それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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久しぶりの投稿です。

消費税対応のお仕事やらで忙しく更新滞ってしまいました……アカン、忙しすぎて死んでまう←

では今回もよろしくお願い致します。


大規模侵攻

【春日雄也・ボーダー本部】

 

「なんか今日少ないっぽいんだよね。午前中今のところ近界民0みたいだよ。……これじゃ稼げないから困るよ」

 

昼から防衛任務ということで本部に集まったわけだが、集まって早々に清隆が口を開いた。

 

今までに比べると、どうもここ最近近界民の出があまりよくないらしい。

 

「いや、少ないに越したことはないんだが……」

 

「ちょっとでも稼ぎたい俺からしたらある程度はいてくれた方がいいんだけどね」

 

「とても街を守る側の人間の発言とは思えん」

 

家庭の事情はあるにせよ……って固定給出てるだろ、お前と美奈ちゃん2人分。十分だろ。

 

「講習会の時に聞いたんだけど、今日っていうよりここ何日か門の出る数少ないみたいだよ?」

 

「嵐の前の静けさ、かな?」

 

「そうだとしたら困るんだが……」

 

不吉な言葉を清隆が発する。確かにそんな不気味さは俺も感じた。

 

だが、ひとまずは目の前の防衛任務に力を注がなければならない。

そういうのを考えるのは終わってからでいいだろう。

 

……さて、残りの1人は……まだ来ないな。

 

「てか諒は? あいつ早いうちから来てたみたいな話聞いてるけど」

 

「訓練室で剣振り回してる。そろそろ来るんじゃない?」

 

「なんだ、訓練だったら付き合ったのに」

 

「振り回してるの真剣だよ?」

 

「アカン、死ぬわ」

 

残りのメンバーの所在が気になって尋ねたところ、行動が想定外すぎて思わず生駒隊よろしくな関西弁が口から出てきてしまった。

 

……いつかあいつ捕まるんじゃね?

 

「てかそろそろ防衛任務の時間だし、諒を呼ばなきゃ……」

 

「あ、じゃあ私隊室戻るついでに呼んでくるー」

 

「じゃあお願い」

 

「りょーかい!」

 

美奈ちゃんがその場から離れると、清隆の普段の砕けた表情が一変し、真面目な顔つきになった。

 

「……さて、さっきは軽く言ったけど……大規模侵攻近いよ」

 

「マジか……」

 

「近界民の出現減る時点でもうほぼ黒だよ」

 

減ったことが何の根拠になるのかはあまりピンとは来ていないが、ここまで断定的な言い方をしているのだから、自分の予想にある程度の確信を持っているのだろう。

 

「相手の狙いが何かわからない以上何とも言えないけど……例えばボーダーに対しての攻撃が目的なら、基地に対しての集中攻撃のために温存ってとこかな?」

 

なるほど、一気に戦力を放出して基地を襲う、という寸法か。

 

 

 

 

背後から近寄る足音――最後の一人がようやく来たようだ。

 

「そろそろ時間か?」

 

「諒か。遅かったな」

 

「悪ぃな」

 

「揃ったね。今雄也には話したけど、近界民が攻め込んでくるの近いよ。だから先に2人には言っておくね」

 

一呼吸置き、清隆が口を開く。

 

「どんな戦いになるか予測はつかないけど、もし本部や家が攻められるようなことがあったら俺は家族を守ることを最優先に動くから、その時は各自自分の判断で好きに動いて」

 

また一呼吸置く。

 

こうも堂々と宣言されるのも困るが、緊急の時そうなるだろうことは隊を組むよう懇願されたときに想像はついていた。

 

こいつは何が起きても家族を最優先に動くだろうと。例え自分の身を削ることになろうとも。

 

「ボーダーの理念もあるかもしれないけど、俺は俺の理念で動く。理解も納得もしてもらえなくていいから同意だけしてほしい」

 

「……わかった」

「構わん」

 

それをわかっているからこそ……俺は清隆の言葉に頷くしかできなかった。

 

「さて、じゃあ準備もいいようだし出発すると――」

 

『門発生、門発生。大規模な門の発生が確認されました。警戒区域付近の皆様は直ちに避難してください』

 

清隆ェ……

 

「……馬鹿野郎。お前がそんな話するもんだから、本当に来たじゃん。とんでもないフラグ立ててくれたな、オイ」

 

「……まぁ少なくとも俺たちは準備ができた状態で動けるわけだし良しとしよう。『美奈子、何か指示は来た?』」

 

『近界民は門を出てから市街地の方にバラけながら進んでるって! まだこっちの戦力が揃いきってないから、とりあえずは各個撃破になると思う! エリアはとりあえずは基地から見て南、南西、東の方面だけど』

 

市街地に向かって多方面に近界民が出現……

 

「『了解』。んー……とりあえず基地周辺かな。……まぁトリオン兵に2人が負けるとは思えないし、3方に分かれても問題ないよね?」

 

「ああ」

「まぁ問題ねぇだろ」

 

「何かあったら、というか間違いなく何か起こるから集合をかけると思ってて。だからある程度の範囲は決めよう。……そうだな、基地正面を中心に大体半径2km内でお願い。雄也は南、諒は南西、俺は東ね。美奈子は随時大体の敵の位置と俺たちの位置は把握するように。じゃあ、いこう」

 

「「『了解』」」

 

清隆の号令とともに、俺たちはそれぞれ指示された方面に駆け出した。

 




いつもより1000字程度少ないですが、とりあえず小出しでいいので書いていかないと……感覚を忘れそう……

転職して忙しくなってなかなか書く時間が取れなくなってしまいましたが、意欲が失われないうちは間隔空いても書いていこうとは思っていますので、よろしくお願いいたします。

では、今回も拝読いただきありがとうございました。

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