歪な英雄 作:無個性者
「
そう慌てた誰かが騒いだ。
だが、彼らは事実侵入者用センサーをすり抜けこの場に現れている。
しかも今日、校舎から離れて行われる授業内容を知っており、用意周到。
「バカだがアホじゃねぇ。これは、何らかの目的があって画策された奇襲だ」
「13号!避難誘導を頼む。それと学校に電話試せ!電波系の個性が妨害してる可能性もあるが……上鳴、お前も個性で連絡試せ」
「ッス!」
相澤はそう言ってゴーグルを掛け、特性の拘束布の準備を手早く済ませる。
「一人で戦う気ですか!?イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛で、正面戦闘は――――」
「一芸だけじゃ、ヒーローは務まらん。13号、任せたぞ!」
勢いよく階段を飛び下り、広間へと落ちていく。
射撃しようとした
相澤の個性は異形型を消すことはできない。だが、だからこそ彼らに対する対策もしっかり用意している。
集団相手に突如個性を消し、相手の動揺を誘う。ゴーグルをしていて視線が分からないため、迂闊には動けなくなって連携に乱れが出る。
「すごい、多対一こそ先生の得意分野だったんだ」
「分析してる場合じゃない!早く避難を―!」
USJから移動しようとした13号と生徒たちの前に、黒い靄状の人間が現れる。
さっきまで相澤の個性によって移動できなかったが、瞬きの瞬間を狙って現れたのだ。
「初めまして、我々は
――平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと思っての事でして」
全員に驚愕が奔った。
あり得ないと思いながらも、全員臨戦態勢をとる。
「本来ならばいらっしゃるはずですが、何か変更があったのでしょうね。まぁ私の役目はそれとは関係なく」
身体を硬化させて顔面を狙う切島と、それに合わせ、視線が切島の腕で隠れるようにワンテンポ遅れて相手の懐へ飛び込み爆撃する爆豪の二人だった。
「おぉ!?合わせてくれたのか、サンキュー!」
「未だだ、感触がクソだった」
「は?」
「危ない危ない」
クソって?と疑問を浮かべた切島だが、直ぐに
「生徒と言えど、優秀な金の卵」
「どきなさい、二人とも!!」
13号の声は間に合わない。
「!みんな、近くの人と手を繋いで!!!」
出久の声に隣同士だった者達が互いを掴んだ。
瞬間、黒い靄の様なものが全員を呑み込んだ。
「散らして、嬲り――殺す」
視界が黒い靄で埋まっていく中、その言葉だけが響いた。
「ぐ、―水難!?」
出久は目の前にいた二人を掴んでいた。蛙吹、峰田の二人だ。
水中には大勢の
「……ここは、悪天候か?」
「……」
暴風、大雨ゾーンには常闇と口田。
同じように
「何時まで掴んでやがるクソが!?」
「んな怒るなって!?」
同じように倒壊ゾーンには爆豪、切島が。
「……」
「わ、わわわやばくない!?」
「ど、どうしよ」
土砂ゾーンには轟に襟首を掴まれた芦戸が、手袋と靴以外が透明なため見失うと面倒な葉隠の手を掴んでいた。
「あ、アハハ、デンジャラース☆」
「この状況でよくキラメいてられるね……」
火災ゾーンには尾白と、少し弱弱しいながらも星を溢す青山。
「……え?」
「なに、これ」
「は、はぁぁ!!?」
山岳ゾーンには八百万、耳郎、上鳴の三人。
だが、そのゾーンだけは他のゾーンと違い、隠れていた
「おや、やっときましたね」
「あーぁ、ついてないね貴女達」
なぜなら、彼らを襲うはずだった
唯一電気系と思われる
オカシイことに気付いたのは八百万。優秀な彼女は、この状況に二つのパターンを思い浮かべた。
(仲間割れ?)
可能性は十分にある。
だがオカシイ、まだ何も始まっていないのに序盤も序盤でこんなことをして何になるのだろうか。
(もしくは、元々仲間でも何でもない人たちによる、別の思惑……)
仲間でもないこの二人が
そして、拙いと感じる。
(倒れている者の個性は千差万別、倒され方は亀裂にクレーターが出来ている辺り、増強系もしくは異形型による一撃必殺……!)
全力で自身の創造の個性を働かせる。
物理的防御力をあげる為、鋼鉄の盾を両腕に作り出した。他にも自身の内側で何時でも作れるように準備する。
「お二人とも、気を付けてください……この二人は、強いです!」
「ア、アハハ……マジ?」
「え?え??」
耳郎は八百万の様子から、今の状況を察した。
ざっと見たところ、自分達三人でこの人数相手にすればそれなりに時間がかかるだろう。だが、彼らは恐らく二人で、此処に現れてからまだ数分しか経っていないにも拘らず、この場の
(実力は、ウチらよりも上……!)
未だ状況を分かっていないバカを小突いてしっかりしろと伝える。
他と違い、異質な思惑が彼らを絡め取ろうとしていた。
☠
時間を少し遡る。
「
広場に現れた
そこから現れたのは、右のこめかみから黒い上向きの角が伸びた、赤い短髪の17歳ほどの少女だった。
さらにその後ろから、白衣のようなものを着て口元を黒いマスクで覆った、真っ白い長髪の青年も現れる。
「で、こんな場所に何のようなの?」
「サラ様が
「此処があの雄英高校だって知ってて無茶言うわよね……」
「えぇ、無茶は承知。雄英の教師、特にオールマイトが現れた時点で逃げるようにとのことでした」
「ふーん。……ん?」
二人が会話をしていると、ぞろぞろと隠れていた
「なんだお前ら、生徒じゃねぇだろ」
「確か集合場所にはいなかったよな?」
チンピラの様なメンチのきり方、個性を発動してはいるが隙だらけの彼らを一瞥する。
「
「接触した場合は、殺さない程度に加減しろと」
「嘘、あのサドマゾ博士が手加減しろって言ったの!?」
「サラ様が、仮称とはいえ先生と呼ぶような存在だというです。バレるのは承知の上、だからある程度怒りを買わないようにという事でした」
信じられないと言った様子を露わにして驚く彼女に、そう言えばと空佑が人差し指を立てた。
「火野さん、そういえば一応私のことは二号と呼んでくださいね?」
「え、なんで?」
「念の為だそうです。先生をそれだけ警戒しているのでしょう」
「ふーん。……じゃぁ私のことも三号って呼ばないと拙いんじゃない?」
「あ、それもそうですね」
これはうっかりと言った様子の空佑に思わずため息をつく火野と呼ばれた少女。
空佑の実力を知っているだけあって、このおとぼけたような感じは慣れないとため息をつく。
「てめぇら、人のこと無視してなにイチャイチャしてんだ!?」
しびれを切らせた異形型の
「誰が、イチャイチャしたって?」
「んな!?」
少女は細腕一本でその剛腕が止めたが、彼女の足元で地面に亀裂が入って陥没していた。
火野の足元に亀裂と陥没が起こり、その衝撃の強さを現していた。
「そうです、私はサラ様一筋。この愛、全て捧げる相手は決まっているのです」
「ガッ」
スッと軽く空佑が腕を揮えば、
「う、うごけねぇ……!!」
「さっきも言いましたけど」
「はいはい、そもそも命令されたって殺さないってっ――ば!!!」
気合いの入った正拳突きが巨漢の
岩石のように固い肌を打壊し、叩き付けられた背後の崖に大きな亀裂とクレーターを作った。
「……あ、やり過ぎた?」
「……まぁ死んでないようですし、次は気を付けてくださいね」
「うーん、まだコントロールが難しいんだよね」
「なら丁度いい機会です」
空佑の視線が
この場に現れる雄英の子供をただ嬲り殺すだけでいいと言われていただけの陳腐な彼らは、その視線に寒気を感じた。
「――彼らで練習しましょう。都合のいいことに、数だけは居ますからね」
「了解」
「あぁそれと、電波を妨害している者がいたら言ってください。私が押えますから」
では、手早くお願いしますね。という空佑の言葉から起こった少女VS
「おや、やっときましたね」
「あーぁ、ついてないね貴女達」
やってきた三人の少年少女を見て、二人が呟いた。
警戒を露わにする彼女らを見て、三号火野はため息を溢す。
(ホント、ついてないなぁ……)
出来れば誰も来ないでほしかったのに、と誰にも分からないよう口パクで愚痴を溢した。
「悪いけど、捕まってもらうわ。私三号、
「……番号で言う意味がないでしょそれでは」
「どうせこれから長い付き合いになるんでしょ? だったらいいじゃない名前くらい」
そう、
憎む相手の名前くらい教えてあげてもいいだろう、と彼女は憐れむ視線を彼らに向けた。
今話遂に登場、アマルガムキャラ!
とはいえ、二次創作ということもあり大分設定を弄ってます。
・二号空佑
このキャラはそこまで弄ってないです。
博士至上主義者で、原作でも超強でした。
記憶を弄られていたりと不憫なキャラでもありました‥。
・三号火野彌生
このキャラは立ち位置凄く変わりました。
なにせアマルガムではメインヒロインです!……うん、ごめんなさい。元々は只の千渋鬼流とかいう武術を習ってた純情系女子でした。
2巻でデザイン初期では赤鬼怪力ヒロインって書いてあったので、三号赤鬼の能力をぶち込ませてもらいました。
アマルガムと比べるとキャラ崩壊一番してる子かもです。