資格試験の勉強もあるためやむなし、と言い訳をしながらの更新です。
今回も宜しくお願い致します。
【春日雄也・ボーダー本部・エキシビジョンマッチ(市街地A)】
爆撃弾を撃った後、周囲を警戒していると背後から弾丸が飛んできた。
それをシールドで防ぎ、飛んできた角度などから換算し、そこ目掛けてアステロイドを放った……が、手ごたえがない。
バイパーだったか……と、なるとどこにいるかがわからないな。そう遠くにはいないとは思うのだが……仕方ない。
『清隆。ちょっとここら一帯完全に更地にするが、お前や諒に影響はあるか?』
『諒と太刀川さんがやってるところは少し離れてるから問題ない。俺はまだそっちに移動中だから気にしなくていい。それに近くにいたとしても、あの合成弾じゃないならどうとでも対処できる』
『じゃあちょっとぶちかますぞ』
『了解。すぐに向かうから待ってろ』
『おう』
俺はメテオラを両手に起動させ、そのまま辺り一面を焼け野原にするつもりでフルアタックをかました。
そこら中を爆風が襲い辺りの建物は全て瓦礫と化した。
「ふー、やれやれ。さて、出水は……あそこか」
辺りを眺めてみると右前方にシールドを張った出水の姿が見えた。
今度は外さん。今度はアステロイドを両手に起動しフルアタックを仕掛ける。
シールドを張りながら弾幕から逃げる出水。あっちは防戦一方だ。
マップを見直す。そろそろ頃合か……。
「よし、いけるな……『雄也くん! 後ろ!』って、うおっ、危ない危ない」
いける、と確信したが、いつの間にか出水もバイパーをぶっ放していた。
美奈ちゃんの声がなかったら正直やばかっただろう。
声は聞こえないが、出水の方を見てみるとものすごく悔しがっていた。
油断ならん奴だな本当に。
だったらこっちも……っと、清隆がいい位置にいるな。ならば……。
「メテオラ!」
両手でメテオラをぶっ放す。
ただし、出水を直接狙うわけではなく出水の周囲を目掛けて放ち、動きを無理矢理止める。
これ見よがしに清隆が出水の方へ駆けていく。
『お膳立てはできたぞ』
『助かった。後は任せてそこから見ていろ』
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【春日雄也・ボーダー本部・古賀隊隊室(ランク戦直前)】
「唯我を落とした後は手筈通り諒には太刀川さんとやってもらう。で、出水なんだけど、俺がやるよ」
「は?」
「あ?」
「え?」
想定外の提案に、俺たちは驚き一瞬空気が止まってしまったが、清隆は構わず次の言葉を続けた。
「まぁ大した理由じゃないんだけど、ちょっと目立っておきたい」
「なんでだ?」
「以前も言ったけど、今回の戦いで強さを誇示しておきたいんだよ」
「諒は太刀川さんとやる、雄也は合成弾でインパクトを残す、俺だけないのはつまらないからね。せめて出水と戦うくらいさせてくれ」
清隆はそう言っているが、こいつがそんなことを思う訳がない。
古賀隊の強さを見せ付けたい、というのは本当だろう。
だが普段から俺や諒を立てるような戦い方をしている奴が、今更自分が目立ちたいなどという意識を持つとは到底思えない。
「……本音は?」
「最近美奈子に近づこうとする虫が増えてきたから、脅しの意味もこめて強さを見せ付けたい」
「おい」
「誰かこのシスコンを止めろ」
「ほー、私モテモテ?」
「それに、広報だからってマスコット枠と勘違いしている奴らに舐められるのもこれっきりにしたい」
「はぁ……わかったよ」
本当にこいつは美奈ちゃんが関わってくると頭がおかしくなるな……シスコン野郎。
まぁ実際清隆同様に美形だからモテるんだよな、美奈ちゃんも。シスコンからしたら気が気でないということか?
「恩に着るよ。2人もそれでいい?」
「はぁ……まぁ俺は太刀川さんとやれればいい」
「了解!」
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ふと出水の後方まで視線を伸ばすと、ライトニングを片手に出水に突っ込んでいく清隆が見えた。
俺からワンテンポ遅れて、出水もそれに気付く。
次の瞬間には清隆はライトニングを走りながら数発放っていた。
出水も完全にはかわしきれなかったものの、ダメージは最小限に食い止めている。
更にはかわしながらトリガーを発動させており、清隆目掛けて今にもぶっ放そうとしていた。
だが、その弾丸が放たれることはなかった。
いつの間にか、出水の手元から発動したトリガーが消えてしまっていた。
これ見よがしに清隆は一気に距離を詰める。
トリガーが消えて呆然としていた出水もすぐに気を取り直し、おそらく牽制のためだろう、清隆目掛けて軽くトリガーを放とうと、動作に入っていた。
が、今度はトリガーを発動させることすら許されなかった。
清隆がグラスホッパーを起動し、出水目掛けてその手に持っていたライトニングをぶっ飛ばし、出水の顔面に直撃させたのだ。
余程ではない限り物理でダメージを与えることはできないのだが、さっきのトリガーが発動できなかった事故に加え、想定外の一撃で虚を突かれた出水は動きが完全に止まっていた。
清隆はライトニングを飛ばす同時に自分もグラスホッパーで距離を一気に詰めており、気が付けば、出水の脇を抜け、弧月で首を飛ばしていた。
『伝達系切断。緊急脱出』
【全体視点・実況席】
「き、決まったー!! 古賀隊長の一閃で試合終了!! 古賀隊の完封勝利です!!」
どよめく場内に、武富の試合終了を告げる声が響いた。
「では、今回の試合を振り返っていかがだったでしょうか?」
「最後の古賀の行動には驚かされたな」
「確かに驚きましたね……とはいえ出水隊員も発射しようとしたトリガーが消えてしまうアクシデントさえなければ返り討ちにできたとも思いますが……」
「アクシデント? ふん、違うな」
「と、いいますと?」
「あれは古賀が出水の手元にライトニングを打ち込んでいる。……一瞬のことで、気付かないのも無理はない」
同じことができる狙撃手が今まで部隊にいたからだろうか、ほとんどの隊員が気づけなかったにもかかわらず、二宮には何が起こったのかはっきりとわかっているようだった。
「なんと! 一瞬の内のそのようなことが起こっていたのですね……。その後さらにライトニングを飛ばしたり、およそ普通しないような戦い方を見せてくれましたが……風間隊長、攻撃手目線から見るとどうなのでしょうか?」
武富の問いに少し悩んだ末、風間は口を開いた。
「いやらしい、の一言に尽きるな。出水も想定外のことだらけで後手に回されっぱなしだった。一見かなり野蛮な戦い方だったが、あそこまで虚をつく動きをしているということは、実際は緻密な計算の下に組み上げた戦い方なのだろうな。それに加えて古賀は弧月で普通に戦ってもそれなりの実力があるから、本当に厄介な相手だ」
「なるほど……」
「だが、なんにせよ今回は太刀川たちの負けだ。わざわざ居場所を晒して1対1を選んで負けるなど問題外だ」
古賀の話で持ちきりだったところで、二宮が口を開き、太刀川の行いに触れた。わざわざ1対1を選びその上で負けたことについてかなり不満があるようだ。
「確かに二宮の言うことも一理あるが、逆に太刀川が勝っていればおそらくその勢いで古賀隊を力で押し潰すことはできたはずだ。今回は黒木に軍配が上がったが、太刀川にも十分勝機はあったし悪手というほどのものではない。むしろ古賀や春日の援護の可能性を考えれば、出水と2人では分が悪いだろう。1対1に持ち込んだのはむしろ正しい。試合の前に二宮が言った通り、部隊同士の総力戦となると太刀川たちが不利だからな」
「……ふん」
二宮に対して、風間は太刀川の選択は正しいという立場のようだ。
二宮にしても、出水と連携して戦えば勝てるかというとそうではなく、むしろその方が負ける可能性が高いという認識はあったのだが、ボーダー内ではライバルとも言えよう太刀川が1対1で敗北した姿に思うところがあったのだろう。
「ところで二宮、春日はどうだったんだ?」
少々不機嫌になった二宮の姿を見て、風間は話題を春日の件に切り替えた。
「爆撃弾といったか……威力は凄まじいが、使い勝手がいいかと言われると微妙だ」
「そうなのか?」
「事前にフィールドを決めることができる立場だからこそ有効な使い方ができただけだ。今回のようにある程度の弾数射程を確保したまま、あれほどの威力のメテオラを必要とする場面は古賀隊にはそうそうないだろう。そもそも、春日レベルのトリオン量があればメテオラ同士を合成させなくてもそれなりの威力と弾数を両立できるはずだ」
「なるほど。だとすると今回はたまたま都合がよかったから使っただけなのか……それに加えて目立つためか? だがあれほどの威力ともなると、使い道が他にないというわけではないと思うが」
「その威力が問題だ。味方まで巻き込んでしまうから乱戦ではまず使えない。古賀と春日で援護しながら、黒木が近接戦で絶対的な優位を勝ち取る戦い方を主としている古賀隊ではそもそものコンセプトに合わない。だが……それでも古賀が上手く使いこなしそうではあるな……」
「確かにそうだな」
「えーっと……」
「おっと。武富、すまない。勝手に2人で話を進めてしまっていた」
そろそろいい時間になってきたこともあり、解説そっちのけになりかけている2人の会話に武富が割り込んだ。
「あっ、いえ大丈夫です。では時間も押してきていますので、この辺で終了したいと思います。6月からのランク戦でもまたよろしくお願いします。お疲れさまでした!」
武富の言葉で閉められ、古賀隊太刀川隊のエキシビジョンマッチは幕を下ろした。
VS太刀川隊との戦いは以上となります。
書き連ねた段階で5000字あったものを削ったので、見直しはしていますが、どこか矛盾とか生じてないかかなり不安なところ……。