Bloodborne 露纏いの狩人と物狂いの教授   作:J.D.(旧名:年老いた青年)

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 なんやかんやあって

  二週目突入

   エミーリア強すぎィ



 1周目作者「教区長エミーリアなんて火炎放射器+6もありゃ楽勝やで」
ブボボ( `・ω・´)⊃гδ{≡≡ モワッ→YOU HUNTED

 2周目作者「なんか2周目の敵メチャンコ堅いからこの物理特化系石槌+9でチャージアタックを……待って、止まれ! うわーっ!」
連続爪攻撃♯)ω・`)ウワーッ→YOU DIED

     解  せ  ぬ  。



Volume.3 - Yharnam, the Nightmare City.(3)

 

 

 

「チィッ……!」

「ガアアアアッ!」

 ヤーナム市街。死と病と恐れと苦しみとがそこかしこに蔓延するこの土地で、異邦人であるアタシは襲われていた。

 相手は血と煤で汚れきった、シルクハットとスーツを纏った髭面の大男。右手に松明、左手に斧を持って叫び声と共に滅多矢鱈とそれらを振り回してくる狂人だ。

 幸いにして間合いも読めないバカだったお蔭で猛攻も難なく回避は出来るが、このままじゃ(いず)れアタシが追い詰められる事は明白だった。

 

 斧がアタシの首を捉える軌道で振るわれるのをボクシングのスウェーイングの要領で避け、その腕を背後から捻るように押さえ込む。男は彼女の体重によろめき俯せの状態で石畳の上に倒れ、両腕両脚をバタつかせながら松明で炙ろうとしたり首を回して噛みつこうと藻掻くがこの技は無理矢理関節でも外さない限りは抜け出せない。

 

 「ふんっ!!」

 そのまま、メリッサは押さえ込んだ状態でもなお斧を握る左手に頭突きをかました。

 

 一撃で駄目なら何度でも。

 

 最終的に男がそれから手を離したのは指の骨の半分ほどが折られてからのことだったが、メリッサはお構いなしにその斧を強奪して無我夢中で男の無防備な背にそれを振り下ろす。

 悲鳴と共に飛び散る血飛沫。皮膚を裂き、肉を断ち、露になった背骨を圧し折り、外気に曝される内臓を潰す。全てが終わる頃には彼女の装束は血と肉片と汚物に塗れたものとなり、ただひたすらに生き物を殺した興奮と不快感にメリッサは身を捩る。

 

 

 「穢らわしい。穢らわしいな、畜生……」

 

 ふらふらと血塗れの姿で足元も覚束ないままに立ち上がり、頬に付着した血を指先で拭おうとして――激痛と共に自らの胸元から鐵の突起が生えるのを見た。

 それは半月状に湾曲した草刈り鎌の先端だった。彼女が自身の拵えた死体の上で呆けている間に、忍び寄って来ていた男が背後からそれを突き立てたのだ。

 蕩けた瞳で見下ろす男の姿を最後に、メリッサはそのまま臓腑から抜けていく血を感じながら石畳の上で蹲り……静かに息を引き取った。

 

 

 

 

 

     ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

 

 

 

 

 

 「っ、うう……」

 

 

 

 ――ここは、何処だろうか。

 

 

 

 私は心地よい違和感と共に気が付くと朧気ながらも何処か見覚えのある、白い花畑の広がる道に倒れ込んでいた。

 ふらふらとしながらも両手を着いて立ち上がり、自分の身体を見て違和感の正体に彼女は気付く。服を膠のようにしてくれた血肉が、胸に突き立った刃の傷が、服に刻まれた裂け目と穴が、全ては幻のように、綺麗さっぱり無くなっていたのだ。

 

 『全て悪い夢のようなものさね』、と彼の老医者の言葉が頭を過る。

 

 先程の全ては悪夢なのか、それとも今のこの現実が悪夢なのか、今のメリッサには判らなかった。理解しきれない出来事に彼女の脳は考える事を放棄し、現状で出来る事を探す方に頭を働かせた。

 

 「墓石、花畑、墓石、家、女……女?」

 目に映るもの一つ一つを指差し口に出しながら整理する彼女は途中でこの場所に相応しく、それでいて一際奇妙さを放つ者に注目した。

 視界に入る唯一の家へと続く階段脇、石段の壁に寄り掛かって眠る華やかな衣装に身を包んだ銀髪の美しい女を見てメリッサは自身も気付かぬ内に眉間へ皺を寄せていた。感じるのは、不快感、いや嫉妬? しかしその想いは近くに寄ってより細部を見つめた事で霧散した。

 

 これは人形だ。

 女性を模して非常に精巧に造られた、世に出回れば計り知れない価値を持つであろう、一体の人形。

 

 ――アタシは、人形にまで八つ当たりするような女かよ。

 見ている者などおらずとも、先程までの醜態に顔の翳りを深くした彼女は他に丁度いい場所もなく仕方がなかった為に先程まで嫉妬していた人形のすぐ横へと腰を下ろす。

 今にも動き出しそうなほどの美しさなのにこうして近付いてもピクリともしないのはまるで自分が無視されているようでいい気分ではなかったが、このまま立っていても疲れるだけと無理に割り切ることにした。

 

 

 

 まず此処は何処なのか。

 僅かに情景は、あの『血の医療』の後に見た憶えがある。ではそれらに関連する場所なのか?

 それに、自身はあの路上で背を突き刺されて確かに死んだと思った。肺と胃を破り、開いた空洞に肉より迸る血が流れ込むあの感覚……仮に悪夢としてもあまりに現実染みた感覚だった。

 

 

 アタシは……一体どうしちまったんだ?

 

 

 「まるで『どうしたらいいか判らない』、といった顔だね」

 「!?」

 上方からの声につい反射的に繰り出した裏拳は、声の主によっていとも簡単に止められてしまう。手の甲に触れるのは人の、僅かに暖かみを帯びた掌。背後に何が待ち受けているのか、ブリキ細工のようにメリッサはゆっくりと肩越しに振り返る。

 

 「やあ……初めまして、新しい“狩人”君」

 そこに居たのは車椅子に乗った、一人の儚げな雰囲気と独特の香りを漂わせる四十ほどの男だった。

 鍔広の黒帽子に古い貴族風の衣装という出で立ちと、眼鏡を掛けた柔和そうな顔つき。攻撃も本気ではなかったが、それでもこの男が本当に自身の拳を受け止められたのかと疑いたくなるほど、メリッサは彼に覇気の類いを見出せなかった。

 

 

 「……アンタは?」

 「おっと、申し遅れた。私はハンス(Hans)……此処で“狩人の助言者”をする者だ」

 実力の読めない相手に彼女は正面に立ち精一杯の虚勢を張りながら対応するも、彼の顔つきと同じように相手を優しく包むような声色は否が応にも此方の毒気を抜かれてしまう。

 しかし“狩人”、そして“狩人の助言者”という気になる単語。何故狩りもした事がないアタシを奴が“狩人”と呼ぶのか、その言葉の意味する所は一体何なのか。

 教養が御世辞にもあまりあるとは言えないメリッサは今までのヤーナムで起きた狂った出来事の数々を思い返し、つい感情的に返してしまう。

 

 「ほーお。“助言者”とは、そりゃまた大層な御役目の方で。だけどね、さっきの“狩人”ってのはなんだい。アタシはただの……ただの異邦人さ。“狩人”になった憶えはない」

 「……君がそれを望もうと望むまいと、“狩人”になった事実は変わらないよ。この悪夢に囚われ……そして何も知らぬ君へ、私が助言を授ける為に」

 

 皮肉混じりに否定の言葉をぶつけられ、それでもハンスと名乗る男は顔色ひとつさえ変えずに淡々とそう告げる。しっかりと言い聞かせるように空に浮かぶ月を見上げて、更につらつらと連ねる。

 「今宵は“獣狩りの夜”。ヤーナムの街は今、獣の病に溢れ、死都と化している……獣を狩り尽くし、そして病が蔓延した原因を潰す事こそ、君がこの悪夢から解放される唯一の道だ」

 私の言いたい事がわかるね? とでも言いたげな視線に圧され、思わずうぐっ、とメリッサは呻く。それからない頭を振って必死に考え、考えた末に、自身の結論を出した。

 

 

 

 「……わかった、話に乗ってやる――そこで、アンタの出せる情報を、今此処で全部出しな。アタシは何と戦い、何を成し、アンタに何をもたらすべきかを、だ」

 ――そして彼女は、この優男の言葉が狂言か真実かなどとは最早考えないことにした。ただ失った記憶を取り戻し、不条理な現実に逆らう為に敢えてこの甘言に乗る。

 その答えに満足したのかハンスは微笑みながら話を進める。

 

 「よろしい。ではまず、“狩人”についてと、君の敵となる“獣”、そしてそれらを狩る為にあるヤーナム流の“武器”について講義を始めようか……」

 助言者ハンスは彼女の瞳に強く滾っている確かな意志を感じながらゆったりと語り始めた。

 ヤーナムに蠢く者達と、それらを狩る意義について……

 

 

 

 

 







[狩人の助言者ハンス]
 “狩人の助言者”として夢に座する男。
 優しげな顔立ちと聞く者に安らぎを与える声、そして他人を自然と惹き付ける仁徳を持つ。
 狩人としての造詣は深く、夢を訪れる狩人達に己の持ち得るノウハウを授ける事を仕事としている。
 嘗ては異邦の狩人であったらしいが――?


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