ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~   作:三途リバー

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シル(初代)の話しです。セブンは能ある鷹は云々かんぬんって言うより本当に痛いのが嫌いなだけです。


過去編その1 モヤシ眼鏡からひんぬーへ

「らッッしゃオラぁぁぁぁぁ!!!」

 

「女が出して良い声じゃねぇだろォォ!!」

 

情けない抗議の声を上げ、宙を舞うのは勿論俺。そして女子に有るまじき猿叫を発しているのは俺の幼なじみ、シル。

 

現在俺達は光の国のコロセウムに来て組手をやっている。なんでも、今度シルが宇宙死刑囚の護送をするので万一の為に訓練をしておきたいとの事。

…俺は戦闘要員じゃないんですけど!恒点観測員なんですけど!あなたのサンドバッグじゃないんですけど!

 

「はー、相変わらずのモヤシっ子ね~」

 

「うっせ!いいんですー、私の仕事は観測員なんでー」

 

「観測員も実地調査するでしょうに。ほらほら、備えあれば憂いなし!立った立った!」

 

「そんなに戦いたいならゾフィーか誰かとやれよ…ジャックだってもう新人じゃねえし、エースはまだヒヨッコだが見込みは中々だぜ?俺なんかよりよっぽどおもしれぇぞ。」

 

大体、幾ら相手が戦士だからって本気で女に向かってける訳ねぇだろうが。

お、俺の本気はこんなもんじゃねぇし!怪我しないよう調整してやってるだけだし!(震え声)

 

「…あんたとじゃないと意味無いのよ。」

 

「なんでまた?」

 

「///ッ!?聞こえて…!?」

 

「俺の聴力なめんなよ?こう見えてもレッド族だからな。」

 

俺は実はポテンシャルは高い方だ。戦闘は苦手だが…つーか嫌いだが。基礎能力は大分あるとおもうんだよね。

 

「そ、その…しばらく会えなくなるから!鍛えといてやるのよ!」

 

「そりゃありがた迷惑ってやつだぜ…あー…ジャックーーーー!シルが非力な俺のこと虐めるーーーー!」

 

「少しは男らしくせんかいっ!」

 

 

 

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痛てぇ…なげられまくって全身痛てぇ…

 

「セブン君。大丈夫?」

 

「エルさん…はは、全く厄介な幼なじみを持ったもんです。」

 

この人は俺の上司、恒点観測員320号エルさん。優しいお姉さんって感じで部署の皆に人気の女性だ。なんかよく分からないけどシルと会うと火花を散らす。

 

「厄介、ね…それはあなたの力を理解していないってとこ?それともお節介ってとこ?」

 

そう。この人は数少ない俺の全力を知る人でもある。前に2人で観測に行った時、道中異星人の円盤軍に襲われたので離脱するのにアイスラッガー飛ばして逃げたことがあるのだ。

 

「お節介ってとこですよ。まぁ優しいんですけどね、根底は。俺の力を知らなくても別に悔しくとも何ともありませんし。つーか力って言っても逃げる道開いただけじゃないですか。」

 

「謙遜しちゃって。かっこよかったよ?ブーメラン飛ばして物理シールドみたいにするなんて。シルちゃんとの組手見てたけど、本当はもっと互角にやれるでしょ?」

 

「いやぁ、買い被りですよ。殴ったり殴られたり、投げ飛ばされたりとかホント嫌いなんで…勘弁して欲しいです。」

 

戦いなんざやりたい奴がやれば良い。俺は傷付けるのも傷つけられるのもゴメンだ。軟弱者で結構、これが俺の道だ。

 

 

 

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「じゃ、行ってくるわね。私が居ない間に観測先で怪我とかしないでよ?」

 

「抜かせボケ。お前こそ気ぃつけろよ。」

 

「誰に向かって言ってるのやら」

 

今日はシルの出発日。こうして警備隊本部まで見送りに来てるわけだが…なんか、嫌な予感がするんだよなぁ。

 

「ではしばしさらばだ、モヤシ「シル」っ!?」

 

気が付くと、無意識のうちに俺はシルの腕を掴んでいた。

 

 

 

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ちょっ、なになになに!?今このタイミングで!?えっ、ホントっ、うぇぇっっ!?

 

「俺はマジで言ってんだ。疑ってるわけじゃねぇけど、心配してる。…無事に、帰ってこいよ。」

 

っ…そんな、真面目な顔で…いきなり言われたら…

 

「わ、分かった…気を、付ける…」

 

素直に頷くしかないじゃん…何よ、ほんといきなり手なんか握っちゃって…

 

「何ですか、皆で見送りに来たのにシル姉さんはセブン兄さんとイチャコラして終わりですか。」

 

エース!ったくこの子はほんとに口が悪いんだから….って、イチャコラなんかしてない!

 

…ん?セブン()()()

 

「ジャック姉さんのお兄さんなら私のお兄さんです。それにセブン兄さんは色々教えてくれます。シル姉さんの投げから逃げる方法とか。」

 

「おいコラァ!んなことより教えてることあるだろうが!」

 

「兄さん…わ、私だけの兄さんだと思ってたのに…」

 

「あ、泣くなジャック!私だってお姉ちゃんだぞ!ほらゼット光線の撃ち方おしえてやるから、な!」

 

はぁ、締まらない…ま、でも私達らしいか。警備隊の女子メンバー+モヤシ眼鏡。いつも通りね。

 

「なぁんか貶められた気が…」

 

気のせい気のせい!じゃあ、行ってきます!

 

「うむ。しっかりと励め!」

 

「えと、お体に気をつけて!」

 

「セブン兄さんの言いつけを守ってくださいね。」

 

「…うし、行ってこい!」

 

こうして、私は宇宙死刑囚『ベムラー』護送の任務に就いた。そして奴は脱走、水と緑の星地球と出会うことになるんだけど…この時、そんな風になるとは微塵も思っていなかった。

 

 

 

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シルが出てって一ヶ月。今日は定期報告があるって言ってたんだけど…ジャックに聞いたらまだ受けていないそうだ。

 

「おいおい…悪い予感的中?」

 

軽口を叩いてるのは、そうでもしないと落ち着いてられなかったから。

 

…いつも近くにいたヤツがいないってのは、意外に堪えるもんだな…

 

「兄さん!」

 

「!来たか!いやぁ、ちっと心配したぜ。で、あの怠慢野郎なんだって?」

 

「その…それが…」

 

「?」

 

 

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ハァァァァァ……あんの馬鹿…一時帰還もせずに防衛任務って…アイツらしいっちゃあそうなんだが…

 

「だから恒点観測員1人寄越せってアホかぁぁぁぁぁ!!!出来れば340号って嫌がらせかぁぁぁぁぁ!!!」

 

暇じゃねぇんだよ、こっちは!あまりの横暴さに滅多に怒らないエルさんが

 

『メス猫め…』

 

ってボソって言ってたよ!!!

 

ぁぁぁぁぁ!!!胃が!!痛ぁぁぁぁぁい!!!!!!

 




どんな塩梅でしょうかね。幼なじみポジ、シルさんのお話でした。

今更ながら感想、評価、お待ちしております。どうぞ宜しく〜

リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?

  • 5姉弟時代
  • 6姉弟〜レオ指導時代
  • メビウス時代
  • ゼロ誕生以降、ベテラン時代

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