歪な英雄 作:無個性者
手直し前は磁界操作、磁力操作としてかなり近代的な物を自分で再現してましたが、結構な力技に!リニアというかコイルガン云々は装備在りきかなぁと、感想からも何より自分的に思ったので。サポート科の子と絡ませてフラ、なんでもありません(目逸らす)
ただ、やっぱり創作物の上に趣味で気楽にやっているので、「ご都合」は否めません。当たり前のことですが、基本フィクションです、ご了承くださいな。
「思い切ったことすんなぁ!」
「この盛り上げ上手!」
「痛、ちょ、やめないか!?」
盛大に宣戦布告をして戻ってきた飯田の背を叩く1-A。
さっきまでやる気なさげだった他クラスには一部火が点いたような眼をしている者が複数現れていた。やる気抜群らしい。
「さーてやる気出たところで第一種目いきましょうか!いわゆる予選、毎年此処で多くの者が涙を飲むわ!その一種目、今年は――障害物競走!
計11クラスでの総当たりレース、コースはスタジアム外周役4km!我が校は自由さが売り文句よ、つまりコースさえ守れば何をしたって構わないわ!早速行くわよ!」
スタジアムから外へ続く通路に設置された門のランプが三つ、一個ずつ消えていく。
ついさっき宣誓を終えたばかりで早速競技とは‥と数人が思いつつも、競技が始まった。
(って、ゲート狭い!これじゃ――そうか、もうここから始まってるのか!?)
入試の時もそうだった。スタートすればその時点から始まっているのだ。
気付いた出久は、日常から行っている
「って、かっちゃん!?」
「チッ!」
狭いゲートを利用した三角跳びをして宙を跳ねていると、爆豪が爆破を使って飛んでいた。
一瞬並んだが飛び続けられる爆豪と違い、出久は壁が無くなれば跳べなくなってしまう。
自由落下に身を任せつつ、下を見れば轟が先頭に出て他の生徒の足元を凍らせている。
(もうちょっと遅かったら僕も凍ってたかも‥)
地面が軽く凍っており、着地した際に氷を割って一瞬動きが止まりつつもそう思考を過ぎらせた。
走りながらも背後をチラッと見る。今は一位轟、二位爆豪、そして三位が出久らしいが、続々とA組の面々を初めとした生徒たちが追ってきた。
(上げよう)
手の内を隠すとかしてられない。
三角跳びをしやすいように加減していたが、走るだけなら別だ。
(最近上がったばっかりで不安は残るけど――)
少し足元が沈んだ気がした。それはそうだろう、今出久の足元は出久の
(フルカウル――17%)
この域に達した事に気付いたのは、雄英祭直前に成ってからだった。
1%でも超過すれば怪我をするこの力は、調節するのがとても難しい。出久は毎回確認する度に緊張して行っている。
このコントロールに関してオールマイトに言わせれば、身体の方は結構出来上がってきているらしく、単純に力に未だ慣れ親しんで無いせいだとか。
彼ならなんとなーくで微調整が可能らしい。出久はそこが未だ未熟で、ギリギリの危険域はふと集中が切れれば、そのまま振り切って壊してしまう可能性を孕んでいる。
(僕は15年間無個性だった。だから、慣れるという意味では皆には到底敵わない―だから)
少しの無茶も賭けも行う。それに躊躇しない。
『さーて実況を、ってもう早速とんでもねぇことになってねぇか!?なぁ
『おい、今余計なルビ振らなかったか』
『キニスンナ!それより解説解説!』
『ハァ……轟がいきなり凍結かましたらしいな。初見であれを避けるのは難しいだろう。爆豪はスタート直後から飛んでた。アイツの個性はこの競技有利すぎるからな。緑谷は三角跳びか。アイツはどんどん成長して‥ん?』
『っておぉー!解説してる最中に着地した緑谷急加速ー!爆豪に並び、轟に迫るぅぅぅ!!!』
解説でこっちに気付いた轟は一度舌打ちをした。
と、そこで何やら聞き覚えのある音を聞く。
「ターゲット、大量!」
「こいつは、入試の‥‥」
通路が広くなり、そこに敷き詰めるように仮想敵が大量にいた‥‥しかも0Pの大型仮想敵までも敷き詰められ、ロボだらけになっていた。
『第一関門、ロボインフェルノ!!』
「入試ん時のやつか!」
「ヒーロー科あんなのと戦ったの!?」
「つーか多すぎだろ通れねぇって!!」
驚き、喚く連中を尻目に出久は駆ける。彼にとってもうこいつらは敵になり得ない。
遅く、脆く、出久の動きについてこられない全てを置き去りに駆けていく。
『おぉ!緑谷走る走るぅ!流星みたいだなおい!』
『以前より大分速くなったな…とはいえ、まだいるぞ』
『なに?ってあの巨大仮想敵丸ごと凍らせて、倒したぁー!?轟、攻略と妨害を一度に!』
『もうちょい後ろ見てみろ』
『は?‥はあ!?』
轟の後ろ、爆豪は言わずもがな飛翔していたが他にも追いつこうとしている者達が居た。
彼ら上位三名を追うように4位を争っているのは、黒水水舟と六道紫、そして上鳴電気だ。
その少し後ろを飯田が追いすがっていた。
「おぉ、飛ばすねお二人さん」
「黒水さん‥」
「美少女コンビに挟まれて今俺めっちゃ幸福感‥!いや、待て俺!!今俺が頑張る理由を思い出せ!!この幸福感を振り切れぇぇええ!!!!!」
「くっ、あと一速上がれば‥!」
黒水は水流を作りだし、波乗りしてさながらサーフィンを楽しんでいるようだ。
紫は以前の暴走で何かを掴んだのだろう。脚甲が大きくごつくなっているにも拘らず、更に速くなっていた。
上鳴は走る、というよりも何やら地面を削るように進んでいた。
『上鳴はなんだあれ!?腕も脚も足元も真っ黒だぞー!?…何アレ砂塵じゃないよな?』
『…なるほど、砂鉄だな。腕と足に磁場を作り出して、磁力で強引に砂鉄を脚に纏わりつかせてんだな。で、周りの砂鉄は腕から流した電流で巻き上げてんのか。脚と腕で別個の磁界を作って磁力を操ってんだろ』
『すまん、もっと分かり易く頼むZE!』
『あー‥脚と引っ付いてる砂鉄がSもしくはN極、同じく腕で操作してる砂鉄が同じくSもしくはN極だ。脚だけ、もしくは腕だけだとデカい磁石になるだけだからな。要するに、磁石を即席で造ってSとNで引っ張ったり反発したりさせて加速してんだろう。あれじゃ走ってるっていうより本人の感覚的には小まめに跳びはねてるって感じか?
まぁ結果として地面抉ってる上にふざけたこと叫んでるが、かなり集中してるはずだ。じゃないと吸い付いたまま動けなくなるか、反発してあらぬ方向に吹っ飛ぶだろうからな』
『お前、無理やり連れだされた割に、意外と解説ちゃんとしてくれるのな』
『どう思われてるのかはよく分かったが、お前も解説しろよ。いい加減放り出すぞ』
『ハッハッハ、こいつはシヴィージョークだぜぇ!……ジョークだよな?な?』
意外と小心者なマイク先生は放っておき、次の関門の説明に入った。
『落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!!ザ・フォール!!』
そこにあったのは、崖、崖、崖……足場と足場をロープで繋げられているが、底はかなり深い。
会場周辺にこんなの何時造ったんだ!?とたどり着いた面々が思いながらも進んでいく。
「っとと!流石に、落とさないと危ないなこれ!?」
出久は縄を無視して大ジャンプをするが、着地に少し失敗して落ちかける。
コントロールが完璧な15%に抑え、跳び跳ねていった。
その上空を爆豪が通り越し、轟に至っては普通に縄の上を走っていく。
『轟の奴なんだあれ!?』
『まぁアイツはあれ位するだろうな。一位爆豪、二位緑谷に轟か。さて、他の連中は‥』
まず動き出したのは黒水。動き出しが速い、というか彼女は一体何なんだという声が客から湧き起こる。
「ふんふ~ん♪」
スライムの様にドロドロになった水を脚と縄に纏わりつかせ、鼻歌交じりにサーフィン移動していく。粘度を上げれば通常遅くなるが、彼女は寧ろ加速していた。
『随分個性に慣れてるな。水の個性だし、日頃から使ってたんだとは思うが、粘性まで操れるとはな』
『しかも速ぇ!B組もすげぇな!!』
黒水に合わせたわけじゃないが、気が合うのだろうほぼ同じタイミングで動いたのは紫。
跳びはねるのも手だが、落ちればアウトと言われれば少し警戒してしまう。
「でも、のんびりする気は、ない」
真上に跳びはね、先の足場へ向かって蛇腹状の骨を射出し突き刺し、勢いよく巻き取った。
勢い良すぎてズンッと鈍い音が響くが、脚甲でそれを緩和する。
(でもこのままじゃ、ちょっと響く‥‥こう、かな?)
もう一回跳ねたついでに、脚甲の改造を行う。
脚の関節に合わせるのではなく、もっと大きく、もっと力強いイメージをする。
『って、おぉなんだありゃ!?』
『競技中によくやるな‥』
さっきまでの脚甲と違い、ずっとずっと大きなそれは大分異様な形をしていた。【く】の字の脚は衝撃を和らげた上に脚力を跳ね上げた。
これなら骨を一々射出しなくても、脚甲を動かすだけで大ジャンプができる…‥というか。
「これなら、一足飛びで……!」
脚甲に骨の射出までプラスすることで、ザ・フォールを丸ごと跳び越える大ジャンプを行った。
「よし、とっとと!」
紫は普通に立とうとして、バランスを崩した。
若干ではあるが、前傾姿勢を保たないとこれは転んでしまう。
だが保てば問題ないと判断し、そのまま上ではなく前方へ跳ねていく。
改めて17%を引き出した出久、氷を重ね続けることで加速した轟、そして空を飛ぶ爆豪へと追いついていく。
「は、速いなくっそ! えぇと、んーっと‥‥あぁ、くっそ!いっけぇ!!」
数秒考え、磁力を強めた。ついでに脳のリミッターを一瞬外し、ジャンプする。
地面が無くなったが、強まった磁力の反発と脚力によって上鳴が跳びあがる。このままでは落ちる、と判断した彼はさらに前方に手を伸ばした。
「う、ぉおおおおおおお!!!」
両腕両足から若干放電しつつ、上鳴の体は磁力を発し続け、近づいた新たな足場に
「せ、セーフ、っすよね?」
『んー、落っこちてないしテクニカルだからセーフ!!』
「っしゃ!」
ギリギリ過ぎて上半身のみ足場に辿りついた彼は、改めて磁力のコントロールを磨いていく。
最終的には、危なげながらも着地に成功するようになっていた。
『A組すげぇな…お前どんな教育してんの?』
『アイツらの独学だ』
上鳴の後を飯田、サポート科の少女が続いて行った。
飯田の走り方が独特で若干の笑いを醸し出しつつレースは続いていく。
『こんなに早いのは初めてじゃねぇか!?最終関門!一面地雷原!!!怒りのアフガンだ!!よく見りゃ位置の把握は出来るようになってんぞ!目と脚酷使しろ!!
ちなみに威力は大したことねぇが、音と見た目は派手だぜ!』
走りながらも出久は考え続ける。
(どうする、地雷を警戒してたら追い抜かれてしまう―)
現在の順位は飛翔し続ける爆豪が若干のリードをしているが、一位争いは出久、轟、爆豪の三人。そして2位以下も直ぐそこまで迫っている。躊躇して足を止めればすぐに追いつかれてしまう。
(―これしかない、出来るか!?それに後続‥いや、やれ!)
ズンッと思い切りつま先を地面に沈める。
この行為は爆豪と轟が先を行く結果になるが、問題ない。
「おぉぉ!!ス、マーッシュ!」
17%の力で巻き上げられた砂塵。スマッシュの衝撃波に加え、中には大きな粒も混じっているため――出久の前方にあった地雷は尽く爆破した。
『おぉ!?地雷大爆発ーっていうか力技かよおい!?』
『砂煙で爆豪と轟の邪魔も出来て一石二鳥。合理的な力技だな』
『なんだYOそのパワーワード!?』
砂塵に目をやられたのか、爆豪と轟の動きが少し鈍った。
地雷が無くなってしまえばただの広場だ。出久は――追いついた。
「こ、のぉクッソがぁああああああああ!!!」
「チッ待ちやがれ‥!」
「――!」
走る、走る、走る――そして。
『ゴォオオオオオオル!! 接戦に接戦を繰り広げ、一位を勝ち取ったのはァァァ!!!』
会場にスロー映像が再生される。
三人の中でいの一番に辿りついたのは…。
『緑谷ァ、出久ぅうううううううううう!!!!!』
「!!!!」
『二位、爆豪!三位轟ー!!』
「クソ、くっそがぁ!!」
「…」
『四位、黒水水舟。五位六道紫か。六道は脚甲の改造と慣れが早ければ順位上だったろうな』
『六位上鳴電気!七位飯田天哉! オイオイ殆どA組じゃ、っと八位にB組、塩崎茨ー!言ってる間に来たなー、ってやっぱヒーロー科多いな!』
『まぁ仕方ないだろ。そう言う授業を受けてるんだ、寧ろ……観ろ、普通科入って来たぞ』
『まじか!?』
『あぁ言う生徒程曲者な
何だかんだしっかり解説してくれる相澤先生にA組全員が感心しつつ、次の競技へと移って行った。
第一競技終了!
大爆速ターボさんの出番はありませんでした‥その代り大分接戦に‥。
ちなみに出久の成長現在こんな感じに‥入試ランダム5~10⇒10%安定、11~12%慣れない上に急にパーセンテンジがぶれて故障の可能性があるギリギリの危険域⇒常時10%~12%訓練⇒15%安定、危険域17%。身体はある程度出来上がっているため、能力になれていっている状況。尚、これ以上の成長は年齢的にも無理かも‥? 出久が個性の真価を発揮できるようになるのは正直成人してからだと思ってます。
紫の脚甲はアレです、アーマードコアの軽量二脚を思い浮かべてもらえれば‥‥!
そして変更させてもらった上鳴くん!何気に脳のリミッターを一瞬とはいえ外しちゃってます…た、たぶんなんとかなるさ!頑張れ上鳴君!