入手したため
ユウキが仲間になりました。
出会いの物語が解放されました。
「いやぁ、いい天気でよかったぜ!」
「はい、ピクニック日和です!」
ビィの言葉に笑顔のルリアが元気よく応えた。
小道を行く足取りは軽く、まるで跳ねるように歩いている。
ルリアの肩には水筒が。
あなたの手にはランチを入れたバスケット。
今日は依頼もお休み、ピクニックである。
ここはガロンゾ。
ファータ・グランデ空域の騎空挺修理を一手に引き受ける、職人達の島だ。
島の中央船渠では、今日も職人たちが威勢のいい声をあげ、空域中から集った騎空挺を相手に仕事に励んでいる。
先日受けた空賊退治の依頼で、あなたたちの騎空挺グランサイファーは不調を訴えていた。
それは小さなものだったが、ドッグに入れて隅々まで調べてみれば、船体のあちらこちらで様々な部品が磨耗しきっていた。
ラカムやオイゲンら騎空挺に詳しい面々は予想していたようだが、思っていた以上にグランサイファーは酷使されていたらしい。
壊れてからでは遅い、と本格的な整備をすることとなり、直すまでの間、あなたたちは羽を伸ばす時間を得たのだった。
空は晴れて澄み渡り、心地好い日光が辺り一面に降り注いでいる。
騎空挺修理の島とはいえ、中央から外れればそこには穏やかな農村部が広がっていた。
「おぉ、辺り一面麦畑だぜ!」
「これがふかふかのパンになるんですよね……じゅるり」
「おいおいルリア、ちょっと食い意地が張りすぎじゃねぇか?」
「はわっ!? そ、そんなことないですよ!」
むくれるルリアとそれをからかうビィ。
あなたは二人の賑やかな声に頬を緩ませながら、青さを残して揺れるガロンゾ麦の畑を通り抜けた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
麦畑から続く小道を辿り、雑木林を鼻歌交じりに抜ければ、そこには湖が広がっていた。
中央には小島があり、そこには青々とした葉を揺らす巨木が悠然と聳え立っている。
「ふわぁ、おっきな木です……」
「本当にでっけぇなぁ。ルーマシーの木と同じくらいあるんじゃねぇか?」
近隣に住む村人たちから聞いた通り、岸から島までは浮き橋が続いていた。
ここには魔物たちがなぜか寄り付かず、今は見当たらないが、村人たちの憩いの場となっているらしい。
揺れる橋をはしゃぎながら、途中で湖に落ちそうになりながらも渡り、小島までたどり着く。
巨木の根元近くまで寄ると、その大きさがより感じられた。
幹や枝葉に満ちる生命の力強さが、木を見上げるあなたたちに自然と感嘆のため息を出させる。
しばしの間木を眺めていたあなたたちだが、ここにはピクニックに来たのを思い出す。
ランチを取るのに良さげな場所を探すため、ぐるりと木の周りを回ることにした。
「おっさきー!」
「あー! ビィさんずるいです!」
ビィとルリアは競うように、はしゃぎながら先へ行ってしまった。転んでも草が覆う地面では大きな怪我はしないだろうが、心配になるのは変わらない。
あなたは二人の後を小走りに付いていった。
ルリアとビィが、橋の反対側辺りに差し掛かったときだった。
先行く二人から「ひゃわーっ!」「うわぁ!」と叫び声が上がる。
さては魔物が出たのか。
あなたは焦り、ランチボックスを放り出して二人に全力で駆け寄った。
呼吸3つで駆け付け、ルリアとビィを庇って剣を抜く。
何が掛かってきても対処ように身構えた。が、あなたを襲うだろう衝撃や痛みはない。
思わず目を瞬かせるあなたの後ろから、ルリアが言葉をかけてきた。
「ご、ごめんなさい。その、女の子が倒れてたからびっくりしちゃったんです」
ルリアの言葉で視線を下に向けてみれば、確かに女の子が倒れていた。
紫と黒を基調とした服に身を包んだその少女は、快活さと儚さを同時に感じさせた。
紫の長髪がかかるその顔にはあどけなさが残り、健康的な印象を受ける。
だが雰囲気はどこか透き通ったものを感じさせ、純粋さを越してどこか「終わってしまった」と思わせるものがある。
手は体の上で組まれ、まるで祈りを捧げているかのようだ。
巨木の傍には彼女の物だろうか、細身の直剣が突き立っている。
木漏れ日が彼女と剣を照らし、まるで宗教画を切り取ったかのような光景を作り出していた。
あなたが魅入るように彼女を見つめていると、不意にぐいと後ろから引っ張られる。
「むー……!」
振り返ればそこにはむくれたルリアの姿が。
頬を膨らませて、何かを言いたそうにあなたをジト目で睨んでいる。
どうやらあなたの行いがお気に召さなかったらしい。
あなたは乾いた笑いで無理矢理誤魔化し、剣を収めて倒れていた女の子に近寄った。
脈や呼吸を確認してみるが、ともに穏やかなものだ。
怪我の類いも見当たらない。
素人目だが、どうやらただ寝てるだけらしい。
「なんでぇ、寝てるだけかよ」
「あはは……。でも、なんともなくて良かったです」
「まぁな。しっかし、気持ち良さそうに寝てるなぁ」
女の子の無事を伝えれば、あなたの頭に着地したビィが言う。
確かに少女の寝顔は気持ち良さそうだ。
よく見れば彼女の口元は微笑むように上っている。
どこか楽しげな夢を見ているようにも思えた。
近くの村の子だろうか、などとあなたたちが話していると、心地良さそうな寝顔が不意に歪む。
何度か顔を動かすと少女が薄っすらと目を開き、こちらに寝ぼけ眼のまま顔を向けてきた。
「──ごめんね、起こしちゃった?」
「……んぅ、ふあぁ……っ、んはぅ……」
少女はあなたの問いかけに、寝息のような曖昧な声で返事をし、次いで大きな欠伸をして、最後にくにゃりと笑顔を見せた。
柔らかな表情からは、先程までの儚さは見受けられない。
気のせいだったのだろうか。
あなたは小首をかしげる。
少女の気にしていない風を見て安心したのか、ルリアが声をかけた。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「んー……そうだね。すごく気持ちよく眠れ──ッ!!」
少女はまだ眠気が抜けていない、気の入らない声で話し出したが、言葉の途中で何かに驚いたかのように飛び起きた。
そして目を大きく開きながら、自身の体を確認するように触りだす。
一頻り確認し終えると、今度はあなたたちに食って掛かってきた。
「な、なんで! どうして!? あの時、ボクは確かに……!」
「うわぁ! いきなりなんだってんだ!?」
「あわわ、そうですよ。落ち着いてください」
あなたたちは突如叫びだした少女に驚き、落ち着かせようとする。
が、その試みは上手くいかない。
あなたたちの言葉が耳に入らないのか。
それとも言葉だけでは止まらないのか。
否、それとも止まれないのだろうか。
彼女は徐々にヒートアップしていく。
「アスナは!? スリーピングナイツのみんなは!? それに他の──痛っ!」
「だ、大丈夫ですか?」
髪を大きく揺らしながら取り乱していた少女が、不意に手を引き目を閉じた。
その指先からは赤い滴が零れている。
どうやら触れていた草の縁で切ってしまったらしい。
あなたは持ち合わせていたハンカチを取りだし、彼女の傷口に添えようとした。
と、そこで少女が溢れた血を食い入るように見つめているのに気づく。
「血だ……」
ポツリと呟かれた言葉。
先程とは様子が変わったことに、ビィとルリアも気づいたらしい。
興奮していた彼女を落ち着かせようと、逆に慌てていたその動きを止める。
「ぅ──ぁあ──!!」
少女が空いていた片手で口を覆うと、抑えきれない嗚咽がそこから漏れだした。
喜びと、戸惑いと、様々な感情が入り交じって目に浮かび、見る間に涙が零れ落ちそうなほど沸き上がってくる。
「こ、今度はなんだよぉ!」
「そんなに痛かったんですか!? えと、えーと……!
だ、大丈夫! すぐに治りますよ!」
ルリアの少しズレた励ましに、少女は頭を振って答える。
体が揺れた拍子に涙の堤防は簡単に崩れ、彼女の動きに合わせてポロポロと地面に降り落ちていった。
少女が血が滲む手を胸の前で握りしめる。
それは胸の内に灯った何かを無くさないようで、あなたの目に尊く映った。
「ひとつ……ひとつだけ聞かせて……」
嗚咽の間を縫って、少女が消え入りそうな声を発する。
顔を上げてあなたたちを見つめる目には、どこか懇願にも似た想いが込められていた。
少女の願いを感じ、あなたたちは静かに少女の言葉を待つ。
「ボク……ボクは、ここで──」
──生きてるの?
紺野木綿季ちゃん、お誕生日おめでとう!
CD聞いて映画3回キメたら書きたくなりました。
その割にはまだ名前すら出せてない体たらく。
お許し下せえ。
この後は仲間になって、色んなところを冒険して。
夢で再会して、アウギュステでも再会して。
そんな感じで続いていくはず。
せめて仲間になるとこまでは書きたい。