落ち着け、先ずは鋏を下ろそうか。   作:赤茄子 秋

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3話 こいつ、病んでるな。

須藤雅史の部屋を須藤雅史が漁っていた。

 

「日記発見…と。」

 

見つかった須藤の手がかりはそれだけだった。

 

須藤雅史22歳、職業は刑事、家族は居らず、現在は東京のアパートで独り暮らし。

 

「…どれどれ。」

 

ボルキャンサーに背後を気を付けながら、日記を開く。

 

 

 

●月○日

 

今日から日記をつけようと思う。新しい俺のスタートとして、刑事として、頑張っていきたい。

 

 

 

 

●月■日

 

刑事とは多忙な仕事だ。そして、心を消耗する仕事だ。

 

また浅倉威が事件を起こした、こいつは捕まえなければ。

 

 

●月★日

 

浅倉威の逮捕に成功した。大規模な作戦だったが、何とか確保できた。この戦いだけで5人もの刑事が亡くなった…悔やみきれない。

 

 

「…なんか、普通の刑事なんだが。」

 

須藤雅史はそんな奴だったのか?そう考えるのは無理も無い。

 

自分の殺した人間を行方不明事件に巻き込み、喰わせた奴だ。

 

彼はボルキャンサーの強化の為に罪の無いどころかまったく関係無い人々を喰わせた奴だ。

 

「いや…たしかに、初期のステータスこれならそうするかもだが…」

 

ふと、机に置かれた最弱のモンスターカードを見る。

 

…なんか、涙が出てきていた。

 

「…続きだな。」

 

また日記を開く。

 

 

■月○日

 

後輩ができた。俺の後ろを産まれたアヒルのように付いてくる。

仕事やる気がでてきてくれたら嬉しかったが…駄目だ、上司も上層部も何でわからない?

 

俺達警察のやるべき事は違うだろう。

 

 

■月★日

 

浅倉威の懲役10年が決まってしまった。あのスーパー弁護士は人の心を持っていない。

これでは殺された仲間や人々が悔やみきれない。

 

★月○日

 

以前から捜査をしてる行方不明事件に進展は無い。

それどころか、捜査官も行方不明になり始めた。どうなってるんだ?

 

○月■日

 

単独での捜査を続け、ついに正体を掴んだが…なんだあの化け物は。

 

あの人形の蟹は…鏡の中に人を引きずり込みやがった。

それを見てから鏡の世界が見えてしまう…どうにかして、俺だけでも助からなければ!

 

「…」

 

チラリと何も映さないテレビを見る。

 

「こいつ…俺を殺すためにわざわざ来たのかよ。」

 

その行動力、ぜひともこれからの戦いで発揮して欲しい。

 

 

 

 

 

○月★日

 

例の件…俺は、遂に道を踏み外す。もう、警察なんてものは無意味で無価値だ…明日、力を貰う。

 

明後日は…例の件でしくじらないようにしないとな。

 

 

 

 

 

「…待てよ。」

 

読んでいて気づいた、今の須藤雅史は…悪に染まる一歩手前の須藤雅史だと。

須藤雅史は浅倉の件や化け物で警察に絶望した…そして、遂に道を踏み外す。

 

「しかも…これ、今日かよ!」

 

待ち合わせ場所と時間は日記帳に書かれている。

 

そして出合うのは…

 

「加賀友之…」

 

須藤雅史と共に悪事を働き、最後は殺してしまった奴だ。

原作では、それが理由で須藤はライダーになったのだが…

 

「…行くしかないな。」

 

今の須藤雅史には色々と確認したいことがある。

 

「前の俺がどんな奴か…聞けるだけ聞いてみるか。」

 




Q.原作沿い?

A.最初はそうです。

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