【黒い鳥】の羽休め 作:\°∪゜/
どうも。作者です。
本作ではキャラ崩壊の可能性が大です。前話あとがきにも追加しましたが、お願いできれば感想にて報告か誤字修正機能で直してもらえると助かります。
では本編どうぞ。
六休み 工房勤めのおさな鳥
最近なんだか、寝つきが悪い。
別に不眠症というわけではない。
仕事は前もって決められた時刻に終わるし、特に仕事量が多いわけでも難度が高いというわけでもない。というよりもこれらは以前よりも軽いと思っている節すらある。
以前というのは今の工房で働く前の雑事時代……ではない。
青年自身それがいつなのか分からない。元々ない記憶にはそんなに辛い仕事をしたというものはない。まあ、ある筈もないのだが。
だがそれでも、喉に引っ掛かった小骨のようなむず痒さがある。本当にどうにかならないものか。
「…ーー。……?」
工房の奥からここの管轄者と思わしき金髪少女が出てきた。彼女は今青年が弄って居るモノを指さし、その深紅の瞳を覗かせている。
今青年が弄って居るモノというのは簡単にいえば、巨大な銃だ。送られてきた銃は全部で2種類。
3つの腕よりも長い砲身を連結した大口径銃と、折り畳んでも腕よりも大きい特殊兵器。後者はおそらく、レーザーか何かを射出するものだと思われる。
最近やっている作業と言えば、この二つのモンスター兵器の解析だ。
解析といっても分解は行ってない。サンプルが少ないのか分解せずに大がかりな解析装置を使っての作業である。因みにこれら設備はつい先日工房に届いたばかりも、おニューの新品である。
ピー、ピーというアラート音を響かせ、青年は再度武装を装置に仮置き、スキャンをかけた。
「……。ー-、ーー……」
隣でいい匂いを漂わせている少女が顎に手を置いて難しそうな顔をしながら唸る。
さっきからずっとこんな調子だ。何度も何度も青年に再スキャンの指示を出して、難しそうな顔をする。
確かに彼女の気持ちも分からなくもない。スキャンをかけてもそれが
そう、スキャンをかけても中がわからないのだ。これでは設備を導入した意味がない。
恐らく彼女はこの兵器を解析してデータを抽出、それを利用した新兵器を作ろうかと思ったのだろうが。
生憎と失敗に終わったらしい。
青年は場所を移動して、ほかの稼働中設備を見て回る。
自分は
絵を見せてもらっただけなので信憑性や正確性は不明だが、簡単に言えば『1:10』の差らしい。
確かに大きさは違うが、ここまでのものなのか。少し大げさではないのだろうか。
とりあえず威力検証をしようとそれらを指さし、銃を撃つ仕草などをしてみると。
×マークを突き付けられた。
何やら、弾込め方法が確立されてないらしい。3連砲のと同程度の口径の薬莢に弾を込めたはいいが、放置されているのがその証拠だ。レーザー砲(仮)に至っては全く触れていない。
そんな状態で無座に弾丸を消費させるつもりがあるわけもなく。
青年は指示に従って全くもって進まない解析を続けている。
と言っても、やるべき仕事は他にもあるのだが。正確には自分の知識の貯蓄である。
現在行っているのは武装パラメータの確認と、言語習得の二つである。
前者は金髪が、後者は藍髪の担当である。
機械整備というのはマニュアルが必須の作業である。図面やイメージのことだ。
これらを紙や頭に映し出すことでやるべきことが見えてくる。ここに来た時に組まされた機体も図面なしでは組み立てられなかった。
故に、それを知るのはここで働く上では必須なのだ。
また、それを読み解くため、意見を言い合うための言語も。
ーー…、……!
どうやら、お呼びがかかったらしい。
青年は数多くある設備巡回をやめて金髪少女の元へと歩いていった。
****
翌日、王立士官学園校長室。
いつものように綺麗に片づけられた個室の中には校長である、レリィ・アイングアムが玉座に居座っていた。
今日も別段、変わったことはない。紅茶を飲みながら他方から送られて来る書類相手に睨めっこしながらハンコを押すだけの作業をするだけだ。
唯一変わった事と言えば、今日のはそのほぼ全ての書類が”彼”関連という事だろうか。
「レーザー解析機に圧力加工機、高熱加工台やその他諸々の設備材料……確かに許可は出したけれども、流石にこれほどとなると頭が痛くなってくるわねぇ……」
レリィが苦笑いして目を窓辺へ逸らしている原因は先日要請があった工房設備の増設の件である。
新王国第一王女直々の要請であり、設備増設をあの青年も望んでいるとなると流石に突っ撥ねることはできない。
今のアティスマータ新王国の力は他国に比べて弱い。勿論、国としては最近台頭してきたようなものなので当たり前ではあるが。
そして新王国といっても国の大部分を担っているのは新王国政府ではない。勿論担ってはいるが、些か力不足なのだ。
故に現在は新王国の前身であったアーカディア帝国の貴族たちが国を回している。味方ではあるが旧帝国時代の老人たちには出来る限り力を借りたくないというのが本音だ。
故に新王国政府は学園に対し可能な限り青年の要望を叶えよと言う命を出している。
青年の未知の力と戦闘力は国に対して多大なる発展と貢献を与えると考えたからだ。
「確かにそれは理解出来るのだけれども……これだけ出費が多いと、ねぇ……」
第一王女であるリーズシャルテがオーダーしたものは想定以上に高価なもので、大量だったらしい。
その額はちょっとした家がペットや高級家具とセットで購入できるほどであった。
また、レリィの頭痛の種はこれだけではない。
ーーコンコン
ノックが鳴った。
どうやら頭痛の種二号がやってきたらしい。
レリィは書類を机の上に戻して身の回りを軽くセットして余裕の笑みで身構える。
扉の奥から女性の入室許可を求める声が聞こえた。この声は恐らくシャリスだろう。
「どうぞ、入っていいわ」
レリィは入室を許可した。
ガチャリと扉が90度回転し、その間を通って何人かの生徒が入ってきた。
それはトライアドと呼ばれる騎士団二人。藍髪のシャリスと茶髪のティルファーの二人だ。
そしてその後ろからトボトボと歩み出てくる銀髪の小柄少年。
旧帝国第七皇子【ルクス・アーカディア】 レリィの悩みの種二号である。
「失礼します……」
げっそりしながら入ってくるルクスにレリィは少しだけ同情をして、簡単な事情聴取をする。
と言っても形だけの物なので、どんな処分かは最初から決まっているのだが。
「それじゃ、今回のことは不幸な事故だった、という事でいいわよね、旧帝国皇子ルクス・アーカディアくん」
「はい……すみません、此方に向かう途中にこんなことに……」
「……元皇子?」
レリィは彼の行いを”不幸な事故”と称し、お咎めなしとすることにしていたのだ。
元々レリィとルクスは小さい頃からの知り合いだ。その為お互いに相手がどういう人物か知っている。
ルクスには女湯を覗きに行くほどの勇気・理由はない。それをしっていたのだ。
それに彼には元々、学園に来てもらう予定であったのだ。今回のハプニングが原因でその仕事を全うできないとなると本末転倒である。ここは強引にでも納得して貰うしかない。
なぜならこの学園は、
「五年前に起こったクーデターで国の戦力は激減したわ。その為、国の主戦力であるドラグナイトを育成することは現状最重要項目なの」
「はぁ……でもなんでそんな学園に僕が呼ばれたんですか?」
「それはね……あなたに此処で働いて貰おうと思ったからなの」
「………え゛ ええぇぇえええええ!!!???」
学園長の言葉にルクスは目を見開き、かなり大げさに驚いて見せる。
だがそれも仕方ないだろう、この学園は所謂女学園、女子校なのだ。
その中にポツンと男子がいるのはまずいと思ったのだろう、いろいろと。
「知っての通り、装甲機竜には一般的に、女性のほうが適正が高いと言われているわ。でも国の前身であるアーカディア帝国では男尊女卑であったせいか女性ドラグナイトは少なかったの。
だからちゃんとした技量を持った男のドラグナイトは貴重なのよ、先のクーデターで男のドラグナイトは沢山亡くなってしまったし」
「で、でも僕は男ですよ!? 女子校に男がいるのはマズいんじゃ……!」
女学校に男一人というのが余程嫌なのか、ルクスはなんとか逃れようと言葉を続ける。
が、レリィはそれに対し、ああそれならと言って切り返した。
「男の子なら既に学園の中にいるから、大丈夫よ。彼の扱いも君と同じようなものだから、仲良く出来るかもしれないわね」
「え? 僕と同じような扱い……?」
「ええ、そうよ。だからあなたは安心して学園に勤めてもらってーー」
ーーちょっと待ったァぁあああ!!!
ルクスが呆けてぽかんとしている間にとレリィはルクスの処理を強引に進めようとする。
が、それは後一歩という所で止められる。
バァンという炸裂音を響かして扉を開けて入ってきたのは一人の金髪美少女。
後ろにもほかに何人かの生徒がいる所をみるに盗み聞きをしていたらしい。今のは感情が抑えられなかったからという所か。
金髪少女、リーシャは歩み入ってルクス・アーカディアの目の前まで来て、
「私はまだ、こんな男の事を認めてはいない! 痴漢で変態なこの男など、即刻追い出すべきだろう!」
「……あ、きみはあの時の……」
痴漢で変態、あの時、そして不幸な事故。
これらの事象は実は、すべてリンクしている。
ことの発端はルクスが遂行していた依頼だ。
ルクスには多大なる借金があり、それを返済するために普段雑用を任される。のだがルクスは偶に無償で人助けをすることがあり、昨晩は猫にとられた女の子のポーチの奪還をしてあげようと奮闘していた。
その際屋根伝いに猫を追いかけていたのだが、不幸なことに足場にしていた屋根が抜けてしまいそのまま室内投下。しかも都合の悪いことにそこは女湯で、もっと言うならば風呂に使っていた女の子、リーシャを押し倒してしまったのだ。
故に昨日ルクスは独房の中にぶち込まれていた。奇しくも例の青年と同様の独房である。
彼らはいろいろと共通点が多いのかもしれない。
「うーん、そうねぇ……それじゃ彼の処分はあなたに任せるわ、リーズシャルテさん」
「ええ゛ッ!?」
その言葉を聞いてリーシャはニヤリと一笑い。
腕をビンと伸ばして指さしし、キメ顔でルクスに決闘を言い渡した。
「貴様は元々教師として派遣されてきたのだろう? ならばこの際、貴様にはその資格がないという事も照明してやろう。
貴様が私に勝てれば今回の事はお咎めなしだ。だが逆に負ければ……貴様は牢獄行きだ。生徒以下の教師など、何の価値もないのだからな」
そのリーシャの一言で後ろのギャラリーが熱に飲まれる。
決闘と聞けば、面白いものが見れると思ったからだろう。
だがレリィはそれを聞いて、クスリと小さく笑った。
それは彼の実力を知っているからだ。
レリィはリーシャに穏やかな口調で、
「そうね。でも一つ言っておくと彼はかなり強いわよ~。何せ王都のトーナメントに出場していて、未だ無敗。
『無敗の最弱』という異名で知られているんだから」
「……無敗、だと?」
その一言は彼女の心に火をつけるには十分だった。
なにせリーシャも学園内では無敗。変態だと見くびっていたものと同じ称号を持っているのだから。
ピキ、という割れた音が聞こえた。
「気に入らない。やはり一度、貴様を地に墜としておくべきだな。
いいか、勝負は機竜での一騎打ちだ。勝てば自由、負ければ牢獄。せいぜい、気張ることだな」
懐から抜いた刀身をルクスに突き付け、再度決闘を言い渡す。
その目は真剣そのものだ。持てるすべての力を使って貴様を叩き潰す。
ルクスには彼女がそう言っているようにみえた.
****
ーー見つけました。最初の黒い鳥を。
暗く、暖かみを感じない鋼の空間。照明の存在しないこの個室で静かに自己主張するのは部屋の各所を流れるように線引きされたアクリル強化ガラス、その中を流れるを緑のエネルギー塊と、壁一面に展開された無数のディスプレイ。
そんな中でポツリと呟かれた女性の一言。しかし部屋にはそんな存在の姿は確認できない。
そんな状況でさらに、言葉は続けられた。
ーーへえ、世界が変わっても生きてたんだ、彼。
今度は中年男性のような男の声が発せられた。
だか此方も先ほどと同じ様に姿は確認できない。ならば一体、どこから聞こえてくるというのだろうか。
ディスプレイの前である。
彼らの声は無数に展開されたディスプレイ、それに付属されたスピーカーから発せられていた。そのディスプレイにはそれぞれ何かしらのエンブレムがつけられており、その一つは【逆さに吊るされた男】であった。
ーーどうやらそのようです。やはり恐るべき力です、自らに近づく危険に対抗するために世界まで跨いでしまうとは。
ーーまあ、それに関しては他にも要因はありそうだけどねぇ。例えば
ーー……実験が必要です。奴が旧世代の遺物のデータベースにあった存在、『祖なる
意味深な言葉を呟く女性と、急に黙り込む男性。
そんな、しんとなった室内にもう一つの声が突然と響く。
渋い男性の声だ。
ーーそんなことを調べる事は無意味だ、【キャロル】 少なくとも奴が我々すら凌駕する者だと言う事は確定している。それで十分だろう。
ーー……【NO.8】。あなたにはこの会話に入る権限がないはずですが。
ーーそんなものはあってないようなものだ。例の傭兵に破壊された者同士だ、上の連中は我らに同等の権限を与えているのだから、プロテクトなどあってないものだ。
ーーま、いいんじゃないの、どうでも。どうせ居ても居なくても自分たちの情報は共有されるしね。
彼らは各々の作業を進行しつつ、会話に枯れた花を咲かせる。
相手を目的が同じなだけの協力相手だといわんばかりの険悪関係だ。その関係は背中を任せられる相棒とは正反対の関係だと言わざるをえない。
とは言え、敵対関係にないのも事実だ。
ーーそれでキャロル、奴のいる世界へのゲート解放は完了したのか。
ーーいえ、まだです。何やらプロテクトが掛けられているらしく、解除には相当の時間がかかりそうです。また解除してもゲート解放の環境が維持できるかも、正直怪しい限りです。
ーー元々こういうのはキャロりんの管轄外だしね、データもないし、無理なんじゃないかなぁ。ま、良くわかんないけどさぁッ!!
ーーええ、恐らくプロテクト解除にも相当な時間が掛かりそうです。早くて一年でしょうか、我々が総出で休みなく解除に当たった場合ですが。
ーーそうか……となると奴との再戦は暫く後になりそうだな……。
男の声が少し弱々しく、感傷深いものへと変わる。
元々戦いしか知らず、勝つことのみを求めて人形にすら成り下がった男だ、自分を戦いの場から引き摺り下ろした男との再会には少しだけ、夢を抱いていたのだろう。
しかし、夢はそう簡単に叶うものではなかったのだ。そのことに少しだけ落胆するが。
ーーですが、既に空けられた『風穴』を使って強引に我々の存在を通すことならば可能です。勿論、制限もありますが。
ーーへえ、既に空けられた、ねぇ……。それはもしかして俺たち以外にもあの世界にコンタクトをしようとする奴が居るって事?
ーーええ、どうやらそのようです。とは言え戦闘、戦術スタイルは我々とは異なり肉体を駆使したものや、【魔法】と呼ばれるものが主軸らしいですが。
ーー魔法? なんだそれは。特殊ライフルの一種か何かか?
ーーさあ。私もデータベースで確認しただけですので詳細は分かりかねます。
少しだけ腑に落ちない空気が流れるが、そんな事を気にするような人間いや、人形はいない。
すぐさまキャロルはですが、と続けた。
ーーその『風穴』を拝借すれば多少の制限付きで兵士を送り込むことができます。あくまで制限付き、ですが。
ーーそんな事は聞いた瞬間にわかっている。いいから詳細を話せ。
NO.8は少し強めにキャロルに続きを強要する。
キャロルもキャロルでそれを伝えるべきなのはわかっているのか、淡々とそれを述べる。
ーー掛けられる制限は主に5つです。
一つは機体サイズ・武装レベル・出撃数に制限・差異があること。
一つは我々自身は通れないこと。
一つは機体にスリップダメージ・通過時ダメージがあること。
一つは機体サイズが若干縮小されること。
一つは時間経過と共に機体が消滅すること。
以上となります。
それを聞いてNO.8主任共に不満げな吐息を漏らす。
つまり彼女の言う事はこうだ。
”例の傭兵に接触はできる。ただし直接お前たちが行くのは無理だ” と。
ーーちょっとちょっとキャロり~ん、それは流石にないんじゃないの~?
ーーああ、主任の言う通りだ。どうにか私たちが通れるようにはならないのか。
主任たちの苦情の声が室内に響き渡る。
対して冷静に思考を回すキャロルの一言は残酷だ。
つまりは”NOだ”と。
ーー残念ながらそれは事実的・立場的に無理です。
そもそも我々が流用するのは他勢力のです。しかも通過できるのは魔法に精通した者どものみ。我々が通るための互換性などありはしません。
故に差異が発生し機体に変異が生じます。ハード・システム両面に。
故に我々がこの穴を通ることは無理なのです。AC格納庫に”LLL"を格納できないのと同様です。
この言葉を聞いて流石の二体も引き下がる。
物理的に無理なのだ。それは許可が下りる織内の問題ではない。
それに、もし物理的に行けるのだとしてもシステム面にまで障害を及ぼすと知っているのだから、上の連中は出撃することを許さないだろう。
主任たちは『個』として大変優れた存在だ。それを見すみす破壊するような指示をするはずがない。
彼らは上の存在からは多少の自由を認められているが、それでも完全ではない。
もしも行うとなれば自分たちからすれば正規のルートから侵入するか、謀反を起こしての行動になるだろう。
ーー……主任、まだ行動は起こさないように。我々にはまだ力が足りません、今は戦力拡大が優先です。
ーーもちろん分かってますともぉ。でもキャロりん、その穴を使って偵察ぐらいはいいんだよねぇ?
ーーええ、勿論。助言をしておくならば我々『オリジナルのデータ』を使用したAIは載せられません。がしかし、それ以外ならば……というわけです。
ーーそうか。ならばこちらの方で”そのデータ”作成用の環境造りを担当させて貰おう。それ以外は頼んだぞ。
NO.8がキャロル達に協力的な言葉を投げかける。
それに対して主任はゲラゲラと笑い、キャロルは難色を示す。
ーーいいのですかNO.8、そんなに我々”企業”に対して友好的で。
ーーそうそう、キャロりんの言う通りだよぉ。俺たちがお前らの事を切るとは考えなかったのかなぁ?
ーーふっ、未だに【企業】の名を語るか。この場に置いて我らの扱い・所属は同じだ。”棄てられたデータを拾われた操り人形” それ以上でも以下でもない。
それに戦力に乏しい貴様らが我らを切る理由が見当たらないのでな。この現状を脱する事にベストを尽くすべきだと判断しただけだ。
この演説に流石の2体も息を飲む。
確かによく考えればその通りだ。立場が同じで地位が低いのならば仮初め協力でもしたほうがいい。背中を撃たれないという判断すらできれば尚いいことだろう。
この時点で企業の二人組は彼の評価を一段繰り上げた。
確かに、”元人間"と手を組むのはいいのかもしれない、と。
ーーああ、いいだろう。認めてやるよ、お前のことを。
ーーええ、確かに我々に釣り合う人物のようですね、あなたは。いいでしょう、あなた方【ゾディアック】には優先してパーツを回して差し上げます。
--ああ、よろしく頼む。すべては奴との再戦にむけて、だな。
機械人形たちの反抗の狼煙が上がるは、もう少し後のお話。