それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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狩りとか無双乱舞とかで忙しく、全然更新できてませんね……。
果てには別の話の大枠とか作り出す始末……

とりあえず、今回もよろしくお願いします。


木虎 藍

【春日雄也・三門市立第三中学校】

 

そろそろ学校も終わる時間だろうと思い、校門の前まで足を進めると意外な人物がそこにいた。

 

「あれ? 木虎?」

 

「春日先輩、どうしてここに?」

 

「ちょっと気になることがいくつかあって、学校終わるのを待ってる感じだな。お前は何でここに?」

 

「それは、その、三雲くんが逃げ出さないように見張りを……」

 

「そうか。まぁ逃げ出すような奴ではなさそうだったけどな」

 

見張りとは言っているが……昼間のことといい、余程癇に障ることがあったのだろう。少しフォローはしておいてやるか。

 

「木虎、昼間のことなんだが」

 

「はい……お見苦しいところを見せてしまい申し訳ありません」

 

こういうってことは、振る舞いがよくなかったという自覚はあるんだな。木虎に限ってそんなことはないと思うが、これで自覚がないようだったらなんと言うか……問題だ。

 

「別に木虎の言ってることが間違ってるわけじゃないんだ。ただ場所とタイミングが、な。あの場で熱くなるのはいただけない」

 

「はい……すみませんでした」

 

「まぁ気にするな。お前は頑張ってると思うよ。自分に課せられた立場をちゃんと理解して、そのあるべき姿になろうとしている。それは素直にすごいことだと思うよ」

 

「春日先輩……」

 

「あ、悪い。何か偉そうに言ってしまったな」

 

「いえ、そうではなく。そうやって那須先輩を落としたんですね」

 

……は?

 

「……誰から聞いた?」

 

「防衛任務の前に佐鳥先輩がヘラヘラしながら言ってましたよ」

 

「あの野郎……」

 

佐鳥か……誰がチクりやがった……昨日の今日で知っている人間……本命が美奈ちゃん→綾辻→佐鳥というルート、対抗で清隆→佐鳥か……。何にせよ、ランク戦で佐鳥からポイントをガンガン吸い取る必要があるな。

 

 

「そろそろ出てくる頃ですね」

 

木虎と話しているうちにいい具合に時間が経っていたらしく、校舎から続々と生徒が出てきた。

まぁ校門前に、自分で言うのも歯痒いが、有名人が2人も立っているわけだから、気づけば軽い騒ぎとなっていた。

 

「あれ嵐山隊の木虎さんと古賀隊の春日さん?」

「なんでまだいるんだろ?」

「いいじゃん、写真撮らせてもらおうぜ」

「写真撮ってもいいですか?」

 

「あー悪いけどそういうのはやめてくれる? 写真なんて正直迷惑なの。芸能人じゃあるまいし……」

 

案の定、写真を撮らせてくれなどの要望が飛んできたが、木虎がそれを跳ね返してくれた。

こいつのはっきりとした物言いは、こういったときには年下ながら頼りになる。

 

……と思いきや携帯を向けられた瞬間、こいつ思いっきりポーズ決めやがった……さっき心の中で褒めたのに。

 

「なにやってんだ? こいつ……」

 

「はっ……」

 

気付けば目的の人物が目の前にいた。三雲と白髪の少年――特に白髪の少年については、諒から警戒しておくよう言われていたし、三雲と一緒に行動をしているというのはこちらにとっても好都合だった。

 

何にせよ2人から話は聞かないとな……。

 

「木虎、一応今は広報の仕事中じゃないし、ポーズ決めなくていいからな……?」

 

「……忘れてください。さて、待ってたわ、確か……三雲くんだったわね。私はボーダー本部所属、嵐山隊の木虎藍。本部基地まで同行するわ」

 

「一応俺も……古賀隊の春日雄也だ。今日のことについて君たち二人にちょっと個別で話が聞きたくてな。本部に行くまでの間、少し質問させてもらってもいいかな?」

 

「は、はい」

 

A級2人に囲まれ少し緊張しているのだろうか、少々硬い表情で返事をし、俺と木虎の後を着いてきた。

 

 

―――

――

 

 

「――なるほど、じゃあ三雲くんが南館の生徒を助けに行かなければ君だけじゃなくて結構な被害が出ていたわけか」

 

「そうだな」

 

「うん、とりあえず君たちの状況は理解した。空閑くんありがとう」

 

木虎は三雲に話があるようだったし、まずは白髪の少年、空閑くんに当時の状況を聞くことにした。

どうやら半壊した校舎から三雲に抱えられて出てきたらしいが……やはり違和感がある。

最初は火事場の馬鹿力的なものかと思ったが、三雲個人の戦闘能力は、俺の知る限りボーダー内でもかなり下の方だ。

いくら普段以上の力が出せたとしても……三雲ではあんなスマートな倒し方はできない。トリオン兵の弱点や動きを熟知した上で、さらに高い戦闘スキルを持った……そんな攻撃だった。

 

「いえいえ。ところで……」

 

空閑は木虎と三雲の方に視線をやった。釣られて俺も同じ方向を向くと、木虎が三雲に絡んでいるように見える。ひたすら正論で責め立てる木虎に、三雲も少々辟易しているようだった。

 

「ああ……組織に属する人間の立場としては正しいんだが……ちょっと当たりがきつすぎるな……」

 

「オサムは罰を受けるのか?」

 

「そうならないために当時の現場の状況を色々調べてるんだ。……まぁでも違反は違反だから説教受けるくらいは覚悟しといてほしいってとこかな」

 

「それならよかった」

 

俺の言葉を聞くと、空閑は笑顔で「よかった」と返した。友達思いなのだろうか、多分悪い奴ではないのだろう。

 

だからこそ――

 

「はっきり言ってあなたがいなくても私たちの隊が事態を収拾していたわ。あなたはたまたま現場の近くにいただけよ!」

 

「いやいや、ムリだから。別に責めるつもりはないけど、おまえ全然間に合ってなかったから、ふつうに」

 

何かと三雲に突っかかる木虎に対して噛みつくんだろうな……。

 

頼む……目立つから道端でデカい声出さないでくれ……。

 

 

―――

――

 

 

木虎と空閑の言い合いに一段落ついたところで、三雲が口を開いた。

 

「そういえば、春日先輩。今日の学校の近界民……あれはなんだったんですか?」

 

まぁそりゃ気になるよな……

 

「そのことなんだが……昨日から少々厄介な事態が起こっている」

 

「春日先輩!? 部外者もいるのにいいんですか!?」

 

「いいよ、どうせこの調子じゃそのうちバレるのは確実だし。まぁ喧伝しまくるような奴じゃないだろうし大丈夫だろう」

 

「……わかりました。まだ詳しいことは分かってないけど、どうやら基地の誘導装置が効かない、イレギュラーな門が開き始めてるみたいなの」

 

「技術者たちが総出で原因調査してるんだが、今のところ何の成果も出てなくてな」

 

「イレギュラーな門……?」

 

「今日の事件の他に、昨日から6件同様の事例が報告されている。その時は防衛任務中の隊員やたまたま近場にいた非番の隊員が対応したから被害は出なかったが……。何にせよ、今の三門市はいつどこに近界民が出てきてもおかしくない状況下にある」

 

「そんな……! じゃあ早く何とかしないと」

 

「だからそれは技術者がやってるって言ってるでしょ。私たちが騒いでもどうにもならないわ」

 

次の瞬間、その厄介な事態がまたしても俺たちを襲った。

 

『緊急警報。門が市街地に発生します。市民の皆様は直ちに避難してください』

 

突如上空に現れるゲート――またイレギュラーなのが来やがったか……

 

しかし、そこでもう一つ、厄介なことが起こった。

 

「マジかよ……というか……」

 

「何!?この近界兵……! こんなの見たことないわ……!」

 

飛行型の大型近界民――俺も木虎も見たことがないタイプだった。

 

どんな攻撃をしてくるか、どんな特性があるかもわからない……さて、どう対応したものか……。

 

とりあえず、本部に連絡しようとした次の瞬間、信じられない言葉が聞こえた。

 

「空閑、こいつは……?」

 

「イルガー……! 珍しいな。爆撃用のトリオン兵だ」

 

……おいおい、俺も木虎も知らないことを何でお前が知ってるんだ? 空閑。

 

正直問い詰めたいところだが、それどころではない。

 

このイルガーとかいう近界民が街目掛けて爆弾を何発も落としている。

 

建物は破壊され、市民の叫び声が川の向こう側から聞こえてくる。

 

……ほかの部隊を待ってる余裕なんてないな。

 

「木虎! 先に行け! 本部に連絡次第すぐに追いかける!」

 

「はい!」

 

「ぼくも行く」

 

「三雲くん、気持ちはありがたいが君が対応できる相手じゃなさそうだ。悪いが安全なところにいてくれ」

 

「あなたまた出しゃばるつもり!? そもそもあなた空の相手に何ができるの?」

 

「それは向こうで考える」

 

……言っても聞かないか。だがここで時間を割いてる余裕はない。急いでホルダーに入れているトリガーに手をかける。

 

「「「トリガー起動!!」」」

 

俺、木虎、三雲がトリガーを起動する。

 

三雲は即座に武器を出そうとしたようだが、トリオンが回復しきっておらず、武器を出すことができなかった。

その姿を見た木虎におとなしくしてろ、と諭されるが、とても引くようには見えない。

……まぁさすがに今の状況で近界民に特攻をかけるような無謀な真似はしないだろうし、願わくば被害に遭っている市民の救助とかをやってもらえると助かるんだがな。

 

木虎はそのまま近界民の元に向かった。

 

さて、俺も急いで本部に連絡して木虎の援護に行かないとな。

 




単行本1巻のとこまで終了。
なるべくペースは上げていきたいと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。
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