スマイルプリキュア&時を超える桃太郎   作:紅鮭

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なおは許セン、亀は慢心

モモタロス『フンッ!!』

 

 

いきなりウラタロスの首筋を掴むモモタロス。

しかし黙って食らってやる筋合いもない。

 

 

ウラタロス『い、た、い、なぁ、もうっ!』

 

 

モモタロスの腕を捻り、テーブルに頭をを打ちつけた。

もんどりうって叩きつけられるモモタロスに、ウラタロスの追撃ボディプレスが襲い掛かる。

 

 

モモタロス『くらうか!!』

 

 

それをモモタロスは机の下に潜ってかわし、キッチンテーブルに投げ飛ばす。掴み合い、投げ合う二体のイマジン。

 

 

モモタロス『この野郎!!』

 

ウラタロス『効かないよ!!』

 

 

デンライナーが激しく揺れる。

盛り上がるナオミ。

車輪も悲鳴を上げ始め、このままでは脱線する。

 

 

モモタロス『へぶっ!!』

 

ウラタロス『ぐほぁっ!!』

 

 

突然、デンライナーの食堂車のドアが開き、第三者が乱入してきた。

 

 

ハナ「何やってんの!!あんた達!!デンライナーが壊れたら、私達、時の中を永遠に彷徨う事になるのよ!!それでもやるっていうなら──」

 

 

ダンっとテーブルに脚を掛けると、

 

 

ハナ「私が相手になる!!!」

 

 

ハナの怒声にモモタロス、ウラタロスはあまりの恐怖に凍てついてしまった。

 

それは後ろにいた6人も同じだった。

 

 

「「「「「「(怖っ!!)」」」」」」

 

ナオミ「カッコイイ~!」

 

 

しかし、まだ反抗的な態度を見せるモモタロス。

 

 

モモタロス『けっ、ハナクソ女が…』

 

 

そう呟いた瞬間、ハナはモモタロスとウラタロスの間の壁にフォークを投げつけ突き刺さり、直立した。

 

 

モモタロス『──っ!!』

 

ウラタロス『──っ!!』

 

 

それを見て一言、

 

 

モモタロス『これは良くないんじゃない?』

 

冷静にいった。

 

不気味な怪物にサッカーチームの友達が襲われたと母親から話を聞き、斎藤大輝はベッドの中で震えだした。

間違いない。

優しそうな声で言い寄って来たあいつの仕業だ。

でもどうすればいいの?

怪物に立ち向かう力も勇気もない少年には、ただ怯える事しか出来なかった。

 

マーメイドイマジン『“サッカーチームのレギュラーに戻りたい”。それがアンタの願い?…お安い御用♡すぐにアンタはレギュラーに返り咲くよ』

 

ハロウィッチ「無駄な戦いをしないというのは賢明だけど、…思ったより弱いねぇ、アンタ」

 

マーメイドイマジン『手厳しいお言葉でございます』

 

 

別の場所ではハロウィッチとマーメイドイマジンがこれからの作戦を練っていた。

契約者の精神力、つまりイメージが弱かったためか、あまり強いイマジンにはならなかったらしい。

過去へ飛び契約者とのつながりを絶ってしまえば関係ないのだが、契約の最中ではイマジンの力量は契約者の精神に比例する。

 

 

ハロウィッチ「仕方ない、キタカゼに渡されたこれを使うか…」

 

 

ハロウィッチが取り出したのは絵の具で絵を描くために使う絵筆。

それををかざし振ると、マーメイドイマジンの身体がみるみる内に変化していく。

 

 

マーメイドイマジン『お、おおおおおおおお!!!ハロウィッチ様…これは……』

 

 

ハロウィッチ「バッドエナジーは何も集めるだけではない…ふふふっ」

 

 

 

【デンライナー・食堂車】

 

 

ウラタロス『いやー、ハナさんに、良々ちゃんに、みゆきちゃんに、あかねちゃんに、やよいちゃんに、なおちゃん、れいかちゃん。いいね~、女の子が7人もいる列車なんて♪あ、ナオミちゃんもいれたら8人か…』

 

 

すっかり上機嫌のウラタロス。

 

 

キャンディ「キャンディも女の子クル」

 

ウラタロス『はいはい、プラス一匹ね…』

 

 

適当に流した。

 

 

ウラタロス『にしても…酷いよねぇ、この姿。ま、外に出る時は彼女の身体借りるから、いっか…』

 

良々・モモタロス

「『いいわけない(でしょ・だろ)!!!」』

 

 

ふたりは息を揃えて返した。

 

 

モモタロス『いいか!良々の身体は俺のモンだ。テメェの入る隙間は一ミリたりともねぇ!!』

 

良々「あんたも何さらっと言ってんの!私の身体はアパートじゃないのよ!それと、そうゆう言い方やめて、エロいから」

 

ウラタロス『あららホント、デリカシーないよね~、あのイマジン』

 

 

何気に肩を組んでくるウラタロスを振り払う。

 

 

良々「勝手に人の身体を使うイマジンに言う資格は無いから」

 

ウラタロス『釣れないな~』

 

 

爪をいじりながら、いじける。

 

 

なお「それより、ウラタロス」

 

ウラタロス『もう、その名前確定!?』

 

 

ウラタロスのショックも構わず、なおは続ける。

 

 

なお「何で良々ちゃんに取り付いたの?どうせあいつらの回し者でしょ?」

 

ウラタロス『ああ、誤解しないでよね。僕はバッドエンドとは関係無いよ。僕はのんびりライフを堪能できればそれでいいんだから』

 

ハナ「信じらんないわ。そんな事、…大体良々ちゃんは───」

 

ウラタロス『特異点でしょ?』

 

 

ハナの言葉を先に発したウラタロスの言葉にハナとモモタロスは驚いた。

 

 

モモタロス『ちょっと待て! お前、分かって憑いたのか!?』

 

ハナ「自由に動けなくなるのに!?」

 

ウラタロス『デメリットなくして、メリット無し。時の運行を変える…なんて、やりたい奴がやればいいし…』

 

ハナ「そっか、イマジンの本来の目的さえ考えなかったらそっちの方が得する事もあるんだ」

 

ウラタロス『そーゆーこと』

 

 

話の趣旨がいまいち理解できない他の6人は何となく話を聞いていたが、れいかが疑問を投げかけた。

 

 

れいか「あの、どういうことでしょうか?ウラタロスさんは良々さんが特異点だと分かって憑いたらしいのですけど、特異点にとってのメリットとは何なのですか?」

 

良々「確かに、ハナさんから特異点についてあまり聞かされて貰っていないから…どういう事?」

 

 

そう聞くと、ウラタロスは椅子に腰をかけ、咳払いする。

 

 

ウラタロス『まず、一言で言えば、特異点とは“どんな時の変化も受けない”と言っておこうかな』

 

やよい「どんな時の変化も受けない?」

 

みゆき「歳を取らないって事?」

 

ウラタロス『それはちょっと違う。まぁ、僕達イマジンが特異点に取り憑くという事は時の影響を受けず、時の流れに置き去りにされる事を意味するんだ。時の流れに置き去りにされる事は時の改ざんができなくなり、その上特異点に縛られて自由に動けなくなってしまうという足枷付き。イマジンにとってそれはデメリットにしかならない。

ところが、特異点に取り憑いてれば、その取り憑いたイマジンは特異点と繋がっているからこの特異点である良々ちゃんの過去に何が起きたとしても、現代の良々ちゃんには影響がなく、僕も安全って事。加えて、良々ちゃんに取り憑いて、過去にさえ跳ばなければ何をしてもその行動が時の運行を乱す事はないと言う事なんだ。おわかり?』

 

みゆき「う~、眠い…。もうちょっとわかりやすく…」

 

あかね「あ~、アタマピヨピヨする~~~……」

 

 

みゆきや、あかねは難しい授業を聞いてるみたいでパニック状態だった。

 

 

れいか「つまり特異点って言うのは絵本に挟む”しおり”みたいな物なのですか?」

 

みゆき「しおり?」

 

れいか「そして『時間』そのものがその『絵本』であり、『特異点』が『しおり』、『それ以外の人』は『絵本の中の登場人物』と言ったところ──」

 

 

みゆきや他の皆がれいかが説明を聴きながら想像する。

 

 

れいか「絵本のどのページにしおりを挟んでも本の内容、つまり時の流れには直接関係しないのが特異点の利点なのです。『桃太郎』でおばあさんが川で洗濯をしているところで犬猿雉が登場してきては内容がこんがらがってしまいますから…」

 

ウラタロス『まぁ…、そんな所』

 

あかね「う~ん、物は言いようちゅうか…何ちゅうか…」

 

 

ハナ「まあ、特異点についてはまだよく分からない所が多いから…そんなに急がなくてもいいよ。それより今は逃げたイマジンを追わないと」

 

良々「よし、じゃあ行こ──とっとっとっとっ…」

 

 

立ち上がった良々はフラフラとふらつき、なおとれいかに支えられた。

 

 

なお「ちょっと、無茶しないで。良々ちゃん」

 

れいか「まだ体調が優れないのですね。ここはわたくし達にお任せください」

 

良々「う~ん、分かった」

 

 

良々の調子が悪いので、留守番組と捜査組に分かれて行動することにした。

捜査組はハナとれいかとなお、留守番組は良々とみゆきとあかねとやよい、モモタロス。

捜査組の方針はハナとれいかとなおは襲われた少年の病院へ行き、留守番組はウラタロスの見張りで決まった。

 

 

 

 

 

 

探索を開始して一時間が経過。

やはり病院へ行ってみると、襲われた少年が何人も入院していた。

さらに、その少年達の共通点は同じ少年サッカーチームのメンバーであることがわかった。

それならば、まだ襲われていないメンバーから何か情報が聞き出せるかもしれない。

ハナはデコルで具現化したケータイでれいかとなおに連絡を取り、二人は聞きこみを再開。

今度はデンライナーのみゆき達に連絡をいれた。

ついでに良々とウラタロスの様子をみゆきに聞いた所。

 

 

みゆき「良々ちゃんならウラタロスさんと一緒にイマジン探し手伝いに行きましたけど?」

 

ハナ「何ですって!!?」

 

あれ程無茶はするなと言い聞かせたのに。

その上、あの何を企んでいるか分からない腹黒イマジンを逃がすなんて…。

すると今度はモモタロスが大泣きになりながら事情を話してきた。

 

 

モモタロス『そうゆうなって…あいつもあれで苦労してたっつーか、何とゆーかさぁ…──』

 

それはハナとなおとれいかが探索に行ってしばらくしてのことだった。

 

 

ウラタロス『ふーん、…案外──』

 

モモタロス『なんだよ…?』

 

ウラタロス『静か過ぎってゆーか、退屈ってゆーか…』

 

モモタロス『いっとくけどな、てめーがいなかったら楽しい電車なんだよ!ここは』

 

あかね「こら、モモタロス!!そないな言い方あかんやろ!」

 

やよい「イマジン同士仲良くしようよ。ね?」

 

モモタロス『何だよ、こいつの肩入れするのかよ?』

 

 

モモタロスはウラタロスを指差し言う。

 

 

良々「そうねぇ…ウラタロスの方が優しそうだし、私モモタロスより、ウラタロスと一緒に戦っちゃおうかしらねぇ?」

 

良々はからかう感じでチラッとウラタロスほうへと視線を向ける。

 

モモタロス『はぁ!?この間コンビ解散しかけたばっかなのにか!?』

 

良々「冗談よ。モモタロスってすぐ本気にするんだから」

 

 

からからと、良々がおおらかに笑う。

それにつられて、みゆき、あかね、やよい、そしてキャンディも笑う。

 

その様子を見て、ウラタロスはクスリと笑う。

 

 

ウラタロス『それにしても──ホント久しぶりだなぁ…こんなに楽しく人と話すのって…』

 

みゆき「? それってどういうこと?」

 

みゆきが何となく訊いてみると、ウラタロスは少しの沈黙の後口を開いた。

 

 

 

ウラタロス『僕はねぇ、捨てられたんだ。ハロウィッチに…』

 

やよい「え?」

 

 

皆が静かに驚く中、ウラタロスはゆっくりと話す。

 

 

 

 

 

僕はね、イマジンの中では出来損ないだったみたいなんだ──

 

ハロウィッチに見限られて、時の砂漠に放り出され──

 

そこから先は語る価値もない

ただ、砂と岩しかない世界を彷徨う日々──

 

何年も何年も彷徨って、手足は砂のザラザラした感触しかしなくて…砂の味しかしない唇を毎日毎日噛み締めた──

 

本当に辛かった!!

淋しかった!!

苦しかった…

死にたかった…

 

そんなある日、地平線の彼方にこの列車を見たんだ──

 

その中から聞こえてくる女の子達の笑い声──

 

僕はいつも憧れを抱いていた──

 

いつか…いつか僕も…あの列車に乗るんだ──

 

 

ウラタロス『そして、この列車の歪みに乗って現代に帰ってこれたんだ。そして、ようやく手に入れたんだ──自由を…。叶えたんだ──夢を…』

 

良々やみゆき、あかね、やよい、モモタロス、キャンディはこの話を聴き、涙した。

モモタロスに至っては号泣している。

 

モモタロス『──と、言うわけでアイツ…俺たちの役に立ちたいってお願いするから良々と一緒に…──

ハナ「馬鹿!!バカモモ!!」

 

 

ハナはこの話を聴き、モモタロスの鼓膜をぶち破らんばかりの怒声をあげる。

 

 

ハナ「アンタ達イマジンはハロウィッチに作られたのは ついこの間なのよ!どうして何年も彷徨えるのよ!!』

 

モモタロス『え?』

 

みゆき「あ…」

 

 

 

ハナ「砂の味しかしない唇!?砂の感触しかしない手足!?──良々ちゃんに取り憑くまで実体がなかったのに…そんなの嘘に決まってるでしょ!?みゆきちゃん達ならともかくイマジンのアンタが騙されてどうするの!!」

 

たしかに、思い返してみれば、3人に残ってといったのは他でもない、ウラタロス。

イマジンを探索するなら少なくとも一人は連れて行くぐらいはするはず…

 

やよい「と、言うことは…」

 

あかね「ウチらまんまと…」

 

『「「「「騙された~~~~~!!!』」」」」

 

 

急いで良々に渡したケータイに連絡したが、どこの誰かも分からない人が出た。

おそらく、良々に憑いたウラタロスが隙をついてその人のポケットにいれたのだろう。

モモタロスも良々と連絡をしようとしたが、ウラタロスが見事締め出していた。

 

その頃、なおとれいかは公園で斎藤大輝に聞き込みをしていた。

サッカーチームのレギュラーから補欠へと落とされた彼が契約者である可能性があるとれいかは予想した。

しかし、大輝はなかなか答えてくれない。

それもそうだろう。

大輝は小学生、なおとれいかは中学2年生。

たとえ一対一だとしても、中学生の大きさは小学生にとってはかなり恐怖感を抱くはずだ。

ましてや見ず知らずの他人ときたらなおさらだ。

 

 

なお「大輝くん、本当の事を教えて。あの怪物の事について…」

 

 

なおが屈んで同じ目線で話しかけるが、何も答えない。

それもそのはず、あの怪物にお願いしたのは自分だ。

本当の事を答えて、その後、責められる事を大輝は恐れていたのだ。

 

 

なお「黙ってないで、何か言って!」

 

 

 

なおがとうとう痺れを切らして大声を出してしまった。

大輝はビクッと体を震わせる。

 

 

れいか「なお!」

 

なお「あ、ご…ごめん……」

 

 

大輝は何とか逃げ出したいが、自分の友達が襲われている事にに罪悪感をもっていたので…話そうかどうか迷っていた。

そんな時である。

 

 

良々「なおちゃん、れいかちゃん」

 

なお・れいか「「良々(ちゃん・さん)」」

 

 

二人が振り向くと良々が駆け寄ってきた。

 

 

大輝「(あっ!)」

 

 

大輝は良々を見て声に出さず驚いた。

今朝、大輝が蹴った空き缶に当たったお姉さんだと。

そんな事を知らない良々は早速事情を聞く。

すると、ウラタロスが良々を押しのけ、表にでてきた。

ウラタロスに憑依された良々──U良々は爪をいじりながら、ニッコリと愛想よく笑う。

 

 

U良々「子供の相手なら僕に任せて、二人は少し席を外してくれるかな?」

 

 

そう言われ心配に思いながらもその場を離れる。

 

 

なお「大丈夫かな?」

 

れいか「彼にまかせましょう」

 

 

すると、れいかのケータイに着信。

れいかはそれを取ると適当に相槌を打つ。

そして、れいかの電話が終わると同時にU良々が戻ってきた。

 

 

なお「何か訊けた?」

 

U良々「いやー、どうもあの子…イマジンと関係ないみたいだったよ」

 

なお「え?」

 

少し驚いた顔をするなおと、U良々の言葉に耳を疑うれいか。

当初の推測とは全く違う答えがかえってきたから当然である。

 

 

U良々「だけど、大体の予想はついた…」

 

なお「本当?」

 

U良々「みゆきちゃんから聴いたけどあのイマジン。人魚がモチーフらしいね。こんな陸地を探さないで、海の方を探しに行こうよ。たしか、…この近くに水族館があったよね。そこから──」

 

 

なおの手を掴んで連れていこうとしたその時、

れいかがU良々の肩を掴んだ。

 

 

れいか「どうやら…、貴方は嘘が得意なようですね。それも、ただの嘘ではなく、本当にそう思わせる説得力もある…」

 

 

れいかの言葉を聞いてU良々はフッと口元を釣り上げる。

 

 

U良々「あれ~、釣られてくれないんだ…」

 

なお「え!嘘って?」

 

 

れいかの言葉を聞き、なおは驚愕する。

 

 

れいか「今、ハナさんから連絡がありました。みゆきさん達を嘘でまるめこんで、デンライナーを降りたらしいではありませんか?」

 

 

U良々「まあね♪意外と簡単に釣れちゃって、こっちも拍子抜けだけどね」

 

 

U良々は嘘だと言われると何のためらいもなく話し、悪びれる様子もなく、シニカルな笑みを浮かべる。

 

 

なお「嘘だったの?じゃあ、大輝くんは…?」

 

U良々「ああ、彼なら適当に帰したよ」

 

 

あっさりと答えた。

 

 

なお「あんた…!!」

 

 

なおが怒りを露わにし、睨みつける。

曲がったことが嫌いな性格のなおは嘘をつくウラタロスの性格が気に入らなかった。

 

 

 

なお「私は嘘が大っ嫌いだ!だってそんなの卑怯でしかない!!」

 

U良々「言葉の裏には針千本、千の偽り、万の嘘。渡る世間は嘘ばかり。この世の殆どは嘘で成り立ってる。

それに、人生を面白くするのは、千の真実より一つの嘘だよ」

 

なお「嘘って言うのは、真実から逃げる事を言うんだ!私はどんな事があっても逃げも隠れもしない!!」

 

U良々「生真面目だねぇ…」

 

れいか「そうやって、人に嘘をついて楽しいのですか!?」

 

 

れいかも珍しく怒り、U良々を睨みつける。

 

 

U良々「楽しいよ♪」

 

なお「あんた!!」

 

大輝「ごめんなさい!!」

 

 

さも、他人をもてあそぶ、ウラタロスのその態度になおは怒りをさらに燃え上がらせる。

なおがつかみかかろうとしたその時、話の途中で大輝が割り入ってきた。

 

 

大輝「僕なんだ怪物にお願いしたの…」

 

 

大輝はマーメイドイマジンに望みを言った事を話した。

話の途中でウラタロスは興が削がれたのか、良々の意識が表面に出た。

 

 

なお「『レギュラーに戻りたい』か…あのやる気のないイマジンにとってはかなり堅実なやり口だね」

 

れいか「ええ。だからこそ、私達の相手をしたがらないのですね」

 

大輝「ねぇ、他のレギュラー助けてあげて!!家知ってるから」

 

良々「案内して!!」

 

 

良々が大輝に案内してもらうよう頼むと大輝は頷き、それと──と大輝は言う。

 

 

大輝「それと、お姉さんごめんなさい。今朝、お姉さんに当たった空き缶、僕が蹴ったんだ。でも、ワザとじゃないんだ。ごめんなさい」

 

 

それを聞いて良々は大輝の頭に手を置き、「許してあげる」とニッコリと笑い、短く言った。

「正直は一生の宝です」とれいかも加えて言った。

 

 

 

【現在・16時44分44秒】

 

 

 

デンライナーが停車し、みゆき、あかね、やよい、キャンディはデンライナーを降りた。

ドアの前にはハナが皆を待っていた。

 

 

あかね「もう、許さんへんで!!あの嘘つきガメ!!」

 

みゆき「嘘つきは針千本飲ましてやるんだから!!」

 

 

ウラタロスの話に本気でもらい泣きをしてしまったみゆきとあかねは怒り心頭で言った。

やよい、キャンディはそれほど怒りを抱いていなかったが、ウラタロスは泳がせておくのはよくないと思い、捕まえるつもりではあった。

 

 

「うわああぁぁ!!」

 

 

すると突如、子供の悲鳴が聞こえた。

皆は一斉にその方を振り向き、駆け出した。

辿り着くとそこは河原。

マーメイドイマジンと倒れた子供がそこにいた。

 

 

キャンディ「イマジンクル!!」

 

みゆき「けど、なんか…姿が前と違う…」

 

 

みゆきの言うとおり、マーメイドイマジンは体に半透明の羽衣を纏っていた。

 

 

あかね「とにかく、行くで!!」

 

 

あかねの言うとおり、考えるより先にまず戦う事が先決だ。

 

3人は変身し、マーメイドイマジンの前に降り立つ。

 

 

マーメイドイマジン『現れたわね、プリキュア。ハロウィッチ様に授かったこの力──試させて貰うわよ』

 

先ほどとはとは違い。

 

マーメイドイマジンは自信に満ちた顔で言う。

 

 

ハッピー「たあああああ!!」

 

サニー「はああああああ!!」

 

ピース「やああああああ!!」

 

 

三人は一斉に駆け出した。

対して、マーメイドイマジンは帯を手に取り、三人目掛けて振るった。

 

 

ハッピー「ああっ!」

 

サニー「うあっ!!」

 

ピース「きゃああっ!!」

 

 

いとも簡単に振り払われてしまった。

 

 

ハッピー「何?この力…」

 

ピース「強くなってる…」

 

 

アカンベェの巨体すら受け止めるプリキュアの力がまるで通用しない。

 

 

ピース「なら、必殺技で…」

 

 

ピースはスマイルパクトに気合いを込め、体に浄化の光を貯める。

 

 

ピース「プリキュア!ピースサンダー!!」

 

 

ピースの両手のチョキから電撃が放たれ、それがマーメイドイマジンに見事直撃!!

 

 

サニー「やった!!」

 

サニーが仕留めたと思い、声を上げる。

しかし、

 

 

マーメイドイマジン『この程度で精一杯……?』

 

 

サニー「何やと?!」

 

ピース「うそ…、効いてない」

 

 

マーメイドイマジンは確かにピースサンダーをくらったはず。

しかし、マーメイドイマジンは傷一つ、羽衣に焦げ目すらついていなかった。

 

 

マーメイドイマジン『電撃っていうんだったら―――せめてこの位……やって欲しいね!!』

 

 

マーメイドイマジンの右手に紫電が走り、それが電撃となり、ピースを襲った!!

 

 

ピース「あ、ああああああっっっ!!」

 

 

ハッピー・サニー「「ピース!!」」

 

 

電撃をくらい、吹き飛ばされたピースに二人は叫ぶ。

 

 

マーメイドイマジン『人の事、気にしてる場合じゃないよ──くらいな!!』

 

 

続けて繰り出したのは、強力な水流。

 

 

ハッピー・サニー「「ああああああああああっっ!!!」」

 

 

二人はその水圧に押されて、遠くまで吹き飛ばされた。

 

 

キャンディ「あのイマジン何であんなに強くなってるクル?」

 

ハッピー「何でこんなに強くなってるの…?」

 

 

三人のプリキュアはマーメイドイマジンの異常なパワーアップに苦戦をしいられた。

 

 

ハロウィッチ「フフフッ、さすがね…。ここまで強化するとは思わなかったけど」

 

 

マーメイドイマジンの後ろからハロウィッチが現れた。

 

 

サニー「ハロウィッチ」

 

ハッピー「何なの?そのイマジン。さっきとは全然違う」

 

ハロウィッチ「教えてあげるわ」

 

 

ハロウィッチは一本の絵筆を取り出す。

 

 

ハロウィッチ「イマジンとはその名の通り、イメージで身体を形成し、力を発揮する。この絵筆はイマジンの本来のイメージに私のイメージをさらに加える事ができ、通常の何倍もの力を発揮する事ができるのよ」

 

 

ちなみに、ハロウィッチが加えたイメージは『クラゲの骨なし』のクラゲ。

電撃を吸収し、自在に放出出来る力が備わった。

 

 

ハロウィッチ「もっとも、これを使うと時計の針の短針が一つ戻っちゃうのが欠点だけど……」

 

 

この絵筆はバッドエナジーを消費するため、ピエーロの時計の短針が一つ戻る。

 

 

ハッピー「時計?」

 

ハロウィッチ「いや、何でもない」

 

 

大輝「和哉!!」

 

 

すると、そこに大輝と大輝に連れてこられた良々、なお、れいかがその河原に到着した。

 

 

マーメイドイマジン『契約者…、丁度いい』

 

 

帯を伸ばし、大輝を巻き取り、引き寄せる。

 

 

良々「大輝君!!」

 

なお「しまった!!」

 

 

三人はデンオウ・プリキュアである自分達が狙われると思い込み、大輝への注意を怠ってしまった。

 

 

マーメイドイマジン『望みは叶えたよ。今度はお前の過去を貰う…』

 

 

大輝の頭に手を当てて、

 

 

マーメイドイマジン『さぁ、開きな!記憶のページ!』

 

 

大輝を本の如く開き、その彩った渦の中へと入って行く。

 

 

 

【去年10月15日】

 

 

 

大事なPKの瞬間、大輝は突然気絶した。

慌てて駆け寄る監督の目の前で、大輝から吹き出た砂からマーメイドイマジンが出現する。

すると、マーメイドイマジンの身体から黒いオーラが発生し、空を紫にそめ、枯れ木と茨の生い茂る世界に変える。

すると、辺りにいた人々は元気を失い。

崩れ落ちていく。

 

それは現在にも影響を及ぼし、大輝の元気がなくなっていく。

 

 

大輝「僕は嘘つきだ、卑怯者だ…。レギュラーになる資格なんてない…。もう、サッカーやめる……」

 

なお「大輝君!しっかりして!!」

 

 

ハロウィッチは元気がなくなった大輝を見て満足そうに本を開く。

そのページには[-LY/10.15]。

そのページの日付が薄くなり、代わりにそのページが少しづつ黒く塗りつぶされていく。

実はイマジンをパワーアップしたあの絵筆は現在でバッドエナジーを収集するために使う黒絵具も混ざっており、そのイマジンが過去に跳べば、過去からバッドエナジーを収集出来る。

そして、今回はピエーロの時計の短針が二つ進んだ。

 

 

良々「ハロウィッチ!!」

 

 

良々がハロウィッチを睨みつける。

 

 

ハロウィッチ「アタシに構うより先に、イマジン何とかした方がいいんじゃな~い?もうアタシ、用事済んだから…──じゃあねぇ~♡」

 

 

ハロウィッチはそう告げると、踵を返し、消えた。

悔しそうにするも、良々はブランクチケットを大輝の頭に翳す。

マーメイドイマジンの姿と、日付。

 

 

[-LY/10.15]

 

 

良々「みんな、行こう!」

 

 

 

【デンライナー・食堂車】

 

 

 

モモタロス『てめぇ!!よくもつまんねぇ嘘ついてくれたなぁ、コラ!!』

 

ウラタロス『釣り針のエサは美味しそうに見えるからね…』

 

モモタロス『訳わかんねぇ事言ってんじゃねぇよ!!』

 

 

デンライナーが過去への路線を渡ろうとしている途中、モモタロスはウラタロスを締め上げようとしている所だった。

良々もデンライナーを自動操縦に切り替え、食堂車に来ていた。

 

 

オーナー「車内での揉め事はこまります」

 

 

騒ぎを聞きつけたオーナーが後ろからやって来た。

 

 

オーナー「そういえば、ウラタロス君」

 

ウラタロス『!はい!?』

 

オーナー「あなたは、パスもしくはチケットをお持ちですか?」

 

ウラタロス『え?いや、そんな物ありません』

 

オーナー「そうですか…。ならば、あなたはこのデンライナーにご乗車する事はできません」

 

ウラタロス『え?!』

 

 

オーナーの突然の宣告にウラタロスはもちろん、一同騒然とする。

 

 

オーナー「即、刻…途中下車して貰います」

 

 

オーナーは懐から『乗車拒否』と書かれたレッドカードを取りだした。

 

 

良々「ま、待ってください!」

 

 

オーナーにある質問を投げかけた。

 

 

良々「ウラタロスが途中下車って…。そうなったら…ウラタロスはどうなるのですか?」

 

 

オーナーはしばらく黙ったのち、告げる。

 

 

良々「時の砂漠に放り出され、時間の中を彷徨い続けます。永、遠、に…」

 

 

それを聞いたウラタロスは何も言わず皆から目をそらし、良々や他の皆は沈黙な面持ちになる。

 

 

オーナー「しかし、それを決めるのは良々さんです。良々さんがウラタロス君とパスを共用しないと言うのであれば、即刻退去させます」

 

 

ウラタロスの運命は良々が握っている。

 

 

モモタロス『良々、迷う事はねぇ!こんな奴さっさと追い出せ!!』

 

 

と、意気込むモモタロス。

ハナ、みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、キャンディは良々の決断に期待の混じった視線を向ける。

 

そして、良々は口を開いた。

 

良々「わかりました。その前にみんな、ウラタロスなんだけどさ…──」

 

 

皆が良々の判決をジッと見守る中、ウラタロスは有罪判決を待つ被告人のように諦めていた。

 

 

 

 

 

良々「許してあげようよ」

 

 

 

みゆき「え?」

 

モモタロス『は!?』

 

あかね「!?」

 

やよい「?」

 

なお「はい?」

 

れいか「?」

 

ハナ「ちょ…!」

 

キャンディ「クル?」

 

 

皆は良々の予想外の発言に面食らった。

 

 

モモタロス『おい、良々!』

 

 

モモタロスが良々に声を掛ける。

 

 

あかね「嘘つきのこいつ庇うんか?」

 

 

あかねも不思議そうに良々に疑問を投げかける。

 

 

良々「うん。だって、ウラタロスは嘘しかついてないじゃん」

 

あかね「え?」

 

 

良々は当たり前のごとく、言った。

 

 

良々「じゃあ訊くけど、ウラタロスが皆に嘘ついてお金とか盗った?ウラタロスが嘘ついて誰かを傷付けた?」

 

みゆき「それは…」

 

れいか「言われてみれば…」

 

 

確かに思い返してみれば、ウラタロスは嘘ついて実質的な被害を出していない。

嘘をついて皆を出し抜いた程度の事。

 

 

良々「確かに騙されるのは気持ちのいいことじゃない。けど、もう過ぎた事だし、私は許す」

 

 

モモタロス『だけどよ!!こいつ何考えてるかわかんねぇぞ!また、嘘つかれて寝首でもかかれたらどうすんだよ!!』

 

 

それでもモモタロスは納得せず、良々に言う。

 

 

なお「私も…このイマジンはあんまり信用出来ない。何か根拠あるの?」

 

良々「ない」

 

 

即答。

思わず皆はずっこけそうになる。

 

 

良々「てゆうか、人を信じるのに根拠が必要なの?――じゃあ訊くけど、私やみゆきちゃんといていつもどんな気持ち?いつ嘘つかれるのか、いつ騙されるのか、そんな事いちいち考えてるの?」

 

なお「! それは…」

 

 

なおの性格は自身がよくわかっている。

友達を疑うなんて微塵もない。

 

 

良々「はっきり言って、そんなの面倒くさい。騙されてその後どうなるかなんて…、考えるのも面倒くさい。疲れちゃうわよ」

 

 

そして、一息ついて宣言する。

 

 

良々「人を信じるって事は頭の中で、どうこう考える事じゃない。ましてや、他人にすがりつく事でもない。

ただ、ありのままその人を受け入れてあげればいい──ただそれだけ…。

もし、それでも騙されたら──その時はその時。またどうするか考えればいい」

 

 

皆が唖然としている中、オーナーはほくそ笑み、確認する。

 

 

オーナー「では、ウラタロス君はこのままでよろしいのですね?」

 

 

良々「はい」

 

 

そのやり取りの中、ウラタロスは複雑な心境で呟く。

 

 

ウラタロス『釣った魚に助けられ…か、カッコ悪る』

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