Muv-Luv LL -二つの錆びた白銀-   作:ほんだ

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立脚の礎石

 ターニャが押しかけてきたこともあり、武は207Bの皆になかば無理矢理な助言にもならないような言葉を伝えてしまい、少しばかり気不味い思いをしながらPXから逃げ出すように離れてきた。

 今すぐレポートの続きに手を付けるような気分でもなく、身体を疲れさせるためだけに、自主訓練の名を借りた走り込みを始める。

 しかし脚を動かした程度で気が晴れるはずもなく、頭の中は整理が付かないままだ。

 

 先の「二周」に対し、なるほど確かに今の武の周辺の変化は早まっている。

 最初のUL世界線との比較であれば、遥かに先に進んでいるともいえる。あの時と違って夕呼からの信頼はそれなりに確立できているはずだ。貴重な因果律量子論の実体サンプルとして隔離されているわけではないとは、判っている。

 AL世界線と比べても、提示できた情報の意味からもその後の対応からしても、夕呼が今の武を唯の駒の一つと軽く見なしているわけではないことは、理解できる。おそらくは「使い甲斐のある重要な手駒」くらいには格上げされたとは思う。

 

 

 

(何偉そうにしゃべってたんだよ。俺が、俺自身が何かやったことなんて、まだ何もねーじゃねぇかよ)

 ただ、その功績と言えるものは、武自身の行動の結果というよりも、ターニャが今までに積み重ねてきたものの影響としか思えない。

 

 ターニャからは喀什攻略の案を出せ、と期待されているような口ぶりで言われてはいるものの、出来なければ出来なかったで対応策は立てているはずだ。時期が来れば、以前から温めているらしい限定的なG弾使用による半ば特攻じみた作戦を採用するのだろう。

 

 千鶴には先程偉そうなことを言ったが、軍で出世して影響力を行使する、などというそんな悠長なことを言っている時間もない。

 第五推進派がそれほど切迫している様子が無いようで、今年末に第四が凍結されるということはなさそうだが、武の持つ情報が価値を維持できるのは来年くらいが限界だ。

 

 それでいて今の武ができることなど、実のところ訓練兵としての筋力を取り戻すことくらいしかないのだ。

 

 

 

「白銀っ、ペースを上げすぎではないか?」

「っ!? 御剣、か?」

 考え込み過ぎていて、後ろを走ってきていた冥夜に気が付いていなかった。

 振り返ってみれば、冥夜のさらに後ろには純夏も走ってきている。

 

「速すぎるよ~タケルちゃん」

 すでにへばり気味のようにも見える純夏からも声を掛けられてしまえば、今までのハイペースを維持するのもおかしなことなので、ジョギング程度にまで足を緩める。

 

「鑑も自主練か? 珍しいな」

「御剣さんがやってるとは聞いてたんだけどね。いい機会だから、わたしもやってみようかなって」

「良い心がけだと言いたいところだが、総戦技演習前に無理して身体壊すとかは止めてくれよ?」

 

 以前の武のように風邪を引いたまま気付かずに演習に参加する、ということはないだろうが演習に向けての自主練というのであれば時間的にはさほど意味が無い。むしろその時間を皆との交流に当てて貰いたいくらいだ。

 が、わざわざ走り込んでいる武に合わせて、純夏はこんな時間に自主練を言い訳にグラウンドに出てきたのだ。話したい相手は自分なのだろうとは、流石に察しが付く。

 

 

 

 純夏が話し出しやすいようにとペースを合わせ、しばらくは無言で武を中心に三人で並ぶように走る。

 だが、最初に口を開いたのは冥夜だった。

 

「ふむ……悩み事があれば口に出してしまえ、とは言えないのがもどかしいな」

「え、相談すれば、何かぱっと思いつくかもしれないんじゃない? 榊さんとかならいろいろ考えてくれそうだよ?」

 話せとは言わない冥夜に対し、純夏は何でも相談しろと言い出す。

 その言葉に冥夜は真剣に純夏を心配したようだが、武は思わず少し残念な子を見るような顔になってしまう。

 

「……鑑、お前はもうちょっと考えてから言葉を口にしろ」

 この純夏の考え無しの部分は、武の記憶にある鑑純夏に近しいものがある。一周目、UL世界線で他の皆に感じたような違和感が薄いのだ。たしかに体力は付いているのだろうが、それ以外の意識の部分であまりに変化が薄い。

 それはつまるところ、軍人としての基礎ができてない、ということかもしれない。

 

 この世界線でも、207Bの他の皆は尊人の性別変化などはあれ、性格的には変わりが無いように思える。いやむしろ本土防衛が始まっていないこともあり、逆に未知への脅威を強く意識しているようにも、武には感じられた。

 

 逆に純夏だけは、衛士訓練を受けてきているというのに、どこかしら浮ついた雰囲気が抜けていない。

 ふと、以前の世界で武御雷で因縁をつけてきた国連軍兵士たちの姿が思い出される。アレと似たような、気になったから聞きに来た、という軍の規律をさほど考慮していないかのような態度だ。

 

(これはアレか? 結局のところ出身というか育ちの関係か?)

 

 純夏以外の207Bの面々は、本人たちは意識はしていないだろうが、近親者が上に立つ者としての自覚を持って行動しているのだ。どうしてもその影響を受けているのだろう。尊人の場合は鎧衣課長が意図的にそう教育しているとも思えてしまう。

 良くも悪くも、中流階級の鑑の家には、そういう意識はなかったはずだ。

 

 

 

「鑑。白銀は我らよりも二年以上先に訓練兵になっているのだ。いろいろと話せぬこともあるのだろう」

「え~でもタケルちゃん、怪我で寝ぼけてたんだよね?」

「そうだぞ御剣、俺は二年ほど、うば~っとしていたのだ。それもあってちょっと変わったところはあるかもな」

「……なんでそこで威張るのさ」

 

 冥夜はいまだにどこか勝手に武の設定を作ったままになっているようで、武が二年間どこかで実務についていた、と思い込んでいる節がある。これに関しては教官であるまりもも、武は夕呼の特命を受けて活動していたと考えているところがあり、冥夜の妄想を強化してしまっている。

 

「二年越しに健常体に戻れたんだ、十分誇れるぞ? いやまあ寝ぼけていたというか意識不鮮明?で別に俺が何かしたわけじゃねぇけどさ」

「やっぱり寝すぎでヘンになったんだよ」

「そんなに今の俺って……ヘンか?」

 純夏の言い方は軽いものだったが、武には引っかかってしまった。思わず、確認するように問う。

 

(鑑にも感じられるくらいにはやはり違うものか。まあ結局のところ、今の俺は別人なんだろうな)

 先日他世界線の「白銀武」と自分自身とは別人だとは夕呼から言われたが、かといってこの世界線での本来の白銀武とも、別の存在でしかない。

 

 

 

「ん~たしかに昔のタケルちゃんとはどこか変わった部分もあるけど、タケルちゃんはタケルちゃんだよ?」

 ふにゃりと安心させるように笑いかけてくる。が、その笑顔の先にいるはずなのは、今の武ではなく、この世界の白銀武であるべきだ、などと思い至ってしまう。

 

「でもさ、わたしのことを名前で呼ばないのが、ヘンだよ」

「そうか? 初等科ならともかく中等科に入ったころには名字で呼んでなかったか?」

 考え込み始めた武に純夏は言葉を重ねてくれるが、それが逆に心苦しい。誤魔化すしかなく、こちらの世界での出来事などまったく記憶にないことだが、適当にでっち上げておく。

 

「ウソだよ。訓練校に入るまでは、名前で呼んでたよ」

「まあもう三年くらい前のことだしなぁ、俺寝てたし」

 元々の「白銀武」であれば、名前で呼んでいたのだろう、とは思う。逃げているなとは自覚してしまうが、こういう時、長期療養による記憶の混乱という言い訳は非常に便利だ。それに普通であれば三年近く前のことなど、余程強烈な記憶でもなければ薄れていて当然なはずだ。

 

 

 

 

 

 

「ふふふ、そういう姿を見ていれば、二人の付き合いが長い、ということは実感させられるな」

「ん~? 俺ってだいたいこんな距離感じゃないか?」

 

 「白銀武」をなぞっているとは思わないが、他人の事情を推測しながら距離を測るというのは、今の武にしても苦手だ。

 夕呼やターニャなどとの関係から、少しばかりは身に着けるようにはなっているものの、所詮付け焼刃だと考えている。白銀武には鎧衣左近の如き振る舞いは不可能だ。

 

「そなたは周りを、特に我ら207に関してはよく見ておるとは思うが?」

「御剣は俺を持ち上げすぎだよ。訓練兵の経験がお前たちよりは長いから、気が付くことがあるだけだ」

 よく見ている、などと言われて喜べるはずもない。207Bの事が判るのは別世界線の記憶があるからで、「今」の彼女たちを見ているわけではないのだ。

 

(って不味いなこれ。なんとなく判ってるつもりになってて目の前の人間見てないってことか)

 あらためて思い知らされて自分の思い込みを矯めて、自分の知る人物とよく似た別人であると再度強く意識しておく。たとえ平行世界の同一人物であったとしても、勝手に同一視するのは礼を失する。

 

 夕呼に対しても、まるで連続した同一個人のように接していたところがあると、今更ながらに自身の迂闊さに呆れてしまう。見ず知らずの相手と考えるほどではないが、過去の別世界線でのやり取りを元に対応を考えるのは、危険が大きい。

 

 

 

「悩み事というのであれば、私にもあるぞ?」

「珍しいな、御剣から相談事か?」

「いや、そなたの言葉であろう? 話してみれば解決するやもしれんと思ってな」

 

 確かに話し合えとは武は言った。それは演習に参加する皆で話し合ってもらいということで、武に対して相談しろというつもりではなかった。

 

「なに、先日そなたが言っておったことだが、なぜ衛士を目指すのか、何を護りたいのか、という話だ」

「ん? 御剣にはそういうのはないのか?」

 別の世界線での話だが、冥夜ははっきりと守りたいものを口にしていた。

 いくら世界が違うと言えど、そこまで変わるはずはないと武は考えてしまう。

 

「わたしはタケルちゃんが最後に言ってたみたいなものかな。周りのみんなを護りたいよ」

 言い淀む冥夜を見て、純夏が助けるように言葉を挿む。

 衛士になれそうなのは自分でもびっくりしてるけどと続けるあたり、純夏が207に入ってるのは本人の希望ではなく、第四の00ユニット素体候補者の調査に引っかかったからのようだ。

 

「私が守りたいもの、か。月並みだが、この星……この国の民、そして日本という国だ」

 記憶の中にある言葉通りの答えに、やはりそうか、と武は納得しかける。

 が、冥夜はすぐ様に言葉を続ける。

 

「と、言ってしまいたいところだったが、今は少しばかり考えておるところだ」

「悩み、というのはそれか?」

 軽く頷いて吐露するのは、自身の答えがぶれているところに悩みがある、という。

 

「207の皆を見ていると、だな。なるほど身近な存在を護ろうと思うのは、当たり前のことだと感じてしまう。私にとっても皆は特別な存在であるが……すべてを護ることが出来ぬ以上、何かを選ばざるを得ない自分が情けなくてな」

 

 そうは言いながら、もし選ぶべき時に至れば、冥夜はまず自分の身近な者たちから切り捨てていくのだろう、と武は思う。

 わずかばかりの甘えだと自覚しつつも、それが上に立つ者の「公平さ」であると自身を偽りながらも、正しく判断を下してしまうはずだ。そしてその切り捨てる者のうちに、彼女自身を含めてしまっている。

 

 

 

「結局のところ、身の丈に合った目標という物を考え直しているところだ。ふむ、やはり日々精進ということだな」

「身の丈に合った、か」

 冥夜の言葉に、痛いところを突かれた、と顔に出てしまう。

 間違いなく、今武が悩んでいることは、身の丈に合っていない。

 

 自分は、将ではなく兵であると、それだけは判っているつもりだ。

 白銀武は、人を使う立場ではなく使い潰してもらうべき方の人材だと、目覚めた時にも痛感していたがターニャや夕呼との話をするうえで、ますます自覚してきた。

 

「で、話せる範囲でなら、聞くぞ?」

「あ、やっぱり御剣さんも気になるよね?」

「あくまで話せる範囲でなら、聞かなくもない、ということだな」

 にやっと、意地悪気な表情を作って上で、冥夜は重ねて問うてくる。話せる部分は今の内に話しておけと、先日武が告げた言葉をそのまま返されたような形だ。

 

 

 

「あ~まあなんだ、それほど隠すようなことじゃないぞ? 長い間寝てたせいでズレてる俺自身の感情のすり合わせが一つ。俺を含む207Bの問題解消が二つ目。あとはいかに人類を護るかという三つ目」

 結局のところ、誤魔化しつつではあるがいま悩んでいることを口にしてしまう。相談してどうにかできることではないとは思いながらも、自分の胸の内に秘めておけるほどには、武には余裕はない。

 

「ふむ? 一つ目はよく判らんが、二つ目は我ら全体の問題だな、そなたが一人思い悩むことでもなかろう」

「タケルちゃんが気を回さなくても、もう大丈夫だよ。びっくりするくらいに一致団結してるからねっ」

 

 二人から大丈夫だと言われると安心する一方で、隊の中に入り切れていない、という寂しさを感じてしまうところもある。が、207Bの隊内での意識の齟齬といった問題の解消は、実のところ武が担うことではない。207Bの皆で乗り越えるべき壁であり、気がかりではあるものの武は助言程度で留めようとは思っている。

 

「あ~207Bに関しては演習に参加しない俺が、これ以上とやかく言う話じゃないというのはあるんだがな」

「いや、そうではない。先の話もそうだが、そなたの忠告は我らにとって金言だ。それを踏まえてしても、解決すべきは我ら個々人の心構えだ。そこを気付かさせてもらっただけで、そなたには感謝している」

 大仰な言い方だが、冥夜としては先日来の武の言葉が207Bの結束を進めたと本心から考えている。

 

 

 

「しかし三つ目の悩みが人類を護る方法、か。彼のお方ならば、そなたと同じく、そうお答えできたのだろうな」

 冥夜にしても基本的には国や民といった範囲までだ。この星をとは口にしたものの人類などという規模では想像していなかった。そして伝え聞くことしかできない煌武院悠陽の振る舞いからして、武と同じように国を超えた規模で先を見ているのではないかと、そう思ってしまったようだ。

 

「いつの日か、気楽にご本人に聞く事が出来るようになれば良いよな?」

「……馬鹿を申せ。というよりは、だ。そなたは本当にどこまで事情を把握しているのだ? あ、いや、詮索するつもりはない、許すがよい」

 

 先の武の言い方だと、冥夜と悠陽との関係性を知っていると告げているようなものだ。煌武院家に余程近しくなければ知られていないはずの、それこそ国連軍内部であれば夕呼くらいしか知らないはずの情報である。

 

「いや待て。御剣のその思いは、間違いなく正しい願いだ。それが無理だと考えられている、現状がおかしい」

「白銀、それ以上は口にするな。私は陰に居て、彼の方のお力になれれば、それで良いのだ」

 

 自身に言い聞かせるような物言いに、武としてもこれ以上は口を出せない。

 さすがに純夏も、聞いてはいけないことと判断したのか、口を噤んでいる。

 

 

 

 

 

 

「まあ、人類を護るために思い悩むってのは、俺の身丈には合ってねぇよなぁ」

 冥夜の件から話を逸らすために、大きく息を吐き出しながら、武は自分の問題を再び口にする。

 

 喀什の攻略計画を今すぐに立てろ、などというのは間違いなく訓練兵としての武の領分ではない。武にできるのは、あくまで他世界線の経験を下にした戦術レベルでの提案程度だ。しかしその程度の提案ですら、人類が勝利、いや生存し続けるためには重要なのだ。

 

「タケルちゃんなら、そのうち護っちゃいそうだけど、それも一人でやることじゃないよ?」

「そう……だな。人類の問題は人類全体で負うべきことだ。もちろん、一人一人が為せることを為す、という前提はあろうがな」

「皆でやること、そして俺が為せること、か。いや鑑に御剣、二人ともありがとな」

 たしかに話してみるだけでも、解決策ではないが気は軽くなる。今まで別世界線の記憶があることから、武自身が喀什攻略の作戦を作り上げなければならないと、どこか強迫観念じみた思いまで抱いていたがそうではないのだ。

 

 意見の一つとして提案し、そこに問題があれば指摘してもらい、修正していけばいいのだ。

 

 

 

 ――貴様に背中を預ける仲間のために、自らの憂いは取り除いておけ。

 ――そして、それを後回しにするな。

 

「よしっ、問題二つは先送りにしようっ!!」

 少し考えてて思い出されたのは、いつか聞いたみちるの言葉だが、それが出来るならば悩みはしない。

 逆にその言葉を思い出したからこそ、今は自分の感情の問題は一度棚に上げる。問題の先送りは問題を積み上げるだけだが、何事にも優先順位という物はある。

 

「タケルちゃん……今わたし感動しようと待ち構えていたんだよ、がっかりだよ」

「鑑ほどではないが、酷く投げやりな答えを聞いたぞ」

 走りながら溜息を付く、というなかなかに器用な真似をして、冥夜は落胆を表す。純夏に至っては走る足を止めそうにまでなっていた。

 

「感情面での問題なんて、考えてすぐに答えが出るもんじゃねーだろ、と言い訳させてくれ」

 第一の問題である武自身の感情に関しては、こうやって訓練の合間に少しでも話すことで、解消できる物もある。先送りではあるものの、意味のある先送りだと言い訳を重ねておく。

 

「それに207Bの問題はみんなで考えて解決してくれるんだろ? ほら、先送りで大丈夫だ」

「それはそうだけどさー」

「ははは、先程そう約束してしまった手前、否定は出来んな。任されよ」

 207Bの問題に関しては、時間的な余裕はないものの、ここからしばらくは武は距離を取っておくべきだと考える。まりもの方法が完璧だとは言えないが、先程告げた言葉が皆に通じているのならば、あとは千鶴たちに任せて彼女たちの成長に期待することも間違ってはいないはずだ。

 

 

 

「ただ問題二つが先送りということは、三つ目の人類を護る算段は考えるのであろう?」

「それはちょっと本気で事に当たる。これだけは俺が、この世界で生かされたことの意味だと思う」

「……ふむ?」

 

 英雄願望だと、心のどこかで嘲笑う声も聞こえる。

 それでもAL世界の「シロガネタケル」がどれほど「カガミスミカ」によって望まれ選び抜かれた存在だったとしても、人類を護ろうと思ったことは、この世界に生きることを決めた者の一人としてけっして間違っていないはずだと、思いたい。

 

 武自身の感情面に関しては、先送りでも構わない。たとえそれで後悔したとしても、それは武個人の事だけで済ませられる。

 喀什攻略への準備こそが、この「三周目」という奇跡のような機会を与えられた今の白銀武が為すべきことだと、再度決心する。

 

「ふふふ、では、我らも人類を護る剣となれるように、鍛錬に励むほかあるまい。鑑もよろしく頼むぞ」

「任せてよ、御剣さん。サクッと演習に合格して、タケルちゃんを驚かせようっ」

 

 期待しているよと言い残し、武は今度こそ体力を使い切ろうとペースを速めた。

 

 

 

 

 

 

 




なにかタケルちゃんがエミヤさんちのシロウくんみたいになってる気もしないではありませんが、問題を自覚しつつの先送りです。実は最初期の最小プロットでは、ここのあたりで「第一部完、俺たちの戦いはこれからだ」で終わる、というのもありましたが続きます。

一応は戦争もののはずなのにここまで実弾撃ってねぇっ!?というのは横に置いて、次からはXM3とかのお話予定。つまりまだまだ弾撃てません。

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