変身が解かれ、良々とみゆきは皆と合流した。
良々のあまり怪我はなかったが、みゆきは腕の傷が少しひどかった。
キャンディ「みゆき、大丈夫クル?」
みゆき「ありがとうキャンディ、ちょっと掠っただけだから…」
なお「イマジンにやられたの?」
なおが良々に尋ねた。
良々「それが私が眠ってる隙にモモタロスが私の中にはいって…よく分からないの」
れいか「あのイマジンは、たしか刃物を使わなかった気がしますが…そうなのですか?」
みゆき「え……いや…うん!そ、そうそうなの!!」
しかし、堪のいい良々はみゆきが何かを隠している事がすぐにわかった。
良々「みゆきちゃん、本当にその怪我イマジンからの攻撃なの?」
みゆき「え!?う、…うん…それか…どっかぶつけた…かな?」
曖昧な返答、目を合わせていない、明らかに挙動不審。
わかりやすかった。
その態度に他のメンバーもかすかに気付き始めた。
良々「みゆきちゃん、本当の事言って。あんたはオヤツのつまみ食いもごまかせない単純なんだから…」
ズイっとみゆきの目の前に顔を近付け、逸らし続ける目線の先に回り込む。
みゆき「わかった…」
デンライナー・食堂車
良々「モモタロス!!モモタロスはいる?」
ドアを開き良々が声を上げて乗車してきた。
その怒声に驚きながらも飲んでいたコーヒーを置き、良々の方を振り返る。
ハナも何事かと思い良々の方を見る。
モモタロス『な、何だよ…良々。何怒ってんだ?』
モモタロスは戸惑いながらもとりあえず良々がどうして怒ってるのか尋ねた。
良々「じゃあ逆に訊くけど、どうして私が怒ってるのか分かる?」
モモタロス『え…ああ、勝手に…身体使って悪かった…』
良々はきっと寝てる間に身体を使われて怒ってると思ったが、
良々「違う。私はそんな事で怒ってるんじゃない!!」
モモタロス『え?』
良々「モモタロス、みゆきちゃんに怪我させたのよね?」
モモタロス『ッ!!』
良々の言葉にドキッとする。
ハナ「何それ!!ホントなの!?」
モモタロス『違う!!あれはなアイツが勝手に…』
それを聞いたハナが物凄い剣幕で問いただすが、モモタロスが否定する。
しかし、自分の所為じゃない、それが良々の怒りを掻き立てた。
良々「ふざけんな!!全部みゆきちゃんから聞いてるの!あんた、自分の技に自爆しそうになってみゆきちゃんがあんたを庇って怪我をしたって!!相手の攻撃ならまだしも自分のヘマで友達を傷付けたのよ!分かってるの!?」
確かに元を辿ればモモタロスに原因がある。
しかし、モモタロスはそれでも自分の面子を保つために弁解の言葉を吐いた。
モモタロス『あん時は仕方なかったんだよ!身体に思うように力が入らなくて、体調が良好ならあんな奴…』
ハナ「アンタ…いい加減に…──」
ハナが拳を握り締め、身を乗り出したその時、
パンッッ
食堂車に乾いた音が響いた。
ちなみにハナはまだ殴っていない。
良々がモモタロスの頬をはたいたのだ。
痛くはなかったが、叩かれた左頬を押さえた。
良々「もう、あんたとは戦えない…」
それだけ言って、それ以上何も言わずデンライナーを降りる。
モモタロス『おい、良々…』
モモタロスが呼び止めたが、良々はそれを無視した。
モモタロス『チッ、そうかよ…』
モモタロスの方も不快になり、食堂車を出た。
ナオミ「良々ちゃん、かなり怒ってましたね……」
ナオミがコーヒーを差しながらハナに話しかけた。
ハナはコーヒーカップを傾けながら「ええ」とだけ答える。
あの時はハナも思わずビビってしまったからだ。
一方、モモタロスの方はというと寝台車のベットで横になり、布団を被っていた。
そして、先程の良々の言葉が頭をよぎっていた。
『もう、あんたとは戦えない…』
モモタロス『ケッ、何が戦えねぇだ…』
この時モモタロスはどうせ、戦いになったら俺を呼ぶに決まってると、そう思っていた。
一方、良々はそのまままっすぐ家に帰った。
良々「ただいま」
幸一「あれ?良々、お前自分の部屋で寝てたんじゃなかったのか?いつの間に外出したんだ」
リビングでテレビを見ていた兄の幸一が玄関に顔を出した。
良々「コンビニ行ってた」
本当の事を言えるはずもないので、適当にごまかす。
そのままゆっくりと階段を上がっていく。
幸一「そうだ良々、冷蔵庫にお前の好きな『紅鮭屋』のプリンあるから、食べるか?」
幸一が良々の背中に向かって言う。
良々は立ち止まりせっかくなので、何か腹に入れて嫌な事を少しでも忘れようとした。
しかし、今日食べたプリンは高級スイーツ店『紅鮭屋』のプリンだったのにどこか味気なかった。
そこから先はあまり覚えておらず、風呂に入り、歯を磨いて、そのまま布団に潜り、眠ってしまった。
次の日、七色ヶ丘中学では何人かの生徒達が狸の怪物に襲われ、病院送りにされていたとの噂がたっていた。
良々、みゆき、あかね、やよい、なお、れいかは契約者を探すため屋上に集まりそれぞれの分かって情報をまとめていた。
まず一つ目、襲われているのは女子。男子に今の所被害はない。
二つ目は襲われた女子のほとんどは生徒会会長の入江に好意を持っていた、もしくは入江のクラスメイトだという事が判った。
れいか「入江会長が契約者なのでしょうか?」
良々「いや、まだ分からない…。情報が少ないし、漠然としているから…」
皆が探索に困難をきたしてる中、「そうだ!」と今度はなおが切り出した。
なお「モモタロスに捜して貰おうよ」
良々「ッ!」
それを聞いて良々は目を見開いた。
やよい「そうだね。モモタロスさんなら、イマジンが匂いで判るから」
あかね「ほな早速、モモタロス呼んでくれるかいな。良々」
あかねが良々に向かって言うが良々はそっぽを向いて、
良々「呼ばない」
と、短くはっきり言った。
5人は当然驚く。
みゆき「昨日の事、怒ってるの?」
みゆきが恐る恐る訊き、良々は「当たり前よ」と返した。
みゆき「昨日の事なら私気にしてないしさ、怪我だって大した事ないし、そんなに怒る事…
良々「怒るよ!!友達傷付けられて怒るのは当たり前でしょ?そんな事されてヘラヘラ笑ってられるなんて考えられない!!友達じゃないよ」
みゆき「いや、でも…」
あかね「みゆき、ウチも良々と同意見や。ウチかて同じ事されたら怒る」
他のメンバーは何も口を挟まなかった。
それはつまり否定しないという事だ。
良々「悪いけど、ここで頼ったらまたアイツは調子に乗る。同じ事がまた起こらないと限らない以上、私はモモタロスを頼らない」
良々さっさと屋上から出て行ってしまった。
5人は掛ける言葉が見つからず、良々の背中を見る事しか出来なかった。
良々は飛び出したはいいもの手掛かりもろくになく適当に歩いて考えていた。
とりあえず一番目星のついている入江会長のいる生徒会室に向かった。
しかし、その途中である人物を見かけ、足を止めた。
なぜなら、その人物からは自分と同じ砂が所々こぼれていたからだ。
???「はぁ…」
その契約者は校舎の中庭のベンチに腰掛け、膝に頬杖を付き、悩みのため息を吐き出していた。
れいか「あなただったのですね、寺田さん」
寺田「!」
横からいきなり声を掛けられ寺田という女子は肩を跳ね上げた。
そこには良々はもちろん呼ばれてやってきた5人がいた。
寺田という女子はれいかと同じ生徒会の会計である。
寺田「青木副会長…」
寺田は怪訝そうな顔をするもれいかは率直に尋ねた。
れいか「寺田さん、いきなりですみません。最近、狸の怪物を見ませんでしたか?」
寺田「ッ!!」
狸の怪物という単語に寺田は激しく動揺する。
れいか「知っているのですね?教えていただけませんか?」
れいかが寺田に問い詰めるが、
寺田「し、知りません!」
視線に耐えられなくなった寺田は逃げるようその場から立ち去った。
みゆき「待って!」
それを見てみゆきが追いかけた。
みゆきに続き皆も追いかける。
みゆきが寺田を追いかけていたその時、寺田の前にラコーンドックイマジンが地響きを鳴らし降り立った。
寺田「ッ!!」
みゆき「イマジン!!」
それを見ていた生徒たちは阿鼻絶叫と共に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
みゆきの驚きを無視し、ラコーンドックイマジンは寺田に向かって告げる。
ラコーンドックイマジン『さあ、これだけ入江という男の近くにいる女を排除すれば…契約はほぼ完了なのだ!!』
寺田「ちょっ…ちょっと待って!!私は…」
みゆき「契約って…。寺田さん、まさかあなたがこの怪物に人を襲わせる様にねがったの?」
寺田「違う!!私はそんな事、望んでいない!!」
みゆき「じゃあ何を…?」
寺田「そ、それは…」
みゆきの疑問に寺田は頬を赤くし、言葉を詰まらせてると、ラコーンドックイマジンが割り込んできた。
ラコーンドックイマジン『くだらん茶番はいい!!さあ、契約完了!!』
寺田に手を伸ばそうとしたその時、
みゆき「やめて!寺田さん早く逃げて!!」
ラコーンドックイマジン『邪魔なのだ!!』
みゆき「ああっ!!」
みゆきが立ちふさがるが、止まるはずもなく軽くあしらわれてしまった。
ラコーンドックイマジン『さぁ、開け!!記憶のページよ!!』
寺田を本の様に切り開かれ彩った渦の中に飛び込む。
良々「しまった!」
そこでようやく良々達は追いついたが、イマジンはすでに過去へ飛んだ後だった。
良々はあらかじめハナに渡されていたデンライナーのブランクチケットを取り出し、寺田に翳す。
ラコーンドックイマジンの姿と表示された日付け。
[-LY/04.17]。
みゆき「去年の4月17日?」
れいか「この日付け…。たしか寺田さんが生徒会に入った日…」
良々「寺田さん、この日…あなたに何があったの?」
良々は寺田に話しを聞こうとするが寺田は戸惑ったが、観念したのか打ち明けた。
寺田「私……、入江会長が……好き。一目惚れしてるの…」
それを聞いて皆は「え!?」と驚く。
いきなりの恋愛ばなしに一瞬固まってしまったが、寺田は続ける。
寺田「あの日から私は…入江会長に一目惚れして…でも、振られるのが怖くて告白することが…出来なかった。そんな想いを溜め込んでいた時、あの怪物が私の目の前に現れたの…」
『お前の望みを言うのだ。どんな望みも叶えてやるのだ。お前の支払う代償はたった一つなのだ』
寺田「だから私、『入江会長に振り向いて貰いたい』ってお願いしたの…。でも、何で他の女子が襲われなきゃいけないの」
告白と同時に寺田は両手で顔を覆い、泣き崩れる。
やよい「どういう事なの?入江さんに振り向いて貰いたいっていう願いなのに、何で他の人が…?」
やよいがラコーンドックイマジンの契約手段に疑問を持ち、口にした。
何故、このような方法で契約完了なのだ?
れいか「おそらく、入江会長の身近の女子を襲う事で寺田さんと入江会長との距離が他の女子より近くなる…ということでしょうか?」
みゆき「そんな無茶苦茶な…!」
なお「やり方がひど過ぎる!」
あかね「契約完了できれば、手段選ばんちゅう事かい!!」
良々「胸糞悪い…」
イマジンの下衆なやり口を改めて知った。
先日戦ったバットイマジンも他の人間からキーホルダーを奪い、人間を空から突き落とすといった残忍なやり方をしていた。
イマジンにとっては契約が完了し過去へのページが開けばそれでいいのだ。
「やっと過去へ跳んだ、か…」
突如、背中からの声に6人が振り向く。
待ち侘びた様にカボチャの被り物の中で小さく呟くハロウィッチがそこにいた。
「「「「「「ハロウィッチ!!」」」」」」
ハロウィッチ「にしてもいい天気ねぇ……雲一つ無い快晴♪――――虫酸が走る…」
不愉快さが伝わる声色で呟く。
ハロウィッチ「世界よ、最悪の結末…バッドエンドに染まれぇ!!」
右手に白紙の魔本を持ち、左手で黒い絵の具のチューブを握り潰す。
ハロウィッチ「白紙の未来を黒く塗り潰すのよ!!」
ハロウィッチが絵の具を白いページに塗りたくると空が紫に染まり、不気味な黒い茨や枯木の茂る森が辺りを支配した。
寺田「こんな汚れた私なんて…誰も好きになってくれない…」
周囲の生徒や寺田が下を俯き、絶望の色へ染まる。
ハロウィッチ「アッハッハッハッハッハッ、人間たちのバッドエナジーが悪の皇帝ピエーロ様を蘇らせていくのよ!!」
ピエーロの時計の針が一つ進んだ。
ハロウィッチ「フフフフ、まだ足りない!イマジンよ!!過去で暴れてバッドエナジーを生み出せ!!」
ハロウィッチが歓喜の声を上げる。
みゆき「そんなことさせない!みんな!!」
「「「「「うん!!」」」」」
スマイルパクトを取り出し、プリキュアメンバーは叫ぶ。
「「「「「プリキュア・スマイルチャージ!」」」」」
『ゴーゴーレッツゴー!!』
ハッピー「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!」
サニー「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー」
ピース「ピカピカピカリンジヤンケンポン♪キュアピース!」
マーチ「勇気凛々、直球勝負!キュアマーチ!」
ビューティ「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!」
「「「「「五つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア」」」」」
5人がプリキュアに変身し、良々もラコーンドックイマジンのチケットをパスへ入れ、ベルトを腰に巻き、そのままバックルにパスを横切らせる。
良々「変身!」
そのまま良々はデンオウPFに変身し、空の歪みから出現したデンライナーへ飛び乗った。
ハロウィッチ「チッ、デンオウは逃がしたか…。まぁ、いっか、こっちの方が楽しそうだし♪あ…それとちなみにアタシ、アカンベェ使わないから」
マントの様なぶかぶかコートをひろげ、お気楽な声を上げる。
プリキュア達は全員身構える。
ハロウィッチ「さぁて、何して遊ぶ?♪」
【昨年4月17日】
寺田は七色ヶ丘中学の生徒会の会計に就任され、集会が終わり自分の教室に戻る途中、笑顔の素敵な生徒会会長に思いふけていた。
そんな時である、彼女が突然倒れ込み、体から砂が溢れ、ラコーンドックイマジンがその姿を現した。
辺りの生徒は悲鳴を上げてその場から逃げる。
そんな生徒には目もくれず、ラコーンドックイマジンは窓を突き破り、校庭へと飛び出る。
ラコーンドックイマジン『ポンポコポーン!まずはこの校舎からブッ壊してやるのだーっ!』
柄杓ハンマーを振り上げたその時、
線路が展開し、デンライナーが現れた。
ラコーンドックイマジン『ん?何だ!?』
デンライナーが陽気な音楽を鳴らしながら出現し、デンライナーはラコーンドックイマジンを覆い、掻っ攫う。
その時、その光景を校舎の影から隠れてじっと見ていた人影がいた。
その手の中には懐中時計が時を刻み、その人物はそれを見届けるとそのまま消え去って行った。
デンライナーはラコーンドックイマジンを人気のない昨日の空き地へ連れ出し、良々の変身したデンオウPFがラコーンドックイマジンの前に降り立つ。
ラコーンドックイマジン『くっ、またお前か…』
デンオウPF「私が相手よ!」
デンオウPFが身構え、戦闘体制にはいる。
【現在】
ハロウィッチ「ハァッ!!」
ハロウィッチは杖を振るい、エネルギー光球をいくつも出現させ、プリキュアに向けて撃ち出す。
マーチ「プリキュア!マーチシュート!!」
ピース「プリキュア!ピースサンダー!!」
マーチとピースの必殺技とハロウィッチの光球がぶつかり、炸裂。
マーチとピースはその衝撃波から腕で目を覆う。
だが、その隙にハロウィッチは二人の懐へ潜り込む。
マーチ「ああっ!!」
ピース「あぅ!!」
マーチとピースはハロウィッチの攻撃に吹っ飛ぶ!
ハッピー「マーチ!ピース!」
ビューティ「はぁっ!」
続いてビューティがハロウィッチに挑むが、ハロウィッチの素早い身のこなしの前には攻撃が全てあしらわれてしまう。
ビューティ「合気道っ…!?」
ビューティの言った通り、ハロウィッチは相手の力のみを使い相手をあしらう合気道に似た戦い方をする。
攻撃が決まらなければ、していないも同然。
ビューティは無駄に体力を消費する。
ハッピー、サニーも攻撃に加わるが、それでも形勢は変わらない。
ハッピー「うっ!」
サニー「くっ!」
ビューティ「ああっ!!」
ハロウィッチは格闘においてもプリキュアを凌駕し、追い詰めていく。
ハロウィッチ「アッハッハッハッハッ、どう?どう?アタシって強いでしょ」
自慢げに、痛快そうに笑うハロウィッチ。
普段戦っているアカンベェは無駄に大きい故攻撃しやすいが、素早く自分達と同じ大きさの相手には攻撃しづらい。
そして何より、今まで戦った敵とは明らか力量が違う。
ハロウィッチ「じゃあ、そろそろ御開きにしょっか?」
ハロウィッチは杖を掲げると先程とは比べものにならない力を感じる。
サニー「あかん、このままやと…」
ハッピー「まだ…、あきらめない!!」
ハッピーが立ち上がる。
ハッピーだけではない他の4人も、誰も諦める顔をしてはいない。
ハロウィッチ「はっ、諦めなくても結果は…――っっ!!」
しかし、ハロウィッチは一瞬、驚愕に目を見開く。
その視線の先には赤いキャップの帽子の上に薄茶色のフェルト帽を目深にかぶり、同色の外套を羽織っている男がいた。
だが、ハロウィッチの驚愕と同時に油断が生まれた。
ハッピー「(今だ!!)はあっ!!」
ハロウィッチ「ぐっ!?」
ハッピーはハロウィッチ目掛けて駆け出し、拳を叩き込む。
油断していたハロウィッチに見事ヒットした。
サニー、ピース、マーチ、ビューティも戦闘に加わる。
ハロウィッチ「クッ!!」
先程の油断でハロウィッチは回避の反応が鈍り始め、形勢は逆転していく。
ハロウィッチ「クッ、こ…このっっ!!」
ハロウィッチはエネルギー光球を放つが、冷静さを欠いた今の攻撃は当たらない。
サニー「ウチらが決める!ビューティ、挟み込むで!!」
ビューティ「わかりました」
サニーとビューティはスマイルパクトに気合いを込め、ハロウィッチの両サイドから必殺技を放つ。
サニー「プリキュア!サニーファイヤー!!」
ビューティ「プリキュア!ビューティブリザード!!」
ハロウィッチ「ぐっ、こんな所で……!!」
爆音と共にサニーとビューティの必殺技が炸裂する。
しかし、粉塵が晴れるとコートに焦げ目をつけたハロウィッチが佇んでいた。
ピース「うそ、効いてない!?」
マーチ「いや…───」
マーチはハロウィッチの服の焦げ目から、少なくともダメージは与えてると分析した。
ハロウィッチ「(アップルボムの爆風で威力はへらしたけど、さすがに至近距離距離での…アップルボムはムチャ…だったかな…?)」
手傷を負わされ分が悪いと判断したハロウィッチはそのまま消えた。
ハロウィッチがいなくなった事により、バッドエンドの空間も元に戻り、青空が戻った。
プリキュアも変身を解く。
ホッと一息つくのもつかの間、近くの扉からハナが顔を出した。
ハナ「みんな!!」
皆はびっくりするも、ハナの慌て様にただ事ではない事を察知する。
みゆき「どうしたんですか?」
ハナ「みんな、過去へ来て!良々ちゃんが…良々ちゃんが危ない!!」
―時間は少し遡り、5分程前―
モモタロスは別に自分に罪悪感とか無かったが、流石に怒らせ過ぎたかと少し動揺している様子だ。
寝台車の二段ベットの上で次顔を合わせたら何と言おうか考えてると、
どこからも無く匂う独特の匂い、待ち望んでいたイマジンの匂いだった。
モモタロス『おい!!良々!!』
モモタロスは食堂車へと入って来たのに対し、ハナとナオミが驚く。
ナオミ「えっ!?モモタロスちゃん!?」
ハナ「ちょっと!何でアンタがここにいるの!?」
モモタロス『はぁ?どいうことだよ』
モモタロスは全く状況が飲み込めていない。
ハナ「良々ちゃんは今戦っているのよ!」
モモタロス『何だと!?』
そうか!モモタロスはやっと気付いた。
良々は自分を締め出したのだ。
本来イマジンと契約者はリンクしている。
だが、イマジンに制御できる特異点の良々はその繋がり――リンクを切る事ができる。
だから今までイマジンの匂いに気付かなかったのだ。
【昨年4月17日】
ラコーンドックイマジン『おりゃっ!!』
ラコーンドックイマジンの振り下ろした柄杓ハンマーがデンオウPFを潰そうと迫る。
しかし、デンオウPFは地面を転がり、攻撃を回避する。
デンオウPF「ハァ…ハァ…」
元々運動が得意ではない良々は既に息が上がっていた。
デンオウPF「ハァッ!」
がむしゃらに拳を繰り出すが、ラコーンドックイマジンは回避しようとも防ごうともせず、真正面からデンオウPFの攻撃をまともに受けた。
なぜなら、
ラコーンドックイマジン『ははははは、全然…全く効かないのだ!!』
ソードフォームの斬撃も効果がないのに、ソードフォームより戦闘スペックが低いプラットフォームの攻撃など、無意味なのは火を見るより明らかだった。
デンオウPF「くそ…ぐ、あうっっ!!」
ラコーンドックイマジンの体当たりが決まる。
鋼鉄の体での体当たりはデンオウPFの体を吹き飛ばし、骨を軋ませる。
デンオウPFは地面に強く叩きつけられ、「がふっ」と苦しい息を吐く。
一方、デンライナーの中ではみゆき達が固唾を飲んで見守っていた。
みゆき「良々ちゃん!!!」
吹っ飛ばされるを良々窓から見てたみゆきが叫ぶ。
その横ではナオミやキャンディが応援し、気の弱いやよいに至っては見ていられないと目を背けてた。
モモタロスは何処か落ち着かない様子だった。
冷静に座りつつも外が気になるのか横目で窓を見ている。
そこには無様にもやられながらも立ち上がるデンオウPFの姿があった。
モモタロス『~~~ッ!!』
その様子を見ていたなおとあかねはモモタロスに向かって怒鳴る。
なお「ちょっと、モモタロス!!何とかできないの!?」
あかね「せや!このまんまやと、良々死んでしまうで!!」
モモタロス『さっきから呼びかけてらぁ!!だけどアイツ、俺の事無視してやがるんだ!!』
それを聞いたハナは視線を一度モモタロスの方に向ける。
確かにモモタロスの立場ならば、良々には死んで欲しくないから直ぐに取り憑く筈だ。
だが、それをしないという事は……
ハナ「モモを…本気で締め出したって事なの……?」
必死にラコーンドックイマジンに向かって立ち向かうデンオウPFを見て呟くハナ。
そしてもうみゆきは我慢の限界だった。
みゆき「もう見てらんない!!」
あかね「いや、みゆき怪我してるやろ!!ウチがいく!!」
やよい「あかねちゃん、私も…」
5人がデンライナーの外へ出ようと車両のドアの前に立ったその時、ドアが開き、ずいっとステッキの取っ手が先頭にいたみゆきに突出され、皆は動きを制された。
オーナー「皆さん、お待ちください…」
「「「「「「「オ、オーナー…」」」」」」」
食堂車に入ってきたオーナーがドアの前に杖をついて仁王立ちで通せんぼした。
あかね「何や、おっちゃん!そこどいてくれ!!」
あかねが言うとオーナーはこう切り出した。
オーナー「私がどいてどうするのです?まさか、列車を降りるのですか?」
なお「あ…、当たり前でしょ!?」
れいか「良々さんを助けに行くのです…!」
オーナー「ならば、“チケット”はありますか?」
やよい「え、チケット?」
みゆき「チケットってあのイマジンと日付けの書かれいる?」
オーナー「そうです。チケットが無い者は…何人たりとも時を超えることはできません。昨日も申したはずですが?」
みゆき「え?」
一同「「「「えええええええええええ!!?」」」」」
ラコーンドックイマジン
「おらっ!ぶくのお茶をくらうのだ!!」
背中からお茶を次々と吹き出し、デンオウPFを襲う。
デンオウPF「うあああああっ!!熱い!!熱い熱いぃぃ!!」
あまりの熱湯にデンオウPFは当たりをのた打ち回り、苦しむ。
続いてきたのはお腹を膨らまし、強烈なボディプレス!
デンオウPF「うぐああああっっ!!!」
地面をへこませる程ののしかかりが、直撃する。
キャンディ「良々、もうよける力も残ってないクル!!やられちゃうクル!!」
キャンディの叫びを聞いて、皆は動揺を隠せない。
それはモモタロスも同じだった。
モモタロス『何やってんだよ……、俺を呼べよ……』
小さく何度も呼びかけるが良々は反応しない。
みゆき「お願いです!!降ろしてください!!」
みゆき達が必死に懇願するが、オーナーは「ダメです」の一点張り。
あかね「何ででや?この前ウチ、コウモリイマジンと戦こうたときは何も問題あらへんかったんに…」
オーナー「それは…良々さんが以前あなたとのチケットの共有を認めたからです……しかし、この時間へ来る途中、良々さんは事前に私に『今回はあなた方とはチケットを共有しない』と言われました」
やよい「え!良々ちゃんが!?」
なお「何で……!?」
何でそんなことするのか疑問に思ったが、そんな事より。
れいか「しかし、そこをなんとか…」
オーナー「ダメです」
ハナ「なら私に行かせてください!!」
みゆき「ハナさん!?」
皆が食い下がる中、ハナが前へ出た。
ハナ「私はオーナーと契約しています。オーナーと契約している私なら、特権で自由にデンライナーを降りれるはずです。私に良々ちゃんを説得させに行かせてください」
オーナーは少し沈黙した後、「いいでしょう」と許可を得た。
ラコーンドックイマジン『トドメなのだ!!』
デンオウPF「がっ!!」
ラコーンドックイマジンの柄杓ハンマーをモロにくらい、身体が吹っ飛ぶ。
地面に叩きつけられて、かなりのダメージが良々の身体を襲う。
起き上がろうにも中々起き上がれず、這い蹲ったままだった。
そんなデンオウPFへハナが駆けつけた。
ハナ「良々ちゃん!!」
デンオウPF「ハナ…さん…?」
ハナ「何でモモタロス呼ばないの!?」
デンオウPF「………」
ハナ「このままじゃ…あなたが……──
デンオウPF「ダメ…」
ハナ「え!?」
デンオウPFはハナの言葉を途中で遮った。
デンオウPF「モモタロスは…このままじゃ、ダメ……なの………」
モモタロス『おい、良々!!』
デンオウPF「モモタロス……?」
モモタロス『ようやく繋がった!!良々、待ってろ!!すぐに助けに行く…
デンオウPF「来ないで!!」
あまりのダメージで良々のシャットアウトが切れ、モモタロスが飛び出していこうとしたが、良々はそれを拒んだ。
モモタロス『な、何でだよ!?』
デンオウPF「モモタロス。モモタロスは…前に、好き勝手暴れたい、カッコ良く戦えればそれでいい……そう、言ったわよね?」
モモタロス『!?あぁ…』
デンオウPF「それで……そんな自分勝手な理由で………戦って、私の大事な友達を傷付けるようなら……私はアンタの力なんか……借りない…。死んでもゴメンよ!!!」
モモタロス『ッ!!』
仲間を見捨てる薄情な奴は嫌いだ。
そんなことをモモタロスは良々と出会った日に言った。
あいつは心底友達を…仲間を大事してる。
今の言葉で改めて分かった。
モモタロス『もう……わかった!!これからは一人で勝手に戦わねぇし、お前の仲間を傷付けるような戦い方しねぇって誓う!!
だから……だから、頼むから俺を呼んでくれ!!良々ーっ!!!』
モモタロスの渾身の頼みに良々は
デンオウPF「なら、…自分が本当に悪いと思ったなら……、まず何を言わなきゃいけないかくらい分かりなさい!それを言えなきゃ…。アンタの居場所なんか…ない!!」
それを聞いてモモタロスは少し戸惑ったが、意地を張るだけ自分が情けなくなるだけだ。
モモタロスはすぅっと息を吸い込み立ち上がり、
言った。
モモタロス『ごめんなさあああああぁぁぁぁぁい!!!』
突然の叫び声に全員驚くも、モモタロスは良々の元へ向かった。
オーナーはそれを見届けると、席へ腰を下ろした。
デンオウPFはベルトの赤いボタンを押し、バックルにパスを横切らせる。
<SWORD FORM>
赤い陣羽織が出現し、良々の髪が赤く染まり、髪が一つに纏まり、ポニーテールとなる。
逆さ蝶々結びの白いリボンに鉢巻き、瞳の色が赤くなり、目付きも変わる。
デンオウSF「俺!ようやく、参上!!」
右手親指で自分を指し、両腕を大きく開き、ポーズをとる。
ハナ「モモタロス!!」
ソードフォーム・モモタロスの登場でハナが安堵の声を上げる。
デンライナーの中でも全員が歓喜の声を上げる。
ラコーンドックイマジン『今更出て来ても遅いのだ!!』
ラコーンドックイマジンが、柄杓ハンマーを振り上げ襲い掛かるが、デンオウSFの蹴りでラコーンドックイマジンが吹き飛んだ!
デンオウSF「いまさらもクソもあるかぁ!!俺は最初から最後までクライマックスだ!!」
デンオウSFは両腰のデンガッシャーを組み立て即座に駆け出す。
デンオウSF「行くぜ行くぜ行くぜーっ!!」
ラコーンドックイマジン『おのれぇっ!!だけど、お前の攻撃なんて、痛くも痒くも……――がっ!??』
デンオウSF「オラオラオラァッ!!」
ラコーンドックイマジン『があぁぁぁぁぁっ!!』
デンオウSFのデンガッシャーの斬撃ががラコーンドックイマジンの茶釜に炸裂!!
何と今度は火花を散らし確実にダメージを受けている。
デンオウSF「(何だ!?昨日とは違う。いや、いつもより力のみなぎりかたが違う!!)」
デンオウSFは左手を握ったりひらいたりして、力の具合を調べるが、今まで感じた事のない力が実感できる。
実はこのデンオウベルトとはとり憑いたイマジンの戦闘能力をオーラアーマーとしてそのまま受け継ぎ、さらにそのスペックを極限まで引き出す事が可能な代物なのである。
しかし、イマジンの力の源は取り付いた人間の精神力に左右されるため、昨晩の様に意識のない状態ではその力を存分に発揮することは出来ないのだ。
だが、モモタロスにはそんな事を考えらるほどの頭脳はない。
ただ一つ、今なら誰にも負ける気がしない。
それだけしか考えていなかった。
デンオウSF「何だか知んねぇけど、今日の俺は最高にクライマックスだ!!覚悟決めとけよ!!──良々、何か作戦あるか?」
良々『なら…、
斬って斬って斬まくれぇーっ!!』
デンオウSF「分かり易くて結構!!」
デンオウSFはダッシュで駆け出し、斬る斬る斬りまくる!!
ラコーンドックイマジン『うっ…ぐうっ……何故だ!?何なのだ!?何で……こんな力がどこに…──くらえっ!!』
ラコーンドックイマジンの背中の茶釜が再び開き、熱いお茶が再び発射された!!
デンオウSF「またアレか!!」
デンオウSFは上を見上げて避けようとしたが、
良々『モモタロス、上を向かなくていい!そのまま一気に走り出して!』
デンオウSFは良々の指示に従い、ラコーンドックイマジン目掛けて走り出す。
良々『右に避けて!』
言われたとおりに避けると、見事に回避した。
良々『今度は左!……一旦下がって!』
雨のように落ちてくる砲丸の様な熱湯のお茶をデンオウSFは良々の指示で難なく回避する。
ラコーンドックイマジン『何でなのだ!?何で避けられる!?』
デンオウSF「どういうことなんだ?何で落ちてくる所が分かんだよ!?」
良々『影よ。ちょうど太陽は私たちの背中に昇っている。そこから分かるお茶玉の影から大体の落下地点がつかめたの。──もっとも、それを見切るのに結構時間掛かっちゃったけど…』
言っている内容はいまいち理解できないが、それを聴きながらモモタロスは思った。
デンオウSF「良々…やっぱおめぇはスゲエよ…」
懐まで潜り込んだデンオウSFは後ろ蹴りを放つとラコーンドックイマジンを仰向けにひっくり返した。
ラコーンドックイマジン
「うぐぅ…、しまった!!起き上がれないぃぃぃ…」
どうやら、背中の茶釜が邪魔をして亀のように起き上がれなくなってしまったようだ。
デンオウSF「よーし、良々!一気に決めるぜ!!」
良々『あー、待って待って!』
デンオウSF「?あんだよ?」
デンオウSFがパスを取り出し、必殺技を放とうとしたとき、良々が呼び止めた。
良々『ハナさんにお願いしてきてくんない?』
デンオウSF「おい、ハナクソ女!!」
ハナ「ちょ…ちょっと、その呼び名……」
観戦していたハナはデンオウに呼びつけられた。
ハナは自分の呼ばれ方に不満を持つが、デンオウSFは構わず続けた。
デンオウSF「そんな事より、みゆきを呼んできてくれって良々が言ってやがる!!連れてきてくれ」
ハナは急いでデンライナーのみゆきの元へと向かった。
オーナーは良々がチケットの共有を認めた事で、みゆきをこの時間へ降ろす許可をくれた。
みゆき「良々ちゃん、来たよ!」
みゆきが駆け付けたのを確認するとデンオウSFは良々の意識が表に出る。
デンオウSF・良々「みゆきちゃん、怪我してるのは分かるけど…今、戦える?」
するとみゆきは笑顔を作り、怪我した場所を叩く。
みゆき「大丈夫!このくらい、なんともないよ」
デンオウSF・良々「そう──なら、協力して。あのイマジンは二人で倒す!」
みゆきがキュアハッピーに変身し、良々が作戦を説明してると、ラコーンドックイマジンはやっと起き上がってきた。
ラコーンドックイマジン『この~…だけど一人増えたくらいでぶくの茶釜は砕けないのだぁ!!』
デンオウSF「本当にそうか?」
デンオウSFはパスをベルトのバックルに翳す。
デンオウSF「行くぜ、俺の必殺技・ハッピーバージョン!!」
<FULL CHARGE>
デンオウSFはデンガッシャーを水平に構え、切っ先をラコーンドックイマジン目掛けて突き出す。
ラコーンドックイマジン『うおっ!?』
切っ先──オーラソードはドリルの様に回転し、ラコーンドックイマジンの腹部・茶釜の底にぶつかる。
そのあまりの突貫力はラコーンドックイマジンを貫かなくも、ラコーンドックイマジンを大きく後ろへ押し出した。
ラコーンドックイマジン『こんな攻撃でぶくが……』
ラコーンドックイマジンも負けてはいない!
足を踏ん張り、オーラソードをを跳ね返さんばかりに踏み止まる。
だが、その背中ではハッピーがスマイルパクトに気合いを込める。
デンオウSF「今だ!!ハッピー!!」
ハッピー「プリキュア!ハッピーシャワー!!」
両手をハートの形にしそのまま突き出すと、両手からピンク色の輝くの光線が放たれた!
ラコーンドックイマジン『なっ…!?う、うああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
正面からデンオウのオーラソード、背後からハッピーシャワー。
二つの必殺技の挟み撃ちで流石のラコーンドックイマジンもこれには茶釜が耐え切れなくなり、ついには粉々に爆発した。
「「「「「「「やったーっ(クル)!!!」」」」」」」
デンライナーの中では皆が二人の勝利を分かち合っていた。
イマジンはギガンデスになることはなく、そのまま消滅。
デンライナーは時の砂漠へと戻って行った。
ナオミ「お待たせしました~♪」
注文された飲み物が全員に運ばれてくる。
良々はなおに包帯を巻かれ、傷の手当てをされていた。
なお「何ですぐ私達呼ばなかったのかな?そしたらこんな怪我しないですんだのに」
確かに、どうしてオーナーにまで言って自分達をデンライナーから降ろさないようにして一人で戦っていたのか分からなかった。
良々「信じてたから…──モモタロスなら、ちゃんと分かってくれるって信じてたから……―――これでも信頼してるのよ」
それを聞いたモモタロスは照れ臭そうに頬を掻くと、コーヒーを飲み干す。
みゆき「そういえば、寺田さんはあれからどうなったのかな?」
みゆきの疑問にれいかが答えた。
れいか「彼女はその想いを会長に伝えたらしいです。――しかし、残念ながらその想いは実らなかったようです…。」
それを聞いて皆の表情が少し残念にくもる。
オーナー「失恋するのも…恋の内です」
オーナーは炒飯に挿さったデンライナーの旗を倒さぬように倒さないようゆっくり食べながら淡々と言う。
オーナー「恋は実ればハッピーエンド…そうかもしれません。しかし、幸せ不幸せは表裏一体、心の在り方でその価値は決まるのです。彼女は今回の一件で大切な事を学んだと思います。――――彼女の物語はほんの序章にしか過ぎません。これからどんな物語になるのか……」
炒飯に再びスプーンを入れると旗が倒れた。
ナオミ「はい、ざ~んねん♪」
オーナー「まぁ、いいですけどね。──時の流れはどう進むか誰にも判らない。だから実に面白く、美しい…のだと思います」
オーナーはナプキンをしまうとそのまま退席してしまった。
モモタロス『おい、良々。お前、案外本気(マジ)で戦おうとしてたんだな?』
良々「まあね。これが、私にできる事だから」
モモタロス『何がまあねだ、この野郎』
モモタロスはじゃれるように良々の頭をわしわしと撫でる。
モモタロス『まぁモモタロスってのはセンスねぇけど、センスねぇよな。セ ンスねぇけど……呼びたきゃ勝手に呼べよ』
嬉しそうな声を上げるモモタロスに思わず皆は微笑む。
良々「そうするわ、モモタロス」
モモタロス「………やっぱ、センスねぇ~」
モモタロスの力ない声で皆がドッと笑い声をあげる。
良々「みゆきちゃん」
みゆき「ん?」
良々はみゆきや皆に何か耳打つとみゆきはニカッと笑いスマイルパクトを開く。
良々「モモタロス」
モモタロス『ん?…うおおおっっ!!』
モモタロスが振り向き見たのは、テーブルの幅程の巨大なプリン。
モモタロスはそれを見て驚く。
モモタロス『プリン!!どうしたんだコレ!!』
みゆき「キュアデコルでだしたの」
良々「じゃ、みんなで分けて食べましょ」
モモタロス『やったー!!プリンだプリンだー、わーい♪』
プリンはみんなで仲良く分けて食べた。
その食べたプリンは…なんでか凄く美味しく感じた。
バッドエンド王国
ハロウィッチがようやく帰還してきた。
ハロウィッチが向かった場所はキタカゼの研究施設。
ハロウィッチ「キタカゼ」
キタカゼ「ハロウィッチですか?」
ハロウィッチは短くはっきりと伝えた。
ハロウィッチ「現代で“桜井”を見たわ」
それを聞くとキタカゼは少し反応した。
キタカゼ「ほぅ、貴方が言うならそれは見間違いではないでしょうねぇ…もう少しここに留まっておくというのも悪くはない」
キタカゼは不気味な笑みを浮かべる