魔王の傭兵【完結】   作:あげびたし

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昔話をしてあげる…以下略。

フロムさんお願いです。
ACの新作下さい




幕間:亡者の火

小さい赤い鎧と大きい黒い鎧が迫る。

得物は槍と長斧、明らかな殺意。

込み上げてくるのは歓喜か。

気づけば身体は素直に反応し、僅かな隙間を抜けるように敵の攻撃を回避。

腰の斧を手に取り、その重みに懐かしさを感じる。

蹴りつけた地面から舞う砂塵に混じり小さい方に斬りかかる。

槍に攻撃が防がれようとも、もう止まらない。

相手の拙い防御の隙に連撃を叩き込む。

湧き上がるこの歓喜で身体が爆発しそうだ。

黒い鎧は何もしない、なら押し切らせてもらう。

両手の斧を振るう度に頭を覆っていた靄が晴れていく、そうだ。こうやっていつも戦っていたのだとわかる。

いつも戦う時は一対多だった。それを全て斬り伏せたこともあった。そうやって積み上げてきた。

背後から殺意を感じ横に転がる。そうくるぐらい予想済みだ。

次は黒い鎧、両方とも長物だから懐にはいれば問題無い。

あぁ、喉の渇きが潤う。

夢中になっている。自分でもわからないが、身体が本調子になっていくのがわかる。

 

左側からとてつもない早さの斬撃が見えた。

避けきれない。攻撃の手を防御に回す。

辛うじて防げたが、斧は弾き飛んでしまった。

壁に打ち付けられ、崩れ落ちる破片が頭に当たる。

朧げな視界の中に自分の手のひらが見えた。

 

ーあぁ、こんなところに「火」があったのか。

 

手のひらに生まれたその火を身体に近づける。

吸い込まれるようにその火は身体に入った。

身体が、熱い。今にも弾けそうなほどの力が燃え上がる。

 

視界が晴れる。

青い鎧がめにつく。

あれだ、あれが俺を飛ばしたのか。

強い、見ればわかる。

あぁ、俺も全力で相手をするぞ。

楽しい。

 

「■■■■■■■■■ッーーーー!!!」

 

溢れる力と喜びが爆発した。叫び声を上げて自分に檄を入れる。

俺は、まだやれる。

大鉈を握る。

振り回す。

弾かれる、避けられ、斬られる。

俺も避け弾き斬りつける。

 

そうだ、ここが。この場所こそ求めていた場所だ。

左腕を持っていかれた。

だが、敵の武器は壊した。

もっとだ、もっと!

だが先ほどまでの力が抜けていく。

身体の中の火が弱くなっていく。

 

「双方共に剣を収めよ!!!」

 

ローブの骸骨が死の気配を巻き上げながら叫ぶ。

その威圧は、身体の動きを止める。

見れば青い鎧も戦意を無くしている。

残念だが、ここまでか。

 

火の温もりが残る手を見ればそこには奈落のような黒い穴。

それを握りこむと骸骨に向き直る。

何やら、喋りかけられている。傭兵?名前?

名前は、何だっただろうか。そもそも俺は何だっただろうか。

だけれども、傭兵という単語には強く身体が反応する。

遠い記憶の中で、そう呼ばれていたような気がする。

そうだ、その時こう呼ばれていたはずだ。

()()()()()()()()()()()()()

 

「…レイヴン。」

 

そうだ、俺は(レイヴン)だ。

 

 

 

 




じゅじゅちゅの火(言えない)はこんな使い方でいこうかと
アーマードコア成分が増えてきます。
コジマ汚染された残念フロム脳なんです。
ゆるして下さい。

作者は火星人のレイブンでリンクスでミグラントな首輪付きの烏です

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