問題児たちと最後の吸血鬼が異世界から来るそうですよ? 作:問題児愛
スマホ打ちはだいぶ慣れて早くなりましたが、ゲームの誘惑に負けてちゃダメですよね………すみません。
これで一巻は完結です。
レティシアの受難はむしろそれからだった。
所有権が〝ノーネーム〟に移ったまではよかったのだ。〝ペルセウス〟に勝利した六人はレティシアを大広間に運び、石化を解いた途端、十六夜・飛鳥・耀の三人は口を揃えて、
「「「じゃあこれからよろしく、メイドさん」」」
「ぬ?」
「え?」
「え?」
「………え?」
「え?じゃないわよ。だって今回のゲームで活躍したのってライムさんを含めて私達四人だけじゃない?貴方達はホントにくっついてきただけだったもの」
「うん。私なんて死にかけた上に石にされたし」
「つーかゲームマスター倒したの俺だろ。所有権は俺達三人で等分、3:3:4でもう話はついた!」
「何を言っちゃってんでございますかこの人達!?」
もはやツッコミが追いつかないなんてものじゃない。黒ウサギは完全に混乱していた。
ジンも混乱しており、ライムは何故かは不明だが、自分の分がないことに気づき小首を傾げていた。
当事者であるレティシアは冷静に考えて、
「んっ………ふ、む。そうだな。今回の件で、私は皆に恩義を感じている。コミュニティに帰れた事に、この上なく感動している。だが親しき仲にも礼儀あり、コミュニティの同士にもそれを忘れてはならない。君達が家政婦をしろというのなら、喜んでやろうじゃないか」
「レ、レティシア様!?」
黒ウサギの声は今までにないくらい焦っていた。まさか尊敬していた先輩をメイドとして扱わなければならないとは………と困惑しているうちに、飛鳥が嬉々として服を用意し始めた。
「私、ずっと金髪の使用人に憧れていたのよ。私の家の使用人ったらみんな華もない可愛げもない人達ばかりだったんだもの。これからよろしく、レティシア」
「よろしく………いや、主従なのだから『よろしくお願いします』のほうがいいかな?」
「使い勝手がいいのを使えばいいよ」
「そ、そうか。………いや、そうですか?んん、そうでございますか?」
「黒ウサギの真似はやめとけ」
ヤハハと笑う十六夜。意外と和やかな四人を見て、黒ウサギは力なく肩を落とした。
そんな中、タイミングを計っていたライムが挙手して、
「我の分がないのだが………もしやこれが罰なのか?十六夜」
「ん?そんな生易しい罰なわけねえだろ。真祖ロリに所有権がないのは、必要ないからだ」
「ぬ?必要ない?それはどういう意味なのだ?」
不可解そうな顔で聞き返すライムを、十六夜はニヤニヤと笑って見つめたあと、耀に目配せした。
それに耀は頷くと、背に隠し持っていたものをライムに手渡して一言。
「ライムも、レティシアと一緒にメイドになってもらうからだよ」
「ぬ?」
「「「え?」」」
反射的に受け取ったメイド服と、耀の言葉にキョトンとするライム。黒ウサギ・ジン・レティシアの三人も目を瞬かせて固まった。
十六夜はニヤニヤと笑って続けた。
「レティシアの所有権なしだけじゃ罰は軽すぎるしな。そこで真祖ロリにもメイドをしてもらうことに決めた!」
「決めた!じゃないのですよ!?レティシア様だけでなくライムさんまでメイドにするとか一体どういう了見ですか!」
すかさず黒ウサギが問いただす。確かにゲームマスターとの戦いを辞退したが、彼女はちゃんと役目を果たしたではないか。その彼女をメイドにするのは黒ウサギは聞き捨てならなかった。
それに十六夜はスッと瞳を細めて、
「黒ウサギ、お前は知ってるはずだぜ?真祖ロリが暴走して、敵じゃない俺に襲いかかってきたことにな」
「………!」
黒ウサギはハッと思い返す。ウサ耳に聞こえた、狂喜な笑いと共に、十六夜に言った『食い殺す』発言を。明確に敵意を持ったライムの声を。
二人の話が分からないジンとレティシアは小首を傾げる。十六夜から話を聞いていた飛鳥と耀は複雑な顔をする。
「同士に攻撃した真祖ロリを、黒ウサギはお咎めなしにするつもりか?」
「………そ、それは」
「少なくとも俺は許さないね。攻撃された俺が納得出来る条件を飲んでくれるってんなら、考えなくもないが」
チラッとライムを見て言う十六夜。黒ウサギは反論出来ずに押し黙る。
ライムは申し訳なさそうに十六夜を見返して、
「やはり見境なく攻撃してしまったのだな。済まぬな十六夜、迷惑をかけた。メイドをすることでその罪が許されるのなら、我は構わぬ。だが―――」
「家事全般が全く出来ないんだってな。春日部に聞いたから知ってるぜ?ま、その辺は勉強なりなんなりして学習すればいいだろ。春日部もそれでいいよな?」
「え?あ、うん。私も別に―――って、なんで私に振るの!?」
唐突に話を振られて慌てる耀。十六夜はニヤニヤと笑って彼女をからかった。
「そりゃ春日部は真祖ロリの恋人だからな?仕上がったら専属メイドにするんだろ?」
「―――っ!?」
十六夜の言葉に、耀は全身を真っ赤に染め上げる。まさか皆の前で言われるとは思ってなかったせいか、余計に恥ずかしかった。
ライムはキョトンと耀を暫し見つめたあと、嬉しそうな顔を作って、
「そ、そうか。耀は我を専属メイドにしたいのだな。我は一向に構わぬぞ。寧ろ耀の物になりたいのぅ!さすれば二人でいる時が増えるし、ご奉仕も出来て一石二等なのだ!」
「それを言うなら一石二鳥な。………だそうだ。真祖ロリの方は満更でもないみたいだし、あとは春日部次第だぜ?」
「………っ、」
皆が耀に注目するなか、耀は顔を真っ赤にしたまま暫く俯き―――やがて意を決してライムの手を取り、告げた。
「ライム。貴女がよければ、その………わ、私の専属メイドになってください―――!!」
「無論だ」
即答したライムは、耀を真正面から抱き締めて、耳元で囁いた。
「………だが、今の我では耀の専属メイドには相応しくない。
「………うん、わかった。待ってるね、ずっと」
「ありがとう耀ちゃん!わたし、頑張って貴女の専属メイドに相応しい存在になってみせるよ!」
「うん、頑張って。それと、口調、戻ってるよライム」
「!?」
耀に指摘されて、ハッと我に返るライム。んん、と喉を鳴らして元の真祖らしい口調(自称)に戻した。
「済まぬな、耀。気が緩みすぎていた」
「別に謝らなくてもいいよ。私的には、本来のライムの口調の方が可愛くて好きだけど」
「ふ、ふえ!?か、可愛い!?こっちの方が!?」
「うん。あ、でもいつもの口調が嫌いってわけじゃないから、無理に変えようとしなくても大丈夫だよ」
「そ、そうか………」
「ふふ」
頬を赤らめるライムを、同じく頬を赤らめさせながら見つめる耀。そんな光景をニヤニヤ顔で眺める十六夜と飛鳥。
最初からこれが目的だったのでは?と思って苦笑する黒ウサギ。相変わらずの二人に苦笑するジン。
レティシアだけは頭上に疑問符を浮かべ小首を傾げて、
「え?君達は………出来ているのか?」
「「(うん・うむ)」」
レティシアの問いに即答する耀とライム。頬を赤らめたまま。それを聞いてポカンと口を開けて呆けるレティシア。吸血鬼と人間の組み合わせは兎も角、同性なのに恋人同士なのは衝撃的だった。愛さえあればそんなのは関係ないのか?
呆けるレティシアにライムは近づいて、手を差し出した。
「我と耀の関係は置いといてだ。これからメイド同士よろしくなのだ、レティシア」
「あ、ああ。これからよろしく………えっと」
「呼び捨てで構わぬぞ。同じメイドなのだからな。それに我も勝手に呼び捨てにしておるしのぅ」
「そ、そうか。ではよろしく頼むぞ、ライム」
「うむ」
握手を交わす二人。
ライムは、同類のレティシアと同じ立場であることを密かに喜んでいた。耀には悪いが、同類と接触出来る時間が多いことが嬉しいのだ。レティシアが吸血姫だから、自分の姫と一緒にいるような気持ちになれるというのもあったりするが。
一方、レティシアは、これはチャンスと思った。ライムと接触出来る時間が多いことで、彼女が一体何者なのか分かるかもしれないからだ。決して彼女が〝 〟と瓜二つだから、〝 〟と一緒にいるような気持ちになれるとか、そういうのではない………と思いたい。
二人がそれぞれそんなことを思っていると、十六夜が唐突に口を開き、
「んじゃ、話も纏まったし、早速メイド服を着てもらおうかな」
「ぬ?そうだな。早速着替えてくる」
十六夜の希望にライムは承諾すると、耀から手渡されていたメイド服を持って一旦この場をあとにした。それを見たレティシアは、自分の格好を一瞥して、
「ライムが着替えるのなら、私もメイド服に着替えた方がいいだろうな。いつまでもこの格好でいるのは申し訳ないからな」
「あら、そう。なら、レティシアもこの服に着替えてきなさい」
「ふむ、心得た」
飛鳥から手渡されたメイド服を手にし、レティシアもこの場をあとにする。
二人がいなくなったのを確認した飛鳥は、十六夜に質問した。
「ところで十六夜君。貴方の用意した罰は、ライムさんにとっては罰というより寧ろご褒美になってしまってるけれど………不満はないのかしら?」
「ないね。何せ本当の罰は、真祖ロリにメイドをやらせることじゃないしな」
「え?それはどういう意味なの?」
「その答えならすぐに分かる」
十六夜の意味深な発言に、飛鳥は首を傾げる。耀は、物凄く嫌な予感がして十六夜を睨みつけた。
十六夜は、気づいたか、とニヤニヤ顔で耀を見返す。
そのやり取りを見て、黒ウサギも十六夜の企みに察したが―――
「―――ふむぅ。着替えてきたが………なんと言うか………恥ずかしいのぅ」
時既に遅し。メイド服に着替え終わったライムが、黒ウサギ達の前に姿を現した。ミニスカの裾を押さえながら恥じらう彼女が。
「ライム!?」
「「「ライムさん!?」」」
ライムのあられもない姿を見た耀達四人が唖然とする。十六夜だけはヤハハと笑って、
「似合ってんじゃねえか。流石は白夜叉、いい仕事するな」
「「「「!!?」」」」
十六夜の言葉を聞いて、ライムに破廉恥なメイド服を着せるために用意した黒幕の正体を知る。黒ウサギに至っては、やっぱりですか、と痛い頭を抱え始めた。
ライムが着ているメイド服。
背中と胸元が大胆に開き、ミニスカでガーターという、黒ウサギみたいな恥ずかしい格好である。
十六夜が黒幕の名を口にしなくとも、十中八九、白夜叉だと分かる衣装だった。
同じくメイド服に着替え終わったレティシアは、あられもない姿のライムを見て固まった。
一方、我に返った耀が怒りに満ちた表情で十六夜を睨め上げて、
「十六夜!今すぐ通常のメイド服に変えて!私以外に、これ以上ライムの肌を見せるのは辛抱出来ないッ!!」
「「「「「は?」」」」」
「よ、耀!?怒るところそこなのか!?」
キレる理由がずれている耀にキョトンとする十六夜達五人と、驚くライム。
十六夜はニヤリと笑って、
「嫌だね。真祖ロリに罰を与える権利は俺にある。春日部がいやいや言おうが変更する気はねえよ」
「くっ………!」
提案を却下されて悔しそうに拳を握り締める耀。ライムが迷惑をかけた相手は十六夜なのだから、耀に彼の決定を覆す権利はないのだ。
ライムは、そんな耀に歩み寄ると、彼女の手を取って優しく微笑んだ。
「よいよ、耀。全ては我の不注意が招いた結果なのだからな。この程度で水に流してくれるのなら、安いものだ」
「ライム………わかった。貴女がいいなら、私も我慢する。でも変なことされたら遠慮なく言って。私が潰すから」
「た、頼もしいな。ああ、分かった。その時は助けてくれな、耀」
「うん、任せて」
そう言って、十六夜を睨みつける耀。背にライムを隠しながら。十六夜はやれやれと肩を竦ませて、
「あの時も言ったが、他人の女に手を出すつもりはねえよ。………目の保養に観賞くらいはさせてもらうがな」
「………どうだか」
耀は尚も鋭く十六夜を睨み警戒する。十六夜は、過保護か、と内心で呟いて苦笑する。ライムも苦笑いを浮かべつつ、嬉しそうな顔をしていた。
そんなこんなで話は進み、〝ノーネーム〟に吸血姫メイド・レティシアと、真祖メイド・ライムが誕生したのだった。
☆
―――〝ペルセウス〟との決闘から三日後の夜。
子供達を含めた〝ノーネーム〟一同は水樹の貯水池付近に集まっていた。その数、一二七人と一匹。
「えーそれでは!新たな同士を迎えた〝ノーネーム〟の歓迎会を始めます!」
ワッと子供達の歓声が上がる。周囲には運んできた長机の上にささやかながら料理が並んでいる。本当に子供だらけの歓迎会だったが、それでも四人は悪い気はしていなかった。
ちなみにライムは、子供達に、今日は主役だから、と言われてメイドとして料理等の準備を手伝っていない。決して家事スキルが酷いから追い返されたわけではない………はずである。
ついでに言うと、ライムの格好もメイドではなくいつもの真紅のドレスを着ていたりする。主役がメイド服なのはどうなのか、とレティシアに指摘され着替えているのだ。
十六夜も、今日だけならいい、と特別に許可してくれた。
「だけどどうして屋外の歓迎会なのかしら?」
「うん。私も思った」
「黒ウサギなりに精一杯のサプライズってところじゃねえか?」
「ふむ?よく分からぬが、我はこうして耀の傍にいられればどこでも構わぬがな」
ライムはそう言って耀の腕に抱きつく。いきなりのことで驚いた耀だったが、腕に抱きつく彼女を振り払わずに、優しく頭を撫でてやった。
イチャつく二人を、やれやれと肩を竦ませつつも、ニヤニヤと見つめる十六夜と飛鳥。
そんな中、黒ウサギが大きな声を上げて注目を促す。
「それでは本日の大イベントが始まります!みなさん、箱庭の天幕に注目してください!」
その声に、耀とライムはくっついたまま箱庭の天幕に注目する。十六夜や飛鳥、レティシア、子供達も天幕に注目する。
その夜は満天の星空だった。空に輝く星々は今日も燦然と輝きを放っている。
異変が起きたのは、注目を促してから数秒後のことだった。
「………あっ」
星を見上げているコミュニティの誰かが、声を上げた。
それから連続して星が流れた。すぐに全員が流星群だと気がつき、口々に歓声を上げる。
黒ウサギは十六夜達や子供達に聞かせるような口調で語る。
「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同士、異世界からの四人がこの流星群のきっかけを作ったのです」
「「「「え?」」」」
子供達の歓声の裏で、十六夜達が驚きの声を上げる。黒ウサギは構わず話を続ける。
「箱庭の世界は天動説のように、全てのルールが此処、箱庭の都市を中心に回っております。先日、同士が倒した〝ペルセウス〟のコミュニティは、敗北の為に〝サウザンドアイズ〟を追放されたのです。そして彼らは、あの星々からも旗を降ろすことになりました」
十六夜達四人は驚愕し、完全に絶句した。
「―――……なっ……まさか、あの星空から星座をなくすというの………!?」
刹那、一際大きな光が星空を満たした。
そこにあったはずのペルセウス座は、流星群と共に跡形もなく消滅していたのだ。
言葉を失った四人とは裏腹に、黒ウサギは進行を続ける。
「今夜の流星群は〝サウザンドアイズ〟から〝ノーネーム〟への、コミュニティ再出発に対する祝福も兼ねております。星に願いをかけるもよし、皆で観賞するもよし、今日は一杯騒ぎましょう♪」
嬉々として杯を掲げる黒ウサギと子供達。だが四人はそれどころではない。
「星座の存在さえ思うがままにするなんて………ではあの星々の彼方まで、その全てが、箱庭を盛り上げる為の舞台装置ということなの?」
「そういうこと………かな?」
「ふぅむ………流石に吸血鬼の真祖たる我でも、星々は操れぬのぅ。これが箱庭の力というものか」
その絶大ともいえる力を見上げ、三人は茫然としている。
だが十六夜だけは、流星群を見ながら感慨深く溜め息を吐いていた。
「………アルゴルの星が食変光星じゃないところまでは分かったんだがな。まさかこの星空の全てが箱庭の為だけに作られているとは思わなかったぜ………」
星空を見上げ、先程 までペルセウス座が輝いていた場所を見る。
―――アルゴルが悪魔の星として伝承されたのは、変光星であるからだ。連なる連星が重なり合い、光の波長を変える星。それが食変光星であり、アルゴルの魔性の正体。
星の位置を自由に遊び、ソラの彼方まで支配するような絶大な何かが、この箱庭にはあるのだ。感動を補充するように目を細めると、元気な声が十六夜を訊ねる。
「ふっふーん。驚きました?」
黒ウサギがピョンと跳んで十六夜の元に来る。十六夜は両手を広げて頷いた。
「やられた、とは思ってる。世界の果てといい水平に廻る太陽といい………色々と馬鹿げたものを見たつもりだったが、まだこれだけのショーが残ってたなんてな。お陰様で、いい個人的な目標もできた」
「おや?なんでございます?」
黒ウサギの問いに、十六夜は消えたペルセウス座の位置を指差し、
「あそこに、俺達の旗を飾る。………どうだ?面白そうだろ?」
今度は黒ウサギが絶句する。しかし途端に弾けるような笑い声を上げた。
「それは………とてもロマンがございます」
「だろ?」
「はい♪」
満面の笑みで返すが、その道のりはまだまだ険しい。奪われた物を全て奪い返し、その上でコミュニティを更に盛り上げなければならないのだから。
だが他の三人も反対はしないだろう。そんな予感が十六夜にはあった。
一方、ライムは、黒ウサギの言葉を思い返していた。
「(………星に願いをかける、か。願えば、我は耀と永遠に結ばれるのか………?)」
いや、それは恐らく叶わないだろう。何せ真祖に吸血された上に、大量の血を浴びても吸血鬼にならなかったのだから。人の生は短い。別れは何れやってくるだろう。
「(―――っ、やめだやめだ!そんな悲しい未来など考えたくもない………!)」
先のことは今はどうでもいい。耀と共に今この時を楽しめばよいのだから。そう、今この時、この瞬間を大事にすればいいのだ。
「(………別のことを願うか。………いや、こっちの願いの方が、叶うわけないな)」
叶わない願い。それは、ライムが元いた世界で夢見た〝カノジョ〟との再会だ。だが、その願いは―――死者に会うことを意味していた。吸血鬼ではない、人として生を終えたのが〝カノジョ〟なのだから。
「(―――だが、もし叶うなら………会いたいな。わたしの大好きなお姉ちゃんに)」
実の姉ではないが、ライム―――否、〝 〟のことを、実の妹のように優しくしてくれた〝カノジョ〟は、〝 〟にとっては姉同然なのだ。
ライムは、耀には内緒でこっそり星に願いをかけた。
『大好きなお姉ちゃんに会えますように』と。
この願いがまさか叶おうとは、この時のライムは知るよしもなかった。
リメイク前同様に、ライムは真祖メイドになりました。
衣装がアレになりましたが(^_^;)
ライムの会いたい〝カノジョ〟は、タグを見れば即バレものですね。
ライムの本名は今回は空欄にしましたが、二巻で明かします。