歪な英雄   作:無個性者

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そして雄英へ

 一般入試修了後、雄英教師陣は巨大モニターのある会議室にて話し合い、もとい今回の試験のぶっ飛び具合を議論しあっていた。

 

「ハッハッハ!YEAH-!何だ今年は豊作だなぁ!」

 

 例年、敵を倒した点数(VILLANN P)救助した点数(RESCUE P)を合わせても、80点を超えるものはそうそういない。

 

「まっさか5人も90点超えて、うち2人は100点超しちまうとはなぁ」

「しかも0点の大型仮想敵、アレを仕留めるなんて何時振りだ?」

 

 大型モニターには今回の上位陣がずらっと表記されていた。

 

【1位 黒水水舟  VP(壊敵)44 RP(救助)109 合計153P】

【2位 六道紫   VP66 RP85 合計151P 】

 

「この六道って子はアレだな、もうちょっと積極的にいくべきだったよな」

「まぁそれでも大型倒して70も点数取ったんだ。充分だろ」

 

 大型仮想敵を倒した際、迅速かつ的確な行動の結果、二人に(・・・)100Pが与えられた。止めを刺した上に直立させたまま行動不能にした判断力と戦闘力を加味して、紫に70P、見事なサポートとして水舟に30P与えられていた。

もっとも、その前も後も紫は積極的に人助けを行おうとせず、個人的に勝ち取ったRPは15P。骨折した者への添え木の作成や、水舟が瓦礫に埋もれた者の救助を行った際のサポート程度。自分から積極的に動けなかった、人見知りが治っていない証拠である。

 

「その点黒水って子はもう満点だろ。戦闘力、判断力、救助の心意気。文句なしだな」

「水流操作だったか?水を生み出してから自由に操作してる所を見るに、軽く念動の力も混ざってそうだな」

「てか混ざってんだろ確実に。水球をどうやったらあんな長時間維持したりできるよ?」

「救助する時につかう布切れとかを、煮沸消毒してから水分を飛ばしてたりしてたしな。分子レベルで操ってるな」

 

 黒水を褒め称えつつ、次の三人に注目が集まった。

 

【3位 飯田天哉  VP50 RP47 合計97P】

【4位 麗日お茶子 VP25 RP70 合計95P】

【5位 緑谷出久  VP31 RP61 合計92P】

 

「移動の効率化、無重力による上下の移動。この三人の立役者は、言わずもがな麗日女子だな」

「3位の子は高速移動しつつの仮想敵破壊が主だったとはいえ、やはり機動力の要を果たしたのは大きかったな」

「5位の少年。アレは凄かったな。二人の個性を活かした作戦を考え、指揮を取っていた。見事だ‥‥ただ」

 

 同じく大型仮想敵を倒した三人には、被害や倒すまでの時間を考慮し、同じように三人に70Pが渡された。そのうちの20Pずつを飯田と麗日に与えられ、実際ぶっ飛ばす‥‥もとい、潰した(・・・)出久には30P与えられた。

100ではなく70だった理由は、言うまでもない。

 

「惜しいよなぁ。倒すためとはいえ、怪我さえしなければ文句なしだったんだが」

「三分前だったから、時間がなかった、なんて言うのは言い訳にしかならないからねぇ」

 

 結局彼らは倒した後、怪我をした出久を放っておけず終わるまで待機していた。

この待機の間に倒すなり救助なりしておけばさらに点を稼げただろう。

そうしなくても、行動不能(・・・・)にすればいいのだから、態々潰さなくても手はあったはずだ。

 

「無重力の子の限界値の関係でもあったんだろうけどな」

「自分を無重力にすると気分悪そうにしてたわね、そういえば」

 

 瓦礫を浮かし、それを蹴るなり投げるなりして飛ばして()てるなり、脚を潰して動きを阻害するなり、麗日以外にも方法はあったはずなのだ。

 出現から3分間。その短い時間だけ上手いこと耐えられれば、多少街に損壊が出ても90Pは固かっただろう。

民間人を考えるのも重要だが、自分を守らなければその後が続かない。怪我をしたのは大きな痛手だった。

 

「まぁ6位のRPがまさかの(ゼロ)ってのにも驚いたけどな」

 

【6位 爆豪勝己  VP77 RP0 合計77P】

 

「仮想敵は標的を捕捉して近寄ってくる。他の者が後半になるにつれ鈍っていくなか、寧ろ過激になっていった彼のタフネスの賜物だな」

 

 10分の全力戦闘。それがどれだけスタミナを、精神を消耗するか。プロとして活動すればするほどその難しさを理解する。

彼はそう言った点で考えて、間違いなく戦闘のプロに引けを取らないセンスを持っている。

 

「ってことで、今回の問題点だが‥‥ぶっちゃけどうする?」

「どうって‥‥」

 

 全員が睨むように見るのは、1位と2位の名前と点数。

3位と50点以上も突き放しての合格は、異例中の異例だった。

 

「つーかこんな金の卵見逃してたのにびっくりだわな」

「特待の方で見つからなかったってことは、派手な結果を小中と残していなかったって事だろ」

 

 水舟は家が古風で、電子機器の類が僅かしか見当たらないほど古い歴史を持つ。彼女は所謂お嬢様というやつなのである。家柄が古すぎて現代に馴染めていない感は半端ないがその反面、黒水家内々で行われている英才教育の賜物でこれほどの実力者となっていた。

そして幼馴染の紫がその影響を受けないはずがない。そもそもの話、出久に体を鍛えようと誘ったのは彼女である。その紫が誰に影響されて自らを鍛えていたかなど、最早言うまでもないことだ。

 その事実を知らない教師陣はハテナ顔で困っていた。

 

「文句なしの合格、なんだが……」

 

 問題点は一つ。優秀過ぎる(・・・・・)ことだった。

此処まで大差がつくと、後々モンスターな方々がカンニングだの裏金だのなんだの言い出しかねない。

 

「………特待扱いで、二つ強引に枠を増やそうか」

 

 校長、根津がそう呟いた。

静まった会議室にいる大きなネズミ(・・・・・・)()に、視線が集まった。

 

「彼女たちをA組とB組に分けよう。21人は初めてのことだけど、この点が公になるよりはずっといい」

 

 特待として二人を扱い、出久達三人を繰り上げることで二人の順位を無くし点をうやむやにしてしまおうということだ。

 

「まぁ、それくらいしか手はないか」

「‥‥これだからこの試験は不合理だと毎年進言しているんだ」

「でも今年はあり得ないって」

 

 こうして、特例中の特例として異例の特待生(超VIP)として二人が扱われることとなるのだった。

 

「問題は‥‥二人の両親がモンスターじゃないことを祈るしかないわね」

 

 なにせ特別扱いするから成績取り消させてって言っているのだ。

子供が頑張った結果を抹消されるなんて、親馬鹿が過ぎれば我慢が利くとは思えない。

返事が来るまでの数日ほど、校長含め数人の教師の心労が少し増えたのだった。

 

 

 

 

 そうして届けられた小包と合否通知は無事彼女達に届けられ、その説明は内装されていた映写機にて映し出されたオールマイトによって説明された。

 

『と、いうわけで。キミと黒水くんは特待扱いにさせて欲しい。こっちの都合で申し訳ない』

「………うわぁ」

 

 取りあえず入学金諸々ゼロになる上、既に払った試験代まで返ってくるらしく、彼女達にしても両親にしても問題はない。

ないのだが、一つだけ紫は安心したことがあった。

 

「出久君に見せなくてよかったぁ‥‥」

 

 圧倒的大差とか、先に合格を喜んで告げてくれた彼に‥‥3位で凄く喜んでた彼に申し訳が無さ過ぎた。

 

「取りあえず、合格したよーってだけ伝えよう‥‥点とかはてきとーに言っておこう」

 

 あと水舟が出久に言ったりして伝わらないようにメールを打とう、として止める。

 

「メール、ちゃんと見れるかな‥‥というかそもそもこの合否通知の開き方分かんなくなってそう‥‥今から黒水さんの家に行ってみよっかな」

 

 そうつぶやいた直後、彼女の端末が鳴った。

案の定水舟からである。

 

「………もしもし」

『あ、もしもし六道?』

「……どうしたの?」

 

 もう言ってくるであろうことは予測付いているが、一応訊いてみた。

 

『合否通知貰ったんだけど、一緒に入ってたやつが使い方分かんなくて‥‥後なんでか特待についてのパンフレットも一緒について来たんだけど、なんでかな?』

「‥‥ハァ」

 

 やっぱり、と思わずため息を溢す。

おかしいな。それは普通に置くだけで起動するのにな、なんで分かんないんだろうか‥‥逆向きに置いてるからだろうなぁ‥‥もしかしたら壊してたりは、しないよね?

 

「取りあえず今からそっち行くから、大人しくしててね」

『ハーイ』

 

 そうして合格兼特待の通知を一緒に観て、彼女とこの事は内密にするように相談した。勿論、そのことは校長を含めた雄英高校の教師たちとも話し合った。

 やんややんやと忙しくもなんとか話し合いをこなし、数日後。無事に二人の少女は特待生となった。




 始めは二人ともA組に入れる気だったけど、B組忘れたら行かんよね、と思い黒水さんという名のバグチートをBにぶち込むことになりました。
気が向いたら閑話的にB組を…‥書ける気がしない(orz
そんなこんなでボチボチ原作を進めたいです。速く入学しなきゃ(使命感
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