簡単に近況だけ報告いたしますと、出張だったり転職活動で忙しい感じでした。
これから就職を控える皆さまはどうかしっかりと考えた上で就職活動をしてほしいと思います。
大学生特有のノリと勢いやミーハーなアレで決めたら大変なことになります。いや、マジで。
……いや、ふざけてエントリーしたら何かトントン拍子で決まってしまって、じゃあここでいいや! とか駄目だった。
余談もここまでにして、今回も宜しくお願い致します。
【春日雄也・六頴館高校】
清隆との戦闘から数日経った。
本部も本腰を入れて遊真の黒トリガーを取りに来ると思っていたが、あの後迅さんが風刃を本部に差し出し遊真の黒トリガーの保持とボーダーへの入隊許可を取り付け、まぁホッと一息、ってとこだろうか。
強いて言うなら、清隆とマジなやり合いになってしまった、と見た嵐山さんが俺と清隆の関係に多少なりとも溝ができてしまったのではないか、と心配していたくらいだが、そんなの杞憂です、と一蹴しておいた。
そんな折に、とりあえず一度集まろうと清隆が言いだし、部活に行こうとする諒を捕まえて先日のことについて諸々の情報連携を、ということになった。
「さて、じゃあせっかくだし話を聞かせてもらおうか」
「遊真のことか?」
「んー、じゃあそれからで」
まずは遊真についてのことを話すことにした。
三雲との繋がり、黒トリガー、そして玉狛に来た経緯など、とりあえず自分にわかる範囲で話してみた。
自分に話せる範囲で話した後、清隆が口を開く。
「なるほど……だとすると、三雲は本当にキーマンだったかもしれない」
「予知の話か?」
「え? 迅さんがそんな予測してたんでしょ?」
「ああ、だけどむしろ期待されるのは遊真の力だろ」
「お前何言ってんだ? 話聞いてっと三雲がいなけりゃ空閑はこっちと繋がり持ってねぇだろ?」
「まぁそう言われるとそうなんだけどよ……お前に言い負けるか……」
諒に論破されるとは……確かに言う通りなのだが……なんか癪だ。
「俺も諒も直接空閑がやってるところを見たわけじゃないしわかんないけど、実際のところどうなの?」
「黒トリガー使ってるとこは見てないからわからん。ただ、ボーダーのトリガー使ってもA級並の力はあるな。あんま得意じゃないスコーピオン使ったとはいえ、4-6で負けたし」
「まぁ相応に実力はあるってことだね」
「そいつも気になっけど、黒トリガーつったらお前だろ。聞いてねぇんだが?」
「何か言うタイミングがなかったからなー」
黒トリガー、という言葉に反応して諒が話題を変えてくる。
……そういや諒には言ってなかったなー。別に言いふらしたりはしないだろうし言っておいてもいいか。
「つか清隆も知ってたんなら言えや」
「俺もどんなものかってのは知らなかったよ。こないだ見たのが初めて」
「どんなんだったんだ?」
「うーん……槍を持ってたのはわかるんだけど……攻撃しても何かにぶつかって雄也まで届かなくて、呆気に取られてるうちに気づいたら腹に穴開けられてた。それ以上はわからなかったんだけど、実際のとこどうなの? 槍に仕掛けがあるみたいな?」
身に着けているドックタグ――もとい、黒トリガーを手に取り2人に見せる。
「確かにちょろっと仕掛けはあるが、その槍はあくまでもサブウェポンだ。俺の黒トリガー……イージスの本来の武装は盾だよ」
「あれ? この間は槍しか持ってなかったように見えたけど?」
「そう見えるよな。とりあえずは俺の前にドでかくて見えない壁があるようなもんだと思ってくれ」
「あー、だから攻撃通らなかったのか」
清隆は先日の戦闘時の疑問を解決できたようだが、どうも諒は怪訝な表情を浮かべている。
「……悪ぃ。それ黒トリガーなんだよな?」
「正真正銘、ガチモンの黒トリガーだ」
「なんつーか拍子抜けだな……迅さんのとか天羽のとかのイメージがあっからどうしても盾っつわれてもな……」
「先に言っとくけど、お前がトリオン全開で断海を使っても壊せないからな」
「あ? やってみねぇとわかんねぇだろ? 何ならやってみっか?」
言葉の選び方を間違えてしまったか諒に挑発的な発言と受け取られてしまい、やや攻撃的な返しを受けてしまった。
「すまん、挑発したとかそういうのじゃないんだ。単純に盾の特性でトリガーでの攻撃を完全に無効化できるから、弧月での攻撃がそもそも通らないんだよ」
「だったらそれを避けて攻撃すりゃいいだろ」
「それに加えて向かってくる攻撃に対してそれに反応して自動で防いでくれる、絶対防御みたいなもんだよ。天翔を全力で使って突っ込んで来ようと間違いなく防げる。ついでに言うと盾は通常トリガーのシールド同様、複数に分裂可能だから多方向からの攻撃にも対応可能」
「トリガーの攻撃が通んねぇんだったら打撃で」
「余程の威力じゃない限り打撃での破壊も無理だし、壊れても即座に張り直せる。俺自身のトリオンや充電されてるトリオンが尽きない限り絶対に攻撃は通らない。まぁ難点を言うなら効果範囲が半径5mくらいだから、広範囲をカバーできるものじゃないってのと、起動してるだけで徐々にトリオン削られることくらいだ。後者はそもそも俺トリオン量多いからほとんど影響がないと言ってもいいしデメリットと言えるほどのものでもないな」
「……」
手の打ちようがない、とわかると否や溜息を吐いて諒は黙り込んだ。
何にせよ、イージスは使用者のトリオンが切れるまで自分に向かってくる攻撃を全て防いでくれる、名前の通りの防御特化の黒トリガー、というわけだ。
「何と言うか……さすが黒トリガーって感じかな? ところでその黒トリガーって……」
「俺の母親だ」
「そっか……」
清隆――遠くを見るような目。何か思い当たることでもあるのだろうか。
「ん? どうした?」
「いや、何でもない。絶対防御ね……我が子を守りたい母親の気持ちってやつの現れなのかな、って」
「……そうだな」
思い出す。
4年前の大規模侵攻のこと。
大量の近界民が街を襲ってきたあの日。
トリガーを使えることに調子に乗り、襲い掛かってくる近界民を次々に蹴散らしていくも自分の力不足で返り討ちに遭い、トリオン体は解除され意識を失い――
「悪ぃ……間に合わなかった……」
目を覚ました時に見たのは白砂のようになった母親の前で、小さな黒いドックタグになった母親を握った迅さんの姿だった。
「――や? 雄也?」
「ん? あぁ、悪い。……流石に冷えてきたな」
気付けば日も暮れて外は暗くなっていた。
12月ともなると日も短くなり、時間的にはそんなに遅いわけではないが、確か清隆はこの後の予定もあるし、そろそろお開きと言うところだろうか。
「何か2人ともわざわざ付き合わせて悪いね。一応俺は防衛任務あるけど、2人は時間大丈夫だった?」
「俺は特にねぇな。寮に帰ってその後自主練だ」
清隆は防衛任務、諒はトレーニング。それぞれ金と力を求める2人。まぁ何と言うかいつも通りの流れだなこいつらは。
「ちょっと俺は買い物あるから市街地まで出ようかな、ってとこだな」
「あー、クリスマス近いしね。羨ましいことで」
察した清隆はニヤニヤしながらこちらを向いた。
「いや、お前とか作ろうと思えば簡単に作れるだろうが……」
「そうだけどさ、そういうのじゃないんだよなぁ……」
「その発言、遍く高校生男子を敵に回してるからな?」
身の回りでパッと思い浮かぶだけでも綾辻に三上と、誰がどう見ても容姿、内面ともにハイスペックな女子2人からのアプローチを受けながらも、このような発言をするのだから、玲と付き合う前の俺なら間違いなく下顎目掛けて右ストレートぶっ放してたな……。
「とりあえず今日は解散しよう。とりあえず空閑のことだったりお前の黒トリガーだったり最低限聞きたいことは聞けたし……何より防衛任務に間に合わなくなる。教室の鍵は任せた」
「了解。また何かあったら呼んでくれ」
そう言うと、清隆は少し駆け足でこの場を後にした。
諒の方も特にこれ以上要件も無いようで、鞄を担ぎ教室の外に出ようとしている。
「なら俺も行くか……っと、そうだ。これやるよ」
何かを思い出したかのように俺の方に戻り、何かを手渡してきた。
「……っておいコラ。お前これ……」
正方形のフィルムのパッケージ――俺たちの年代なら確実に反応してしまう道具……何でそんなもん持ってんだよ……
「周りで使うとしたらお前くれぇだからしゃーねぇだろ」
「いや、流石にまだそういうのは……ってかどっからこんなもん持ってきた」
「部活の先輩が配ってんだよ」
「……意識が高いことはいいことだ」
「水風船以外の使い道がないような連中しかうちの部活いねぇんだけどな」
「悲しくなるからそんなこと言うな……とりあえずありがたく受け取っておくよ……」
使う予定はないが、とりあえず受け取ったものを財布の中に突っ込んだ。
迷信ではあるだろうが、財布に入れていると金が貯まると言うしまぁそういうことにしておこう。
「やっぱ使うんじゃねぇか」
「そんな予定はないけど……保険だ、保険」
「そういうことにしといてやんよ。じゃあな」
そんなこと考える余裕もなかったが……意識しちまうじゃねぇか馬鹿野郎が!
一人残された教室を後にし教室の鍵を職員室に返して、少々悶々としながら市街地へ足を運んだ。
とりあえず、時系列的には原作4巻の32話近辺です。
予定としては、次にちょっと小話挟んだ後にすぐ原作戻ります。
またしても余談ですが、出張中毎日業務が定時で終わって暇だったので別に2本、それぞれ3万字程度書いたので、そのうち片方を載せようかなと思ったり思ってなかったり。
では、今回も拝読いただきありがとうございました。