それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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今更ながら、新年あけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い致します。


那須 玲③

【春日雄也・玉狛支部・自室】

 

今日は防衛任務も広報の仕事もないので自室に籠っていた。

 

普段であれば、特に用がないときは本部に行ってなんやかんややってることが多いのだが、ここ数日はそういうこともめっきり無くなってしまい、ただひたすら本を読むかレイジさんのトレーニングに付き合うかの2択となっていた。というのも――

 

『私……雄也くんのことが好きよ』

 

あ、駄目だ、どうしても思い出してしまう。

 

まぁこんなことが以前あったのだ。まだどう返事するか決めていない以上、顔を合わせる機会をできるだけ減らしたい……マジで返事どうしよう……。

 

そんなことを考えていたら突如勢いよく部屋の扉が開かれた。桐絵だった。

 

「雄也、あんたに客よ」

 

「ノックくらいしろ。で、誰?」

 

「俺だ」

 

「なんだ、お前か。何かあったのか?」

 

客は諒だった。

 

「何かあったのはお前の方だろ。学校であんな事件起こしといて、どうもしてねぇわきゃねぇだろ。清隆に様子見てきてくれって頼まれてんだよ。あと別件で聞きてぇことあっからそのついでだ」

 

「あー……」

 

「あんた何かやらかしたの?」

 

「こいつこないだのテストで学年1位取りやがった」

 

「? それの何が事件なのよ?」

 

「うちの学校清隆いんだぞ?」

 

「確かに事件ね」

 

そう、あろうことか俺は先日のテストで学年1位を取ってしまった。

 

俺の学年には毎回全ての教科で殆ど満点を取る古賀清隆という絶対的な神が存在しており、それ以下の順位を争うのが常だった。

そんな中、少しでも意識を逸らそうものなら、玲に告白されたことを思い出してしまいてんやわんやになってしまうこの状況。テストが近いことを理由に勉強に没頭していたら、このような事件を起こすような羽目になっていた。

 

余談だが、この結果を見た清隆は腹を抱えながら大笑いをしていた。解せない。

 

「で、何があったんだ?」

 

「まぁあったと言えばあったんだが……」

 

「煮え切らないわね、早く言いなさいよ」

 

「……言わないとダメなやつ?」

 

「ここまできたらダメなやつだろ」

 

多分この2人は言うまで引かないだろう。もう観念するしかない。

 

「はぁ……玲に告白されたんだよ」

 

「……はぁ?」

 

「なんだ、そんなことかよ」

 

「そんなことって、お前……」

 

割と腹を括って伝えたつもりだったのだが、諒からは、そんなことか、と一蹴された。

 

「今更んなことに悩んでんのか、ってこった」

 

「今更って言われてもだな……」

 

「あんた本当に今更よ。まんざらでもないんでしょ? さっさと付き合えばいいじゃない」

 

「だがなぁ……」

 

桐絵にも追い打ちを受ける。確かに言う通りではある。

しかし――玲の告白に答えるとして、1つどうしても懸念すべきことがある。

 

「……香取のことでも気にしてんのか?」

 

「アンタ……そんなに気が多いやつだったの?」

 

「気が多いとかそんなのではないんだが……痛いとこ突くなよ……」

 

懸念――葉子のことだった。

もし、玲の告白に答えるとするなら、実質的に葉子を振ることにもなる。

実際葉子に告白されたとかそういうことはないのだが、思い上がりでない限り葉子は俺に好意を持っているだろうし、玲に対するほどのものではないが少なからず葉子に好意を持っている。

 

「ふーん。てことはあんた両方と付き合うの? そんなことできないでしょ?」

 

「それはいくらなんでもダメだろ……」

 

「……だったら、今のテメェの態度は那須に対してどうなんだ?」

 

「ぐっ……」

 

分かっている。何が一番不義理なのか。今の俺の煮え切らない態度こそが、だ。

 

「もういい、お前に問答続けても余計に考え込むだけだろ。やからこれだけサッサと答えろ。那須と香取、どっちを選ぶ?」

 

「……」

 

何でお前にそこまで選択を迫られないといけないのか。そう思いながらも、その迫られている選択自体は本来向き合わないといけないものだという自覚はあったため、何も言い返せなかった。

 

「とりあえず今の段階での話でいいからさっさと答えろ」

 

「現状だとそりゃ玲だが……」

 

「じゃあ断る理由もねぇ。さっさとOKで返事しろや」

 

「つってもよ……」

 

「別に多少他に気があるくらいいいだろ、結婚するわけじゃねぇんだから。どんだけ重く考えてんだよ」

 

「悪いけどあたしも黒木に同意するわ。どうせあんた考えたって右往左往するだけで一生結論出ないし、その方がよっぽど失礼でしょ。とりあえず先に進んでみなさいよ」

 

2人ともなかなか厳しいことを言ってくれる。だが――2人が俺の背中を押してくれているということは分かった。

 

――腹を括るか。

 

「あー! もう! わかったよ! ……ったく」

 

勢いよく立ち上がると、自転車のカギを取り、コートをハンガーから外し、外出の準備を始める。

記憶が正しければもうそろそろ那須隊の防衛任務が終わる頃のはずだ。

 

「おい、どこ行くんだよ」

 

「……今からここ出ればちょうど那須隊の防衛任務終わる時間に合わせられるだろ」

 

「ほら、さっさと準備しやがれ」

 

「ホント手がかかるわね」

 

「悪かったな」

 

「ああ、そうだ。ちょっと待ってくれ」

 

部屋を後にしようとすると、思い出したかのように諒に呼び止められた。

 

「お前今日の学校帰りかなんかにバムスターぶっ潰して放置してねぇか?」

 

「いや、そんなことはしてないけど……何で俺?」

 

「なんかそのバムスターが本部に登録されてねぇトリガーで倒されてたんだとよ。三輪に、お前がやったんじゃねぇのかと聞いてくれって言われたからよ」

 

「なるほど。確かに俺が防衛任務で使ってるのは本部から支給されたやつではないけど、俺なら俺だってわかるはずだから」

 

「そうか、わかった。ってかオイ、早く行ってこい」

 

「ああ。……2人ともありがとうな」

 

本部が把握していないトリガー――諒の言っていることもちょっと気にはなるが……今はそんなことは気にしていられない。俺は急いで本部に向かった。

 

―――

――

 

「あ、熊谷。悪いけど玲いる?」

 

「いるよ。やっと来たね」

 

那須隊の隊室に到着すると、熊谷が出てきた。“やっと”ってことは――

 

「もしかして聞いてた?」

 

「ちょっと様子おかしかったから問いただしたのよ。まさか玲が告白するなんて思わなかったけど」

 

「そうだな」

 

「あっ、ごめん。ちょっと待ってて」

 

長年の付き合いなのだろうか、熊谷は玲の様子がおかしいことにすぐに気づいていたようだった。

 

熊谷が隊室の奥に玲を呼びに行くと、すぐに玲は出てきた。

 

「雄也くん……」

 

「ちょっとその辺歩こうか」

 

「うん」

 

ここでどうこう言うのも恥ずかしいので、俺は玲を外に誘った。

 

―――

――

 

本部の外まで出た。星空の下というとロマンティックに聞こえるな、と若干現実逃避しながらもなんとか言葉を紡ぎだす。

 

「何か時間かかったけど……答えは出たよ」

 

「うん……」

 

「俺も玲のこと好きだ」

 

「ホント……?」

 

「ああ、ちょっと色々迷ってたけど桐絵と諒にケツ叩かれて……遅くなってごめん」

 

言えた――言い切れた。その事実に胸をなでおろすことができた。歓喜というより安堵というのが近いのかもしれない。

 

「よかった……」

 

玲の口から出てきたのも安堵の声だった。

 

「駄目だと思ってた?」

 

「不安はあったわ。だけど、先を越されたらきっともう間に合わないと思ったから……そんなの、嫌だったから……」

 

先を越される――葉子のことだろうか。

 

「まぁそれは2人に対して曖昧な態度取ってた俺が悪い……悪かったな」

 

「いいよ、もう。ねぇ、遅いしそろそろ家に帰ろうと思うんだけど……送ってくれる?」

 

「ちょっと待ってて、チャリ取ってくるから」

 

「後ろに乗せてもらおうかな?」

 

「おう。……これからよろしくな」

 

「うん」

 

すぐに自転車を取りに戻り、玲を後ろに乗せる。

 

桐絵をよく後ろに乗せていたから、2人乗りは慣れたものだったが、今まで経験したことのないような緊張感とむずがゆさを感じながら、玲を家まで送り届けた。

 

 

 




バムスターぶっ潰した犯人? 知りませんね?


では次回より原作に思いっきり入っていきます。

次回も宜しくお願い致します。
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