それぞれの戦う理由   作:ふぃりっぷす

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5話目になります。

よろしくお願い致します。



香取 葉子

【春日雄也・三門町警戒区域】

 

C級は別だが、俺たちボーダーは給与がもらえる。

 

A級は固定給があり、ある程度の給与が保障されているが、俺たちB級はそうはいかない。

 

じゃあどうやって俺たちB級が金を稼げるのか。

 

その答えとなるものが防衛任務だ。

 

もう少し細かく言えば、防衛任務などを通してトリオン兵を倒すことによって給与が支払われる。

 

出来高払いなので、討伐すればするだけ貰えるし、何ならボーナスもつくこともある。

 

古賀隊は大体週3くらいのペースで任に当たり、金が欲しい清隆は別にもう1日、他の隊に合流する形で出ていたりする。

 

清隆はそれに広報の事務仕事も合わせてやっているし、学校の成績も非の打ちようがない。完璧超人もいいところだ。

 

さて、そんな話は置いておいて、俺たち古賀隊は今まさにその防衛任務に当たっている。

 

―――

 

『モールモッド1体撃破。そっちには戻らないでここでそのまま待機しとくよ』

 

清隆から通信が入る。先ほど出現したトリオン兵をさっそく撃破したようだ。

 

『おー、お兄ちゃん速いねー。……あっ、次の門来るよ! 雄也くんと諒くんのとこから東にだいたい1.5キロメートル! ……来た! 誘導誤差5.5! えーっと……バムスター3体! 香取隊も近いから連携してお願いねー!』

 

『ちょっと俺からは離れてるな……どっちが行く?』

 

「『じゃあ俺が行くか』……諒、とりあえず清隆と合流しといて。行ってくる」

 

「了解」

 

『美奈ちゃん、香取隊に通信と俺の位置情報繋いで』

 

『オッケー! ……繋げたよー』

 

『ありがと』

 

『染井、聞こえる?』

 

香取隊のオペレーター、染井華に呼びかける。

 

『聞こえています。葉子たちも向かっています。そこから3つ目の十字路を左折してまっすぐ行った先に公園があります。そこで合流してください』

 

『了解』

 

目的地に向かい、一目散に走り出す。トリオン体なので息切れをすることがないので非常に楽だ。まぁたかが1キロちょい走ったくらいで息だえだえになるような柔な鍛え方はしていないが、負担がかからないことはいいことだ。

 

「到着っと」

 

「雄也!」

 

到着するなり、香取隊の隊長、香取葉子が駆け寄ってきた。

 

「久しぶり。若村も三浦も久しぶりだな」

 

「おう」

「久しぶりだねー」

 

「さて、まぁ挨拶は追々、まずはあっちにいる3体片付けるか……香取隊は右側のやつを頼む。あっちの2体は俺がやっとく」

 

「わかった!」

 

一旦香取隊と分かれ、駆け足で目標が射程に入る距離まで進む。

 

「さて、と。面倒だし一撃で決めるか。合成器(ミキサー)起動。徹甲弾(ギムレット)!!」

 

十数発の弾丸をそれぞれの口の中の弱点目掛けて放つ。

 

バムスターはとっさに口を閉じ弱点のカバーに入ったが、俺の放った弾丸はそれを貫いて、弱点を破壊した。

 

「ふぅ……やっぱ便利だよなー、これ。さすがクローニンさん」

 

ボーダーから支給されたものとは別に、俺はトリガーを持っている。

B級に昇格したときに、俺の母親が使っていたトリガーだ、と迅さんから渡されたものだ。

母さんも、元々はボーダーの前身だった組織の一員として戦っていたらしく、その時近界から入手したものだということまでは聞いている。

もっとも、俺を腹に宿してからは前線から退き、研究職のような後方支援の仕事をしていたらしい。

さて、このトリガーだが、ランク戦では使えない、うちのエンジニアが開発した規格が備わっており、それのテストも兼ねて防衛任務ではこのトリガー使っている。それが今使った合成器(ミキサー)という規格だ。

イメージとしては、桐絵の接続器(コネクター)の射手版という感じが近いかもしれない。

メイン側のチップを1枚起動後、合成器に滞留させ、即座に2枚目起動させ、トリガー内で合成弾を作成し、そのまま手元に発現させることができるものだ。

コンセプトとしては、3種類以上の弾丸トリガーを合成できるように、ということになっているが、まだ試作段階で上手くいっておらず、調整してテストして、というのが現状だ。

 

だが、現状でもこれを使えば楽に合成弾を撃てるという非常に魅力的な代物ではある。

メリットを一つ挙げるとすれば、弾丸トリガー合成時の隙が発生しないことだろう。俺や出水をもってしても、短時間とはいえ、合成時はどうしても隙が生まれてしまう。

だが、非常にめんどくさい、合成のプロセスの一部をミキサーが肩代わりしてくれることで、本来生じる隙を限りなく削ってくれる。

 

ただ、トリオンは通常以上に持っていかれるから、調子に乗ってあんまり使いすぎるとトリオン切れになりかねない。

 

まぁ俺はトリオン量わりと多いから余程のことがない限りそんなことにはならないが、限度は見極めておかないといけない。

 

でもって、こいつの最悪のデメリットとしてあげられるのは、このトリガーはベイルアウトできないことだ。

 

桐絵の接続器みたいに限定的な使い方ではなく、射手トリガー全般に作用できるようにプログラムされているため、めちゃくちゃ容量を食う。

 

そのため、ベイルアウト機能を外さないといけなくなるという非常事態が発生し、ランク戦では使用不可になっている。悲しい。

 

すなわちこのトリガー、下手をこくと人生がTHE ENDとなってしまうとんでも仕様なわけだ。

 

……まぁ実際にトリオン兵相手にそんなことにはならないような戦い方はしているし、本当にどうしようもなくなったときのための奥の手はあるんだけど。というか、防衛任務って部隊で出てるわけだから、もしもの場合にも助けがくるし。

 

 

「さて、あっちは……よし、片付いてるな」

 

香取隊の方も片付けたようだ。3人と合流すると、またもや葉子が駆け寄ってきた。おい、近いぞ。

 

「そっちも片付いたみたいだな」

 

「うん。あ、B級1位おめでとう! 今回こそはA級余裕で上がれるでしょ」

 

「余裕で上がれるとは思ってないけど、まぁなんとか昇級できるように頑張るよ」

 

「昇格戦の相手とか決まってんの?」

 

「多分明日の隊長会の時に通達があるんじゃないかとは清隆が言ってたかな」

 

「そうなんだ。そうだ! A級上がったらお祝いしてあげるよ! 何がいい?」

 

「あ、ああ。ありがとう。まぁそんなお祝いとか気にしなくていいから」

 

「何言ってんの。A級だよA級! 祝うに決まってんじゃん! ねぇ? 華もいっしょに!」

 

『私は遠慮させてもらう。二人で楽しんできたら?』

 

「そ、そう? じゃあ二人でどっか行こ?」

 

「おう……まぁ都合が合うときにじゃあお願いするよ」

 

「うん!」

 

葉子は満面の笑みを浮かべ頷いていた。

 

「……俺たち完全にいないもの扱いだな」

「悲しくなるから言わないようにしようよ……」

 

あ、若村と三浦の存在完全に忘れてた……スマン……

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

一方その頃、合流した清隆と諒は……

 

 

「あいつグイグイ来られっと断れねぇから根負けして香取と、が最有力だろ」

 

「いやいや、那須さんもいいかげんそろそろアタックかける頃だと思わない? そうなったら那須さん優勢だよ。多分香取より那須さんの方が雄也はタイプだし」

 

『ふっふっふ……実は今日那須さんの訓練してたときにね――』

 

「「マジで!?」」

 

「那須もついに動き出したか……」

 

「これでやっとイーブンくらいか……いや、これから那須さんがグイグイいくと考えたら逆転するのも近いだろうな……」

 

「でも那須じゃ香取ほど大胆には出れねぇだろ」

 

「そこはランク戦の戦いみたいに手数でガンガン攻めていけばどうにかなるでしょ」

 

当人のいない場で、雄也の話題で盛り上がっていたようだ。

 




そろそろタイトルの回収もやりたいんですが、
書いておきたい前振りとかいくつかあるため先延ばしに……。
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