落ち着け、先ずは鋏を下ろそうか。   作:赤茄子 秋

2 / 25
4月 俺、ライダーになります。
プロローグ


『FINAL VENT』

 

「グガァァァァァァ!!!」

 

爆音と共にモンスターは弾け飛ぶ。文字通り爆発四散したのだ。

 

ビル街の中心で起こる非日常、にも関わらずここには誰も居ない。

 

「…きつ、かったぁ。」

 

いや、一人だけ居る。野次馬は居ないが、モンスターを倒した張本人がそこに座り込んでいた。

 

黄金に光る鎧に腕には大きな蟹の様な鋏、その格好のまま、彼は大の字になって地べたに横たわる。

 

「キチキチキチキチ」

 

そして、今しがた倒されたモンスターのコアを食らうのは人の形をした蟹のモンスター。

 

しっかりと味わうというよりは、飲み込むのに近い食事をするとチラリと横たわる彼を見る。

 

「…俺を食うなよ。」

 

彼がこの様に言うのは彼が扱うこの蟹もまた倒したモンスターと同類だからだ。

 

モンスターは人を食らい、この世界…ミラーワールドに引きずり込む。引きずり込まれたが最後、2度と元の世界に帰る事はできない。

 

「…本当に食うなよ?」

 

「キチキチキチキチ」

 

鋏を研ぎ、ナイフを舐めるように鋏を泡で洗い出した彼の契約モンスター…ボルキャンサーに本気で警戒をする。

 

「落ちつけ…そして、鋏を下ろせ。」

 

「キチキチキチキチ」

 

全力でミラーワールドから逃げる。

 

ボルキャンサーも走る。

 

「追いかけてくるな!」

 

そのままなんとかミラーワールドから脱出する。

目の前ではキチキチキ言いながら鋏を振り回すボルキャンサー。

 

「どうして、こうなっちゃんだろうなぁ…本当に。」

 

彼は仮面ライダーシザース、本名は須藤雅史(すどう まさし)、13人のライダーの参加するバトル・ロワイアルの参加者の一人…になっちゃった人である。

 

 

「誰か…助けてくれ。」

 

彼の切実な心の叫びは、誰も居ないこの世界では静かに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界は仮面ライダー龍騎の世界、彼は憑依した瞬間にそれを悟った。

 

モンスターに襲われたタイミング?違う。

 

ライダーが戦ってるのを見たタイミング?違う。

 

登場人物と遭遇したタイミング?まぁ、それが正解であるが…先ずは彼の憑依のタイミングから説明しよう。

 

場所は須藤雅史のアパートらしき場所、そこで年期の入ったちゃぶ台の前に、座っていたのが最初に気づいた事であった。

 

時間は夜、晩御飯を食べたかはわからない。テレビは点いておらず、カーテンも締め切られている。

 

時計を見てみると真夜中の12時だ。

 

「(どこ…ここ。)」

 

最初は彼も酷く焦っていた。ここは彼の知る場所では無いからだ。

 

普通に寝て目覚めたらここに居た、何を言ってるかわからないと思うが…彼は夢か?と考えた。

 

だが、五感がリアルさがそれは違うと感じさせた。

 

「須藤雅史、約束の物だ。有意義に使うと良い。」

 

「…はい?」

 

本当に夢であって欲しいと思ったのは次の瞬間だったが。

 

神崎士朗、目の前の茶色いコートを着た男が無機質な真っ黒のカードデッキをちゃぶ台に置くとそのまま何処かへ消えていった。

 

「…はい?」

 

戸惑いのスクリューに裸一貫で巻き込まれながら、彼は須藤雅史に憑依したのだ。

 

 




Q.この作品を書くきっかけは?

A.蟹を食ってたらなんとなく。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。