「嵐が来たぞー!!」
激しく雨が降り、海は荒れ狂う。そんな中一人の青年が船の中を転がる。このままだと青年は海に落ちてしまう。船長は必死に助けを試みる。………。
最後に知った衝撃の事実とは?
ショートショートであるこの作品。実はよく読むと二つの意味に解釈できるのです。さて、あなたはどんな風に読みますか?
まずは一回読んでみてください。
二回読んでも意味が変わらない人はよほど心優しいか怖い人かのどちらかです。
書き慣れていないので文書がダメダメですが最後まで読んで頂きたいです。
とても大きな船が大海原にぽつんと、しかしはっきりとした存在感を持ちながら走っている。大航海時代が訪れ、町では冒険を夢見る少年が数多くいた。新しい島を見つけるため、今日も走る巨大船の船長も昔は夢見る少年であった。船員に向かい、指示をキビキビと出していく。
「帆を張れ。今日は良い風が吹いてる。ロープもしっかり結んでおくんだ。」
海の上はなんて清々しいのだろう。空を仰ぎ見るとウミネコが風を切りながら悠々と飛んでいる。すると遠くにどす黒い大きな雲が浮かんでいるのを見つけた。
「んん?」
船長は長年の経験から、これが何を意味するか良く知っていた。慌てて船員に指示を出し直す。
「帆をたため。積荷と自分の腰元にロープを結ぶんだ!」
汗が頰を伝って甲板に落ちる。あの速さだとすぐにぶつかってしまう。急がないと…。
「今帆を張ったばかりなんですよ。指示はよく考えてから出して下さい。」
「ロープだって固く結んでしまった。そんなにすぐ、解けません。」
船員は船長の意図が分かってはいなかった。これはいつものことだった。船員がブツブツ文句を言っているうちにも雲はどんどん近づいてきている。
「お前らさっさと指示通りに動くんだ!!!」
船長の形相にいささか驚きながらも皆ゆっくり動きだす。船長は腰についたロープが解けないか、一つ一つ引っ張り丁寧に確認していく。大事な船員を誰一人として失いたくなかったのだ。すると風が強く吹きつけた。巻き上げられた海水は小さな粒となって顔に打ち付けられている。まずいことになった。やはり嵐にあってしまったのだ。まだ帆をすべてたためてはいないこの状態で大荒れの海に立ち向かうことは即、命を落としかねない。
「嵐がきたぞー!!」
船員の一人が大声で叫んだ。緊張が駆け巡る。皆の顔が固くなり、帆をたたむ手が早まった。船長の意図がわかったのだ。次第に波は荒れ狂い、船は大きくゆれ、しがみついていないと海に落ちてしまう。
「うわー!!!!」
船員の一人が船の端まで転がっていく。船長はすぐに彼の元に走りだす。彼の腰元にはロープが縛られていなかった。きっと縛る前に帆をたたみに行ったせいだろう。
このままだと彼は海に落ちて溺れてしまうっ。私がなんとかしてやらねば!船の手すりになんとかつかまっている彼に精一杯手を伸ばす。
「私の手を掴め!!」
「でも…。」
彼は困惑した表情を浮かべまっすぐに船長を見た。
「早く!」
手を掴み、力の限りに引っ張り上げる。デッキに彼の足がつき、ホッとしたのもつかの間。足を滑らせ船長は荒れ狂う海に放り出されてしまったのだ。助けられた船員は近くのロープを手に取り、一方を腰元に固く結びもう一方をつかまっていた手すりに結ぶ。
「くっ。」
そして海に飛び込んだ。ドボン。
船長は派手な色の服を着ていたので場所はすぐにわかった。幸い、船員は船で一番泳ぎの上手い青年であったから波に流されながらも泳ぐことができる。もがき続けている船長を回収し、船へロープをつたい戻っていく。マストにしがみついていた他の船員は皆船長室に避難しており、デッキに二人しかいなかった。船員は、海水なのか涙なのか、しょっぱい水を目にたくさん溜めながら言った。
「船長、あなたはなんて無茶なことをするのですか!」
「私はただ、君を助けたかったんだ。ロープが解けたのは予定外だが…」
「いいえ。予定通りですよ。」
船長は目を見開いて口をパクつかせる。予定って…。
「…ともかく、助けていただきありがとうございました。」
「いや、こちらこそ。君がいなければ死んでいた。そうだ明日、私を助けた勇敢な船乗りとしてみんなの前で表彰しよう!」
すると彼は慌てて首を振り、絶対そんなことをしないでくださいと必死に頭を下げた。
「どうしてだ?名誉が手に入るのに。」
「今度は私が殺されてしまいます。」
船長は追求することをやめた。
あぁ、今度から彼のロープ以外の確認はしないことにしよう。どうせしたって意味がない。ならば、事故のほうが良いだろう。
船長はどこまでいっても部下思いだった。
どうでしたか?
船長の言葉の二つの意味がわかった人は読解力がある人または感受性豊かな人です。
いつか他の作品も書きたいと思います。それではまた。