MUGENでクマーで遊んでたら思い付いた一発ネタ。
多分皆が考えたであろうモノの、一ランク下な内容。
ほんと短編。

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一発ネタ。球磨川じゃないから勝てます。


嘘憑きなヒーロー

 始まりはなんだったか。

 確か、中国のとある町で光る赤子が生まれたことだったか。

 『個性』。

 昔とは違う意味を秘めるようになったそれは、現代社会に大きな影響を及ぼすようになった。

 超能力である。

 

 人によって様々であるが、現在人口の8割が持つそれは、色々な意味を持つようになった。

 中には『ライオン』や『ネズミ』などと言う、所謂『異形種』と呼ばれる物もある。

 

 そう言った『個性』の影響か、人種差別は少なくなりつつある社会で、新たに出来た差別が在る。

 『個性差別』である。

 それは『個性』が出現し始めた頃と、『個性』を持つ者が多くなった今では違う意味を持つ。

 前者では、『個性』を持つ者を。後者では、『個性』を持たない者を差別することを指す。

 

 また、他にも新たに明確な形で出来た存在が在る。

 『悪』と『正義』である。

 一昔前に流行ったマーブルだかマーバルだかのコミックの内容がまるでそのまま現実になったかのようなそれは、今日に至るまで争い続けてきた。

 正直ジャンプ以外は読んでいないので、先程の話は受け売りである。

 

 ともかく、そのように変化したこの社会で、年々増え続けるもの。

 『個性』を悪用した犯罪者、『悪者(ヴィラン)』である。

 それは大きな凶悪性を持ち、一般人には対処が難しかった。

 そこで登場したのが『正義(ヒーロー)』であった。

 その争いは今日に至るまで続き、それは先ほど言った『悪』と『正義』にそのまま繋がったりする。

 

 そして、年々増え続ける『悪者(ヴィラン)』に対処するために施されたのが、『ヒーロー育成』。

 簡単に言えば、『最近悪者(ヴィラン)多いんでつえーヒーロー用意しようぜ』である。

 その一環で作られたのが『雄英学校』である。

 ひでお学校、と呼ぶと闇系のお仕事されちゃうので注意。

 ちなみに、その学校凄まじく競争率が高い。

 東大も目ではない、とは友人の談である。

 

 

 さて。

 そろそろこんな二次小説を読みに来た人ならば知っているであろうことを長々と連ねてごめん。

 

『でも』『これを書いて読ませてるのは作者なんだ』

『だからやっぱり僕は悪くない』

 

 

>/^\<

 

 

 やぁやぁ。僕の名前は『多摩川禊』。

 気がついたらこんな魑魅魍魎がうにゃうにゃする世界に居た元一般人だぜ。

 いやー、目が覚めたらこんなことになってて本当に焦ったよ。鏡を見れば何かクマーっぽいなにかだったし。好きだから許す。

 

 さて、唐突だが、実は今日は僕の高校の試験の日なんだ。

 

『あーあ、やっぱり今日は厄日だね』『電車は脱線するし』『バスは目の前で事故るし』『タクシーは捕まらないし』『不幸だぜ』

 

 うん、最近のジャンプでもあり得んぞこんな展開。

 てかタクシーお前こっちチラ見して素通りしていったよなおい訴えるぞコラ。

 ……と、心のなかで罵詈雑言を並べ立てながら、取り敢えず試験に間に合うように手を打とう。

 

"手の平孵し(ハンドレット・ガントレット)"

 

 僕が一言呟くだけで、回りの景色は一変する。

 と言っても路地裏から別の路地裏に移動しただけなんだよね。

 

 ちなみに、移動した先であるここは、『雄英学校』から程近いビルの隙間の路地裏。

 『雄英学校』まで徒歩五分である。

 

『いやぁ、実に便利だねこのスキル』『道理をすっ飛ばすついでに過程もすっ飛ばす』『あえて言うなら、そう』

 

()()()()()()()()」を無かったことにした

 

『まあ原理は槍ニキの槍と同じなんだけどね』『汎用性が違うよ汎用性が』『ランサーの価値が死んだ!この人でなし!』『なんてね』『実は槍ニキよりもダメットさんのが近いよ』

 

 

『あ、そうだった』『僕は雄英に試験受けに行かないといけないんだった』『忘れちまうとこだったぜ』

 

 

>/^\<

 

 

 

 ところ変わって、ここは雄英内の講堂。

 

「俺のライブにようこそぉ!!エヴィバディセイヘイ!!」

『YO-KOSO!』

「「「………」」」

 

 僕は、当然のように『"手の平孵し(ハンドレット・ガントレット)"』によるズルをちょくちょくしながら、筆記10位あたりに収まるように点数を調整した筆記試験のあと、実技試験を受けに来た。

 ちなみに読者の皆さんなら解ると思うが、実技試験説明担当は『「ボイスヒーロー」プレゼント・マイク』だ。

 

「そこの学ランのキミぃ!反応ありがとー!!いやー、最近の若者はシヴィーからねぇ。

 ……っと、そろそろ解説と行こうじゃないか!受験生のリスナー達!

 実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!アーユーレディ!?」

『YEAH!』

「「「………」」」

 

 因みに彼に反応しているのは僕だけだったりする。いやー、こいつはシヴィー!なんつって。

 

「試験内容は、『市街地模擬戦闘』だ!

 ルールは簡単、仮想ヴィランロボットをぶっ壊すだけでいい。はい画面注目ぅ!画面に書いてある通り、ロボにはそれぞれ点数が振り分けられているZE!ロボを倒すとその倒したロボの分ポイントが入るわけだ。

 後、これは『将来のヒーローを育てるための試験』だ。当然ヴィラン的行動をとった場合は当然のように失格だZE。

 HEY、リスナーの諸君、ナニカ質問はあるかな?」

 

 あ、折角だからちょっと質問してみよう。

 

『はい!』

「じゃあまずそこの、さっき反応してくれた君!」

『マイクさんのその髪型のセットって大変じゃないですか?使ってるワックスを教えてください!』

「いきなり関係ない質問じゃないか!使ってるワックスは如月社の『AMIDA-WAX』だZE!」

『ありがとうございます!』

 

 いやー、友人が言うからアニメは少し見たけど、原作読んでないからあの髪型の秘密が解らなかったんだ。そうか、あの変態企業の製品か……あの髪大丈夫かな?

 

「はい!」

 

 と、僕が脳内でプレゼント・マイクの髪の心配をしていると、腕をピンッと伸ばした眼鏡をかけた委員長タイプの青年がプレゼント・マイクに質問をしていた。

 

「そこの緑髪の君!今は試験の説明中だぞ!

 ぶつぶつと独り言を呟くのは他の者の邪魔になるからやめたまえ!」

 

 眼鏡くんがそう言いつつ、緑髪の青年に視線を向けると、緑髪の青年は肩をびくりと震わせた。

 ほぇ~、あの緑髪の子が主人公かぁ。確かに気弱っぽいなぁ。

 

「あと、そこの学ランの君!ここで試験に関係ない質問は控えたまえ、他の者の邪魔になる!」

『………えっ、僕?』

「そうだ!」

 

 唐突ではないか。何かムカつくぜ。何て言うんだろう、こう、篭の中で育った鳥を見つけるとついつい苛めたくなると言うかなんと言うか。仕方がない()ので反撃する。

 

『そういう君はどうなんだい?こうして僕らを注意していることも試験に関係ないよね?』

「しかし、試験官殿の髪型は試験に関係ないではないか!」

『僕は直ぐ気になった事を考えるタチでね。あの凄まじい髪型がとても気になって試験に身が入らない可能性だってあったよ?』

「くっ、しかし………」

『と言うかそろそろ試験しよう。君は早く試験を受けたくないのかな?』

 

 はい論破。………うわ、やばい今の僕恥ずかしいなぁ……はい論破、とか上から目線だなぁ。球磨川先輩でもあるまいし。

 今のは、この体になってから良くするようになった”お喋り”だ。多分クマーのように論破して心を抉り出す事がこの”お喋り”の本質なんだろう。あと煽り。多分その気になれば一言でプッツンさせられるようになる。なお自動発動しやすい模様。

 

「………!!!」

 

 あー怒ってる怒ってる。

 

「あー、うん。そろそろ試験会場に行こうかリスナーの諸君!」

 

 と、言ったところで、プレゼント・マイクが助け船を出してくれた。サンキューマイク。

 

 

>/^\<

 

 

 ところ変わって、ここは雄英実技試験会場。

 僕の回りには大勢の受験者がひしめき合っていた。

 これを見ると、東大並みの倍率と言うことに納得してしまった。むしろ東大より狭き門だよねこれ。

 まぁぶっちゃけて言うと

 

『余裕なんだよね、試験自体は』『僕の「個性」で消し飛ばせば一撃だし』『でも、それじゃ試験官に僕が倒したって気づいてもらえないんだろうね』

 

 ポイントはそこだ。『"却本作り(ブックメイカー)"』の効果を活かすため、極力筋力を付けないようにしたこの体では、真面目にやっても到底受かることはできないだろう。

 

『なーんて』『言うとでも思った?』『そんなわけ無いよ』

 

 真面目に?馬鹿馬鹿しい。僕の心の師匠、裸エプロン先輩ならばきっとそう言うことだろう。

 

 ならば、この『個性』全開で、普通の人が見たら、自分が頑張っているのが馬鹿馬鹿しくなるよう、蹂躙して見せよう。

 

 だって、僕は()()()()であって、()()()()では無いのだから。

 

 

>/^\<

 

 

『おっす、おら多摩川!』

 

 声を出して注意を引き付けつつ、手元に出した特大の-ネジを投げつける。

 両手からそれぞれ放たれたそれは、両肩を刺し貫き、止まる。

 肩部をネジに貫かれたロボは、突然の奇襲に驚きつつ、こちらに突進を仕掛けることで反撃を試みる。

 

『あめぇよ』

 

 即座に両手にネジを装填、今度は両足を狙って射出。命中。

 膝から螺子を生やしたロボは、うつ伏せに倒れ込み、そのまま足元まで滑ってくる。

 

『うわー痛そー』

 

 僕はそれだけ言うと、止めとしてロボの中心部……コアを狙って、ロボの上に人一人分ほどの大きさのネジを産み出し、ロボに突き立てた。

 

『………』『たぶん、これで19点くらいだね』

 

 試験開始からしばらく。僕の姿は試験会場中央付近にあった。

 カウントも無しの試験開始は驚いたが、それだけだ。

 ロボの強さもそれほどの域を出ない。

 

『と言うか僕に不利過ぎるんだよねこのルール』『だって僕の螺子は”虚構”の螺子』『刺されたことで痛みを感じれど』『実際は何の怪我もない』『オート”みねうち”って奴だね』

『つまり対人が一番輝くんだ』

 と、ここまで喋っておいて、画面の前のみんなが思っているだろうことが一つ。

 

 じゃあ、なんでロボはさっき足を貫かれたことでこけたの?傷はつかないんだよね?

 

『ちなみに』『オート”みねうち”は対生物用なんだぜ』『しかも物理干渉もできる』

 

 そういうことである。

 

 

>/^\<

 

 

 うー、救出P救出P。

 今、足りないポイントを補うため、救出Pを求めて全力疾走している僕は中学校に通うごく逸般的な男の子。

 強いて違うところをあげるとすればヒーローに興味があるってことかナ。

 

”ゴゴゴゴゴゴゴ………”

      

 そんなわけで割と近くに現れた0P敵の側へとやって来たのだ。

 

『すごく………大きいです』

 

 と、遊んでいるものの、割と切羽詰まっていたりする。

 多分今30点行くか行かないかの辺りを彷徨っているであろう僕のポイント。

 合格できるのか怪しいポイントだ。

 その為、まだ正式に公開されていない”救出P”を使ってポイントを稼ぐことにしたのだ。

 

 

『ものまねして遊んでいるのはいいけど』『ちょっとデカすぎないあれ?』『確かにでかいとは聞いていたし、漫画だけど見たけどさ』『モノホンまじパネェっす』

 

 巨大なその体は、周囲のビルを薙ぎ倒して余りある。

 当然、周囲にもその残骸が瓦礫となり散らばって居た。

 その中でも、一部には瓦礫の下敷きになっていて身動きのとれない人々も居た。

 

『好都合だね』『助けて救出Pを稼ごう』『ついでに助けたのが美少女でお礼にパンツ見せてくれるとなおよし』

 

 僕がそう呟くと同時に、0P敵がその巨体を動かす。

 当然、そうなるとまた瓦礫が散らばる。

 そして、偶然にも視界に写るのは、座り込んで自身に降り注ぐ瓦礫を見つめる女性受験者。

 

『っと』『こりゃまずいね』

 

 一言呟くなり駆け出し、手元に螺子を産み出し、瓦礫に投擲。螺子は複数の瓦礫に命中するが、螺子は”虚構“で有るため、瓦礫を砕くことは無い。

 

"大嘘憑き(オールフィクション)"』『瓦礫を無かったことにした』

 

 次の瞬間、瓦礫が姿を消した。

 それを見届けた多摩川は、直ぐ側に居た女性受験者に声をかけた。

 

『そこの君』『大丈夫?怪我は無い?』

 

 

>/^\<

 

 

 これは、後に「不敗ヒーロー」として伝説になる、一人の少年の物語。




連載するならUSJまで書きます。短い。


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