新キャラや新しいステージも出てきましたし、折を見てこの中でも使ってみますか。
では、よろしくお願いいたします。
【春日雄也・星輪女学院】
桐絵からの強制的なお呼び出しにより、必死こいてチャリを漕ぎ星輪までやってきた。
流石はお嬢様学校、と言ったところだろうか。
校門は立派なものだし、警備員はうろついているし、桐絵のくせになんでこんなとこに通ってんだよ……
というか今日のこの出来事はあまりに理不尽だ……頑張って玲をデートに誘おうとしていたのにあんまりだ……。
まぁ、ここまで来ればワンチャン玲の顔見れるんじゃないかと期待はしてるんだけどさ……。
……とりあえず桐絵に「着いた」とメッセージ送っとこ。
「あれ? 雄也くん。何でここにいるの?」
携帯をいじりながらげんなり感半分、期待半分で校門の前で待っていると、美奈ちゃんに声を掛けられた。
友達と思われる女子に囲まれており、一瞬だけ彼女らから怪しいものを見るような目つきを向けられるも、次の瞬間には俺が何者かということに気づいたらしく瞬時に笑顔を浮かべ挨拶をしてきた。
冷静に考えれば女子校の前でボーっと立ってるとか普通なら通報案件だよな……
「美奈ちゃん。桐絵に強制召還させられた……」
「え? ……あっ! そういうことか!」
そういうこと、ってどういうことだってばよ。
「美奈ちゃんは今帰り?」
「うん。これから本部行くとこー」
「そっか。防衛任務のこと聞いてる?」
「うん! じゃあまたねー!」
手を振りながらボーダー本部へ向かう美奈ちゃんを見送りながら、桐絵を待つことにした。
そして待つこと数分……
桐絵が10数人の女子生徒を引き連れて校門まで出てきた。
誰だよお前、江戸時代の大名かよ。脇に避けて頭下げた方がいいのかこれ。
「……何でそんなに人連れてきてんだよ」
「あたしに彼氏がいると勘違いして、見たい見たいって着いてきたのよ」
何だよその女子高生らしい理由は……女子高生だったわ。
「つかわざわざ人を呼びつけて何の用だ?」
「ん? あたしは用はないわよ?」
「は?」
これはひどい。
流石に怒るぞ、と言おうとした矢先、桐絵が口を開く。
「あたしはないけど、あんたが用ありそうな相手に心当たりない?」
「は? ……あっ」
心当たり――確かにある。
何なら桐絵が引き連れてきた中に、少々引きつった笑みを浮かべたその姿が紛れこんでいる。
「……アンタ、聞いたら付き合ってから一度もデート行ったことないっていうじゃない? それってどうなの? 背中押したあたしたちにもだし、何より彼女に申し訳ないとか思わない?」
「わかった……わかったから……」
背中を滴る冷や汗――普段は暴力と暴論を平気で飛ばしてくるのに、こんな時に限って言い返せないような攻め方をしてくる。
「じゃあ今アンタが何するべきかくらいはわかるわよね?」
「いや、防衛任務なくなったからそもそもそのつもりだったんだが……」
「だったらなおのことちょうどいいじゃない」
「人多いしちょっとこの場では……」
「行け」
「あっ、はい」
もはや俺に選択肢など存在しなかった。
何でこんな辱めを受けなければならないのか。
一度天を仰ぎ、女子生徒たちの方に足を進め、目的の人物に声をかける。
「玲」
「え、ど、どうしたの?」
「急で悪いんだけど……クリスマスだし今からデート行かない?」
「え!?」
キャーキャーと周りから聞こえる黄色い歓声。
桐絵もニヤニヤしながらこっち見てんじゃねぇよ……
「どう……?」
「う、うん。行く。でも雄也くんもだけど今日は防衛任務があるんじゃ……」
「奈良坂と風間隊が穴埋めしてくれるらしいから大丈夫っぽい」
「そっか。じゃあ……お願いします」
「とは言え急過ぎてノープランなんだよな。とりあえず駅前辺りまで出ようか。色々遊ぶところはあるし……何より恥ずかしいから早くこの場を離れたい……」
辺りを見渡す。
キャーキャー騒ぐ玲のクラスメイト達。
これ以上この場に留まっているのも正直恥ずかしいし、何より学校に迷惑だ。
「そうね……後ろ乗ってもいい?」
「早く乗って。ここから逃げよう」
急いで玲を自転車の後ろに乗せ、さっさとその場から退散することにした。
次学校に来た日には、玲は死ぬほど質問攻めされるんだろうな……合掌。
【春日雄也・市街地】
とりあえず逃げるように星輪から離れた後は、カラオケ入ったりゲーセンに入って写真撮ったり……なんか久々に高校生らしいことをした気がする。
そんなこんなで、時間的に晩飯なのだが……
「やっぱあんまりにも突発過ぎたか……いい感じの店埋まってるな」
クリスマスを舐めていた、わけではないが、平日だし流石にどっかしら空いてるだろうと思っていたが甘い考えだった。
せめて前もって決まっていた予定であれば席の予約くらいしていたものの……
「そうね……あっ」
「どうかした?」
「熊ちゃんが前に言ってたとこなんだけど、ちょっと行ってみたいかな、って思って」
「いいよ。地図とか出せる?」
「大丈夫。雄也くんは知ってるはずのところだから」
―――
――
―
そして向かった先は――
「よかったの? こんなとこで」
「うん。他の皆は行ったことあるみたいなのに、私だけ来たことなかったからせっかくだし」
「あぁ? こんなとこで悪かったな!」
「……さーせん、カゲさん」
カゲさん家のお好み焼き屋だった。
「……ケッ。女連れでいい身分じゃねーか。お前防衛任務じゃねーのかよ。サボりか?」
「他の隊員に変わってもらいましたので」
「……で、注文はどうすんだ?」
「てきとーに2人分お願いします」
「おう。ちょっと待ってろ」
カゲさんとのやり取りを見て、玲がちょっとビクビクしていた。
「大丈夫だよ。悪いのは口と人相だけだから」
言っておいてなんだが、結構ひどいことを言ってるよなこれ。
「ううん。ちょっと声が大きかったからビックリしちゃって」
「そっか。というかここ来たことなかったんだ。志岐はともかくとして、熊谷とか日浦が前に行ったって言ってたからてっきり来たことあるのかと」
「多分私が病院とか行ってるときに来たんだと思う」
「なるほど」
そして待つこと数分。
「ほらよ、待たせたな」
2人分のタネを持ってカゲさんが戻ってきた。
「あざっす。あっ、面識あんまなかったと思うんで一応紹介しておきますね。B級の……確か今は12位だったかな? そこの隊長の那須玲です」
「知ってるよ。おめーが弟子取っただので前にちょっとした騒ぎになってやがったしな」
「今更ですけどそんな騒ぐようなことでしたかね?」
「ハッ、おめー二宮が志願してきたのを断ったのに、そいつは受け入れたからじゃねーか」
「断ったんじゃなくて、目的からして出水に任せるのがベターと思ったからそっちに回しただけですよ」
「そうかよ。まあいい、なんかあったら呼べ」
二宮さんの件については、単純な技術だけなら出水の方が上だったからそっちに任せた方がいいという判断だったわけだし、玲に関して言えば当時はここまで面倒見るつもりもなかったはずなんだよな……
まぁ、そんなことより今は目の前の飯に集中しよう。流石に腹減った。
ざっと2人分のタネを鉄板に広げる。
少し経つと片面がいい感じに焼けたようなので、右手に持ったヘラを使い、サッとひっくり返す。うん、完璧。
「上手いね。料理できるんだっけ?」
「当番制だから嫌でもできるようになった感じかな」
「今度食べてみたいな。ダメ?」
「いいよ。俺が当番の日に玉狛来てもらえればいつでも」
「うん。楽しみにしてる」
普段当番の時は、割とお手軽に作れる手抜き料理ばっかり作っているのだが……この時ばかりは頑張ることにしよう。
腹も膨れたところで大事なことを思い出し、鞄に手を伸ばし中から小さな箱を取り出した。
「……っとそうだ、これ」
「ありがとう。……でもごめんね」
受け取った玲から出てきたのは謝罪の言葉だった。
……俺、何か謝られるようなことしたか?
「え? 何で?」
「ううん。私何も用意できてなかったから……」
……うん、全部桐絵が悪い、ということにしよう。
「気にしなくていいよ。こんな急にこんなことになったし仕方ない」
「開けていい?」
「うん」
「……指輪?」
「まぁベタだけどペアリングってやつ」
そう言いながら自分の分のリングを見せつけるように右手を玲の方に突き出した。
「こういうのって高いんじゃないの?」
「安くはないけど……選んでた時に店員さんに声かけられて、高校生だってことを伝えたら相応の値段のものを出してくれたから」
「そっか……ありがとう。大事にするね」
よかった、喜んでもらえた。
もしかしたらあんまり喜ばないんじゃないか、とか思ったりもしたが、この笑顔がそんな不安を一瞬で消し飛ばしてくれた。
玲を家まで送り、玉狛まで帰り着いてからもニヤニヤしていたらしく、桐絵に「気持ち悪い」と膝蹴りを入れられても上機嫌だったため、ドン引かれたのはまた別のお話。
『おまけの後日談』
明くる日――
防衛任務を終え、本部のラウンジで本を読んでいると綾辻から声をかけられた。
「春日くん」
「どうした?」
「こんなもの送られてきたんだけど?」
渡されるスマートフォン――
画面に映るメッセージアプリでの三上とのやり取り――
『清隆くんとクリスマスにデート行ってきちゃった!』
「春日くんが手助けしてくれたっても言ってたけど?」
「……」
背中を滴る冷や汗――
能面の如き表情を浮かべる綾辻から放たれる殺気――
「私のこともフォローしてくれるんだよね?」
「いや、それは……あくまでお礼の一環というk「してくれるんだよね!?」」
「……はい、このたびは誠に申し訳ございませんでした」
「やった! 期待して待ってるね?」
清隆、済まない。もう一回頑張ってくれ……
次回から原作の流れに戻ります。
さて毎度恒例の余談ですが、たまに打っている麻雀仲間が麻雀プロになっていたらしいです。知らんかった←
これは咲辺りでで何か書け、というお告げか……?←
……書くか(決意)
では、今回も拝読いただきありがとうございました。