では、今回からガッツリ原作入っていきます。
宜しくお願い致します。
三雲 修②
【春日雄也・警戒区域】
それは、突然の出来事だった。
昼飯を食い終わり、防衛任務に当たりはじめた矢先の出来事だった。
『門発生するよー……え? これって……』
『美奈子? どうした?』
『け、警戒区域の外に門ができてる! 場所はえっと……三門市立第三中近辺!』
本来であれば基地の誘導装置で警戒区域内にしか門が発生しないようになっているのだが、昨日から突然それが効かないイレギュラーな門が発生し始めた。
昨晩玲が防衛任務に当たっていた時も発生したらしいが、その時は警戒区域のそばだったこともあり、早急に現場に向かうことができたため特に被害はなかった。
しかし今回は……
『この時間だと学校に生徒いるな……』
時間が悪い。急がないと生徒に被害が出てしまう。
『今、嵐山隊が現場に急行してるけど……間に合わないかも……』
『わかった。雄也、諒。三中に急行してくれ。警戒区域内は俺と美奈子でどうにかする。美奈子は2人の通信を綾辻に繋いで』
『了解』
『じゃあ俺と諒で三中の方に』
『おう、急ぐぞ』
『頼んだ』
清隆からの通信が切れると同時に、俺と諒は急いで現場に向かった。
―――
――
―
「嵐山さん!」
「雄也か!」
「被害状況は?」
「まだ詳しくは分かってない! 急ごう!」
綾辻のナビゲートに従い現場に向かう途中で、嵐山隊と合流した。
嵐山さんたちもまだ正確な情報を得ているとは言えず、現場の状況が気になるところだ。
……急がないとまずいな。
――しかし現場委到着した瞬間に目にしたものは、想定外の光景だった。
「なんだ……? これは……」
「これは……もう終わってる……!? どうなってるんだ……!?」
そこにあったのは既に破壊されていたモールモッド2体だった。
……一体誰が?
しかしそんなことは一旦どうでもいい。ここは生徒が誰一人死ぬことなく終わった、という事実を喜ぶべきだろう。
ともすれば本来やるべき仕事をこなせばいいだけなのだから……
「とりあえず俺は現場調査に入ります。嵐山さんはこの場をお願いします。充、付き合ってくれ」
「わかりました」
―――
――
―
「校舎の被害状況はこんなとこか。とりあえず南館は封鎖してもらうよう先生方にお願いしておこう」
「そうですね」
「さて、本題だが……充、これどう思う」
調査を始めると驚いたことが分かった。
このモールモッド2体だが、やった奴はかなりの実力者だということだ。
ほぼ一撃でケリをつける腕前もさることながら、それをC級のトリガーでやってのけている。
「すごいですね。どっちも一撃できれいに仕留めてます」
「これ、お前できるか?」
「できると思いますよ」
「……訓練用トリガーだぞ?」
「それは無理ですね」
「多分この場でそんな真似ができる人間は諒くらいだと思う。だが――」
「C級の……三雲くんでしたっけ?」
そう、俺たちA級の人間であったとしても、こうも上手くはできない。
ある程度の戦闘技術があって初めてそんな阿呆な真似ができるわけだが、それをC級隊員がそれをやってのけたという。
そして、そのやってのけたとされる隊員を俺は知っていた。彼の実力ではモールモッドを倒せるはずがないことも。
しかし、生徒の証言を聞く限り、三雲がやったということで間違いないらしい。
本番でスイッチが入るタイプの人間には見えないのだが……それ以外思い浮かばない。
迅さんの予知――大規模侵攻の被害を抑える切り札と言っていた。
確かに火事場の馬鹿力だとしても、C級の時点でこれだけの力があるというのであれば、迅さんの予知もかなり信憑性のあるものだと考えられるだろう。
「悪ぃ、ちょっといいか?」
「ん? なんだ?」
突然、諒に声を掛けられる。向こうで何かあったようだ。
「木虎が口論気味になってるから止めてくれ」
「は? 何かあった?」
「C級に助けてもらったとか言っているここの生徒と木虎でいざこざになってるんだが、相手がな……いいから来い」
「わかったよ」
言われるがまま木虎の元に向かうと、確かに木虎が学校の生徒と口論になっていた。
諒が言うには、三雲の行ないについて責めたところ、三雲に助けられたと言っている白髪の少年に言い返され口論となったらしい。
確かに木虎の言うことにも一理ある。三雲は規則を破ったわけだから、上に立つ立場である以上それは責めるべき点だ。それに木虎がクソ真面目な奴である以上言うと思ったし。
だが、場所と状況を考えてくれ……三雲に助けられた多数の生徒の前でそんなこと言ったら反感買いかねないし、現に一般人相手に口論になってしまっているし……さすがにそれはよくないだろ……
「私はただ組織の規律の話を……」
「おまえ……つまんないウソつくね」
あ、駄目だ。若干気圧されてるし、これ木虎が言い負かされる。
木虎の面子もあるし、ここは止めた方がいいだろう。
「ほら、そろそろストップ」
「で、ですが……」
「木虎、いったん落ち着け。な?」
「は、はい……」
尚も口を開こうとする木虎を制すると、渋々ながら従ってくれた。
とりあえず、一旦木虎はこれでいいだろう。次は……
「それと……三雲くん」
「はい……」
「これが規定違反ってことはわかってやったんだな?」
「申し訳ありません……」
三雲は苦い顔つきで頭を下げた。
C級は訓練以外でのトリガーの使用は認められていない。その規則を破ればまぁ基本的にはクビになってしまう。
少なくともこいつはそれを理解した上で今回の行動に出たということだろう。
「……今、現場の検証が終わった。後ほど君からも状況を聞くことにはなるが……状況からみて切羽詰まっていたってことは推測できる。多分、君が今回のような行動に出なければ、最悪数十人単位で死人が出ていた可能性もある。そんなわけだから、まぁ、規定を破ったことについては間違いなく怒られるだろうけど、それ以上はないようこちらからも取り計らうつもりだから」
「は、はい……ありがとうございます……」
俺の言葉を聞いた三雲は驚いた表情を見せ礼を言ってきた。
……まぁこっちが現場に到着するのが遅れたせいでこんなことになってしまったという申し訳なさもあるわけで、クビにならないように計らうのが筋だろう。
嵐山さんもおそらくそう計らうはずだろう。どうも兄弟がこの学校にいるらしく、その恩もあってやたらと三雲に好意的だし。
ある程度騒ぎも落ち着き、教師と生徒たちは校舎に戻っていった。
この後も授業を行なうというのだから、本当にタフだと思う。
「雄也、お前この後はどうすんだ?」
諒に声を掛けられる。
「とりあえずこの近辺にいるつもり。一応被害状況まとめたやつを回収班に渡したら、一応この近辺見回ろうかと思ってる」
「だったら、あいつに目を付けとけ」
「三雲か?」
「違ぇ。あの白毛のチビの方だ」
「え? 何で?」
「あいつは何者だ? 木虎と口論してた時なんか、清隆と似たような空気を出してやがったぞ。それにあいつ一般人のくせにトリガーに詳しいような発言もしてたぞ」
諒は三雲ではなく、三雲の友人と思われる白髪の小柄な少年に注意をしろと言っている。
確かに諒の今言ったことから考えると、この少年は少々胡散臭い。
「……わかった。注意しておこう。どうせだし放課後ちょっと話してみるか」
「任せっぞ」
諒や嵐山隊が去った後、学校を中心に周辺をうろつくことにした。
しかし……なぜ急に警戒区域の外に門が開くようになった……?
誘導装置が効かないタイプの門が出てきているのだとすれば相当ヤバいな……。
それに諒の言っていた白髪の少年……。
問題はいくつかあるが、とりあえず手近なものから解決していこう。
そう考えながら、放課後までの時間潰しがてらに近辺のパトロールを始めた。
今後はほぼほぼ原作通りの流れで進んでいきます。
時々閑話休題レベルに日常パートらしきものが入るのはご愛嬌。
では、また次回もよろしくお願い致します。