【二年前の12月24日】
夜の街を暴走を続けるテツオのタンクローリー。
そこに突然発車メロディが響く。
歪んだ空間からタンクローリーの横を線路が走り、さらに赤いヘッドの列車・デンライナー『ゴウカ』が現れ、並走を開始した!!
一瞬焦ったが、テツオはタンクローリーをぶつけ、脱線させようとする。
なんとか堪えるデンライナーだったが、こちらも負けじと車体を切り、タンクローリーをぶっつけまくる。
あかね「うわぁーっ!!むちゃくちゃすんなや!!酔うでこれ!!」
切り離しを忘れていた食堂車の固定されたテーブルにあかねとハナがしがみつき体を投げ飛ばされないようにする。
浮かんだ線路の下で、一般人の車が驚いたようにブレーキをかける。
デンオウSF「ぃよっしゃあ!!押し潰せ!!」
景気よく叫ぶデンオウSF・モモタロスを、良々が制した。
良々『バカ!爆発したらどうすんの!なんとか接触してブレーキかけるのよ!!』
デンオウSF「えぇい、メンド臭ぇ!!」
何だかんだでモモタロスは指示に従い、デンライナーをタンクローリーに押し付けた。
あかね「う!ナオミさん、袋持ってきて……昼食ったお好み焼き、もんじゃ焼きにして出しそう…」
ハナ「ナオモちゃん、私も…」
ナオミ「は、はいはい!」
食堂車の中でハナとあかねが弾み回っているが、そんなこと構っていられない。
徐々に二台の車両が減速し、道にいる人達は散り散りに逃げ去っていく。
しかし、一人だけ子どもが泣きじゃくって取り残されていた。
「『危ない!!」』
デンバードを先頭車両から緊急射出。
子どもを捕まえ、離脱した後ろで、タンクローリーとデンライナーがようやく停止した。
母親「ミヨちゃん!」
子どもの母親が駆けつける。
何も言わず子どもを預け、走り去る親子を見送るデンオウSF。
バットイマジン『チャーンス!!』
だが、この一瞬の脱力をバットイマジンが見逃すはずは無い。
タンクローリーを完全に止められたとわかるとテツオから分離。
空中から強襲し、デンオウSFを掴んで飛び上がる。
あかね「のわ!!モモタロス!!」
酔いを直したあかねが食堂車から出てきて見たものはバットイマジンによって空中に吊り上げられたデンオウSFの姿だった。
あかね「くっ!良々、モモタロス!今行くで!!」
あかねがスマイルパクトを開き、オレンジ色のリボンのキュアデコルをセットすると『レディ』の音声の後あかねは叫ぶ。
あかね「プリキュア・スマイルチャージ!!」
『Go!GoGoLet’sGo!!Let’sGo・Sunny』
あかねは火の粉と共に身体にパフを当ててゆき、オレンジを基調としたコスチュームへと変わると、髪の色がオレンジに染まり、シニヨン状に束ねられた短髪となって、最後にパフを両頬に当てて変身完了。
サニー「太陽サンサン熱血パワー!キュアサニー!」
闇をも照らす小さくも暖かい太陽が参上した。
バットイマジン『キーッキッキッキッキッキッキッキッ、くらえ!!』
デンオウSF「うわっ、ちょっとまて!!───グヘッ!!」
建物の角や看板にぶつけられまくるデンオウSF。
反撃しようにも両腕をガッチリ固定され、反撃できない。
デンオウSF「このっ!離しやがれ!!」
バットイマジン『そうゆうなってーの、楽しく夜空のドライブと行こうぜ!』
次も看板目掛けて叩きつけようとした。
サニー「アターック!!」
バットイマジン『ぐぁっ!!』
しかし、それはいきなり目の前に飛び出してきたサニーのスパイクによってはたき落とされた。
デンオウSF「おぅ、助かったぜ!関西女」
サニー「だから、関西女言うな!!」
デンオウSF「は!勝手に名前付けるような奴に言われたかねーよ」
サニー「なら、お前の事『ポチ』って呼んだろか?」
デンオウSF「だから犬か!!俺は!!」
良々『危ない!!』
「「!?」」
デンオウSF・モモタロスとサニーが漫才のようなやり取りをしてると良々の意思が危機を察知し心の中で叫ぶ。
モモタロスはそれに気付き、サニーも察知し、避けた。
さっきまでいたアスファルトは粉々に粉砕されていた。
バットイマジン『キッキッキッキッキッキッ、戦闘中に漫才してんじゃねーよ』
上空からバットイマジンが音波砲を発射していたのだ。
デンオウSF「この蝙蝠野郎!!――今度は確実に仕留めてやらぁ!!」
デンオウSFはデンガッシャーを素早く組み立て、剣にし、勢いよくジャンプして、バットイマジン目掛けてデンガッシャーを振り下ろす。
バットイマジン『おっと』
しかし、バットイマジンはそれを難なく避ける。
そして、着地する動きの止まる瞬間、音波砲を発射。
デンオウSF「ぐあっ!!」
デンオウは避ける事ができず直撃した。
サニー「モモタロス!く、おりゃあっ!!」
サニーも上空にいるバットイマジン目掛けて殴りかかるが、避けられる。
そして、着地の瞬間音波砲が発射され吹き飛ばされた。
サニー「うわぁ!!」
倒れたサニーの元へデンオウSFが駆け寄る。
デンオウSF「おい、大丈夫か!?」
サニー「ああ、おおきに」
サニーもこの程度ではやられたりしない。
デンオウSF「おいコラ、蝙蝠野郎!!降りてこい!空なんか飛ぶんじゃねぇ!!」
デンオウSFは上空を飛ぶバットイマジンに向かって叫ぶが、卑怯モットーの奴にとってそんなものは馬耳東風。
バットイマジン『キッキッキッ、バーカ。蝙蝠が空飛ぶのなんて当たり前だろ?この羽は扇子じゃねぇんだよ。悔しかったらここまでこい』
デンオウSF「くそ、あん畜生め!!」
デンオウSFがいくら悪態をつこうともそれは負け惜しみにしかならなかった。
バットイマジン『キッキッキッ、くらえ!!』
再び音波砲を発射しデンオウSFとサニーを狙い撃つ。
デンオウSF「うぉーっ!!」
サニー「うぁぁっ!!」
二人は避けて避けて避けまくる。
そして何とか隙を付き物影に隠れる。
バットイマジン『ちっ、隠れたか…』
バットイマジンはデンオウSFとサニーを捜してる間、こちらは作戦会議。
サニー「モモタロス、何とかならへんの?」
デンオウSF「あ?バカ言ってんじゃねぇよ。俺空なんか飛べねぇし…」
その通り、デンオウSF・モモタロスの戦い方は離れた相手にダッシュで近付き、直に叩き斬る接近戦の戦闘スタイル。
空を飛ぶ遠距離系相手では分が悪いのだ。
サニーもバレーボールで鍛えたジャンプ力があるが、それでも空中を自在に飛べる相手には敵わない。
サニー「こんな時、なおがおったらなぁ…」
風のキュアマーチなら風を纏ったスピードで建物を足場にして戦えると思ったが、今いないメンバーを頼ってもしかたがない。
第一、自分から行くと言っておきながらこんな早く諦めてどうする。
良々『モモタロス、モモタロス』
デンオウSF「ん?」
良々がモモタロスに心の中で語りかけてきた。
デンオウSF「なんだ?」
良々『ちょと変わってくれないかな?あなたも心の中で聞いといて』
デンオウSF「?」
目付きと瞳の色だけ戻り、意識だけ良々と変わる。
デンオウSF・良々「あかねちゃん…じゃなくて、サニー」
サニー「うぉ!良々かい!?」
デンオウSF・良々「時間がないから二つ答えて」
サニー「?」
デンオウSF・良々「あかねちゃんってバレー部よね?」
サニー「え?そ、そやけど…?」
デンオウSF・良々「あの必殺技の火の玉って一回しか撃てない?」
サニー「一回だけ。撃った後は疲れがドッときて動けへん様になってまう」
それだけ聞くとデンオウSF・良々はわずかに口元を上げる。
デンオウSF・良々「十分!私に考えがある。よく聞いて…」
バットイマジン『野郎…、何処へいった?』
バットイマジンがデンオウSFとサニーを捜す。
デンオウSF「おい、誰を捜してやがんだ?蝙蝠野郎」
バットイマジンは声のした方を振り向くとデンオウSFがデンガッシャーで軽く肩を叩きながらバットイマジンを見上げていた。
デンオウSF「てぇあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その場でジャンプ。
バットイマジンに斬り掛かるが、バットイマジンは待たしてもヒラリと避けてしまう。
着地すると同時に音波砲が襲い掛かってくるが、デンオウSFはでんぐり返ってそれを避けた。
バットイマジン『ほう、避けたか…。でも、お前も学習しねぇ奴だな。剣しか振り回せねぇバカが空中戦で俺に勝てるわけねぇだろ?』
デンオウSF「何ィ?」
良々『気にしないで』
デンオウSF「チッ、分かってるよ」
勝つためには我慢も必要。
デンオウSFは怒る気持ちを堪え、逃げる。
バットイマジン『おい、逃げんじゃねぇよ!!』
音波砲を連射し、デンオウSFの背中目掛けて撃ちまくる。
デンオウSF「おい、成功すんのか?」
良々『させる。しなきゃ負ける。多分あいつに同じ手は二度通用しない。モモタロスが剣しか振れないバカだと思い込んで、なおかつ自分が空を飛べて有利だと油断しきっている今しかチャンスはない!』
デンオウSF「誰がバカだ!」
良々『とにかく走って!』
半信半疑のデンオウSF・モモタロスは言われるまま路地を走り続ける。
しばらく歩くとT字路が見えた。
このまま行けば左右に分かれる直線に差し掛かる。
バットイマジン『何をする気だ?』
バットイマジンは不思議に思う最中。
デンオウSFはT字路に差し掛かった時、正面の建物を踏み台にして振り返りながらデンガッシャーを振りかぶり、バットイマジンを横一閃で斬ろうとする。
バットイマジン『バーカ』
しかし、バットイマジンはそれを避ける。
だか、問題無い。
それは作戦の内だ。
バットイマジンがデンオウSFの落下地点をみるとそこにはサニーがいた。
デンオウSF「今だ!!関西女!!」
サニー「よっしゃ!こいや!」
サニーは腰を軽く落とし、両手を下の方へと伸ばし、手を組む。
その構えはバレーボールで言うレシーブの構え。
落下するデンオウSFの足の裏をキャッチし、まるでサーカスの曲芸の如く再び空へと舞い上がった。
バットイマジン『なっ…!?』
デンオウSFは呆気に取られるバットイマジンに目掛けて叩き斬る。
バットイマジン『ぐはっ!!』
デンオウSF「おっしゃっ!当たったぁ!」
本日初めての攻撃に歓喜を上げるデンオウSF。
サニー「よーし!オーライ、オーライ」
サニーは休む間もなく、デンオウSFの落下地点へと駆け込む。
今度はトスの体制。
デンオウSFはサニーの両手の平に器用に乗り、全身のバネを生かし再び跳び上がる。
デンオウSF「うぉりああああぁぁぁっ!!」
バットイマジン『がっ!!』
二撃目!三撃目!四撃目!と次々と攻撃を当てられて行く。
バットイマジン『くっ、調子に乗るんじゃねぇぞおおおぉぉっ!!』
デンオウSF目掛けてバットイマジンが音波砲を発射しようとする。
デンオウSF「おい、俺だけ見てていいのか?」
デンオウSFの視線の先にはバットイマジンの背後へサニーが跳び上がって身体を後ろへ反らし、右手を後ろの方へと振りかぶる。
サニー「アターック!!」
バットイマジン『ぐあっ!!』
バットイマジンの背中にサニー渾身のスパイクが叩き込まれた。
バットイマジンは墜落こそは免れたが、かなり低空へと落とされた。
バットイマジン『ぐぁっ…、ぐぅっ……』
デンオウSF「今だ!!決めるぞ!!」
サニー「分かっとるがな!!」
サニーはスマイルパクトに力を込める。
サニー「気合いや~!!」
すると上空に小さな太陽の様な火の玉が出現した。
バットイマジン『うっ!』
さすがは蝙蝠といった所だろう。
バットイマジンはその眩しさに目を覆い隠す。
サニーはそんなこと気にせず走り出し、空高く跳ぶ!
サニー「プリキュア!サニーファイアー!!」
キュアサニーの必殺技───『サニーファイアー』が打ち出された。
バットイマジン『くっ』
しかし、バットイマジンは旋回し、それをかわす。
サニー「アカン!外した!」
一回きりの技を外して焦るサニー。
良々の作戦はデンオウSFをバレーボールの様に打ち返し、空中の敵を斬り、弱らせた所でスパイク、敵を低空に落とした後、サニーファイアーを打つ!
良々の説明はここまで。
後は彼女を信じるしかない。
しかし、サニーファイアーが外れた!
バットイマジン『キッキッキッ!当たるかよ!バーカ』
バットイマジンはざまあみろとでも言いそうな表情でサニーに叫ぶ。
<FULL CHARGE>
そんな電子音が聞こえた。
バットイマジンが振り向くとデンオウSFはバッターの様に強化したデンガッシャーを構える。
デンオウSF「俺の必殺技・サニーバージョン!!」
そして、
デンオウSF「うぉりあああああああぁぁぁっ!!」
サニー「サ、サニーファイアーを…打ち返したぁ!?」
サニーファイアーはバックスクリーンであるバットイマジン目掛けて一直線に向かって飛ぶ。
サニーファイアーを利用した二重の攻撃。
サニー「いける!これなら当たる!」
サニーが喜びの声を上げる。
しかし、───
バットイマジン『くおっっ』
サニー「え!?」
しかし、バットイマジンはそれさえも避けた。
サニー「そんな…」
サニーが絶望し、膝を着く。
バットイマジン『キッ………キッキッキッキヒャヒャヒャヒャヒャ、バーカバーカ、何してんの~!?当たらなきゃ意味ねーんだよ。バーカバーカバーカキヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ』
馬鹿にするバットイマジンにサニーは悔しさのあまり唇を噛むが、そんなバットイマジンをデンオウSFはニャッと笑い。
デンオウSF「バーカ……、───てめぇがなぁっ!!!」
バットイマジン『あ?』
バットイマジンは、初めは意味が解らなかったが、その答えにすぐに気がついた。
バットイマジン『あ、あ…あ…あああ…』
デンガッシャーの“切っ先がない”。
バットイマジン『ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!?』
あわてて振り向くがもう遅い!
ズバッとバットイマジンの片翼が切り裂かれた。
バットイマジン『うわっ!!』
見るとデンガッシャーの刃は炎を纏っており、バットイマジンのもう一方の片翼も切り裂いた。
サニー「そうか!打ち返した時、切っ先もサニーファイアーの中に隠して打ち返してたんやな!!」
サニーの言った通り、打ち返し、そしてさらに、見えない様に刃を隠しながら万一外した時の為に備えてた。
いわば三重の攻撃。
炎を纏い赤く燃えた赤い刃はデンオウのスイングで真上に上がり、力強く振り下ろすと同時に刃も勢いよく落下。
バットイマジン『クソッ!!俺が…この俺が…こんな…こんなクソガキ共に…二度も……!!』
必死で手足をばたつかせるも、もはや羽を失った蝙蝠は重力に抗えず墜落する。
射出された刃はバットイマジンの墜落と同時に大きく大地を抉り、バットイマジンを斬り裂く。
バットイマジン『ぐわあああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!!』
バットイマジンは今度こそ断末魔の悲鳴を上げ、爆発した。
デンオウSF「ふっ、決まったぜ…」
サニー「やった…」
サニーも緊張の糸が切れ、脱力する。
デンオウSF「ほらよ」
サニー「!」
上からデンオウSFが手を差し延べる。
サニー「おおきにな」
サニーはその手をつかみ立ち上がる。
サニー「中々やるやん」
デンオウSF「お前も…いや、お前らもな。あかね、良々」
デンオウSFは二人の名を初めて口にする。
そのまま意気揚々と帰ろうとする。
その後ろではバットイマジンの残骸が砂となって崩れ始めていた。
しかし様子がおかしい。崩れた砂が増えてゆく。
デンオウSF「ッ?」
サニー「何や…?」
その事に気が付いた二人は即座に振り返った。
──────むか~しむかし、動物と鳥が戦争をしていた時の事でした。
蝙蝠は、戦いの様子を見て、動物の方が勝ちそうになると、
「私はネズミに似ているから動物の仲間です」
と言って動物の味方に付きました。
しかし、動物が負けそうになると、
「私には翼があるから鳥の仲間です」
と言って鳥の方に寝返りました。
そのうち動物と鳥は仲直りしました。
しかし、蝙蝠はどちらにもいい顔をした卑怯者だと、動物からも鳥からも仲間はずれにされてしまいました。
では自分がお日様の下を飛ぶにはもう、自分が食べてきた虫どもの仲間になるしかないではないか──────
サニー「何や…あれ?」
振り返ったサニーの呟きが夜の空に吸い込まれる。
バットイマジンの残骸だった砂は急速に増大、集合し、天へ吸い上げられてゆく。
砂竜巻から三本の槍の様な突起が飛び出す。
それは一見、コーカサスオオカブトに見えたが、獣の様な頭部に巨大に三本大きく突き出したクワガタムシの様なアゴ、節足の足は鳥の様な足、その足の間の腹から4連の蜂の腹部、黒光する身体からは毛や羽毛が所々生え並び、透明な後ろ羽根は蝙蝠の翼の魔虫───『ギガンデス・キマイラ』が出現した!!
ギガンデス・キマイラ『GIIIIIIIIIIIIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
デンオウSF「何だ?こりゃ…」
ハナ「イメージが暴走した!気をつけて!!」
サニー「気をつけるって…どないすんねん!!」
ハナの叫びに、サニーが割と冷静に状況を判断する。
絶叫と共に腹部の節足の間にある蜂の腹から機銃掃射のように針が打ち出され、デンオウSFとサニーの周囲に降り注ぐ。
ギガンデス・キマイラ『GIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!』
デンオウSF「しっかりつかまってろよ!!振り落とされんな!!」
サニー「うわっ!!」
爆風によろめきながらデンオウSFはサニーを連れてデンバードに跨がり走り出す。
サニー「一体、どないすんねん!?相手あんなでかくなって確実にパワーアップしてもうたやん!!あんなんにどないしたら勝てるちゅうんや!!!」
デンオウSFの『俺の必殺技』では、あそこまで巨大化した相手を斬れるとは思えない。
サニーは必殺技を放ち、ばてばての状態。
しかしデンオウSFの方は、信じられないことを言ってのけた。
デンオウSF「デカいもんにはデカいもんに決まってるだろ!」
サニー「はぁ!?」
乱れ飛ぶ針をすり抜けながら一気に加速してジャンプ。
後方から駆けつけたデンライナーの先頭車両の屋根が展開し、運転室に格納された。
サニー「え?何?何するつもりや?」
運転席となったデンバードの赤いボタンに触れる。
ディスプレイに
<Mode GOUKA>
の文字が浮かび上がる。
そして爆炎の中、客車を切り離した。
デンライナーの先頭車両五台が、『戦闘車両』へと変形した。
一号車からは四連砲塔『ゴウカノン』がせり上がる。
二号車は車体がスライドし、大型ミサイルランチャー『ドギーランチャー』が口を開ける。
三号車が開いた車体からは爆弾投擲機『モンキーボマー』が出現。
四号車から立ち上がった「止り木」からは誘導カッターミサイル『バーディーミサイル』が姿を見せた。
大通りへ出たところで急カーブ。
線路が悲鳴を上げ、デンライナーがドリフト。
デンオウSF「なんでもいい!!ブチ込めェェッ!!」
サニー「ええぇぇぇ!?」
そこから正に『業火』の名に相応しい一斉放火が放たれた。
一号車のゴウカノンが牽制射撃し、
二号車が連射する大型ミサイル『ドギーバーク』がギガンデス・キマイラに襲い掛かる。
三号車からバラまかれる巨大爆弾『モンキーボム』の爆炎の中をもがくギガンデス・キマイラ。
四号車から飛び立った『バーディーミサイル』がギガンデス・キマイラの胴体を真っ二つに切り裂きギガンデス・キマイラは完全に消滅した。
デンオウSF「ふぅ、やったぜ…」
サニー「ホンマむちゃくちゃやなぁ、お前…」
デンオウSF「へ!そいつはどう、も」
良々『モモタロス、ちょっといい?』
デンオウSF「あ?」
デンオウSFとサニーは変身を解除し、外に降りる。
良々「よいしょっと…」
ハナ「良々ちゃん、あかねちゃん何する気なの!?」
ハナはデンライナーの外で倒れたテツオに肩を掛ける二人に問う。
自分たちも過去を変えたら未来が変わるかもしれないのだ。
良々「大丈夫、ほんのちょっとだけ…」
良々「羽黒先輩…羽黒先輩…」
あかね「いや、この場合ウチらの方が年上やし、テツオ君の方が…」
───誰?
テツオは意識が戻り、目を開けた。
目の前には二人の少女がいた。
テツオ「うわっ!誰だ!?アンタら!」
良々「え?あー、私達は…未来の後輩です」
テツオ「?」
あかね「とにかく、君のお母さんが大変なんや!」
テツオ「母さんが!!?」
周囲を見るとそこはテツオの母親の入院している病院。
テツオ「母さん!!」
テツオの母「………テツオ?」
テツオの母は既に危篤状態。
それでもテツオにクリスマスプレゼントを最期の力を振り絞り手渡す。
テツオの母「立派な大人になるのよ……」
その言葉を残し、静かに息を引き取った。
それを見届けた二人はデンライナーに乗車し、現代に帰って行った。
しかし、そのデンライナーを離れた場所で眺めていた二人の人物がいた。
???『良かったの?私達も助けにいかなくて』
???「ああ、今はデンオウに任せておく。俺達の出る時じゃない。それに、あの程度の敵に負ける様じゃ…この先の戦い、勝ち残れない。―――そろそろ行くぞ」
???『はーい』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ウルフルンの侵略も無事に食い止め、帰る頃は戦いは終わっており、街も何事もなく修復されていた。
無差別殺人のニュースもなかった事になっており、何事もなくめでたしめでたし、ハッピーエンド。
ちなみにテツオはというと、母親の最期の言葉『立派な大人』になるため、素行は悪くなくなり、部活や学校行事にも積極的に取り組む様になった。
テツオがぐれた理由は母親の死に目に立ち会えなかった事が原因だったのだろう。
未来は代わらなかったが、テツオの心は変わった。
そして、皆はデンライナーに集合していた。
ハナ「時の運行は、守れたみたいね」
良々に向かって、ハナが言った。
ハナ「これからもバッドエンド王国からイマジンは次々と来る。もう一度訊くけど、デンオウとなって戦ってくれる?」
良々「未来を守る戦い、か…。思ってたより重たいかも知れないわね…。でも、やってみせる。私にしか出来ないっていうんなら、尚更…」
良々は腕を伸ばし、握る様に拳を作る。
良々「ラッキー・イン・マイ・ハンド!!」
みゆき「何それ?どう言う意味?」
良々「幸運の星をつかむためのおまじない。お父さんが教えてくれたの」
モモタロス『それより良々。俺との契約。早く言えよ』
キッチリ覚えていたモモタロスが、彼女に再び問いかけた。
良々「ちょと考えたんだけど。望み決まったわよ」
「「「「「えっ!?」」」」」
ハナ「ちょっと!!」
モモタロス『おっ!何だ?何だ?』
良々のとんでも発言にその場にいた皆が驚愕し、大慌てする。
モモタロスはやっと解放される事に期待していた。
良々「私の望みは…
モモタロス『うんうん!』
良々「なーい~しょ♪」
ズコーッと冷静なれいかを除いて、皆すっころんでしまった。
モモタロス『なんだそりゃあ!?内緒ってお前!結局言わねぇのと同じじゃねぇかぁ!!』
良々「今は内緒って事。その内言うから」
モモタロス『そりゃねぇだろ…』
ガックリとうなだれるモモタロス。
ナオミ「コーヒー出来ました♪」
モモタロス『あ、出来た?とにかく、もっとマシな契約を考えろ!いいな?(ごくっ)アチッ!!』
呆気に取られながらも、楽しそうに笑うハナやみゆき、あかね、やよい、なお、れいかを目尻に良々はモモタロスとの口論を始めていた。
モモタロスの契約が果たされる日はまだまだ遠い様だ。