ウルトラ姉弟(笑)の黒一点~胃痛と戦え!ウルトラセブン!~   作:三途リバー

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設定集を投稿するつもりだったのですが、

『7』話ということでメモリアルエピソードです。

オリ設定祭りじゃオラァァァ!!


過去編その2 My name is…

「は?」

 

何を言われたか理解できなかった。月並みだが、本当にその通りだった。頭の中が白い。ゾフィーの言葉が右から左に抜け落ちて行き、やけにはっきりと

 

『殉職』

 

と言う一言だけが反芻される。

 

「どういう、事だ…誰が、死んだって…?は?え?」

 

「セブン君っ!」

 

知らず知らずのうちに崩れ落ちていたらしい。エルさんが俺の肩を支えてくれている。だが俺には礼を言う余裕も、現実を受け入れる冷静さもなかった。

 

「エル、セブンを頼む…。私はジャックの下へ行く。」

 

「はい…その、ゾフィーさん。ご無理はなさらずに…」

 

「無理の一つや二つ、しなければやっていられるか!…いや、すまない。君に言うべき事では無かったな…許してくれ。」

 

「いえ…心中、お察しします。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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シルが、ゼットン星人の攻撃により殉職した。言葉にすりゃあ簡単だ。だが受け入れるのはそれとは別。

 

「………意味が分からねぇよ…。どういう事だよ…。死んだってのか?シルが?殺されたってのか?なァ、おい!!ゾフィー!!シルが、殺されたのかァァァァァァァッッッ!!!」

 

最初に報告を受けたのは、あいつの要望があまりにしつこいからと思ってスケジュールの調整をしていた時。半狂乱、とまではいかねぇけどあまりのショックに一部の記憶がない。気がついたら医務室に寝かされてた。多分エルさんが運んでくれたんだろう。

そして今、起き上がった俺は無益だと分かっていながらもゾフィーに吠えていた。

 

「…そうだ。だがお前も知っているだろう、ヒカリの命の固形化のこt「生き返ればそれでめでたしめでたしか!!違うだろ!?アイツが傷付いて、命を落としたのは紛れもない事実だ!!」…」

 

違う…違う違う違うッ!

俺が怒りてぇのはゾフィーじゃねぇだろ…。何やってんだよ…こんなの、只の八つ当たりだ…

 

「なんで、アイツがっ…!」

 

分かりきってんだろうが、そんなもん。

 

俺のせいだ。

 

俺が安穏とした毎日を送りたがったからだ。

 

俺が、戦えたのにアイツに任せきりにしたからだ。

 

俺が、俺が!

 

「なぁ…教えてくれ、ゾフィー。俺は、間違ってたのか…?俺は、戦うべきだったのか…?」

 

答えを得ている筈なのに、そう聞かずにはいられなかった。誰かに責めて欲しかった。お前のせいだ、お前が間違っていたのだと言って欲しかった。

 

俺はつくづく、弱い男だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…」

 

メディカルセンターの重病患者室の前で、阿呆みたいに俺は立っていた。

意識は回復しているらしい。だが、正直マトモな顔でシルと会える気がしない。

 

コンコン…

 

「…シル。セブンだ。入っていいか?」

 

「遅い!幼なじみが死んだってんだからもうちょい速く顔見せなさいよね!…はぁ、全く暗い顔しちゃって。まぁ確かにヤバかったけどヒカリのおかけでどうにか生きてるわよ。」

 

ドアを開けるや否や、シルの威勢のいい声が飛んでくる。上半身をベッドから起き上がらせ、見舞い品らしきリンゴの角切りをパクついている。だが俺にはその空元気が痛々しく見えた。声にいつものハリがねぇ。心なしか肩も1回り小さく見えら。

 

「シル…」

 

無意識だった。無我夢中で目の前の幼なじみの顔をかき抱き、俺はひたすらその名を呼び、許しを乞う。

 

「シルっ…シルっ…!ごめん…ごめん…っ!」

 

「……なんで、セブンが謝ってんのよ…ヘマしたのは、私じゃ、ないのよ…なん、で…泣いてんのよ…っ」

 

お前だって泣いてんだろ、とは言い返せなかった。言い返すことが出来ないくらい、俺は泣きじゃくっていた。 シルも同じだ。

 

「私、悔し、くて…!最後まで、守れなくて…!これから、なのに…!私っ…!」

 

病室に入ったのは昼時。それからかれこれ1時間ほど、ガキみたく俺達は泣いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「…無事に帰ってこいって言っただろ、この馬鹿。」

 

「うっさい。私だって、頑張ったのよ…。これからゼットン星人をはじめとして、ありとあらゆる異星人が地球を狙ってくるでしょうね。地球もそれなりに防衛設備を整えるだろうから…さながら惑星間戦争ってとこかしらね。後任ってどうなるんだろう…」

 

ようやく落ち着き、俺達の間にいつもの空気が流れ始めた頃。俺は伝えようと思っていた…いや、伝えなきゃならねぇことを切り出した。

 

「俺だ。」

 

「は?」

 

「恒点観測員340号が太陽系の惑星軌道観測任務に就く。地球にも寄る事になった。」

 

元々シルが要請した、観測員の派遣。俺を名指しだった事もあり、先ほど俺は強引にそれを決定事項としてきた。

 

「護衛、は?」

 

恐る恐るといった風にシルが聞いてくる。俺の性格知ってりゃそらぁ驚くわな。

 

「1人だ。俺が1人で行く。」

 

観測任務とはなっているが、俺はそのつもりはない。そのまま地球に居着いて侵略者を撃退するつもりだ。

 

「何馬鹿な事言ってんの!?アンタ、自分で非戦闘員だって散々言ってたじゃない!!さっきも言ったけどこれからは『戦争』の時代なのよ!?」

 

「昔っから言ってるだろ。俺はこう見えてレッド族だ。」

 

「じゃあアンタ、ゼットンに勝てるの!?ウルトラマンを倒した連中と、渡り合えるの!?嫌…やめて。やめて、セブン。行かないで。お願いだから、行かないでっ…!」

 

再び瞳を潤ませてシルが縋り付いてくるが、もう決めた事だ。俺は地球に行く。

 

「もうゾフィーにもケンさんにも伝えてある。決定事項だ。」

 

「なんで…!?アンタ、戦いたくないんじゃなかったの!?どうして!?あれだけ安息を大切にしてたじゃない!?」

 

「俺がお前を失ってまで、手前ぇの道を選ぶとでも思ってんのか!!」

 

初めて、本当に生まれて俺は初めてシルに本気で怒鳴った。こんなに激昂するのは後にも先にもこれだけかもしれない。

 

「…ばか…ばかよ、アンタ。ばぁか。ばーか!!」

 

何とでも言え。俺はもうゴメンだ。出来ることをしないで誰かが傷つくのを見てるのは。

 

もう決して繰り返さない。大切な奴を失う後悔は…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「あの…ゾフィー姉さん…」

 

「どうしたジャック。言いたいことがあるといった顔だな。」

 

「ゾフィー姉さんは、知っていたんですか?先程の模擬戦で見せた兄さんの実力を。」

 

戸惑うのも当然か。今まで臆病者だなんだと言われてきた男が警備隊の正規隊員10人を瞬殺したのだ、いくら幼なじみとてその反応はおかしくない。

 

「いつものアレが本気だとは思っていなかった。だが正直あそこまでの物とも思っていなかったな。あれで非戦闘員か、笑わせてくれる。警備隊の面目も丸潰れだな。」

 

危険地域への任務を遂行する者に課せられる一対多の模擬戦。誰もがワンサイドになると思っていただろう。中にはやるだけ無意味

とまでほざく輩もいた。

だが、違った。

エルや、意外にもシルは当然と言った顔をしていたな。いつも文句を垂れながら投げ飛ばされていたあいつの実力を見抜いていたのか。

 

「私も、兄さんが本気を出せば強いとは思っていましたけど…」

 

相手の間合いを恐れず飛び込み、躊躇った所に容赦なく拳撃を叩き込む。離れて光線を撃とうとすれば念力で遥か彼方に飛ばしてしまう。あまつさえシルの投げ技まで咀嚼しているのだ。レッド族の血は争えん、という事か…いや、違う。今のあいつには『覚悟』がある。戦う理由を持った者は、強い。だが…

 

「セブン…」

 

お前を戦いへ誘ったのは私だ。私がもっと早くに地球へ援軍を派遣していれば…もっと早く、シルを救えていれば。お前はそんなに生き急ぎはしなかっただろう。

これは罪だ。消えることの無い私の罪だ。1人の男を、戦いへと引きずり込んだ。

 

「…すまない。」

 

私の懺悔の言葉は虚しく、静かに虚空に溶けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「行ってくる。ジャック、シルを頼むぞ。」

 

「私は要介護者じゃない!こんな車椅子あと3日もすりゃ御役御免よ!アンタこそ、あれだけ言っておいて自分がヘマしないでよね。」

 

「兄さん…本当に、本当にお願いします。どうかお気を付けて…」

 

「セブン、任務は観測だぞ。履き違えるなよ。」

 

チッ、ジャックもゾフィーも気付いてやがるな?まぁ仕方ねぇか。昨日はガチで模擬戦やったからな。あんだけ気合い入ってるのを悟られないのは流石に都合が良すぎる。

 

「大丈夫だよ。ちゃちゃっと行ってくる。エース、タロウ、いい子にしてろよ?」

 

「私は子供じゃないです、タロウはともかく。」

 

「エース姉ヒドイ!セブン兄、早く帰ってきてね。また一緒に星とか見よ?」

 

可愛い(確信)。

 

あ、そうそう忘れてた。

俺の愛用の過光遮断眼鏡を外し、シルに手渡す。

 

「っ!?アンタ、ふざけないでよね…!何のつもりよ、これ!」

 

「別に形見じゃねぇよ。地球の太陽光じゃそいつは不要だ。俺はよく物なくすからなぁ…取り敢えず預かっといてくれ。すぐ帰ってくるから。」

 

「………約束して。無茶だけはしないで。」

 

そりゃあ俺が持ちかけて物の見事に破られた奴じゃねえか。まぁ良いか。安心させてやるとしますかね、後ろの奴らも含めて。

「応。俺は自分の出来ることをするだけだ。心配すんな。」

 

「地球には冬がありますからね。兄さん、暖かくしてください。」

 

ジャックの気遣いが身に染みるぜ…

 

「帰って来る頃には私も警備隊入りしている予定なので、その時はこき使ってあげます。」

 

え、マジ?エースにこき使われるとか命の保証なくね?

 

「待ってるよ!セブン兄、ボク、ちゃんと待ってるから!」

 

いやだから死出の旅じゃねぇっつの。あぁもう半ベソ可愛いなぁ!

 

「報告は忘れるな。一人旅だからと言ってハメを外すなよ。」

 

俺は餓鬼じゃねぇし何処ぞのドジっ子属性持ちでもねぇ!

 

「さぁて、ウルトラマンは1人じゃねぇって事を異星人(あのアホ共)に思い知らせてやるか!」

 

「ウルトラマンセブン…語呂悪くないですか?」

 

「お前はホンット…!俺は今からエースの将来が心配だよ!」

 

思ってても言っちゃいけない事とかあるでしょ!?

容赦ってモンがねぇよ!

 

「そーねぇ…じゃあ、私がアンタの通り名を付けてあげる。心して聞きなさい。アンタは今から…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「馬鹿な!?量産型とは言えゼットンを一刀両断だと!?」

 

「ウルトラマンは倒した筈だぞ!!何者だ貴様!?何故我々ゼットン星人の邪魔をする!?いや、そもそも何故この月面基地の存在を…!?宇宙警備隊かぁっ!?」

 

「そんな大した輩じゃねえよ。俺は、俺の名は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウルトラセブンだ。覚えておけ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はぁ…今回は大変でした。シリアスはホントに大変。

どうでも良いですけど筆者の好きなセブンのエピソードは

1 史上最大の侵略

2 超兵器R一号

3 奪われたウルトラアイ


です。マゼラン星人マヤがダンにウルトラアイをかけさせるシーン、この間見返してみたらめちゃくちゃ感動しました。


ギエロン星獣の回のサブタイを間違えていた…!!
俺にはセブンフリークを名乗る資格は無いのか…

リメイクしたとして、どの時期のセブンが見たい?

  • 5姉弟時代
  • 6姉弟〜レオ指導時代
  • メビウス時代
  • ゼロ誕生以降、ベテラン時代

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