スマイルプリキュア&時を超える桃太郎   作:紅鮭

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久々の投稿です。


僕に釣られてみる?(前編)

七色ヶ丘臨海公園

 

 

 

 

 

アカオーニ「ま、待ってくれだオニ!!」

 

デンオウSF「それはこっちのセリフだ!!待ちやがれーっ!!!」

 

 

公園の真ん中で赤鬼を追いかけ回す桃太郎。

言うまでもない、桃太郎はデンオウSFだ。

そして、追いかけ回される赤鬼はバッドエンド王国のアカオーニである。

 

 

「いけー!ももたろー」

「がんばってー」

 

周囲では小さな子供が声援を送り、デンオウSFを応援する。

どうしてこんな状況になったのか。

それは遡ること3分前。

 

良々「最悪だー!!」

 

 

良々そう叫びながら走っていた。

何故なら、今朝目が覚めたら目覚まし時計が電池切れで止まっていたからだ。

今は遅刻寸前、息を切らしながら走る。

 

 

良々「にしても…どうしてこんなに鞄が重たく感じるのかしら……?連日の戦いの所為?」

 

 

ここ最近イマジンに加え、ウルフルンや、マジョリーナ、ハロウィッチの侵略に加え、青っ鼻のアカンベエ(ちなみに、デンオウの技は浄化ではなく、消滅なので有効である)など、最近は戦いに戦いの連続である。

体に疲れが溜まっているな、と思っていたその時、

 

 

モモタロス『うはぁ、今朝から早々ついてねぇなぁ。良々』

 

 

すると、バックの中からぬいぐるみに入ったモモタロスがひょっこり顔を見せた。

 

良々「うん……ってお前の所為かぁ!!!」

 

モモタロス『へ?何だよ』

 

 

モモタロスは訳がわからないというような顔をした。

 

 

良々「いい?アンタは今契約してないからアンタは今砂なわけ!!いくら小さなぬいぐるみに入ってもその質量は変わらないの!」

 

モモタロス『だから?』

 

良々「アンタ、ホントバカ!?私は今までアンタくらいの砂袋をバックにいれて走ってたって事なの!!そりゃ疲れんの当たり前だぁ!!」

 

モモタロス『ああ、そういや。今俺砂だったな』

 

良々「なるほどじゃなーい!!」

 

 

モモタロスをデンライナーに帰して時計を見た。

このままじゃ本当に遅刻してしまう。

そこで、近道する為にすぐそばの臨海公園を横断することにした。

しかし、その途中でモモタロスがまたひょっこり出てきた。

 

 

モモタロス『おい、良々』

 

良々「今度は何?」

 

 

走りながら、返答する。

 

 

モモタロス『バッドエンドの匂いだ』

 

 

その一言で立ち止まる。

 

 

 

 

 

 

 

バッドエンド王国からやって来たのは、大柄の巨体に金棒を担ぎ上げた赤鬼。

アカオーニ。

 

アカオーニは臨海公園の上空に佇んで公園を見下ろしていた。

公園では無邪気に遊ぶ子供達とそれを微笑ましそうに見守っている母親の姿があった。

 

 

アカオーニ「ぐあー、気分悪いオニ!なんていい笑顔オニ!」

 

 

アカオーニも含め、バッドエンドの住人は笑顔を嫌う。

それはアカオーニも例外ではない。

アカオーニはこの笑顔を黒く染めてやろうと思い魔本を開く。

 

 

アカオーニ「世界よ最悪の結末、バッドエンドに……「てぁっっ!!」ぐへっ!!?」

 

 

アカオーニが魔本を広げ、黒いチューブを握り潰そうとしたその時、掛け声と共に何かがアカオーニの腰に直撃!!

アカオーニはそのまま公園の芝生の上に墜落した。

辺りの子供や人は何事かと思いアカオーニに注目する。

 

 

アカオーニ「あいたたたたた、一体なんだオニ!!」

 

M良々「よう、赤鬼野郎。お前、バッドエンドだな?」

 

 

アカオーニの目の前に現れたのは前髪と瞳の色の赤い、モモタロスの取り憑いたM良々だった。

先程アカオーニの腰に直撃したのはM

M良々の蹴り上げた駐車止めの短い石柱。

 

 

アカオーニ「お前誰だオニ!!」

 

 

金棒を振り上げ威嚇するアカオーニに対しM良々は平然と余裕をかました。

 

 

M良々「俺が誰だぁ……?何だ、お前、俺を知らねぇのか?」

 

アカオーニ「お前なんか知るかオニ!!」

 

M良々「俺を知らねぇとは遅れたやつだな」

 

 

M良々はベルトを腰に巻き付けると高らかに宣言した。

 

 

M良々「じゃあ今から、俺のカッコいい変身見してやるからよくみとけ」

 

 

ベルトの赤いボタンを押し、跳び六方みたいに両腕を広げ、叫ぶ。

 

 

M良々「変身っ!!」

 

 

 

 <SWORD FORM>

 

 

 

手に持っていたパスケースをバックルに横切らせる。

すると、良々の身体は黒と灰色のライダースーツを身に纏い、

手には手の甲を丸く覆う肘までの白い手甲、

足は白足袋に膝を覆う白い脚絆。

それに何処からともなく現れた丈の特攻服のような陣羽織を羽織り、ベルトが羽織を締める。

最後に髪全体が赤く染まり、白く大きな逆さ蝶々のリボンが良々の髪をポニーテールへと纏め上げ、白い鉢巻きが真ん中分けの額に巻かれる。

 

 

デンオウM「俺、参上!!!」

 

 

親指で自分を指し、腰を回しながら両腕を広げ、決めゼリフを叫ぶ。

 

 

子供A「あ、へんしんした!」

 

子供B「ママ~、あのおねえちゃんももたろうにへんしんしたよ!」

 

母親「何かの撮影かしら?」

 

 

それを見ていた子供達は目を輝かせて口々に喜んでおり、大人は何かの撮影かと不思議がった。

そんな子供達にデンオウSFは手を振って応える。

 

 

アカオーニ「ぬ!お前、まさか噂のデンオウかオニ!?」

 

デンオウSF「何だよ、知ってんじゃねぇか…」

 

アカオーニ「知ってるぞオニ!特異点に取り憑いたマヌケだとなぁオニ!」

 

 

その言い方にカチンと来たが、気を取り直して言い放つ。

 

 

デンオウSF「その言い方は気にくわねぇな。まぁ、最初はハズレだと俺も思ったさ。けどな、案外こいつはアタリだ!何故なら退屈しねぇからだ」

 

 

モモタロスがチンタラしているのをみて、良々が口を挟んで来た。

 

 

良々『モモタロス、戦うなら早く戦って早目に終らして!』

 

デンオウSF「へいへい…」

 

アカオーニ「特異点もろとも潰してやるオニ!」

 

 

アカオーニは金棒を振り上げ、こちらに向かってくる。

 

 

デンオウSFは腰のデンガッシャーに手を延ばしたその時、

 

 

 

 

 

 

ゴキッ!

 

アカオーニ「あがっ……!!!」

 

良々『へ?』

 

デンオウSF「あ?」

 

 

何かが砕ける音と共にアカオーニは地面に這い蹲った。

 

 

良々『モモタロス…何かやった?』

 

デンオウSF「いや、まだ何も…してねぇ…はず」

 

アカオーニ「こ…腰が……オニ!」

 

デンオウSF「腰?………あ」

 

 

お気付きの方も多いだろう。

実は先程M良々が蹴り飛ばした駐車止めの石柱がアカオーニの腰にクリーンヒットし、腰を砕いてしまったのだ。

 

 

アカオーニ「痛いオニ痛いオニ~!!」

 

 

アカオーニは腰を抑えながら呻く。

 

 

デンオウSF「おいおい、萎えんじゃねーか。ま、弱った奴をいたぶるのは好きじゃねぇけど、目の前にいる敵はほっとく訳にはいかねぇよな?」

 

 

デンオウSFはデンガッシャーを素早く組み上げ、突撃して行く!!

 

 

デンオウSF「行くぜ行くぜ行くぜーっ!!」

 

アカオーニ「ま、待て…オニ!」

 

とまあ、こんな経緯があり、アカオーニは腰を抑えながら、デンガッシャーを振り回すデンオウSFから逃げ回っていた。

 

 

デンオウSF「てめぇ!!いい加減往生しやがれ!!俺は鬼ごっこする気はねぇんだよ!!!」

 

アカオーニ「だから、待ってくれと言ってるオニ!!」

 

 

アカオーニはアカンベェを呼ぼうとしたが、腰が痛い上に逃げ回りながらではそれは無理だった。

 

 

デンオウSF「だから逃げんじゃねぇ!!赤鬼野郎!!!」

 

 

デンオウSFは埒があかないとみると、アカオーニの落としていった金棒を拾い上げ、アカオーニ目掛けてぶん投げる!

 

 

カーン!

 

アカオーニ「ぐほっ!!」

 

 

金棒はアカオーニの後頭部にヒット!!

 

 

 

そのまま地面に倒れこむ。

 

 

 

デンオウSF「じゃあ、最後に俺の必殺技くらわしてお終いだ。ちなみに今日のは一味違うぜ」

 

アカオーニ「ほざけオニ!!」

 

 

強気にでるアカオーニだったが、腰を抑えてよっこらせと立ち上がる。

 

 

デンオウSFはパスをベルトのバックルに翳すと電子音が辺りに響く。

 

 

 

 

 <FULL CHARGE>

 

 

 

 

デンオウSFはパスを放るとデンガッシャーを構える。

バックルから出た光の線はデンガッシャーの柄頭に繋がり、オーラソードを上空へ飛ばす

 

 

デンオウSF「俺の必殺技……パート2ダッシュ」

 

 

デンオウSFはデンガッシャー本体を横に振るとオーラソードがそのスイングに沿って飛来し、アカオーニを斬りつける。

 

 

デンオウSF「てぁっ!!」

 

アカオーニ「ぐあっ!!」

 

デンオウSF「とりゃぁっっ!!」

 

 

今度はデンガッシャーを反対に振るうとオーラソードはアカオーニを反対からも斬りつける。

 

 

アカオーニ「ぐふ、はっ…!!」

 

 

 

 

デンオウSF「これで終わりだぁっ!!」

 

 

アカオーニの死角からオーラソードを振り下ろさせる!!

アカオーニはオーラソードを視界に捉えるが回避するには遅すぎた。

 

 

ズドォォォォン!!!

 

 

轟音と共にオーラソードが地面をえぐり、土埃が辺りに舞う。

 

 

デンオウSF「ん?チッ、手応えがねぇ。逃げたか…」

 

 

オーラソードがデンガッシャーに戻り、デンオウSFがつまらなそうにぼやく。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、この戦いは見られていた。

ひとつの光の球体に…

 

 

???『ふ~ん、アレがデンオウか…結構いい釣り場になりそうだね♡』

 

フワフワと光の球体──イマジンはベルトを外し、変身を解いた良々を見つめていた。

 

 

 

 

 

【バッドエンド王国】

 

先程地球より帰還したアカオーニはベットにうつ伏せに寝て、マジョリーナに湿布を貼ってもらっていた。

 

 

アカオーニ「いててて…もっと優しくするオニ」

 

マジョリーナ「贅沢言うなだわさ」

 

ウルフルン「で、偉そうに出かけて行った割には惨敗して、バッドエナジーすら集められず、その上腰おかしくして戻って来たってことか?」

 

ハロウィッチ「ホント、情けないわね」

 

ウルフルン「ああ、情けない」

 

マジョリーナ「情けないだわさ」

 

アカオーニ「うるさいオニー!!──あいたたたたた……」

 

ハロウィッチ「あんまり怒鳴ると腰に響くよ。だからデンオウには気を付けろって言ったじゃん」

 

アカオーニ「あんな過激派だったとは知らなかったオニ。ルールもへったくれもないオニ」

 

ハロウィッチ「はぁ?知らなかったって、…まるで子供の言い訳ね」

 

 

ハロウィッチは嘲笑う。

 

 

アカオーニ「何だとオニ!!…いたたたたた───くそ~、鬼が桃太郎にやられる……、おとぎ話と同じで面白くないオニ!!」

 

ウルフルン「それより、今回お前が持ってったイマジンはどうなんだ?」

 

アカオーニ「え?」

 

ハロウィッチ「え?じゃないわよ。出かける前に一体渡したじゃん」

 

 

ハロウィッチが確認するようにアカオーニに尋ねる。

 

 

アカオーニ「あ、忘れてたオニ」

 

 

ついうっかりという感じで言う。

 

 

ハロウィッチ「じゃあ、あっちに置きっぱなしってこと!?」

 

 

ハロウィッチは頭を抑え溜息をついた。

 

 

ハロウィッチ「もういい、アタシが行ってくる」

 

 

ハロウィッチは光の球体を連れてまた地球へと向かって行った。

 

【デンライナー・食堂車】

 

 

ナオミ「はい、コーヒーお待たせしました~♪」

 

モモタロス『お、来た来た』

 

 

ナオミの極彩色の泡の乗ったスペシャルブレンドコーヒーがモモタロスに持ってこられる。

 

 

モモタロス『ん~、美味い!!やっぱ戦いの後のコーヒーは最高だな』

 

ナオミ「ありがとうござます♪」

 

 

ナオミは褒められて上機嫌となり、ナオミのコーヒーを飲みながら絶賛するモモタロス。

ハナは何か本を読みながら一服しており、オーナーは相変わらず炒飯と格闘中。

すると、モモタロスが何かに気付いたかのか辺りを見回す。

 

 

モモタロス『おい、なん~か…匂わねぇか?』

 

ナオミ「わかりますか?実はコーヒーにジャムを……」

 

モモタロス『そうじゃなくて…イマジンの匂い…?』

 

ハナ「イマジンはアンタでしょ?」

 

モモタロス『………そうでした』

 

 

モモタロスは不審な匂いを嗅ぎとるも対して気にする事もなく。

そのままコーヒーを満喫する。

しかし、どうも鼻に付き顔をしかめる。

 

 

モモタロス『どうも引っかかる……おい!俺じゃねぇのがいるだろ』

 

ハナ「まさか、アンタだけ十分!」

 

 

しかし、それもハナに一蹴されてしまう。

 

 

オーナー「別にいいですよ。…イマジンだろうと、ヒマジンだろうと…チケットさえあれば誰でも時の列車には乗れます」

 

 

パタと炒飯に刺さっていた旗が倒れた。

 

 

オーナー「おぅ!」

 

 

逆ムンクの手付きで残念がる。

 

その頃、サッカー少年・斎藤大輝は今日もトボトボと帰路に着いていた。

結局、今回の練習試合 でもベンチから出してもらえなかった。

あまりの居た堪れるなさに今日も早退してしまったが、 メンタル的にはもう大丈夫なのだ。

それなのに監督は、いつまでも自分を復帰させてくれない。

「ベンチで見ているだけでも立派な活躍だ」

なんて綺麗事を言ったって、自分をベンチから出さないのは監督の方じゃないか。

理不尽極まりない。

思い返せば去年の10月自分が皆の期待を背負って挑んだPK戦…。

 

 

大輝「俺だって…」

 

 

大輝は足元に転がっていた空き缶を蹴り飛ばす。

 

 

 

 

 

 

 

良々「だめだぁ…完全に遅刻だ」

 

 

ガックリと項垂れながらも走る良々。

あの戦いの後、変身を解いた途端、その戦いを見ていた子供達に囲まれ、色々な質問責めに会い、誤魔化すのにかなり時間が掛かった。

 

 

良々「佐々木先生に、何て言い訳しよう。戦ってましたなんて言えるわけないし…」

 

 

はぁ、と溜息を吐いてると、先程大輝に蹴られた空き缶が運の悪い事に良々の頭にヒットした。

 

 

良々「痛ぇっ!!」

 

 

そのままふらつき荷台に荷物を積んだ停車した軽トラにぶつかる。

 

 

良々「ぐはっ!!」

 

 

すると荷台に積んでいたダンボールが見事良々の上に落下。

ダンボールには重たい物が入っていたらしく。

良々は白目を剥いて倒れてしまった。

 

 

大輝「あ、…やべ」

 

 

大輝はそのまま知らん顔して走り去ってしまった。

 

 

そんな時、気を失った良々の身体に光の球体が近づいて来て良々の身体の中に入り込んだ。

 

 

「君、大丈夫かい!?」

 

 

そこにトラックの業者の人が良々に駆け寄って来た。

声を掛けられた良々はゆっくりと起き上がり、青い瞳が怪しく光っていた。

 

【七色ヶ丘中学校】

 

その頃、みゆき達の教室では

 

みゆきが良々の席を見ながら心配そうな顔をしていた。

 

 

みゆき「良々ちゃん遅いね」

 

あかね「何かあったんやろか?」

 

 

あかねももうすぐ授業が始まるのにまだ教室に来てない良々を心配する。

とうとう予鈴が鳴り、授業が始まる。

ドアが開き担任の佐々木が教室に入ってきた。

 

 

佐々木「HRを始める前に皆さんにお伝えしなければならない事があります。先程、野上さんが病院に搬送されたとのご連絡がありました」

 

 

それを聞いたみゆき達は驚きに目を見開き、教室はざわめく。

 

 

佐々木「大した事ではありませんが、野上さんは今日はお休みです。帰りに誰か野上さんのお見舞いに行ってくれる人はいませんか?」

 

みゆき「なら私行きます!」

 

あかね「ウチも行かせて下さい」

 

そして、放課後

 

みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、いつものメンバーは良々のいる病院に到着した。

 

 

あかね「にしても、良々ってどこまでついてへんのやろか」

 

みゆき「トラックに積んであった荷物に頭を打つなんてそうそうないよね」

 

やよい「最初はトラックに跳ねられたかと思ってビックリしちゃったよ」

 

なお「まあ、大したことなくてよかったじゃない」

 

れいか「皆さん、着きましたよ」

 

 

良々のいる病室に着き、扉を開ける。

 

 

あかね「おう、良々。お見舞いに来たで。どや、ひとりで心細かった……や………ろ………」

 

なお「あかね、どうしたの?……え?」

 

 

 

先頭にあかね立っていたあかねがいきなり止まり、他の4人もあかねの脇から病室を覗くと、そこには

 

 

 

看護婦「あい、あ~ん」

 

良々「あ~ん♫」

 

看護婦A「おいしい?」

 

良々「んん、おいしい♡」

 

おばあちゃん「お饅頭食べるかえ?」

 

良々「ありがとうござます」

 

看護婦B「他に欲しい物があったら言ってね」

 

良々「いえ、皆さんさえ居て頂ければ、僕…とっても幸せですよ♡」

 

看護婦B「もう、上手いこと言って♡♡」

 

看護婦や他の患者(主に女性)に囲まれてちやほやされていた。

 

やよい「随分、楽しそうだね」

 

みゆき「うん」

 

婦長「コラーッ!!アンタ達」

 

 

たまたまそこに通りかかった婦長が、みゆき達を押しのけズンズンと中へと入ってきた。

 

 

婦長「ほら!自分の職場に戻った戻った、患者さんは自分のベットに!あなたもね、病院は怪我を治す所なの。あんまり看護婦さんに迷惑かけちゃダメでしょ?」

 

 

婦長が良々に言い聞かせる様に軽くお説教するが、良々は涙腺をウルウルさせて婦長を見る。

その顔に婦長はドキッとした。

同性な事はわかっていたが、なぜだか良々の雰囲気は優男を思わせる感じがしたのだ。

 

 

良々「ごめんなさい…、僕…ひとりでいるのが…とてもつらくて…つい……、看護婦さんや他の患者さんに迷惑かけたのなら謝ります。ごめんなさい!」

 

婦長「あ、いえ…」

 

 

婦長も流石に言いすぎたと思い、

手を振って良々に何か声を掛けようとした時、良々が婦長の手を強く握った。

 

 

良々「でも、婦長さんって、しっかりしてて、とてもお優しい方なのですね…。まるで一昨年亡くなった僕の姉の様…、たった一人の家族だった……うっ、うっ、うっ…」

 

婦長「そうだったの…」

 

良々あまりのつらい様子に婦長や周りの看護婦や患者は涙ぐんだ。

 

 

みゆき「そうなんだ…、良々ちゃん。一昨年お姉さん亡くしてたんだ」

 

やよい「つらかったのね……」

 

なお「ああ…」

 

 

みゆき、やよい、なおは良々の話に涙していたが、あかねとれいかはというと…

 

 

あかね「何か…わざとらしいなぁ」

 

れいか「お姉さんがいたことにも初耳ですし…」

 

 

そして、皆はあまり気にしていなかった。

今の良々は七三に分かれた青い前髪、髪は首のうなじの部分で束ねる様に結ばれて、双眼は青く光り、黒縁の横長六角形の眼鏡が掛かっている事に。

 

 

 

 

 

【デンライナー・食堂車】

 

 

 

 

モモタロス『クソッ!!やられた!!』

 

 

モモタロスはテーブルを叩き、憤慨していた。

 

 

ハナ「どうしたの?」

 

モモタロス『良々がのっとられたんだよ!!やっぱさっきのは勘違いじゃなかった。もう一体別なイマジンが取り憑いていやがる!!』

 

ハナ「何ですって!?」

 

モモタロス『クソッ!!何考えてやがる。俺がいる事はわかってる筈だろ!!』

 

ハナ「何で?……そんな事してもメリットなんてないはずなのに………それで!良々ちゃんは今どうなの?」

 

モモタロス『繋がんねぇ!多分良々の奴意識ねぇんだ』

 

ハナ「何とかならないの!?」

 

モモタロス『無茶ゆうな!主導権握られてんだぞ!!』

 

 

ハナはどうしたらいいのか焦るあまり、頭皮をかく。

 

 

モモタロス『こうなったら俺が直接追い出すしかねぇ!!』

 

 

モモタロスは席に座り唸る。

 

 

ハナ「イマジンに2体も憑かれるなんて、どこまで運が悪いの。良々ちゃん」

 

 

ハナは時計を見ながら呟く。

デンライナー停車時刻まで後少し

 

 

 

 

 

同じ頃、サッカー少年の斎藤大輝はというと、

 

 

大輝「つい、逃げちゃったけどあのお姉ちゃん大丈夫かなあ?」

 

 

コンクリートの壁に向かってボールを蹴り一人で練習しながら、今朝の事に罪悪感を抱いていた。

 

 

大輝「今度会ったら謝ろう…」

 

 

そう、自分に言い聞かせて練習を続けた。

 

しかし、そんな大輝に魔の手が迫る。

 

 

ハロウィッチ「よし、あの子供に取り憑け」

 

 

ハロウィッチがそう言うと、光の球体は大輝の身体の中へと入る。

途端に、大輝の身体から砂がこぼれる。

 

 

大輝「え?」

 

 

砂は大輝のイメージに従い、形作る。

 

 

大輝「ひっ…!」

 

 

その砂の怪物に驚くが、

女のシルエットが見える砂の怪物は大輝をなだめながら要求した。

 

 

???『そう、怖がらなくていいよ。あたしはアンタの願いを叶える妖精さ。…ただ、アンタはあたしにあるモノをくれればいい。さあ、言ってごらん。アンタの望みを……』

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