それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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来月から1ヶ月ほど、海外に高飛びするので、その前にガンガン進めていく所存です。

設定補完の日常パート、想定だとあと6,7話続きます。

その後原作入りになる予定です。

お付き合いのほど、よろしくお願い致します。


黒木 諒

【春日雄也・六頴館高校・武道場】

 

本日最後の授業は体育。

 

体育で柔道か剣道かを選択しないといけないわけだが、ボーダーで弧月を使うこともあるし、都合がいいかと思い俺は剣道を選択していた。(とはいえ本職は射手だが)

 

実際には剣道とは動きが違うし、トリオン兵との戦いにおいて所作なんて気にもしないが、剣を振るうという感覚を培うのはマイナスではないとは思っての選択だ。

 

さて、今日の授業は試合を行なうことになっているのだが、その相手が……

 

「次。春日、黒木」

 

ボーダーで1,2を争う弧月の使い手でもあり、俺がボーダーで所属している隊の仲間である黒木諒だった。恨むぜ、出席番号……。

 

先生に呼ばれ試合場に足を進める。

 

そもそも勝てる相手じゃないだろ、これ。日本一剣道が強い高校生だぞ? なんで今日最後の授業で惨めな思いをしないといけないのか……。

 

やっぱ柔道にしとくべきだったか……レイジさん仕込みの体術(力任せ)で無双できた可能性もあるわけだし……。

 

とはいえ今この場から逃げるわけにもいかないし、1秒でも長く粘ってやるとしよう。

 

向かい合い、礼をし、試合場の中央に進む。

 

蹲踞し、竹刀の剣先を交えると、「始め!」と審判を務める先生から声が上がった。

 

立ち上がり、向かい合う。

 

目を合わせた次の瞬間、諒のドデカい掛け声が響き渡ると同時に、それに伴って放たれた強烈な殺気が俺を襲い、つい怯んでしまった。

 

「メエェェェン!!!!」

 

気付けば頭部に鋭い衝撃が走っていた。

 

旗が上がり、その瞬間、ようやく諒に一本取られていたことに気付いた。

 

まっすぐ来ただけにもかかわらず、反応することすらできなかった。

 

ちくしょう、強すぎだろ……。

 

しかし……ただでは負けたくないな……。

 

せめて一度くらいは反撃したいな……。

 

定位置に戻り、構え、向かい合う。

 

「始め!」

 

2本目の開始を告げる掛け声が上がった。

 

―――

 

――

 

 

はい、負けました。(白目)

 

諒の動作を見ながら、3打目までは防ぎ、少し動きが緩んだ隙に面を打とうとしたが、振り上げた竹刀を振り下ろすことができなかった。

 

振りかぶった次の瞬間、目で追うことすらできない速度で諒は俺の脇を抜け、同時に胴を打たれていた。

 

面で視界が狭いことも相まって、諒が本当にその場から消えたかのような錯覚に陥った。

 

ランク戦において、諒はグラスホッパーを使って瞬時に間合いを詰めたり距離を置いたりと、トリガーを使って高速で移動することが多々あるが、先の一撃はそれに劣らないほどの速度だった。

 

「よう、お疲れ」

 

壁に寄りかかって休憩していると、諒が勝ち誇った顔で話しかけてきた。

 

「お疲れさん。やっぱ強いなお前」

 

「そりゃまぁ剣道素人に一本でも取られるようじゃあ面目丸つぶれだからな。けどお前筋いいぞ? 2本目の2打目と3打目、正直受けられるとは思わんかったし、思わず本気を出しちまった」

 

「いや、それ全然すごくないだろ……」

 

「何言ってんだ? ここの剣道部の連中どころか、地元の中学時代一緒だった奴らですら一部を除いて一振りでケリが着くこともザラなんだぞ? 少なくとも本気で打ち込んでんのを止めてんだから凄ぇに決まってんだろ。ボーダー忙しくねぇならお前を剣道部にぶち込みてぇくらいだ」

 

地元――元々は九州の方の人間であり、ボーダーにスカウトされ、今ここにいるということを以前耳にしていた。どうもあの辺りは剣道が強いとか何とかは聞いているが、そいつらでも相手にならないとかこいつは何者なんだよ……。

 

「んー……弧月振り回してた時期もあったからそれも影響してるのかもな。……あー、だったら清隆は俺より強いと思うぞ? 折を見てやってみたらどうだ?」

 

「……都合つくときに部活に呼んでみっか。楽しみだ」

 

ボーダーに入った当初は、俺も清隆も攻撃手だった。入隊当初は俺の方が強かったのだが、半年も経つ頃にはいつの間にか立場が逆転していた。

だが、この頃には実際に使ってみた上でのトリガーの適正なども互いに理解し始め、俺は射手に、清隆は狙撃手の道にと新たな進み始めた。このとき以来、個人のランク戦で一戦交えることもなくなってしまった。だが、清隆がランク戦で使っているところを見たこともあるが、その当時よりも動きは鋭くなっていたし、アタッカーとしてもそれなりの地位に立てるくらいの腕前くらいはあるはずだ。

 

おそらく諒も多少は楽しめる相手になるだろう。

 

……だが、こいつは今そんなことで楽しめる立場にはいない。

 

「……部活もいいが、今日の補習ちゃんと出ろよ?」

 

テストで赤点を取るからこういうことになるんだよな。

 

余談だが、俺は学年30位以内には必ず入っているし、清隆については入学からずっと学年1位という輝かしい成績を誇っている。

美奈ちゃんも、学校は違うが、入学してすぐの実力テストで上位に入っていたみたいなので、諒以外は成績優秀者の集まりとなっている。

 

「やめろ、思い出させんな。つか脳みそ分けてくれ」

 

「この間、賢にも似たようなこと言われたな……頼むからお前らボーダーの品位を落とすような成績だけは取らないでくれ……っと、そうだ。明日だが、晩飯焼肉でいいか?」

 

「焼肉か……寿寿苑?」

 

「そのつもりだが?」

 

「割と懐事情がよくねぇから別の場所にしね?」

 

「あぁ、それなら気にするな。俺と清隆で多めに出すつもりだ」

 

「マジか」

 

「先月と今月は広報とか来月からの新入隊員絡みの仕事が多かったし、割といい感じに給料もらってんだよ」

 

清隆に無理やり引っ張り込まれた広報の仕事。とは言っても嵐山隊のように毎回表立って活動しているわけではなく、裏で事務的な処理をやったりが主となっている。

A級に上がったら俺たちにもガンガン表に出てもらう、と根付さんには言われているが……あんまり仕事量が増えるようだったら勘弁してほしい気持ちも少々ある。

 

「じゃあ悪ぃがよろしく頼む」

 

「おう。……っと集合だとよ、先生が呼んでる」

 

「だな。……はぁ、補習とかダルすぎっだろ……代わりに出てくんね?」

 

「馬鹿言うな。そも、放課後はすぐ本部に行かないといけないから無理だっつの」

 

「は? 防衛任務は夜からじゃなかったか?」

 

「あー、そうじゃない。面倒見ないといけない奴がいるんでな」

 

あまり乗り気ではないが、弟子1人とそれっぽいものが1人ほどいる。ちゃんと教えられているかは正直自信がないが……というか片方はメインで使ってるトリガーそのものが違うし……何と言うか、俺に弟子入りは違うだろ……。

 

「そっちか。お前も大変だな」

 

「お前の自業自得の結果とは話が別だがな」

 

「うるせぇ」

 

そんなやりとりをしていると、先生の笛が鳴り出した。早く行かないと怒鳴られるだろうし、駆け足で笛の鳴る方へ足を進めた。

 

 




次回、ヒロイン候補その1出てきます。

高校生が主人公だし、恋愛的な要素も入れたいとは思っていますが……

頼む、私の文才。展開に追いついてくれ。
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