今回から第2章 沖ノ島海域編です。
更新ペースですが、第1章より遅くなります。
読者の皆さんのご理解のほどよろしくお願いします。
本作の沖ノ島海域は福岡にある世界遺産の沖ノ島です。
なんでそんな近くまで侵攻されているんだというツッコミは…無しで。
それではどうぞ。
第14話 演習
第2章 沖ノ島海域編
第14話 演習
工廠長と話した翌日、訓練中だった俺は、中村提督に呼び出された。
執務室に入ると、中村提督、長門、陸奥、大淀さんがいた。
中村「今日呼び出したのは、一週間後に行われる、大規模演習についての事だ。」
大淀「大規模演習は、四鎮守府の艦娘が合同で行います。演習エリアは相模湾となります。ちなみに、これほど大きな合同演習は今回が初めてです。」
裕一「そうなんですか?」
中村「あぁ、実はな…。」
話を要約した所、こういう事らしい。
中村提督は、以前の宣言通り、俺のことを上層部の人事部にのみ報告し、デスピナと言う艦の存在自体を秘匿しようとした。が、書面上の誤魔化しでヘマをやらかし、俺の存在が他の部署に、しかも素性ごとバレてしまった。上層部は、俺の素性こそ漏らさなかったものの、他所の鎮守府には「単艦で一度に多数の深海棲艦を殲滅できるほどの強力な艤装を持った男の艦娘」の情報が、今まで挙げてきた戦果ごと伝わってしまった。それを聞いた三鎮守府の提督や、一部の艦娘が俺の戦闘能力に疑問を持ち、「実際に戦わせろ。」と言ってきたところ、中村提督はこれを受けて立った。そこで国防省は、ついでに他の艦娘達も四鎮守府合同で演習させて練度を上げ、国民に対する宣伝にも大いに利用しようと考え、今回の合同演習が企画されたようだ。
あれ、そういえば俺の素性がなぜバレた?しかも俺のデスピナとしての存在が余所の鎮守府にバレたせいでエラい大きい話が出来上がっちゃってるし。中村提督、いや横須賀鎮守府の情報管理能力の欠陥が露呈した。今後機密を話しにくくなるな。まぁ、素性がバレたのが上層部くらいなら、まだ問題は無さそうかな。
中村「という訳で、君には大規模演習の最後で呉、舞鶴、佐世保鎮守府の艦娘連合艦隊と戦ってもらう。」
裕一「はぁ、分かりました。」
中村「今回の演習は、一般にも公開されドローンによるテレビ中継もされる。また、政府から首相、官房長官、国防大臣、各軍のトップも見に来る。」
裕一「各鎮守府から多くの艦娘がこれに参加するのですよね。」
中村「そうだな。」
裕一「防衛に穴が発生すると考えれますが。」
中村「各鎮守府は最大2艦隊、計12隻までしか出さないことになっている。君は例外だが。そのため防衛に関しては問題ないと考えられる。しかし、突破される可能性もあるので横須賀でも周辺海域の哨戒活動を強化する。」
裕一「そうですか。」
中村「他に演習に参加する者は今日、明日には発表する予定だ。君には、あらかじめ話しておくべきだと思ったのでね。」
裕一「なるほど、ありがとうございます。」
中村「では、訓練に戻ってくれ。」
裕一「はい、失礼しました。」
俺は、執務室を退室した。
裕一「というわけで、演習に参加することになったんですよ。」
お昼、食堂で翔鶴と瑞鶴の3人で食べている時、午前の事を話した。食堂には瑞鶴を始めとして、俺の正体を知らない艦娘が大勢いるので、もちろん素性については隠している。
翔鶴「他に演習に参加するのは、誰なんですか?」
裕一「今日、明日中には発表するらしいですよ。」
瑞鶴「それにしても、大規模演習かー。出てみたいなー。」
翔鶴「そうね。多分、沖ノ島海域攻略に向けての演習の意味も持ち合わせてるかもしれないから、演習メンバーはそのまま海域攻略メンバーになりそうね。」
瑞鶴「ってことは、デスピナさんは攻略メンバーになるってこと?」
裕一「どうだろうね。合同演習自体、俺の実力を見る事をメインに計画された面が強いみたいだから、何とも。」
翔鶴「でも、前衛か支援艦隊になる可能性は高いと思いますよ。あれだけの殲滅力があるなら。」
裕一「確かに。有り得ますね。」
瑞鶴「翔鶴姉ぇ、攻略メンバーに入れるよう頑張ろう!」
翔鶴「もちろんよ、瑞鶴。」
裕一「とりあえず、お昼食べきってしまいましょう。」
俺たちは食事を再開した。
18:20
艦娘がグラウンドに全員集合した。そして全員の前に提督と長門さん達がいる。
中村提督「皆に集まってもらったのは、一週間後に行われる大規模演習についてだ。演習は、連合艦隊にて行う。この演習の目的は近く、四鎮守府合同の沖ノ島海域攻略に向けたものである。よって今回演習メンバーに選ばれたものはそのまま海域攻略メンバーになる。それでは、長門頼む。」
長門「では、これより発表する。第一艦隊、赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴、秋月、照月。第二艦隊、阿武隈、妙高、羽黒、木曽、夕立、江風。また、大規模演習の最後に実施される特別演習のためデスピナも参加する。」
中村「ありがとう、長門。話は以上だ、解散。」
メンバーに選ばれた者に艦娘が集まっていく。俺は、その中に混ざらず食堂に行く。
裕一 (今日は、限定5食のハンバーグ定食!こんな所で時間を潰すわけにはいかない!)
こうして俺は、夕食にハンバーグを食べた。口に入れると肉汁が洪水で、火傷するかもしれないほど熱かった。
慌てて、冷水を流し込んで熱を冷ます。仕方なくお箸で切って食べる事にする。切った所から肉汁が出てくる。少し冷まして改めて食べる。味は、専門店に見劣りしないのではというくらいだ。妖精さんの技術様々である。そんな感じで夕食を食べていると他の艦娘も食堂にだんだん入ってきた。すると、俺のもとにトレイを持った大和が近づいてきた。
大和「あら、デスピナさん。お一人ですか?」
裕一「えぇ、今日はハンバーグでしたのですぐに食堂に来たんですよ。」
大和「ご一緒しても、よろしいですか?」
裕一「構いませんよ。どうぞ。」
大和「ありがとうございます。」
大和さんは、俺の真ん前に座った。
大和「それにしても、こうして他の艦娘と食事なんて初めてではないですか?」
裕一「そうですね、いつも翔鶴さん達と3人で食べていますから。」
大和「よかったら、今度私の部屋に夕食を食べに来ませんか?」
裕「え、お邪魔ではありませんか?第一女性の部屋に入るなんて…。」
大和「大丈夫ですよ。それで、どうしますか? 腕には、結構自身があるのですけれど…。」
大和さんが目をウルウルさせて上目遣いでこちらを伺ってくる。大和さん、それは反則です。断れるわけがない。
裕一「…では、せっかくなので、その時にはぜひ、お邪魔させて頂きます。」
大和「ふふ、良かった。さぁ、冷めてしまわないうちに、早く食べましょう♪」
まぁ、これで良かったのかな。そう思いつつ、俺も食事を再開した。