FAIRY TAIL 未知を求めし水銀の放浪記   作:ザトラツェニェ

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遅くなりましたが投稿!
さあ、水銀の活躍をご覧あれ……。
ちなみにこちらでメルクリウスがニルヴァーナ編に顔を出している間、アブソ世界では第四話〜第八話の時間が経過しています。



水銀の蛇は未知を求めて力を振るう

戦いというのは読み合いである。相手が何をしてくるか。そしてそれを常に考えながら互いに上回りあう。

ならば敗北とは何なのだろうか?

それは予想の上を行かれる事である。

予想外の戦法により敗北する。

予想外の攻撃方法により敗北する。

予想外のトラブルにより敗北する―――敗北の理由など多種多様だ。

 

 

ならば今、六魔将軍(オラシオンセイス)の眼前で無残にも倒れ伏している連合軍の敗因は一体何だろうか。

それはかの作戦で使われる予定だった魔導爆撃艇が破壊された事による動揺から来たものなのか。

それとも、六魔将軍(オラシオンセイス)のブレインという者に天空の巫女、ウェンディを連れ去られた事による衝撃から来たものなのか。

それとも、ただ単純に彼らが弱く、未熟なだけなのか―――

いずれにしろ、連合軍は圧倒的敗北を喫している事には変わりない。

 

「ゴミどもめ。纏めて消え去るがよい」

 

ブレインという男は連合軍の者たちへ止めを刺すべく、不気味な魔力を集めて放とうとする。

が―――

 

「はぁ……はぁ……!」

 

その時、近くの草むらから六魔将軍(オラシオンセイス)の一人、エンジェルが傷だらけの状態で現れた事で彼女の仲間は皆、一様に驚く。

 

「エンジェル!?その傷は……!?」

 

「おやおや、追いかけっこはもう終わりかね?」

 

そして、そのエンジェルを追いかけてきたであろう一人の男が今、この場に合流した事によってこの状況は大きく変わる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、君たちが例の六魔将軍(オラシオンセイス)とやらかね?」

 

私は目の前に立っている六人の者たちの顔を見回して問い掛けた。

ふむ……魔力の質や量などは、連合軍と大差無いようだな。この程度ならば私の十八番である他力本願で連合軍に任せても問題は無いだろう。まあ、連合軍の者たちは皆後ろで倒れているのだが。

元より、私が出ると物語は退屈になってしまうのは火を見るよりも明らか、それでは面白くない。

―――とはいえ、今私の目の前にはこの世界で初めて出会った戦闘を生業としている者たちがいる。

初めて―――即ち未知だ。そんなものを目の前にして自重する私ではない。

 

 

ならば、少々彼らの相手をしてみるのも一興。

 

「ふむ……この世界の者はどの程度の魔力を持っているのか気にはなっていたが……この程度ならば私の敵では無いな。所詮塵芥は塵芥だという事か」

 

「何?」

 

少々露骨過ぎる挑発をしてしまったと我ながら言った後に痛感したが、相手はそんな私の挑発に乗ったようだ。

しかし、度し難いな。この程度の挑発で怒り、魔力の質と量を上げるとは……呆れ果ててしまいそうだよ。

 

「我らが塵芥だと?」

 

「そう言っているではないか。君たち如き、寄せ集まっても何も成せん塵芥だよ。興味も湧かん」

 

「―――やれ」

 

私の言葉に我慢ならなかったのか、リーダー格の男……確かブレインと言っただろうか?

彼は傍らにいた一人の男、レーサーに指示を出した。

瞬間、私の真後ろにレーサーが現れる。

 

(ふむ……)

 

彼は私に拳を振るおうとしたが、私はそれを受け止める。

 

「なっ!?」

 

「止めただと!?」

 

受け止められるとは思っていなかったのか、レーサーは驚愕に顔を歪め、グレイも声を上げて驚く。

 

「なるほど。シュライバー、いや、我が愚息と同型の魔法か。しかしその手の能力と速さなど、私は嫌という程見てきたのだよ」

 

私は初めて見た彼の魔法の能力を見抜き、既知の能力であると断じた。

彼は一見すると、シュライバーと同じように高速で動く魔法を使用しているかのように見えるが、実際は周囲の……おそらく生物の体感速度を遅める魔法だ。

なぜそのような事が分かったのかというと、彼が私に接近してきた際に愚息と比べるまでもない程の微々たる力だが、体感速度に影響する魔法の気配を感じたからだ。

体感速度を遅める。我が愚息の時間の停滞と似て非なるものだ。

そう思っていると彼は続けざまにその魔法を駆使して、様々な方向から体術を放ち始めた。

拳で殴りかかる、回し蹴り等を繰り出す彼の攻撃を、私はのらりくらりとかわす。

わざと紙一重でかわし、ニヤニヤと笑う私を見て、レーサーは段々と苛立ち始めた。

 

「くそっ!何故当たらねぇ!?」

 

「言っただろう?この程度の速度は見慣れていると。ああ、遅過ぎる。これならまだ、活動位階の黒円卓団員の方が速い」

 

向こうで他の六魔将軍(オラシオンセイス)共が驚愕の表情を浮かべているのを尻目に、私は走って突っ込んでくるレーサーを横に回避し、ついでに彼の足を引っ掛けた。

結果、彼は「うおっ!?」と素っ頓狂な声を上げながら盛大に転ぶ。

 

「やれやれ、そうも簡単に足掛けに引っかかるとは……。猪突猛進な事だ」

 

「テメェ!キュベリオス!」

 

わざと見下したかのような視線で言い放つ私に苛立ちを覚えたのか、コブラという男が毒蛇に指示を出し、私の方へと向かわせる。

 

「シャアア!!」

 

「笑止な。毒蛇如きが私に勝てると思うのかね?」

 

「―――!!?」

 

キュベリオスと呼ばれた毒蛇は、私がチラリと視線を向けるだけで驚いたかのように動きを止め、恐怖を感じたのか小刻みに体を震わせ始めた。

 

「っ!?どうした!キュベリオス!?」

 

ふむ、あの毒蛇は本能で悟ったか。目の前に立っている私が()()()()()()なのかを。

すると私の足元の地面が沼のように変化した。

見てみると、ホットアイという男がこちらに指を向けている。

 

「地面を柔らかくする魔法―――ありふれていてつまらんな」

 

柔らかくなった地面は、すり鉢状に盛り上がり、上から私を生き埋めにしようと土が上から襲いかかってくる。

だが―――

 

「どうした、終いか?」

 

「何っ!?」

 

土が覆い被さり、生き埋めになったと思い込んでいた彼らは、まったく攻撃を受けた様子が無く、平然としている私を見て顔をさらに驚愕に歪める。

元々この身は影絵のようなもの。実体など無いし、どこにでもあるものだ。故にほとんどの攻撃などすり抜けるに容易い。

私は驚愕し、攻撃の手を止めている彼らを見て、失望の眼差しを向けた。

 

「ああ、興醒めだ。もうお前たちはいらん。故に―――」

 

私は彼らに向けて両手の指を北斗七星のように構える。

それと同時に彼らの頭上に今にも落下してきそうな星空が現れる。

 

「あの魔法は……!」

 

「天……体……魔法……!?」

 

私の後ろからナツと苦しそうなエルザの声が聞こえたが、無視して呟く。

 

「七つの星に裁かれよ―――“七星剣(グランシャリオ)”!」

 

瞬間、彼らの頭上で輝いていた星たちが瞬き始め、その星の中で最も大きい七つの輝きが彼らに向かって墜落していく。

それを皮切りに、他の輝きも彼ら目掛けて落ち始めた。

 

「ぬうっ!?」

「ぐわっ!」

「うおおっ!」

「く……!」

「ちょ……!」

「――――――」

 

寝ているミッドナイトを除いた五人は天から降り注ぐ隕石を回避し始めた。

 

「さあ、愚かしく舞え。お前たちにはそれしか出来ぬだろう?寄せ集まっても、何にもなれぬ塵芥共が」

 

「―――貴様ぁ!!」

 

回避の最中にブレインは杖を私の後ろへと向けて光線を放った。

様々な怨念を感じる光線は私の頭上を通り過ぎ、後ろで倒れている連合軍の者たち目掛けて落とす。

 

(私の意識を彼らに向けさせて離脱するつもりか)

 

まあ、彼らの事は無視しても構わないのだが―――それはそれで後でウェンディに悲しい顔をされてしまうだろう。

別段マルグリット以外の存在はどうでもよい私でも、流石に童女の泣き顔を見るのは心が痛む。

そう思った私は倒れている彼らを助けに向かおうと振り向いたのだが―――

 

岩鉄壁(がんてつへき)!!」

 

一夜を見つけ、ようやく我らに追いついたらしいジュラが先ほどブレインの放った攻撃を防ぐのを見て、いらぬ心配だったなと苦笑いを浮かべる。

そして改めて正面に向き直ると、六魔将軍(オラシオンセイス)は一人残らず逃げていた。

 

「ふふ……ふふふふふ……」

 

あれだけの爆破の中で攻撃を繰り出し、挙句にその隙をついて逃げるとは……先ほどの評価を訂正して、彼らは少しは楽しめる相手だと見直す事にしよう。

 

「遅かったではないか、ジュラ殿、一夜殿」

 

「すまぬな。一夜殿の治療をしていたら遅れてしまった」

 

六魔将軍(オラシオンセイス)め。我々が到着した途端に逃げ出すとは、さては恐れをなしたな」

 

「あんた、ボロボロじゃねーか」

 

グレイの突っ込みを尻目に、一夜は痛み止めの香り(パルファム)を、怪我をしている者たちへと嗅がせた。

 

「いい匂い」

 

「痛みが……和らいでいく……」

 

「……だが―――」

 

私の視線を向けた先には痛み止めの香り(パルファム)が効かないのか、苦しそうな表情を浮かべながら木に寄り掛かるエルザがいた。

 

「そんな……痛み止めの香り(パルファム)が効かないなんて!!」

 

「エルザ嬢、少々よろしいか」

 

エルザに断りを入れ、私は彼女が抑えていた右腕を見る。

そこにはあの蛇のものと思われる牙の跡がついていた。

 

「……遅効性の毒……。もって三時間といった所か」

 

「そんな……!」

 

「……やむを得ん……。クラフト……何か縛るものはあるか……?」

 

エルザのその言葉の意味を察した私は目を細めて問いかける。

 

「……本気かね?」

 

「仕方……ないだろう……このままでは戦えんし、覚悟の上だ……」

 

私からもらった縄で腕を縛り、近くに剣を落としたエルザははっきりと言う。

 

「私の腕を斬り落とせ」

 

「!!!」

 

「バカな事言ってんじゃねぇよ!」

 

それに一部の者たちは考え直せと怒鳴り、また一部の者たちはそんな彼女の頼みを成すべく、剣を取ろうとしたり、黙って成り行きを見守ろうとしている。

 

「よせ!!」

 

「今、この女に死んでもらう訳にはいかん」

 

「けど……」

 

「よさないか!!」

 

「そんな事しなくても」

 

「エルザ殿の意志だ」

 

「やるんだ!!早く!!!」

 

リオンが剣を取り、エルザの腕に狙いを定める。それをグレイがやめるように言うが―――彼はその剣を振り下ろした。

 

 

 

 

が―――

 

「しかしまあ、少し待ちたまえよ。そう短絡的に考えるのも結構だが―――他にも方法はあるのだよ」

 

片腕と言えども、ウェンディは悲しむだろう。そんな彼女の顔を悲しみに歪めさせるわけにはいかないと判断した私は、即座に彼が振り下ろそうとした剣を素手で掴んで止める。

素手で難なく受け止められた事にリオンを含め、周りは少しばかりざわめくものの―――そのざわめきはすぐに収まり、グレイが問う。

 

「他の方法があるのか?」

 

「然り、でなくば私はこうして止めないよ」

 

これしか解決方法が無いのなら、仕方ないと割り切るがね。というかそれならば、私が彼女の腕を一瞬で苦しませる事無く斬るだろう。

とまあ、そのような事は一先ず後にするとしよう。

 

「それで、その方法とやらだが―――ウェンディならば助けられるだろう」

 

「やっぱり貴方もウェンディの魔法を知ってたのね」

 

「当然だろう?一月も共に旅をしていたら、目撃する機会くらいある」

 

「それってあの()が解毒の魔法を使えるって事?」

 

「解毒だけじゃない。解熱や()()()()、キズの治癒も出来るの」

 

「あ……あの……私のアイデンティティーは……」

 

「あの()がいない今ならば、痛み止めの香り(パルファム)は役に立つが……もし彼女がいたならば、言わずとも分かるのではないかな?」

 

つまりは用無しである。

 

「メェーン……」

 

「先生ーーーー!!?」

 

私の言葉を聞いた一夜はショックを受けたように両手を地面について落ち込み、それをトライメンズの面々が励ます。

それに微塵も興味を示していないシャルルは続ける。

 

「あの()は天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)天竜(てんりゅう)のウェンディ」

 

「なっ!?」

 

「いいっ!?」

 

「ドラゴンスレイヤー!?」

 

「…………」

 

滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)―――竜迎撃用の太古の魔法(エンシェント・スペル)

その魔法、竜の鱗を砕き、竜の肝を潰し、竜の魂を狩りとる……。遥か昔に書かれた本にそう書かれているように、かなり強力な攻撃魔法だと思われる。

とはいえ、昔のウェンディは治癒魔法しか使えなかったので、そのような太古の世界を支配していた竜の力が眠っているようには到底思えないのだが……もし本当にその身に竜の力を宿しているのならば、今は攻撃魔法の一つくらいは習得しているのだろうか?その辺りも助け出したら聞いてみるとしよう。

 

「詳しい話は後!!ってゆーかこれ以上話す事はないけど。今、私たちに必要なのはウェンディよ。そして目的は分からないけど、あいつ等もウェンディを必要としてる」

 

「……となれば」

 

「やる事は一つ」

 

「ウェンディちゃんを助けるんだ」

 

「エルザの為にも」

 

「ハッピーもね」

 

「おっし!!」

 

すると全員が決意を固めたような表情で円陣を組み、全員が中心に拳を突き出す。

 

「おい、あんたも出せよ」

 

「ん?私もかね?」

 

「当たり前だろ。あんたもこの作戦の協力者だ」

 

「それにお前もウェンディを助けるんだろ?なら目的は同じじゃねぇか。仲間を助けに行くぞ」

 

そう言ってニッと笑うナツの顔を見た私は―――

 

(―――ああ、その顔。我が愚息が尊き刹那と称した者たちに向けたものと似ているな)

 

仲間を―――尊く、失いたくない刹那たちと共に笑う愚息の表情と重なったのを幻視した。

彼も仲間を大事にしているのだな……。

 

「ふふふ……相分かったよ」

 

そんな彼の気持ちを尊重したいと思った私は、彼らの円陣に加わり、拳を中心に突き出した。

そして―――

 

 

 

 

「行くぞォ!!!!」

 

『オオッ!!!!』

 

 

その言葉と共に、我らは彼女たちを救う為に行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天空の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)ってさぁ。何食うの?」

 

「空気」

 

「うめえのか?」

 

「さあ」

 

「私もそれが気になって聞いてみた事があるのだが……どうやら空気にも様々な味があるようで、美味しいものもあるそうだよ」

 

「マジかっ!?」

 

「……それって酸素と違うのか?」

 

全員で改めて今回の作戦に対する決意を固めた後―――私はナツ、グレイ、シャルルと共に樹海の中を駆け抜けていた。

ちなみに上の会話で私がナツに言った事は、ウェンディ本人に聞いて得た答えである。

正直、私も空気に様々な味があるとは思わなかった。場所によって味が違うらしく例えば、低温、高湿度の場所の空気はその辺りに売っている普通の食べ物より美味しいらしいとか。

 

「『美味しいから、カールも食べてみるといいよ』などと昔ウェンディに言われた事があったが、丁重に断らせてもらった。私は彼女と違って、空気で腹は膨れないからな」

 

しかし、例外としてマルグリットの残り香が漂っている空気は別だ。多元宇宙に漂う女神のほんの僅かな香りだけで、我が脳髄は幸福に包まれ、肺と腹は刹那の間も経たずにマルグリットで満たされる。

ああ……そのような想像しただけで絶頂しそうだ。

 

「ふふ、ふふふふふ……」

 

「何、気持ち悪く笑ってるんだ……」

 

「知らないわよ」

 

おや、思わず笑みが漏れていたようだ。

ナツとグレイが私を見て引きつった顔を浮かべているが……まあ、そんな事はどうでもいい。

 

「あのコ、あんたに会えるかもしれないってこの作戦に志願したの」

 

「オレ?」

 

「同じ滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)でしょ?」

 

そういえば、先ほど知った事なのだが、私の前を走っているこの桜色のツンツン頭の青年、ナツもウェンディと同じく滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)らしい。

 

「あのコ、7年前に滅竜魔法を教えてくれたドラゴンがいなくなっちゃって探してるんだって。それであんたならドラゴンの居場所知ってるかもって」

 

「ウェンディを育てたというドラゴン―――確か天竜グランディーネという名前だったかね?」

 

「確かウェンディもそう言っていたわね」

 

シャルルの口ぶりから察するに、ウェンディは私たちと別れた後もどうやらグランディーネを一人で探していたようだな。そして未だに見つけていないようでもある。

しかもその後の彼らの話を聞いていると、どうやらナツも7年前に育ての親であるイグニールという火竜が姿を消したとの事だ。そしてナツの話によると、もう一人、7年前の同日に親であるドラゴンが姿を消したと言っている仲間がいるらしい。

 

「つまり7年前の7月7日に、三体のドラゴンが姿を消したというわけか……」

 

「そう聞くと、不思議だよなぁ……」

 

そんな会話をしながら、なぜ7年前のその日に三体のドラゴンが姿を消したのか、もしやこの世界で破壊を司る奴の仕業か……。などと頭の中で考えていると―――

 

「な……何コレ!?」

 

シャルルの驚く声に思考を現実に引き戻した私の目に映ったのは―――枝も葉も、おそらく根も真っ黒になっているだろう幾つかの木々だった。

 

「木が……黒い……」

 

「き……気持ち悪ィ」

 

「普通ならばあり得ない変色の仕方だな。もしやこれが……」

 

「ニルヴァーナの影響だって言ってたよな。ザトー兄さん」

 

「ぎゃほー。あまりに凄まじい魔法なもんで大地が死んでいくってなァ。ガトー兄さん」

 

「誰だ!?」

 

私たちの疑問に答えたのは、二人のまるでサルのような顔をした男たちだった。

そんな男たちが姿を現すと同時に、周りから待ち伏せしていたのか多くの魔導士たちが出てきた。

おそらく彼らは六魔将軍(オラシオンセイス)傘下の闇ギルドの一つだろう。

そしてそれは向こうの発言で決定付けられた。

 

六魔将軍(オラシオンセイス)傘下、裸の包帯男(ネイキッドマミー)

 

「ぎゃほおっ!!遊ぼうぜぇ」

 

二人のサルのような男の言葉にシャルルは苦渋に満ちた顔をする。

 

「敵は……6人だけじゃなかったっていうの……!?やられた……」

 

しかし、私とナツとグレイだけはシャルルとは別の反応を示していた。

 

「こいつァ、丁度いい」

 

「ウホホッ、丁度いいウホー」

 

「然り然り」

 

「何言ってんの、アンタたち!!」

 

「拠点とやらの場所を吐かせてやる」

 

「当ても無くウロウロと探索するのもこれでお終いだな。さあ、さっさと吐いて死ぬがいい」

 

「今、行くぞハッピー!!ウェンディ!!」

 

「なめやがって、クソガキが……」

 

そう言って双方が戦闘態勢を取る。

……だが、戦闘を始める前に一言言わせてもらおうか。

 

「君たちをなめている事に関しては否定しないが……私はガキという枠に当てはまる程、若くはないよ」

 

見た目はこのようなものだが私が今まで重ねてきた年月を考えれば、ガキや青年というよりも、老人か化石だろう。いや、それ以上の何かかな?

肩を竦めてそう言った私も戦闘態勢を取る。

 

さて、さっさとこの者たちを倒して、拠点の場所を聞き出し、ウェンディを助け出すとしよう。

 




メルクリウスが七星剣(グランシャリオ)って言うのが脳内再生余裕なのは私だけではない筈……。
水銀はまあ、予想していた人は多いでしょうが天体魔法も使えます。トンデモ占星術をあれだけ使えるなら当たり前ですよね(苦笑)

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