FGOのCCCイベがグッと来たので勢いで書いてみた。
 大筋の流れのネタバレありなので注意。
 こうだったらなっていう作者の妄想もあるので注意。


 メルトとリップは可愛い(確信)

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二回目の言葉を。

 ──目が、覚めた。ぼんやりとする視界は徐々にはっきりとしていく。

 クリアになった視界で、周りにいるメンバーを見て先ほどまで起きていたことを思い出す。

 BBが作り出したSE.RA.PH.(セラフ)と呼ばれる電脳世界にレイシフトし、電脳化を阻止するべく行動していた。

 途中にて一緒に来た──自分としては違うと思ったが──ガウェインと、タマモキャット、エミヤオルタを仲間にし、さらにこの世界に召還されたトリスタンと、衛士(センチネル)になっていたところを助けたパッションリップも連れて──。

 ようやく思い出せた。

 全ての衛士を倒し、BBをこてんぱんにしたところで黒幕が現れたのだ。

 殺生院キアラ。今回の特異点の首謀者であり、自らに寄生した魔神柱ゼパルを食いつぶした魔性菩薩。

 彼女の目的である人類悪、BEASTになるのを防ぐために戦っていたのだ。

 自分の記憶が正しければ、彼女を打ち倒し、その後……。

 この先が思い出せなかった。

 周りには各々の気持ちを込めた視線で自分を見つめている者達がいるのに気づいた。

 

「おはようございます、センパイ。体調はいかがですか? よろしくなければお注射しますよ?」

 

 目を覚ました自分に最初に話しかけてきたのは、ここに引き込んだ張本人であり、途中から手助けをしてくれたBB。

 気遣うように見えて冗談を交えてくる辺り、彼女は根っからの小悪魔系なのだろう。

 ──冗談だと信じたい。

 

『大丈夫』

 

 一言で返し、周囲を見回すと、二人いないことに気づいた。

 いなかったのはトリスタンと──メルトリリス。

 自分でも今いないことに気付いて、ようやく記憶の海からも情報を引っ張り出すことが出来た。

 ここに来て契約し、多くの情報と手助けをしてくれたサーヴァント。

 常々隠し事をしており、気にはしていたが、どうにも壁が厚く崩すことは出来なかった。

 一段落した今なら彼女に答えを聞けるかも知れないと思い、姿を探す。

 しかし、どこを見ても見つからない。

 

「? どうしたんですか?」

 

『ねぇBB、メルトリリスは?』

 

 その言葉は自分に取っては何気なく、それこそ頭を悩ませるような意味など含ませたつもりはなかった。

 しかし、それを聞いたBBは一瞬、ほんの一瞬顔を悲しげに歪め、すぐさま元に戻した。

 その間に周りからというよりは、先ほど確認した位置関係から判断すると、パッションリップがいる辺りからも、息を飲むような音が聞こえた。

 それがなにを意味しているのか全くわからない。けれどもなにか良くないことを聞いてしまったのかもしれない。

 そう思い発言を取り消そうとしたがBBの口が開くのが先立った。

 

「彼女なら先に座に帰りました。言伝も特にはありませんでしたね。強いていうなら、『縁があったら会いましょう』くらいですね」

 

『なるほど、彼女らしい』

 

「ええ……本当にあの子らしいです」

 

 先に帰ってしまったなら仕方ない。もし召還に応じてくれたときにでも聞くとしよう。

 そう思っていると体が淡く光り始めた。

 カルデアへの帰還のようだ。

 

「時間ですね。ここでセンパイとはお別れになります」

 

 ぽわぽわと光の粒が増えていき、だんだんとこの場所から離れるような感覚を覚える。

 着いてきていたサーヴァントたちや、ここで出会ったサーヴァントたちも同じようだ。

 各々と別れの言葉を交わして──パッションリップの大胆な行動には驚いたが──この場には自分とBBだけになった。

 別れの言葉も交わし、いよいよ以て消えそうだ、そんなときに彼女は独り言のように呟いた。

 

「もし、あなたが再会を望むなら。

 ──覚悟はしておいた方がいいかもしれませんね」

 

 その言葉の意味を問うことは出来ず、意識は途切れた。

 

 

 

 

 電脳世界での戦いから既に二週間経った。

 あれから再度発生した小規模の歪み、というよりかはBBの我が儘もどきに付き合い、BB/GOなる者を倒して、なんやかんやでBBがカルデアに来た。

 彼女は記憶を保持しているらしく、先に召還に応じて来ていたリップ──パッションリップと絆を深めているうちにそう呼ぶようになった──をなにか言いたげに見ていることが多かった。

 

「パッションリップが先に来ていましたか。……あの子はいないみたいですね」

 

「お母様?」

 

「なんでもないです。それとお母様とか呼ばれると後輩キャラが崩れるのでやめてもらえます?」

 

 意味ありげに呟く姿に疑問を覚えるが、さっさと歩いていってしまい、聞くことは出来なかった。

 取り残されたリップと共に首を傾げるが、この後の予定もあり、移動を始めた。

 

「誰が応じてくれるんでしょうか?」

 

『分かんない。リップもいるからそろそろ彼女も呼びたいとは思ってるんだけどね」

 

「わ、私は別に……いえ、なんでもありません!」

 

 イヤだとでも言おうしたみたいだが、急に顔を逸らされてしまった。

 微妙に顔が赤い気がするが、どうしたのだろうか。

 それから話しながら歩いていたが、顔を合わせてはくれなかった。

 そして、本日の予定である召還部屋に着いた。

 今まで縁を紡いだ英霊たちと数多くこの部屋で再会した。

 今日はそんな縁を頼りに彼女を呼ぼうと思っていたのだ。

 

「やっと来ましたね。遅かったじゃないですか。リップとイチャついてたんですか?」

 

「ち、違いますぅ! お母様こそなんでいるんですか!」

 

「別にどこにいてもいいでしょう。後お母様と呼ばないでください!」

 

 部屋に入るとなぜかBBがおり、待っていたように笑みを浮かべた。

 そのままリップと口論……もとい親子喧嘩が始まってしまった。

 その様子を隣で眺めていたが、本題を思い出し今日のために集めた聖晶石を三つ取り出す。

 召還する際に使う石だが、果たして来てくれるだろうか……。

 

「あ、センパイ。前に言ったこと覚えてますね?」

 

『うん。覚えてるよ』

 

 召還を始める前に親子喧嘩していたBBがこちらに話しかけてきた。

 喧嘩は終わったらしく、リップが悔しそうな顔をしているが、気にしないでおこう。

 BBが言った前、というのは、彼女が来た時のことだ。

 彼女が言うには、リップとメルトリリスはこの前のことは覚えていないらしい。

 それはまあ座に帰っているから仕方のないことだとわかっていた。

 しかし、ここに来たリップにはなぜか記憶があった。

 召還した途端飛びついてきたのだからそれは驚いた。

 記憶のあるリップから、この前の特異点のことを聞いているうちにメルトリリスの話になり、そこで驚くべきことを聞いた。

 それから石を集めるために日夜いろんなところへクエストに行き、かき集めたのだ。

 ここにあるのは今までクエスト奔走で手に入れた三十個程。

 数にして十回と少しだが、是非ともまた会いたい。

 そして、彼女に言いたいことがある。

 

「来てくれるといいですね」

 

『うん。彼女なら応えてくれる気がするよ』

 

 根拠のない自信を胸に、集めた石を召還のために設置されたマシュの盾に置く。

 離れた途端ぐるぐると光の輪が現れ、その場になにかが召還される。

 十回分一度に回し、最初に来たのは、何人目かのライダー、メドゥーサ。

 次は礼装、その次はロビンフッド。

 淡々と光の輪は回り続け、しかし目当ての彼女は現れない。

 十回目が回り始める。その間に彼女が来ることはなかった。

 

「これで最後ですよ……!」

 

『待つしかない、応えてくれるのを』

 

 光の輪は回る。()()()()()を描いて。キラキラと金色の輝きを持ってその場に召還される英霊を華やかに装飾する。

 金色の光を前に、胸が高鳴るのを覚えた。

 彼女が応えてくれたかもしれない。それはまだ確定されてはいないことだが、それでも希望的な観測が止まらない。

 やがて光が収まり始め、その場にいたのは──

 

「快楽のアルターエゴ、メルトリリスよ。心底嫌だけど、あなたと契約してあげる。感謝しなさい?」

 

 ──願っていた、彼女の姿。

 黒いコートを身に纏い、鋭利な棘を膝から生やし、剣のごとく尖った踵のブーツを履いている。

 紫色の長髪を掻き揚げ、青い瞳はこちらに向けられる。その瞳には確かに嫌そうな色が見えた。

 だから、今度も自分から動こう。

 

「……なによ、その手は。握手でもしようって?」

 

『その通りだよ』

 

「……やらなきゃ駄目かしら。私あんまり握手とか好きじゃないんだけど」

 

 あの時のことはリップから聞いた。

 自分のために一人で頑張っていたことを。

 腕が砕かれていながらも握手に応じてくれたことを。

 ただ自分を帰すために無理して動いていたことを。

 だからもう一度始めよう。

 もう覚えていないであろう、自分との関係を。

 そのための言葉は、たぶん彼女にとっては三回目。自分にとっては二回目の言葉を。

 

「はぁ……。そんな期待された目で見られたら断れないじゃない。仕方ないわね」

 

 ようやく握手に応じてくれたことに笑みがこぼれた。

 それを彼女に睨まれてしまったが、気にしない。

 リセットされた関係なんて、そうあることじゃないけど、ここに来てから時々あったから大丈夫。

 さあ、言葉を紡ごう。二回目でも三回目でも、関係ない。また、絆は深められるから。

 

 

 

『それじゃあ改めて。初めまして、メルトリリス。マスターの────だよ。よろしくね」


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