ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~ 作:三途リバー
今回ちょっと急ぎ過ぎた感がありますが…許して下さい。
最後にオマケがあるので、ワクワクしながらスクロールしてね!
「うおおおおおおっっ!!!」
「とっとと、良いパンチもってんじゃん。でもまだちょっと遅いなぁ。」
全力のアトミックパンチを、容易く掴み取られる。メフィラス星人の腹部も貫通したこの技を、片手で…!
「ふっ!」
「がっ!」
うあっ…!スーツの上からでも、ダメージが…。膝蹴り一つで、こんな…
「嬢ちゃん、ケンの娘さんだろ?元気かぁ、アイツ?」
父さんを、知ってる?こいつ、何者なんだ…。あのスーツ、スパークアーマーによく似てるし、胸にはカラータイマーらしきものもある。もしかして、ベリアルみたいな…
「…ん?あぁ、このスーツやっぱ気になるか。いんや、俺はウルトラマンじゃねぇぜ?生まれは立派なM78星雲外だ。遅くなったが自己紹介をさせて貰おう。」
軽い調子で勝手に話し始めるが、その実目は休むこと無く動いて周囲を索敵している。
戦いに、慣れてる。
「ババルウ星人メギド。嬢ちゃんのパパとは古い付き合いだ。」
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「なん、ですか…この大軍っ…!?」
エースの愕然とした声が響き、隊員達は恐怖に色を失う。
「驚いたか?」
『!』
暗闇の中から、女の声が聞こえた。やがてその声は質量を持つ影となり、1人の宇宙人を形作る。
「久しぶり…と言いたかったがシルはいないようだな?やれやれ、メギドの奴が壊してしまわねば良いのだが…。」
黒い髪を弄び、女は呟くように言葉を紡いだ。その口ぶりからは、シルと面識があると思われる。
「誰ですか、などと言う愚問はしません。マグマ星人グロリアの協力者と見なし、全力を持って排除します。」
「おーおー、血の気が多いなぁウルトラマンジャック。聞くところによると大人しい性格という事だが…あぁ。大事な大事なお兄様の所へ行きたくて焦っているのか。それにしても気が早い。この
「くっ…!こんな数を、どこから!」
「決まっているだろう?文字通り掻き集めたのさ、我ら暗黒宇宙人連合の支配地中からね。」
「暗黒宇宙人連合、ですか。語るに落ちるとはこの事ですね。もっとマシなネーミングセンスを持ったメンバーはいなかったんですかね、メフィラス星人。」
「ははは!なるほど、ヤプールの言う通り小憎らしい娘だ、ウルトラマンエース!そう言ってくれるな、これ以上なく分かりやすいいい名前だろう。」
メフィラス星人。
かつて地球を手に入れる為、暴力に寄らない侵略を実行するが挫折、ウルトラマンことシルとは決着をつけないまま去った悪質宇宙人だ。
その彼女の背後には、太陽の光を覆う程の怪獣の大軍。
「ついでに言っておこうか。私の個体名はリーネ。メフィラス星人リーネだ。ここで皆殺しになる君達には関係が無いことだが…。さて、おしゃべりはここまでとしよう。」
『ギャォォォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!』
幾千もの咆哮が木霊し、重なり、光の戦士達へと向かっていく。
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「あ、がハッ…。」
手が、動かねぇ…足もそろそろガタが来るな…。
アイスラッガーは弾き飛ばされ、ワイドショットは勿論エメリウム光線すら撃てる力も残ってない。
この2匹、互いの次の動作を完璧に察知して連携攻撃を仕掛けてくる。あの爪に気を取られた次の瞬間には上からドデカイ尻尾が振り下ろされ、距離を取ろうものなら熱線を吐いてきやがる。
いや、まだだ。こいつらを倒してから親玉との1戦が残ってる。今
残った力を振り絞り、足のバネをフルに使って飛び出す。
相手は余裕を持って叩き落とそうとするが、俺とてアホじゃない。微小なエネルギーを左手にため、一筋の光に変えてうちだした。
ラインビーム。威力は大した事ないが、燃費が良く撹乱用には持ってこいだ。
まさか空中で光線を撃ってくるとは思わなかっただろう、右目に直撃した黒い方は驚きの声を上げ、迎撃どころではなくなる。そこへ首に手を回し、全身のバネを使って投げ飛ばす。
「っ…らァっっ!!!」
投げ飛ばしは、自分の体重分が全てダメージになる…シルの口癖だった。つーか身をもって知ってる。どれだけ俺があいつに投げ飛ばされた事か…
「ゴッ…グ、ルゥ…」
ダウンした黒いのを放っておき、赤い方に向き直る。
なけなしのウルトラサイコキネシス、受け取りやがれ!
「!?」
空中で一回転させてそのまま叩き落とす。いつもなら長距離ふっ飛ばして爆発とかできるんだが、今の所これが精一杯だ。
アイスラッガーを取り外し、黒い方の首を刈り取ろうとした、その時。
「ぐぁぁぁぁッッッ!?!?」
脚…!うがぁぁぁぁぁっっ!!!
「グギャァァァァァァァァ!!」
雄叫びを上げ、黒いのが俺の右足をあらぬ方向へひん曲げていた。
く、そがァァァァァァァァァ!!!!
のたうち回りながらも体を捻り、腰の力を利用して地面からの左蹴りを思い切りぶちかます。
怯んで足を離した隙に、零距離で手裏剣光線を撃ってどうにか退かせることに成功した。
が…。
「あ…!ぐ、ぁぁぁぁぁっ…!やり、やがったな…!」
右足、というより神経が焼け付くように痛む。痛くて気絶出来ないとか聞いたことあるがアレ絶対嘘だ。痛すぎて、気を一瞬でも抜いたらスーツの維持も出来ねぇ…
距離を取りつつ、ダメージから回復した赤いのも俺の方を用心深く睨んでくる。
もう蹴りは勿論立ち上がることすらままならない。状況は絶望的だ。
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落ち着け…落ち着け…!こんな戦力差で、私が出来ることは何…!?
エースちゃんをはじめ、皆驚きと恐怖で行動が止まってしまっている。この状態じゃあそれこそ全滅、兄さんを助けに行く事なんて夢のまた夢…!
『んな馬鹿な、って事が起こったらまず何が馬鹿なのか考える事だな。あと不自然な事とか。カラクリが見えてくるかもしれないぜ。』
馬鹿な事…不自然な事…そう言えば、何故リーネは私達を急襲せずにわざわざ姿を見せたの?さっきのマグマ艦隊のように突然作動する罠ではなく…。
『相手のペースに巻き込まれないようにしなさい。私も大変な相手がいてね、バルタン星人やらザラブ星人やら引き連れて来たと思ったら幻影だったり。振り回されると痛い目見るわよ?』
ペースに巻き込まれないように…。
!!引き連れて来たように、見せかけている…!?
「ブレスレットボム!」
左腕のブレスレットを爆弾に変えて、リーネに向けて思い切り投げつける。私の考えが正しければ、これで…!
「ぬっ!?」
ドガァン!!
辺りを閃光が包み、ブレスレットが舞い戻ってくる。そして、その光が晴れた先には…
「…やってくれたな、ジャック。まさか貴様がこれ程の切れ者だったとは…抜かった。」
あの軍団が嘘のように消え失せ、1人バリアを張るリーネの姿のみ。
「指導者に恵まれているもので。さぁ、形成逆転…と言うより元通りです。幻影の軍団は消えました。私達の第一目的は地球へ行く事、命が惜しくばそこを退きなさい!」
やはり。リーネは怪獣軍団を連れてなどいなかった。彼我の戦力差を埋め、ついでにこちらの心を折るためにあんな幻影を出したんですね。しかし、こちらから言わせればそれこそ抜かったのはそちら。幾ら何でも数が不自然過ぎました。
…兄さん、シル姉さん、ありがとうございます。
「フフフ…確かに形成は元通りだ。相も変わらず、
バリィン!バリィン!
「異次元空間!?超獣ですか!」
「暗黒宇宙人連合も口から出任せかと思ったか?ふふ、甘い甘い。私は分の悪い賭けはしないクチでね、前述の通りヤプールやメギド、グロリアと結託して此処にいる。さて、後ろの諸君。長らく待たせてしまったな、存分に楽しんでくれ給え。」
グロリアとも…!メギド、とは誰だか知りませんが恐らくタロウちゃんが向かった木星にいるのでしょう。
今はとにかく、目の前の超獣…バキシム、ドラゴリー、グロッケンを倒す!
「総員、戦闘態「ギロチンショット」あ…」
三つに分かれた刃が、それぞれの敵に向かっていく。勿論、撃ったのは…
「私とした事が…あの馬鹿兄を助けに行くなどと言いながら、あんな雑魚の群れに怯んでしまった…。この失態は、今すぐ取り返します。リーネと言いましたね、メフィラス星人。貴方も含め、連合首謀の首は此処で取らせてもらいます!!」
本気で怒った、エースちゃん…。責任感は強い子だし、ね?でも戦力になるのは事実。連合はとにかく、この局面を打ち破ります!!
「兄さん、今行きます!!」(この機を逃しません!)
「ジャックさん、思考と発言逆っす…」
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「う、あ…」
強、すぎる…。光線は全部叩き落とされ、格闘戦でも敵わない。これが、暗黒宇宙人の実力…。
「何だ何だ、期待外れだぜ嬢ちゃん。俺の体半分ぶっ飛ばした男の子供にしちゃあ物足りねぇなぁ。そこに転がってる姉ちゃんの方がまだたのしかったぜ?これでウルトラマンたぁがっかりだ。ほらほら、急がないと姉ちゃん死んじゃうかもよ?」
「っ!シル、姉…」
スーツは解除され、時折苦しそうに呻くシル姉。意識は既になく、このまま放っておけば命に関わるかも…。
「させない…」
「ん?」
「させて、たまるかぁぁぁっっ!!」
残ってる力を、全部出し切る!!例え倒せなくても、シル姉だけは守り抜く!!
昔、セブン兄が言っていた言葉が脳裏に響く。
『お前達には味わって欲しくねぇんだよ、失くす悲しみは。』
あれを聞いたのはボクがまだ地球に行く前…力を持っていればそれで平和が守れるなんて考えていた頃。聞いた当時はセブン兄らしい、優しいなぁで終わってた。
でも、今は違う。今なら、分かる。
1度失ったからこその言葉。心の底からのボク達への想い。
「守る為に振るう力を、今こそ体現する!!ボクはウルトラマンタロウ、輝刃の薫陶を受けたウルトラマンだ!!」
ボクの命よ…ウルトラの力よ!
天を焼き、地を焦がせ!
尽きることの無い、炎となれ!!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッ!!!!!!!!」
「何っ!!」
一瞬怯んだメギドの隙をつき、懐まで飛び込む。
「行っっっっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
…………………
「くっ…はは…ははははは!!!良い!良いね!前言撤回、嬢ちゃんすげぇよ!はっははははは!!」
結局…ボクの一撃は、致命傷にはならなかった…。
でも。
「タ…ロ…」
「大丈夫、だよ…キングブレスレットは、壊れない…から…」
シル姉は、守れた…。
全身に炎を纏って右拳を叩き込み、爆炎であいつの視界を奪ってる間にキングブレスレットをシル姉に投げる。後は他力本願だけど、ブレスレットが光エネルギーフィールドでシル姉を包んで、作戦は成功。
「この俺に全力防御をとらせるたぁ…見事だぜ。作戦勝ちだな。だが残念だ、嬢ちゃん。嬢ちゃんは此処でサヨナラだ。」
ここまで、かぁ…。もうスーツも解除されちゃった。体のあちこちから湯気が出て、指1本うごかせないや…
「やめ…ろっ…タロウッ…!」
ごめん、皆…セブン兄…ボクは、此処で脱落っぽいや。
「最後に、会いたかったな…」
セブン兄…
「それじゃあさよなら、タロウの嬢ちゃん!!」
「やめろおぉ!!」
黒い光線が、ボクの胸を貫「アストロビーム!!」
「うおっ!」
「え!?」
…貫か無かった…消え失せた…?いや、打ち消された?え、誰が?え、え?
「間一髪ってとこだな、ゾフィーの教え子!」
空から降りてきたのは、ボク達と同じようなスーツに身を包んだ女の人。あれ?でも、ちょっと違う…丸みがあって、胸には緑の星のマークが。
「何だい何だい、おねーさんもウルトラ戦士かい?今日はよく当たる日だぜ…。」
新しい敵が現れたというのに、調子を崩さないメギド。対して女の人も似たようなペースを崩さない。
「連れない奴だな、ババルウ星人メギド。ゾフィーからサインもらって飛んできてやったってーのに随分なおもてなしじゃないか、えぇ?あ、そうそう、大丈夫か、シルと…えーと…」
「た、タロウです。あの、あなたは…」
ゾフィー姉の知り合い?随分気心が知れてる感じだけど…あとシル姉も知ってる?
「おぉ!タロウ、タロウな。覚えたぜ。あたしの名前は…丁度良い、テメェも聞いときな。あたしの名はジョーニアス!U40最強の戦士たぁあたしの事よ!」
オマケ?
フリーザー軍の兵士No.2626さんから頂いた支援絵です!嬉しすぎて涙が出ました。話の筋とはあまり関係ありませんが、シルです。フリーザー軍の兵士No.2626さん、本当にありがとうございます!これからも頑張るぞい!!
今回は嬉しい事づくしでした。絵は頂けるし、評価の色もつくし、ジョーニアス逆輸入できるし…
あ、ジョーニアス姉御はアンギラスの息子さんが設定を考えて下さりました!ありがとうございます!
まだキャラ操作に慣れないですが、次回以降もっと上手く動かせるよう精進します。
感想を非ログインユーザーの方でも書き込めるよう設定しました。というより設定し忘れていたのに気づきました。皆さんの感想が何よりの励みなので、楽しみに待ってます!
これからもよろしくお願いしますーー!!
P.S.
筆者の宝物は、ウルトラセブン40周年の時のウルフェスで買ったクリアレッドの限定セブンソフビ。
リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?
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5姉弟時代
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6姉弟〜レオ指導時代
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メビウス時代
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ゼロ誕生以降、ベテラン時代