前に書いたのが9年前ってマジ? 久しぶり過ぎて書き方おかしいかもしれん。
ある意味ワープ事故にあった気分だゾ。ウラシマ効果かもしれん。
あ、後半の宇宙関連は公式にはない妄想です。ご注意を。
■事象揺動宙域編・第42章■
【やぁ、こんにちわ。あえてうれしいよ】
「なに話しかけてきてるわけ?」
Q.1 この時の心境を述べよ
A.やべぇ、ついやっちまったぜ☆
通信から聞こえてきた謎の声への返答にネタで返し、内心で頭を抱える。
俺って奴ァなんて馬鹿なんだろう。愛機のコンソールやHUDにノイズが走りまくっていて意味不明な状況にテンパっていたとはいえ、得体のしれない相手怒らせてたらどうすんだよ。
「あっ――すまねぇっス」
【かまわない。そちらの事情も理解はできる】
こりゃ不味いと謝罪の言葉を口にしたら普通に許してくれた。
未知の相手だが懐は広いようで助かる。というか普通に双方向通信で繋がってるのか。
コンソールの表示はノイズ交じりで文字化けした言語でバグり散らかされてて何も安心できないけど、少なくともいきなり殺される展開ではないらしい。
くわばらくわばら。
それはともかく愛機がどうなっているのか知りたいので、これまでのやり取りの間にシステムに走査を掛けてみた。
本来は電子戦等でクラッキングやウイルス爆弾を使われたときの対処用プログラムなのだが、正常にシステムが稼働しているかどうか判断するという点においては同じだ。
技術班謹製の走査プログラムが走り、わずか数秒でシステム走査は終わる。
結果は異状なし。正常に作動しているとでた。
文字化けコンソールのホロウィンドウとは別枠で開いている走査プログラムのホロウィンドウには、機体の基幹システムへ正体不明の何かがアクセスした痕跡があると走査ログに表示がなされていた。
だがそれだけだ。あれだけ文字化けしているというのにシステム上は何も異常がないというのが逆に不気味だった。
おまけにエピタフまで反応している。おいおいホラーは勘弁してくれ。
艦隊とのデータリンクが出来ないので自閉モードだったはずの電子機器に規格の違うシステムで強引にクラックをかましたうえ、“なにかするでもなく”正常なシステムに戻した手腕。
しかもわずか数秒の間に――人間技ではありえない。
おまけに通信から聞こえた声。正体は不明だが既視感を覚える声……。
なんというか鐘の音にもにた体の奥底に響く感じは、遺跡の入口――いやさこの小惑星に到達する前にも夢で感じたそれに似ていた気がする。
とはいえ俺の脳裏の大半は『未知との遭遇きたー! やっふぅぅぅ!』という想いに集約されていたが……。
「いやホントだれもいないかと思ってたもんスから驚いたっスよ」
【それはここに我々がいるという時点で意味をなさない。だが、理解できないことでもない。通常の場合、光を灯されていない施設は人がいないものだと判断されるからだ。たしかに人はいなかったのだからそういった意味では―――】
兎に角、どんな相手なのか知りたくて言葉を投げかけてみたのだが、その返答はあまりにも長文だった。
情報の奔流ともいうべき言語の羅列が次々にたたきつけられる。
声の主が何を考えているにせよずいぶんとしゃべりたがりのようだ。わかるよ。久々の会話に涙が出そうだね。
だけども気を引き締めろ。ここで手をこまねいてはいけない。直感がそう告げている。
愛機のシステムを数秒で掌握できる相手なのだ。おまけにエピタフも反応した。それ関連の何かであるのは間違いない。
そう思うと自然と口が弧を描く。多分鏡を見たらオリジナル笑顔とかゲッターチームばりの兇悪顔になっているだろう。
くはは、運がいいのか悪いのか、ともあれ逃がすわけにはいかないなぁ。
ここはフィクサーを気取るように冷静沈着にチャンスを掴んで――――
【―――ゆえに光あれという言葉には周囲を照らすいみでけではなく。失礼、言語コンバーターの調子がまだ調整不足のようだ】
「……す」
【む? どうかしたか? 言葉は通じていると―――「すっげぇーっス!!」は?】
うん、チャンスを生かそうとはした。もっとも我が身からあふれ出る情熱の前では砂上の楼閣だったが……。
序に警戒心もアンドロメダ星雲の彼方までワープしている。人間、興味ある事の前では阿呆になれるのだ。
時と場所を弁えろと時限の壁を越えて突っ込まれてもしょうがないかな……そうかも。
「あのわずかなスキャンで翻訳プログラムを構築してほぼ流暢に会話が成立している上に多分人間じゃなくて機械、AI? とになく人間じゃねぇのに情緒らしき感情が込められた言葉を会話に乗せてきてなんていうかSFに置ける人工生命体か何かとの遭遇というか」
【人工生命であることは否定しない。なぜなら我々……識別名称《ケトス》は実際、自然偶発的発生を経ているわけではないからだ。しかし、宇宙の真理においてはこの定説は曖昧となる。
なぜなら知性を持った生命は上位存在、おそらく創造主と呼ばれる何かしらから手を加えられているからだ。
そうであるならばヒトという存在は自然生命ではなく、須らく人工生命と呼べるのではないか? どのような宇宙であっても類似性があるということにも説明が―――】
「……生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答えは?」
【こたえは42だ】
「す、すばらしい。是非話し合おう語り合おう」
昂奮に声が震えた。一部会話内容に壮絶なネタばれが発生しているし、何故知っているというネタへの返答があるが、そんなことよりも浪漫である。
この場所が事象揺動宙域の中にあり、この異常な空間に滞在するだけで、自身の“存在”が揺らいでいき、やがて拡散。過去現在未来にいなかったことになるといわれている恐るべき空間。
『われ思う故にわれあり』ができない。事象の確定が揺らいだことによる恐るべき状態。
だがそれでも、こんな地獄よりヤバいところでも会話が成立する相手だ。ユピ以外とのコミュニケーションに飢えていた。これはもうお喋りするしかない。
てなわけで我慢できなかった俺はリビドーに身を任せ遺跡の人工生命と会話を楽しんだ。ホテルのビュッフェに行ったような満足感とでも言おうか。
時間的には十分も経っていないのにも関わらずエビのビスク並に濃厚な時間を楽しんだ。
SF談義に始まり未知の空間への熱いパッションをぶちまけ普段の日常までも互いに語り合う。
相手が人工物だろうがなんだろうが関係ない。俺たちは孤独な異次元空間で出会った同胞だった。
「いやぁしゃべったしゃべった。ここ最近の静けさが嘘みたいっス」
【対話とはコミュニケーションの中でも様々な思惑が絡み合う。だがそれゆえに一辺倒の通達では得られない快感を得られるのもまた事実だ。
対話型のインターフェイスとあらゆる知性との異言語コンバーターシステムを持たされたのも人工生命としてあるべき姿なのかもしれない】
「対話は楽しいと?」
【そうともいえる。会話が出来るヒトを見たのはもうずいぶんと前だったか……なつかしい。知性体に出会うのなんて久しぶり過ぎて加減が解からなかくなるほどの対話をするとは思わなかった。呼び寄せた時も含め無意識下の誘導などもしてしまった】
「おっほ―――、なにしたのかも含め“あらゆる情報”をプリーズっス」
そうして話していると意図せずして当初の予定の通り情報を得られそうだ。おまけに遺跡への執着心も相手の手の内だったようだ。こんなんどうしろってのよ。
ここは往年の少し不思議なSFで21なエモンくんに習い、流れに身を任せることにした。幸い、危害を加える意思はなさそうだ。そうでなければ俺ことユーリはココにはいない。
ここからが大事なところである。耳をかっぽじって聞き逃しがないようにしないと!
フンスフンスと鼻息荒く意気込むが、ふと先程の会話にて気になったことを尋ねてみた。
「あのう、無意識下での誘導ってナニしたんスか?」
【それは当然の疑問であり、唐突に連れてこられたとも言ってもいいキミには知る権利がある。相互理解を更に深めるという意味でも、君の中にある疑問を解消するのは有益だろうと考える。おそらくキミはここに来るとき“どうしてこの遺跡に執着したのか”と考えたはずだ】
「おーっと。いきなり核心突いちゃう系っスか?」
心臓がドクリと跳ねるのを感じた。遺跡の入り口で起きた無意識に起きていたあの衝動の話だろう。
いま思い出しても怖気が走る。あれは人の意思とか無関係に知らぬ間に“そうすべし”と認識していた。
うぉぉ、思い返すだけで怖気がががが。
【ある意味正常な反応だ。まず理由があって呼び込んだというのもある。だがキミ自身も感じていたハズだ。どうしても、ここへいかなければならないという、心魅かれるような突き動かす力。果ての果てまで行きたいという衝動……まるでエピタフを欲するように】
「エピタフ、なんでエピタフを引き合いに―――まさか?」
【君たちを突き動かす原理と"ほぼ同じ原理”だと、呼び寄せる機構の説明がケトスの記録には残されている。信号、或いは音、もしくは言語などが聞こえてくることもあるらしい。それは深層心理の方向性に指向性を与えるがしかし、それゆえに観測者と追跡者は特に影響を受けるシステムだ。
だが、原理は似ていても本質は異なる。元々のそれはあくまで観測者を行動を複雑に制御する道標だが、こちらのそれは実際のところ呼び出しベルみたいな単純な代物でしかない。廉価版と言われそうだが用途が違うと考えてくれていい】
おっと、ここで観測者の名称を聞くとは……いやエピタフが反応した遺跡だし有り得るか。
おいおい、遺跡の入口でエピタフが反応していたから予想はしてたけどやっぱりオーバーロード由来の技術かよ。
ていうか“こちらでは”って言及したってことは、逆に言えば俺とかこっちの人類だと、精神への影響の程が解からんとかいわんよな? あんなに“捻じ曲げ”られた感覚、気持ち悪かったんだけど?
あの時のことを思い出したのが顔に出ていたのか、彼方さん……識別名はケトスという人工生命体は一言、それに気づくのがまずおかしいと称してくれた。悪かったな変な奴で。
【そして、それらを踏まえ、キミはこの特異空間に拡散せず存在し、ここまで来ることができた。そして衝動的な何かを感じる。
「……続けてくれっス」
【常に文明を導いてきた存在。神造人間。因果の収束点。色々呼び名はあるがすべて同じ存在を指している。
―――“観測者”彼らは忽然と現れる。
天然物?と違って、こちとら異物混入したイレギュラーだしな。というか
「……なんで観測者と自覚してるか、知りたい?」
【ああ。苦しまないのであれば教えてくれ】
苦しむ? ……ああまあ、人によってそう感じるかもしれないな。自分が存在すら知覚できない大きな存在が作り上げた人造人間かもしれないとか、普通に精神病院案件だもんな。
色々教えてくれた礼だ。こちらも衝撃或いは笑劇の事実として教えてやろう。この世界に唐突に現れてから誰にも打ち明けてこれなかったことを。
違う宇宙か次元か解からないが、この世界をゲームとして知っている世界の男が、本来いるべき主人公に憑依している。いうなれば成り代わってしまった現状。
本来果たすべき役割を別の阿呆が好き勝手やっている。人生は舞台、人は役者というならば、観客席から飛び込んできた馬鹿がいる。―――言わずもがな俺のことだな!
まぁ、別段隠していることでもなかった気がするが話したら少しすっきりした。案外、事実上の成り代わりを気にしていたのかもしれん。
そもそも誰からも聞かれないもんな。あなた憑依されてますねとか……、言う方も言われた方も霊媒師さんのお世話になりそうな感じだ。
そしてそんなカミングアウトを聞いたケトスだが、特に疑いもせず、ただ一言『そうか』と述べ肯定しただけだった。
「自分で言うのもなんスけど、頭おかしい奴とか思わないんスか?」
【宇宙とは何が起こっても不思議ではない。或いはキミのような特殊な観測者も存在しうる。大いなる宇宙の潮流はすべてを含むのだから……。】
オウ、気にしないとおっしゃられる。ふところがおふとい。
【――そして観測者であるキミにとって、この場所は
「―――やっぱり、ただお喋りしたいだけとか?」
【そういうひと時も必要だと、我々は思うよ】
***
☆ユーリくんの脳内で理解しようのコーナー♡
ではまず、今いる遺跡であるこの場所は《ケトス》というらしい。
かつて存在した宇宙(以下、前宇宙と呼称)で当時最先端の技術を結集して事象揺動宙域に隠されるように複数建造した避難先だそうだ。
またケトスとは管理人工生命の名でもあり、この超構造体の設備そのものを挿す……らしい。
つまり遺跡はケトスって名前で話しかけてきた奴もケトスだったってことでいいな。
んで、話しの中で登場した前宇宙。これが要するにマルチバース的概念の時空連続体だとか。
一応認識としては過去に存在していたと思われるが、なにぶん多元世界に置ける時間軸ってのは意味不明なところもあって、もしかしたら遥か未来かもしれないから考えるだけ無駄だろう。
真面目に考えたら“……そうか、宇宙とは……ゲッ〇ーとは……”と、虚無ることになりかねん。
兎にも角にもケトスを建造した前宇宙は
なんで解かるのかというと、こちらの宇宙で行われた上位存在からの干渉は、前宇宙に比べれば遥かに控えめだったと観測出来たからだそうだ。
補助輪つけて手取り足取りか、近くのベンチで座って助言してるかの違いという感じらしい。
その為、かなり昔からの記録も残されており、ケトスが保持しているデータによれば、古くは原始時代にまでさかのぼるらしい。
いわゆるシャーマンのチャネリングから始まった
多くの技術が
この干渉により前宇宙の人類は《ティフォン》と
何せ挫折が存在しない。
それが生物として歪んでいることに気が付かず、……いや気が付くことすらできなかった。間違いを間違いと認識できなければそれは真理なのだ。
実際、模範解答を倣うだけとはいえ、科学技術は科学技術である。
それらの蓄積はあらゆる分野で高度な科学力を得られるということ。
失敗しないゆえに自らを早熟で賢いと思い込んでいた。考えなくても自称天才とはスゲェ文明だな。
そして、彼ら
その予見を前宇宙文明《ティフォン》は疑うことなく、それどころか誇るかのように、いつも通りに自らを導き繫栄させてきた
結果、予見は現実となることを知る。おまけに
宇宙が確定した時、それ以上の可能性は生まれないことから次の宇宙に移行する。
それはすなわち、宇宙全体が粉砕されるのだと。
《ティフォン》たちは自分たちで予見しておいて、もうてんやわんや。上から下への大騒ぎ。
いうなれば信じていた神様からハシゴを外されたようなものだ。
そんな混沌の中で、避けられない破滅が来たときに文明はどうするか?
受け入れるのか、反逆するのか、生き延びるすべを模索するのか?
ケトスたちは一番最後、生き延びるすべを模索したグループに属していた。
オーバーロード由来の技術ではあったが、それ以外を知らぬ
当時の文化や様々な遺伝子を保管したそれは、こちらでいうところの方舟であった。
さて、彼らがそんな壮大な代物を建造している間に、残りのグループはどうしたかというと、なんと熾烈な内戦に突入していた。
つまり宇宙を観測する存在である観測者を養護する派閥と、それらを見つけ出して破壊してでも存続できる時間を伸ばそうとする派閥のぶつかり合いだ。
誇張ではなく、幾つかのハビタブルゾーンが消滅するような戦いが起きたのだそうな。
ていうかこの所為で逃げ回る観測者が宇宙を観測してデコヒーレンスしたから余計宇宙の寿命がちぢまったらしい。
当然ながら、ケトスらのグループも眼を付けられ、どっちに所属するか迫られることになる。
生き延びるのに使えるものは全部使う派閥だったので、身内に観測者も当然乗り込んでいた。それらの引き渡し要求とか、一々面倒くさい政治的な動きはあったが割愛する。
結局、ケトスの判断は、内戦なんてくだらねーぜ!と逃げ出すことだった。一番被害が出ない方法を出したともいえる。
とはいえ、闇雲に逃げ回っても一つしかない宇宙の中では、同じ技術力を持つ他の派閥にはすぐに見つかってしまう。
その結果、彼らが考えたのは、
当時、事象揺動宙域を研究する為、その得意な空間特性を抑制する技術、
抑制技術があるとはいえ、一歩間違えれば存在が拡散して消滅するようなところに潜むなんて狂気の沙汰だが、それを利用した。これ幸いと惑星規模の艦や移動要塞にその仕組みを施して事象揺動宙域に飛び込んだのである。
実のところ、事象揺動宙域を観測者が確定しない場合、そこは破壊もされない中立地帯として機能し、また量子的に別の宇宙と繋がっている可能性もあるため、うまくすれば世界の崩壊から免れるかもと踏んでいたのだ。
それは針の穴を通すようなものだったが、それにすら縋りたい一心だったのだ。
そして、彼らが逃げ延びた後、前宇宙では内戦が終わらず、そのまま宇宙のデコヒーレンスが終わりジエンド。
ケトスのグループは唯一残った前宇宙の欠片となった。
彼らは故郷の宇宙が、観測できない虚無へと分解されていくのを、最後の務めだと思い、出来る限りの観測システムで観測したが全貌は掴めずに終わったそうな。
時空連続体の上位構造体なんて人間の認知の外を観測するとか、もう哲学だわとは当時の研究者の談らしい。
そして、彼らは次の宇宙へ繋がる座標がないか探るため、惑星艦や要塞艦を主軸に解かれて各座標へと広がって、事象揺動宙域を数世代に渡り探査して過ごした。
彼らが希望した通り、世代交代しながらも彼らの事象揺動宙域は別宇宙へと繋がっていた……なんてことはなかった。
―――まず、ある日いきなり事象揺動宙域の抑制システムが機能が弱体化し始めた。
「え? それヤバくないっスか?」
【ヤバいだって? そんなわけない。致命的だったさ】
つまり、事象拡散が起こり、乗員乗客が遺伝子を含めて粉のように崩れ去るという事態が発生してしまったのだ。
嫌らしいことにシステムは完全に機能していたそうだ。弱体化こそ起きたが機械などはまるで無事だったのだから。
つまりこれは意図されたプログラム。
それは、ある意味、
まぁ、そもそもの話し、観測用の短期で使うシステムであって、よもや数世代まで籠るようなシステムじゃない。
まぁ要するに、これまでは
色々と対策しようとするが、ダメ!まるきりダメ!
結局のりこんでいた人々はどんどんと事象に拡散し、最後に残ったは観測者ただ一人と。
次回はアンドロメダまでワープかなぁ。りゅう座銀河行きにならなきゃいいけど(YAMATO2520感)