第4章 西方海域編
第32話 西方方面反撃作戦準備2
12月10日 13:42
東京都小笠原村 硫黄島 北東5km地点
工廠で武器の複製が終わり、妖精達の武器の取り扱いが確認を終え、今日から硫黄島において1週間の上陸訓練をはじめとして、様々な訓練を行う。
舞台は、小笠原諸島の硫黄島。2018年頃、大噴火を起こしその影響で元の世界の硫黄島より少し大きくなっている。その後、海底火山は死火山となり今では普通の島になっている。
元の世界では、ここには自衛隊の基地があったが、噴火の際に無くなり、それ以降深海棲艦の出現などから再建されること無かった。
現在は、周りに何も無いので、本島では出来ない大規模な演習が行える演習地になっている。
今回の訓練には、俺、デスピナの艤装妖精達、レンジャー、エアレイダー、フェンサー妖精達以外にも参加している者達がいる。
あきつ丸「デスピナ殿、上陸部隊の準備が整ったであります」
明石を除く第5艦隊のメンバーである。
裕一「了解。翔鶴さん、瑞鶴。島周辺の状況は?」
島の北西にいる翔鶴さん。島の南側にいる瑞鶴に無線で連絡を取る
翔鶴『はい。硫黄島周辺30kmに深海棲艦は確認しませんでした』
瑞鶴『こっちも、同じ』
裕一「了解、偵察機は部隊の上陸まで引き続き警戒を。」
朝潮と秋月は翔鶴と瑞鶴にそれぞれ護衛として付いている
裕一「では、これより上陸作戦演習を開始する」
そう宣言し、コマンドを展開する。
裕一「総員、対空対地戦闘用意!第一次攻撃隊発艦はじめ!」
飛行甲板が展開され、カロン2個大隊72機、護衛機としてスカイレイヴン4個大隊144機が発艦する。
他にも翔鶴さんの彗星一二型甲24機、烈風18機。瑞鶴からも同じく彗星一二型甲24機、烈風18機が発艦したことをレーダーで確認する。
さて、今演習の上陸作戦は、島の中央部にある敵航空基地を無力化。その後、北東の浜辺から上陸部隊が大発動艇とヒドラを使って上陸。橋頭堡を確保し島の中心部の敵航空基地を制圧。
これが今日行う演習である。
カロン1-01妖精『ボマー1-01からビッグフォートレスへ。目標を視認』
今演習に合わせてコールサインを決めた。カロンはボマー。スカイレイヴンはファイター。ヒドラはポーターズ。ミッドナイトはそのまま。アルテミスもそのまま。ホエールもそのままである。ちなみにビッグフォートレスはデスピナこと俺だ。
コールサインの横の数字は、左から所属大隊、何番機かを表している。
裕一「こちらビッグフォートレス、了解。第一次攻撃隊全機へ通達。攻撃を許可。繰り返す、攻撃を許可する」
『『『『『『了解!』』』』』』
カロン全機が八方位に分かれ、次々と空爆を開始する。
ちなみに、演習は極めて実戦的な演習のため、全機実弾である。
目標の元硫黄島航空基地が空爆によりあちこち穴だらけになり、滑走路を使用不可能にする。カロンによる攻撃の後、彗星一二型甲48機による基地施設への急降下爆撃も行い、完全に破壊した。
第一次攻撃隊が戦果を確認し、全機帰投する。
スカイレイヴン1-23『ファイター1-23からビッグフォートレスへ。敵航空基地を無力化。上陸部隊を送られたし』
裕一「ビッグフォートレス了解」
今は、北東の浜辺から2kmの地点にいる。
裕一「ヒドラ全機発艦はじめ」
続いて、ヒドラ48機が上部甲板から離陸する。
ヒドラの人員輸送型は乗員24名で今回は48機のうち5機が人員輸送型になっている。残りは、ギガンテスJ3を20両、グレイプRAを18両、ネグリングD1を5両を輸送している。
あきつ丸からは、残りの妖精と砲兵隊が大発動艇、特大発動艇を使って輸送する。
あきつ丸「さぁ、大発の皆さん行くでありますよ!」
あきつ丸の艤装から小さな大発達が発進して行き、100m進んだところで元の大きさになって浜辺へ向かっていった。
14:02
硫黄島 北東海岸
大発動艇が海岸に上陸し、レンジャー妖精と、フェンサー妖精120名が次々と上陸していく。それと同時に島から銃撃が始まる。
島には無数にZEシリーズが設置され(こちらは訓練弾)、上陸部隊を襲う。
フェンサー部隊がすぐさまタワーシールドを展開し、これを防ぐ。
その隙に、レンジャー部隊が射撃を開始する。AF-99を弾幕の出ている方向に向かって連射する。別のレンジャー妖精はゴリアスZを撃ち込み、複数のZE-GUNを沈黙させる。
弾幕が薄くなり始め、フェンサー部隊もタワーシールドを構えながら、もう片手に持っているFG20ハンドガトリングを撃ち始め弾幕を形成し始めた。
数十分ほどで周辺のZEシリーズを破壊し終え、上空で待機していたヒドラが降下を開始し、妖精達の乗ったヒドラはその場でホバリングし、妖精達は懸垂下降にて上陸し、残りのヒドラはビークルの入ったコンテナを投下しデスピナへと帰投する。
アルファー部隊隊長「こちらアルファー部隊。橋頭堡を確保。送れ」
上陸した部隊もそれぞれ名前が付けられている。
大発で上陸したのがアルファーとベータ。ヘリボーンで来たのがチャーリーである。エアレイダーの車両チームは三部隊に分かれて配置される。
CDC妖精『了解した。ビッグフォートレスから全部隊へ通達。作戦は第二段階へ移行。敵拠点を制圧せよ。』
デスピナのCDCから無線で指示が出て、エアレイダーはコンテナの中のギガンテスやグレイプ、ネグリングに乗車。
ギガンテスを先頭に島の中央部へと進軍を開始した。
「……。」
進軍中の妖精達は、周囲を警戒しつつ進む。
ババババッ
「9時方向!」
その場で姿勢を低くし。発砲音のした方向にAF-99を向け射撃する。
少し遅れて、ギガンテスが砲塔を旋回し、120ミリ砲を放つ。
ギガンテスから曲射状の弾道を描いて成形炸薬弾が飛んでいき、ZEシリーズが吹き飛んだ。
さらなる射撃が無いことを確認し、妖精達は少し気を緩める。
「ふぅ…、クリア。それにしても…」
「ゴム弾ですけど、痛すぎません?」
「俺も、当たったけど実弾かと思うほど痛かったわ」
「ちょっと、見てくれ」
レンジャー妖精の一人が一本の木を指さす。
「うわー、めり込んでる」
数発のゴム弾が木の幹にめり込んでいた。
「裕一さん、威力いじりすぎじゃね?」
そんなことを愚痴りながらベータ部隊が小休憩していると、
裕一『ビッグフォートレスからベータ部隊へ。進軍が止まっているようだか、休憩しすぎだ。さっさと、進め!』
「「「は、はい!」」」
裕一から注意され、ベータ部隊の面々は急ぎ進軍を再開した。
裕一「はぁー…。実戦的な演習なんだから気を抜くなよ…。」
明日からの演習は実弾を本気で使おうかと考えていたら、CDCから目標の制圧が完了した事が伝えられた。
裕一「ビッグフォートレスから各員へ。現時刻をもって上陸演習作戦の終了を宣言する。全艦娘は北東海岸へ集合せよ。」
と連絡をいれ
裕一「副長、工廠妖精引き連れて簡易陣地の構築を指揮してくれ。」
副長「了解です。」
艤装から再びヒドラが5機発艦していった。
18:24
硫黄島 簡易陣地
1時間で出撃用のドックと補給施設、宿舎などを建築し、周りを防壁で囲い防壁の上にはZEシリーズが並び、防犯対策もバッチリである。
裕一「朝潮、そこの皿を持ってきて」
朝潮「はい!」
今、俺は宿舎にある調理場にいる。今回の演習では、いつも食堂で働いている調理妖精を連れてきていないので、自炊である。本日の当番は俺と朝潮である。料理は俺が作り、朝潮は基本的に皿出しや盛り付けなどのお手伝いである。
朝潮「持ってきました!」
裕一「お、ありがとう」
フライパンからタマゴにつつまれたケチャップライスを皿に載せ、表面のタマゴにケチャップをかけ出来上がり。
本日のメニューは、オムライスである。
これをあと5回繰り返す。
裕一「朝潮、これを最初秋月に持って行って」
朝潮にそう指示する。朝潮はその理由を察し、出来たてのオムライスを秋月のもとへ持っていった。
朝潮「お待たせ、秋月ちゃん。今日は、オムライスです!」
席に座っている艦隊メンバーのもとに朝潮は秋月の前にオムライスの乗った皿をテーブルに置く。
秋月「!?こんなにたくさんのオムライスを!これで1人前!朝潮ちゃん、食べていいの!!」
朝潮「デスピナさんがまず、秋月にって」
秋月「…では、いただきます」
スプーンを取り、穴のない黄色のタマゴと中のケチャップライスを一思いに口へと運ぶ。目を瞑りゆっくりとその味を確かめながら食べる。
そして、秋月は目を開き
秋月「うおおお、おいしいよー!!」
と心から叫びその美味しいさを表現した。
秋月型にたらふく食べさせ隊
ミッションコンプリートであった。
その叫びを聞きながら、残りの分も作りテーブルへ運んで夕食を食べ始めた。
瑞鶴「う~ん、おいひい~♡」
翔鶴「ホント、おいしい」
あきつ丸「うむ、おいしいであります。」
朝潮「……(もぐもぐ)」
艦隊メンバーからも好評を頂けた。
裕一「お、良かった」
自分もオムライスを食べ始める。
うーん、まぁ、90点かな。その後、みんな黙々とオムライスを食べた。
瑞鶴「それで、明日は何の演習をするの?」
食後、瑞鶴から明日の演習内容について聞かれた。
裕一「明日は…、俺との演習かな─」
そう言うと、全員が固まる。
瑞鶴「…マジで?」
瑞鶴の顔が引き攣りながら聞いてくる。
裕一「あぁ。みんなには、鬼種、姫種の撃破が出来るくらいになっても貰う。ということで、今日は早めに休んでおけよー。」
そう言って、調理場に行き片付けをはじめた。
12月11日 09:24
硫黄島 南20km地点
裕一「じゃあ、始めるよー」
そう宣言し、コマンドを展開。
裕一「総員、戦闘配備!対水上対空戦用意!」
砲雷長「レーダー、目標を確認。ライオニック50発照準」
裕一「撃ち方―始めー」
開始から30秒で翔鶴さん達を発見。模擬弾のライオニックを50発撃ち込む。
砲雷長「到達まで245秒」
さて、どう切り抜けるかな?
開始の宣言を聞くと同時にすぐさま偵察のため彩雲を発艦させる。
彩雲の矢を弓につがえ放ち、彩雲9機が空へと上がっていった。
数分後、北東に向かっていた彩雲から、複数のミサイルを補足したと連絡があった。
翔鶴「全艦、対空戦闘用意!輪形陣を形成。秋月さん、対空戦闘指揮を!」
秋月「お任せ下さい。この力で艦隊をお守りします!」
音速で近づいてくるミサイルを秋月は、艤装の長10cm砲で迎撃を試みる。
朝潮「!?秋月ちゃん、迎撃出来るはずが無いです!」
1番長くデスピナの横で見てきた朝潮は、ミサイルを自分達が落とせる事が出来ないことを1番知っていた。
そのため、朝潮の反応は当然であった。
しかし
秋月「大丈夫です。感覚は、掴んでるから。長10cm砲ちゃん、よく狙って…撃てー!」
秋月が放った砲弾が飛んでくるミサイルの1つに吸い込まれるように飛んでいき、迎撃した。
秋月「よし!」
あまりの嬉しさに秋月がガッツポーズをする。そのため残りのミサイルを迎撃することが出来ず、
朝潮「秋月ちゃん!前々!」
秋月「何ですか朝潮ちゃ…」
振り返ると目の前に複数のミサイルが飛んできており、そのうちの1つがそのまま顔面に着弾。模擬弾のペイントが顔全体に付着し、パイ投げのパイが顔面に当たった状態に。残りのミサイルも体中にペイントを付け、全身赤いペイントだらけになったのだった。
その後秋月の犠牲により、あまり被害を受けなかった翔鶴と瑞鶴の彩雲が裕一を発見。即刻、全ての攻撃隊を発艦させた。
少し時は遡り、裕一の方では。
裕一「ウソーん、ミサイルを主砲で迎撃するか?ふつう。」
裕一は驚いていた。自分の艤装より旧式の主砲で音速のミサイルを迎撃したことを。そして、その技術と取得するために訓練し続けた執念を。
裕一「秋月に最新装備を渡したら、これほど心強いことは無いな。」
副長「裕一さん、そこは自重した方が良いですよ。」
いつの間にか頭の上に登っていた、副長から諌められる。
副長「艤装をEDF装備にそのまま換装するのは、不可能ですからね」
裕一「え?そうなの」
副長「そうですよ。したい場合は、艤装との接続の関係で新しく作らなきゃダメです」
裕一「へえー。めんどくさいね」
そう言うと、副長は苦笑い。
そこに
砲雷長「敵機、空母より発艦中!」
コマンドのレーダーには複数の機体が空母の周りを旋回している様子が見られた。
砲雷長「即時迎撃を」
裕一「いや、それでは面白くない。迎撃は、敵の攻撃を受けてからだ」
妖精「「「「「「!?」」」」」」
副長「いやいやいや、せめて近くまで来たら迎撃しましょう」
砲雷長「あちらは、模擬弾ではなく実弾ですよ!?」
裕一「大丈夫だろう。そんなに被害は受けないって(慢心)」
航空参謀「あ、慢心…(ボソッ)」
裕一「なんか言った?航空参謀」
航空参謀「いえ、何も」
裕一「まぁ、やばそうならシールド張るから。砲雷長、攻撃はこちらでやるから」
砲雷長「…了解です」
CDC「敵機、方位062より36機。方位165より42機。方位240より26機。方位345より31機」
裕一「方位062をA群。方位165をB群。方位240をC群。方位345をD群とする」
CDC「A群、C群45機が高度を下げ、雷撃ポジションに入る模様!」
報告が次々に入る。
CDC「続けて、B群、D群24機が高度を上げ、爆撃態勢に入ります!」
裕一「対空ミサイル全基照準。CIWS全基稼働」
コマンドのレーダーに135機にロックオンマークがつく。
そして、
CDC「敵機より魚雷、爆弾の投下を確認!半数が直撃コース!」
裕一「あ、やばそう…対物シールド半径1mで展開!」
ようやくここで、危機感を持ったのかすぐさま対物シールドを展開する。
間一髪、爆弾はシールドに阻まれた。しかし、
ドガーン!
裕一「─っぐ!」
シールドは半球体のため水中には発生していないので魚雷6発被弾した。
裕一「被害報告!」
副長「右舷に6発被弾。ダメージコントロールにより浸水は発生していません。火災もなく、損害は軽微。」
裕一「少し、油断したね…。対空迎撃始め!」
コマンドを操作し、対空ミサイル150発が発射され、全てのCIWSからもペイント弾で弾幕を形成する。
数分ほどで全機撃墜判定を出す。
裕一「ライオニック全基照準。撃て」
間髪入れずに、すぐさまライオニックを放ち、今日の演習は終了した。
12月20日 14:25
横須賀鎮守府 空母寮 自室
硫黄島での演習が終わり、今日は非番だったので自室でゆっくりとしていた。
演習の3日目からは、慢心せずに全力で翔鶴さん達と演習したのだが、案の定毎度毎度、ペイントだらけにしてしまった。
秋月が最終日にはミサイルを5発迎撃するようになったりしたので、成果はあった。しかし、姫クラスを撃破できるようになったかと言われると…。
まぁ、多分大丈夫。そうであって欲しい。
コンコン
裕一「…どうぞー」
読んでいた、本を置いてウォースパイト直々に扱かれここ最近美味しく入れることができるようになった、紅茶をひと口飲んでから、招き入れる。
翔鶴「お邪魔します」
瑞鶴「入るよー」
部屋に翔鶴さんと瑞鶴がやって来た。
裕一「いらっしゃい、とりあえず座って」
俺が座っているリビングにあるふつうのテーブルの対面に座るよう促し、二人分の紅茶を用意する。
二人は座って、俺が淹れた紅茶をひと口飲む。
瑞鶴「デスピナさん、ずいぶんと腕をあげたね」
裕一「そうかい?」
翔鶴「えぇ、金剛さん並にうまくなっていますよ」
裕一「それは良かった、それで今日はどうしたんですか?」
翔鶴「実は─」
翔鶴さんから駆逐艦の子達へのクリスマスプレゼントを渡す計画を教えられた。
そして、今日と明日の二日間で駆逐艦のプレゼントを手分けして買いに行っているらしい。
そして、明日翔鶴さん達も行くそうなので一緒に行かないかとの事だった。
裕一「もちろんいいですよ。私自身、明日出かけるつもりでしたので。では、明日は何時に出発しますか?」
翔鶴「そうですね、8時頃に出発しましょう。あ、あとデスピナさんにもう一つお願いが」
裕一「なんでしょう?」
翔鶴「25日の夜、クリスマスパーティを行うのですがその時の料理を何人かの艦娘に何品か作って貰ってます。今年は、デスピナさんにもお願いしたいんです。」
裕一「なるほど…。材料などは?」
翔鶴「何を作るか食堂の妖精に伝えておけば用意してくれます」
裕一「分かりました。そちらの方もお任せ下さい」
その後、少し雑談をして二人は帰っていった。