FAIRY TAIL 未知を求めし水銀の放浪記   作:ザトラツェニェ

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アブソと同時投稿!遅れてすみません……。

この小説のお気に入りがアブソを超えた件(; ̄O ̄)

ちなみにもう少し後ですが、この小説はもう一作品とクロスします。(もうアブソで布石置いたから変更はしません)



水銀の蛇は古代魔法を止める

 

 

「さてーーーでは始めようか」

 

私は化け猫の宿(ケットシェルター)前で、力を溜めているニルヴァーナの砲台へと視線を向けながら魔法陣を組んでいた。

私としては、この背後にあるギルドなど消し飛んでも別にどうこうするつもりなど無いのだが……それではここに所属するウェンディとシャルルが嘆き悲しむだろう。

 

「……ふふふふふ……」

 

そのギルドの前でこうして魔法陣を組みながら私は思う。

僅か一ヶ月という永劫繰り返してきた私にしてみれば取るに足らない短い時間ながらも、その短い時間の中で共に過ごしたあの青髪の少女に私は随分と甘いようだ。

 

「…………」

 

しかし、私がこうして背後にある化け猫の宿(ケットシェルター)を守ろうとしているのには、もう一つ別の理由があるのだがーーーまあ、それを語るのは全てが終わってからでも遅くないだろう。

それよりも私は今、それらの事象よりも興味を抱いている疑問があった。

それはーーーあの砲撃に当たれば、私も善悪が反転するのだろうか?という疑問である。そもそも私はあの程度の砲撃で倒れる事などあり得ないし、認めないのだが、あの砲撃にはニルヴァーナの魔法効果があるようだ。

まあ、別段私があれを受けたとしても私自身は何も変わらないだろう。この世界の魔法など私にとっては全くと言っていい程効かないのだからな。

だがーーーもし仮に、その善悪を反転させるという効果が私に発揮されたとしたらーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、マルグリット。言ってみようか」

 

「で、でも……!」

 

「言わないのかな?ならばーーー」

 

「っ!やめて!お願い……レンに酷い事しないで……!」

 

「ふむ、ならばどうすればいいのかーーー賢い君なら分かるだろう?」

 

「……っ」

 

「やめろ……!マリィ、俺の事はいいから……!」

 

「レン……」

 

「さあ……さあ!」

 

 

 

 

 

 

 

ふむ、若干中途半端な感じながらも想像してみたが、悪と言われるとこのような感じだろうか?しかしこのような悪に落ちた私が存在するのは許容出来んな。

特に私が親愛なるマルグリットを涙目にさせるなど言語道断。もしそのような私がいる平行世界を見つけたのなら、素粒子間時間跳躍・因果律崩壊でその世界諸共消し去ってやろう。

自らを紳士だと言っている変態は滅尽滅相。これがこのマルグリットの治める世の成り立ちである。ちなみに私は変態ではない正真正銘の紳士なので、滅尽滅相される事もされる気も無い。

とまあ、一先ずそのような事は置いておいて、私が悪の反対になった場合ならどうなるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、獣殿」

 

「……今までどこに行っていたのだ、カールよ?そしてその見ているだけで寒気がする笑顔は何かな?」

 

「おや、寒気がするような笑顔とは失敬だな。私とてこのような顔をする事はあるのだよ」

 

「……さようか」

 

「しかし獣殿、貴方の渇望はいつ見ても素晴らしいですな。私は総てを愛しているーーーああ、実に美しい。至高と言っても差し支えない」

 

「………………」

 

「故に、私も貴方のその渇望により触れ、共に行きたいと願う。さあ、獣殿。私と共に総てを愛そう!まずは我が女神と息子へと我らの愛を示そうか!」

 

「ーーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

善となった私は博愛主義に目覚めるのだろうか?もしそうなるのならば、獣殿は間違いなく気絶するだろうな。

しかし、そのような未知は私としては勘弁願いたい。私とて経験したくない未知というものもあるのだからね。

 

「ふふふ……む?」

 

そんな妄想をしていると、ニルヴァーナの砲台に集まっていた魔力が今すぐにでも弾けそうな程の光を持って輝いている事に気が付いた。

もう後、五秒程で発射されるか。

それを確認した私は今まで構築していた魔法陣を自らの周りへと浮かび上がらせ、その中で一際大きい三つの魔法陣をニルヴァーナの砲台の前へと重ねて魔法を発動する。

その魔法はかつて一ヶ月という短い間ながらも共にいた、あの青髪の少年の魔法を思い出し、再現したものだった。

 

「三重魔法陣、鏡水」

 

その瞬間、善と悪を反転させるという太古の魔法が私と化け猫の宿(ケットシェルター)目掛けて放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、古代都市ニルヴァーナ内ではウェンディとシャルル、そしてエルザと記憶を失っているジェラールが再会を果たしていた。

 

「ジェラール!!」

 

「エルザも一緒よ」

 

「ウェンディ」

 

駆け寄ってきたウェンディとシャルルの姿を見たエルザは安心したように息を吐いた。

 

「無事だったかーーークラフトはどこへ行った?」

 

エルザは周りを見渡して、メルクリウスがいない事に疑問を感じて問いかける。

するとウェンディは少し俯いて答えた。

 

「カールなら少し用があるって言ってどこかへ……」

 

「用だと?こんな時に一体どこへ向かったのだ?」

 

「知らないわよ!それよりも私たちのギルドはどうなるのよ!!もうすぐそこにあるのよ!!」

 

その時、ニルヴァーナが大きく、そして持続的に揺れ始める。

 

「何だ?」

 

「っ!!この魔力……!」

 

「まさかーーーニルヴァーナを撃つつもり!?」

 

そのシャルルの言葉を肯定するかのように、ニルヴァーナは前方にある砲台へと強大な魔力を収束し始めた。

 

「っ!アンタ!ニルヴァーナの止め方は!?しっかりと覚えてるんでしょうね!!」

 

「……もはや自律崩壊魔法陣も効かない。これ以上打つ手は……すまない」

 

「そんな……」

 

唯一止める方法を知っていそうなジェラールから、お手上げの返答を聞いたウェンディは目尻に涙を浮かべながら、ペタリと座り込んでしまう。

 

「いやぁ……やめて……!」

 

ウェンディは頭を抱えて、悲痛な声を出しながら自らのギルドを攻撃しようとしている者に、攻撃をやめるように懇願した。

私たちのギルドに攻撃しないでーーー

私たちの仲間を、家族を攻撃しないでーーー

私たちの大切な居場所を奪わないでーーー

しかしそのような一人の少女の必死な懇願は、攻撃を加えようとしている者の耳には届かずーーー無情にもニルヴァーナは強烈な光と轟音を辺りに轟かせながら、反転魔法を放った。

荒れ狂う善悪を反転させる古代の超魔法はそのまま攻撃目標である化け猫の宿(ケットシェルター)へと向かっていきーーー

 

 

 

 

 

 

 

ギルドへと命中する直前で、突如現れた巨大な魔法陣に接触。そして一瞬の拮抗すら無く、ニルヴァーナの砲撃を跳ね返した。

 

「何!?」

 

跳ね返された砲撃はそのまま直線上にあった二本の触手のような細長い脚の付け根を纏めて貫通し、破壊した。

そして当然と言うべきか、自らの体を支える二本の脚を失ったニルヴァーナは大きくバランスを崩した。

 

「きゃっ」

 

「くっ!」

 

「何が……」

 

バランスを崩したニルヴァーナから振り落とされまいと、エルザはウェンディとシャルルを掴んで踏ん張り、ジェラールは地面に伏せて何が起きたのかと疑問を示した。

その謎の現象の答えはウェンディが見つけた。

 

「カール……!」

 

化け猫の宿(ケットシェルター)の前で、多くの魔法陣を周りに浮かべながらニルヴァーナの前に浮かんでいるメルクリウスをその目で確認したウェンディは、またもや目尻に涙を浮かべる。

その涙は先ほどまで浮かべていた悲しみの涙では無くーーー感謝の気持ちが詰まった涙だった。

 

「あれを……跳ね返しただと!?」

 

「本当に何者なのよ……あいつ」

 

一方のエルザはメルクリウスの行った行為に対して戦慄し、シャルルや至ってはもはや驚くというより呆れていた。

 

『聞こえるかな?』

 

その時、ウェンディたち四人の脳内に魔術師の声が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

『クラフト!お前がニルヴァーナを跳ね返したのか!?』

 

念話を繋げて早々に、エルザが大声でそう叫んだ。いきなり耳元で叫ぶのはやめてほしいのだがね。

 

「然り、しかしそこまで驚く事かね?」

 

別にあの程度の砲撃など、私ではなくても跳ね返す事位造作も無い筈だが……。

 

『驚くに決まってんでしょ!?普通は出来ないわよ!』

 

そう思っているとシャルルからそう突っ込まれた。つまり私は普通ではないというわけだな。まあ、それは自覚しているが。

 

「それよりーーーヒビキ殿、そちらの状況はどうかね?」

 

『こっちもなんとか無事だよ!でもクラフトさんがニルヴァーナを跳ね返してくれたなら、僕たちはいらなかったかな?』

 

「いやいや、君たちの支援も十分意味あるものだった。仮に私がニルヴァーナを防げなかったとしても、君たちがニルヴァーナの脚を攻撃して軌道を変えていなければ、今頃化け猫の宿(ケットシェルター)は消え去っていただろう」

 

そう言い、上空を見上げてみるとこの作戦開始直後に墜とされた魔道爆撃艇がボロボロになりながらも堂々と飛行していた。

実は先ほどニルヴァーナが発射される直前、魔道爆撃艇からニルヴァーナの脚へ攻撃があったのだ。それのおかげで若干軌道の変わったニルヴァーナを跳ね返す為に少し魔法陣を移動させる羽目になったのだが……特に問題も無いので瑣末な事だと切り捨てる。

 

『ヒビキか?』

 

『わぁ』

 

『エルザさん?ウェンディさんも無事なんだね』

 

『私も一応無事だぞ』

 

『先輩!!よかった!!』

 

ふむ、現在無事な者たちはある程度把握出来たな。

エルザ、ウェンディ、シャルル、ヒビキ、そして一夜か。

 

『どうなっている?クリスティーナは確か撃墜されてーーー』

 

あの魔道爆撃艇はクリスティーナと言うのか。確かに天馬のような外見をしているが……もう少しマシなネーミングは無かったのだろうか?

 

『壊れた翼をリオンくんの魔法で補って、シェリーさんの人形劇とレンの空気魔法(エアマジック)で浮かしているんだ』

 

『こんな大きなもの……操った事ありませんわ』

 

『お……重たくなんかねえからな』

 

『ちなみにニルヴァーナの脚を攻撃した時の一撃はイヴの雪魔法さ』

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)青い天馬(ブルーペガサス)、初めは険悪な雰囲気となっていたというのに今となっては双方の者たちが力を合わせ、ニルヴァーナへ乾坤一擲を放つとはーーー

 

「くふふふふふ……ふはははははは!!素晴らしい、なんと美しい絆か。一つのギルドをなんとしても守りたいという強い意志を力へと変える、そう簡単に出来るものではないな。予想以上だ、憧憬(どうけい)しよう」

 

『ははっ……ありがたい言葉だよ、クラフトさん……でも……もう魔力が……』

 

ああ、絆とは実に素晴らしいものだ。幾度と無く繰り返した私の生とは呼べぬ人生の中でこれ程まで歓喜したのは、我が息子とその親友、ゲオルギウスとの魂の決闘以来か。

 

『イヴの言う通り、僕たちはすでに魔力の限界だ。もう船からの攻撃は出来ない』

 

その言葉と共に天馬(クリスティーナ)が空中で分解しながら墜ちていく。

 

「ああ、君たちのその誇るべき意志、私と彼らが受け継ごう。その素晴らしき意志に敬意を払い、一つ君たちに守りの魔法を掛けておこう」

 

そうして即席で作り出した防御魔法を墜落する天馬(クリスティーナ)へと向けて飛ばす。

これで少なくとも、彼らは大きな怪我をしない筈だ。

 

『ははっ……ありがとう、クラフトさん。でも最後にこれだけは聞いてくれ!!時間が掛かったけど、ようやく古文書(アーカイブ)の中から見つけたんだ!!』

 

 

 

 

『ニルヴァーナを止める方法を!!』

 

『っ!!』

 

その瞬間、この念話を聞いている全ての者たちが息を飲んだ。無論その反応も当然の事だろう。この忌むべき古代魔法を止める方法がようやく見つかったというのだから。

 

『本当か!?』

 

『ああ、ニルヴァーナには脚のようなものがあるだろう?』

 

「ああ、全部で八本。内二本は私が砲撃を跳ね返して付け根から破壊した」

 

『つまり残りの脚は六本ーーー実はその脚は大地から魔力を吸収しているパイプのようになっているんだ。その魔力供給を制御する魔水晶(ラクリマ)が、各脚の付け根付近にある』

 

『それを破壊すれば、ニルヴァーナを止められるんですか?』

 

『だけど一つずつではダメだ!六つ同時に破壊しなければ、他の魔水晶(ラクリマ)が破損部分を修復してしまう!』

 

なるほど、だが私が破壊したあの二本の脚は修復する間も無く破壊され、脚が分断したから修復される心配はないな。

ならば話は簡単だ。

 

『同時に破壊するタイミングを僕が計ってあげたいけど……もう念話が持ちそうにない。だから君たちの頭にタイミングをアップロードした、君たちならきっと出来る!!信じてるよ!』

 

その言葉と共に私の頭上にコンピューターなどでよく見かけるような読み込みバーが現れ、ピコーンという音と共に二十分という制限時間とニルヴァーナの地図が設定された。

 

「二十分以内に破壊しろという事か」

 

『そう、次のニルヴァーナが装填完了する直前だよ』

 

……まあ、仮に全て破壊出来なかったとしても私がここにいる限りは問題無いのだがね。まあ、それは言わない約束であり、最終手段だ。

 

『無駄な事を……』

 

その時、僅かなノイズと共に我ら以外の第三者が念話をジャックしてきた。

その声の主は、私が少し前に対峙していた男のものだった。

 

『誰だ!!?』

 

『この声……』

 

『ブレインって奴だ!!』

 

『違うな。オレはゼロ、六魔将軍(オラシオンセイス)のマスターゼロだ』

 

その声の主はつい数刻前までの何処か知性を感じさせる声色では無くーーーまるで人格そのものが変わったかのような声色で話始めた。

 

『まずは褒めてやろう。まさかブレインと同じ古文書(アーカイブ)を使える者がいたとはな……ワハハハ!!聞くがいい!光の魔導師よ!』

 

 

 

『オレはこれより全てのものを破壊する!!』

 

 

 

「ーーーーーー」

 

その言葉を聞いた時、私の心の内に芽生えた感情はなんだったのだろうか。

だがその言葉を聞いた瞬間、私の頭の中では唯一の盟友の言葉が蘇っていた。

 

 

 

『私は総てを愛している。故に総てを破壊する。天国も地獄も神も悪魔も、三千大千世界の総てを()そう。それこそがーーー我が覇道なり』

 

 

 

私の友は森羅万象遍く総てを平等に愛している。その愛の示し方はそれこそこの念話をジャックしてきた彼と同じように、破壊という再生よりも意味のある行為によってだ。

だがーーー彼は一体なんの為に全てを破壊する?

 

『手始めにてめえらの仲間を三人破壊した。滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)に氷の造形魔導士に星霊魔導士、それと猫もか』

 

『ナツくんたちが……!?』

 

『…………』

 

『そんなのウソよ!!』

 

自らの全力を出す為か?

万象全てを愛する為か?

あるいはーーー

 

『てめえらは魔水晶(ラクリマ)を同時に破壊するとか言ったなァ?』

 

特別強い渇望も何も無く、ただただ周りを破壊したいと言っている自らと自らの力に酔い狂っているだけなのか。

 

『オレは今、その六つの魔水晶(ラクリマ)のどれか一つの前にいる。オレがいる限り、同時に壊す事は不可能だ!!』

 

ーーーいずれにせよ、彼は私の盟友とは明らかに違う。いや、もはやそのように比べるという行為自体が間違っているな。

総てを平等に愛し、破壊する美しい博愛主義を実行する者と、そこらにいるようなただ泣き散らす子供のように破壊欲求を喚き散らす狂人ーーーすまないな、獣殿。彼は貴方と比べるような対象では無かったようだ。

それどころか貴方を目の前の狂人と比べる事自体、貴方に対する冒涜だった。ああ、私はなんと恥じるべき考えをしてしまったのだろうか。許してほしい。

故にーーー

 

「笑止な」

 

私が彼のその痴愚な考えを否定し、打ち砕く。

貴方と同じ破壊を求めたとしても、彼は貴方とは永遠に相容れない存在なのだからーーー

 

「お前がこの世の全てのものを破壊する?なんとも愚かな、無知蒙昧とはまさにこの事か」

 

『……何?』

 

『カール……?』

 

「お前如きなど、私の友の率いる一髑髏にすら劣る。その程度の力とくだらぬ俗物のような欲望で有象無象を破壊するなどと嘯くなよ。万象総てを破壊する我が友に対する冒涜だ」

 

困惑する声を相手にそう斬り捨てた後、私は彼に宣言する。

 

「お前には我が友の破壊の愛を一片だけ見せてやろう。喜べよ、本来ならばお前のような取るに足らぬ存在が見るべきものでは無いが特別だ。我が友の破壊の愛を感じながらーーー永劫この世からその魂ごと消え去るがいい」

 

そう言って彼ーーーゼロとの念話を強制的に遮断した。

 

「…………」

 

『…………』

 

私は先ほどのゼロとの念話でつい昂ぶってしまった感情を静かに息を吐く事で落ち着かせる。その間、先ほどの私の言葉を聞いていた連合軍の者たちは皆黙り込んでしまった。

おそらく皆、私があれ程まで激昂するとは思わなかったのだろう。

成り行きとはいえ、私が作り出してしまった微妙な空気に、どのような弁解をしようかと悩んでいるとーーー

 

『……カール、大丈夫?かなり怒ってたみたいだけど……』

 

私を心配してくれてるのか、ウェンディがそう聞いてきた。

私はそれに対して苦笑いする。

 

「心配はいらないよ、ウェンディ。すまなかったね、ついつい我を忘れて激昂してしまった。他の者たちもすまなかった」

 

『いや……いいんだ。私たちも奴に一言言いたかったからな』

 

『……とりあえずその話は後よ。今は誰がどこの魔水晶(ラクリマ)を壊すか決めないと』

 

「然り、だが生憎と私はこの場から離れるわけにはいかないな。もし君たちの中の誰か一人でも魔水晶(ラクリマ)を破壊出来ず、ニルヴァーナが再び放たれた際の保険として、私はここにいなければいけない」

 

実際、化け猫の宿(ケットシェルター)が消え去る、連合軍の者たちの人数が六人を下回る、その六人の内の誰か一人の魔力が尽きない限り、こちらには何度でもチャンスがある。

問題は六人も魔水晶(ラクリマ)を壊せる者がいるかどうかという所なのだがーーー

 

『わ……私……破壊の魔法は使えません……ごめんなさい……』

 

『っ!?こっちは二人だ。他に動ける者はいないのか!!?』

 

『私がいるではないか。縛られているが……』

 

『一夜か、これで三人だ!』

 

『まずい……もう……僕の魔力が……念話が切れ……』

 

『後三人だ!!誰か返事をしろ!!』

 

「……ナツ殿、グレイ殿、ルーシィ殿、ハッピー殿、聞こえているかね?立ち上がるのだよ。まだ最後の大仕事が残っているのだからね」

 

私は両目に倒れている三人と一匹の姿を映しながら言う。

 

『グレイ……立て。お前は誇り高きウルの弟子だ。こんな奴らに負けるんじゃない』

 

『私……ルーシィなんて大嫌い……。ちょっとかわいいからって調子に乗っちゃってさ。バカでドジで弱っちいくせに……いつも……いつも一生懸命になっちゃってさ……死んだら嫌いになれませんわ。後味悪いから返事しなさいよ』

 

『ナツさん……』

 

『オスネコ……』

 

『ナツ……』

 

『ナツくん……僕たちの……声が……』

 

そんな仲間たちの言葉は彼らにーーー届いていた。

 

 

『聞こえてる!!』

 

 

すでに体中傷だらけになり、どれ程肉体が痛めつけられようとも、その魂に光の輝きがある限り、彼らは立ち上がり続けるだろう。

 

『六個の魔水晶(ラクリマ)を……同時に……壊……す……』

 

『運がいい奴はついでにゼロも殴れる……でしょ?』

 

『後十八分、急がなきゃ……シャルルとウェンディのギルドを守るんだ』

 

その諦めぬ不屈の魂ーーー色鮮やかに輝いている!

 

「ははははははは!!本当に素晴らしい、その一言に尽きる。いやそれすら足らぬな。弁には自負があったのだが、どうにも陳腐な言葉しか思い浮かばんな。ふふふ……君たちは今この場において最も輝いている!」

 

『クラフト……さん……称賛は後に……今は、君たちの頭に送った地図に……各、魔水晶(ラクリマ)に番号を……つけたから……全員がばらけるように……』

 

『1だ!!』

 

『2』

 

『3に行く!!ゼロがいませんように』

 

『私は4に行こう!!ここから一番近いと香り(パルファム)が教えている』

 

「『教えているのは地図だ』」

 

『ちょ、エルザさんもクラフトくんもそんなマジで突っ込まなくても……』

 

知った事か。

 

『私は5に行く』

 

『エルザ!?元気になったのか!?』

 

「ウェンディのおかげでね」

 

『いえ、それ程でも……』

 

「謙遜する事はないよ、ウェンディ。では最後の一人は6に向かいたまえ。さあ、皆で協力してこの茶番劇を終わらせよう。その果てに君たちの望む結末があるのだから……」

 

そしてプツリと念話が切れる。それと同時に私はもう一つの魔法陣を形成し、それをニルヴァーナへと飛ばした。

 

「獣殿、貴方のその総軍の一部、ほんの刹那の間だけ借りさせてもらおう」

 

そして私は次の出番が来るまで、彼らの行動を俯瞰し始めるのだった。

 




今回のお話、いかがでしたでしょうか?
そして今回お話の内容について補足します。

水銀「君たちはニルヴァーナの脚が八本あると聞き、「あれ?」などとは思ってないかね?」

漫画の方では最初八本脚だったんですよね……。それがいつの間にか二本消えて六本に(苦笑)「マジで!?」とか思った人は漫画を確認してください(笑)

水銀「それにしてもこの小説のこお気に入りがここまで伸び、もう一つの作品のお気に入りを追い抜くとはな」

ちょっと微妙な気分ですね……。まあ、両方しっかりと読んでくれる方がいるだろうからいいんですけど……。

とりあえず今回はこの辺で……。
誤字脱字・感想意見等、よろしくお願いします!(感想いただきたい……)
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