろうか。

 そんな問いをしてしまいたくなるほど、今の俺は絶望してしまっているのだ。何故なら――――

 

「乖離様ぁー!!」

 

 輝夜が猛スピードで俺に抱き着いて来るからだ。しかも、今の俺の体力と身体の調子では輝夜を抱きとめてやる事は不可能だ。

 ―――しかし、輝夜にとって俺の事情など知る由も無いし、そもそも関係ない。輝夜のこういった行為は反射運動のようなものなのだから。

 

 俺は完全に諦めた状態で、輝夜のタックルに等しい抱き着きを甘んじて受け入れる事にした。

 輝夜が抱き着いてきた際、ほんのりと香る甘い匂いが俺の鼻を突き抜け、一瞬の幸福感を得た後、俺は意識を手放したのだった。

 




東方天空璋買えませんでした……。
売り場発見した時には既に完売……(´;ω;`)ウゥゥ


でもTシャツと秘封活動記録はバッチリゲットしたので大丈夫です。

しかし秘封活動記録の音声が出ない……。(白目)
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