須藤には出かける迄に時間はあった。
「じゃあ…纏めたらこんな感じか。」
手帳に書かれているのは今後の目標のような物である。
【城戸真司と仲良くする。】
【無意味に人を殺さない。】
【浅倉威は頑張って逃げる。】
【モンスターでレベルをあげる。】
【ライダー同士の戦いには基本的に関わらない。】
この五つがとりあえずの須藤雅史の目標となった。
先ず、主人公である城戸真司、仮面ライダー龍騎の事である。
彼はバカだが、真っ直ぐな心を持っており、原作では常にライダー同士の戦いに苦悩していた。
彼と協力関係を結ぶのが最善だ。何故なら協力しやすいから。あと、強い。
次に、人を殺さない。
これは城戸真司との協力の最低条件だ。
無意味とは、仮にライダー同士の戦いで仕方なく殺す場合を除く場合だ。モンスターの強化の為に一般人を襲えば間違い無くBadEndだ。
次は最初にして最大の関門。
浅倉威は殺人鬼だ。イライラするだけで人を殺すこいつはマジで危険だ。
今は具体的な対策方法は思い付かないが、気を付けよう。
4つ目、ボルキャンサーの強化だ。
これは本当にこのままでは雑魚のモンスターが2匹でも出たら殺されてしまうからだ。
地道にレベルを上げていかなければ…死ぬ。
最後は…絶対にライダーとの戦いを避ける事だ。
あくまでも、須藤がライダーになったのは成り行き。
絶対に…生き残りたい。
「書いてて思ったけど…どれも一歩間違えたら、死に直結するのか。」
須藤は思いっきり泣きたいが、それをなんとか心の中に押し留める。
今はやるべき事がある。
「…さて。行くか。」
荷物の確認をしてから、外に出る。
太陽が少し暑い…春の風が須藤を横切る。
この目標を目指して…彼のライダーとしての戦いが始まった。
「久しぶりですね…須藤雅史さん。」
「加賀友之さんですか、どうも。」
須藤は待ち合わせの場所で待っていると、少し痩せこけた男がやって来た。
彼は原作には出てなかったが、須藤が殺した人間だ。
それも、金をもっと寄越せと調子に乗って殺した人間だ。
「では…早速ですね。初仕事でしょうが…頑張ってくださいね。」
そう言って渡された封筒には紙束の入ってるのがわかる、そして共に大きめの薄い茶封筒を受けとる。
中身を軽く確認してみる。そこには身元や死体の場所等様ざまな情報が書かれていた。
誉めらない仕事は…かなり真っ黒な仕事のようだ。
「クライアントも新人の貴方に期待してましたよ。」
「そうですか…では、加賀友之さん。」
須藤はそのまま茶封筒と札束の入った封筒を地面に投げ捨てる。
「貴方を逮捕します。」
突然の事に、何が起こったかわからなかった加賀も直ぐに理解する。
顔は先程迄の余裕を持った顔をしておらず、脂汗が溢れ出ていた。
「なっ何故だ!?あんた…この前までの腐りきった目をしてたあんたが何でだ!?」
腐りきった目をしてたのは初耳だが、この男には大した情報が無いと須藤は悟った。
会ったのは精々2,3回だろう。これなら原作の須藤を演じるか、いっそ生まれ変わったように今の須藤を押し通すかが最善だな。
「俺は、刑事だ。久しく忘れていただけだ…そして、お前を捕まえる。(悪いな、ここで引き受けたら俺がほぼ確実に死ぬんだ。許せ。)」
最初から加賀友之と会う前から、これは決めていた事だった。
それは城戸真司と協力を結ぶのに…一番邪魔な存在だからだ。
ジリジリと壁際に追い詰める。須藤は刑事だ。身体能力ではこの痩せこけた不健康そうな男には負けない。
「くっ来る…っ!?うわぁぁぁぁぁぁ!!」
「…(えぇぇぇぇぇ!??!?)」
突然の事だった。窓の壁に寄りかかった加賀を抱きつくように鹿の頭を持つようなミラーモンスターが引きずり込んだのだ。
驚きの余りに、声も出なかったようだ。
「…一体だけだよな。」
先ずは敵の数だ。一匹だけ、他には見当たらず…今は加賀友之を貪っている。
「初陣か。」
ポケットからカードデッキを取り出す。近くには何故か既にボルキャンサーがスタンバイしている。
仕事が早い…ように見えたが、なんかチラチラと貪られている加賀友之と主である周藤を交互に見ている。
「飯はこいつで我慢…じゃなくて、俺を狙うな。」
そう呟きながら、窓にデッキを構える。
そこから反射されたベルトが自分の腰に装着される。
「変身!」
仮面ライダーシザースの戦いが始まる。
Q,何故、加賀友之は死んだのか?
A,予定調和