【完結】ポップになりました   作:しらいし

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18.やっぱりダイが大冒険始めた模様。あとメルルが怖い

 速報、ダイ君家出(城出?)する。

 

 おいこらバラン。お前なにやってんだよ。いやまあ、さっきから俺の部屋に来てやけ酒飲みながら愚痴ってるから大体は把握したのだけれど。人間に、英雄譚に憧れるダイ君に「人間を滅ぼす」「なんでだよ!」「いいから聞け!」と喧嘩になったと。馬鹿ですか。馬鹿なのですか。不器用にも程があるだろうがこの親父。人間と魔物が暮らせる国を作るって言っとけばダイ君協力してくれたと思うのに。一流のモンスターテイマーやぞダイ君。お前に任せたのが間違いだったわ。

 それに断言するが、絶対どっかでぶっ倒れてそれをアバンが見つけて保護、指導する流れになると思うぞ。なんとなくだが自信あるわ。おつまみ用のメンマを賭けてもいい。お前責任もってなんとかしろよ。竜の騎士相手とかお前で懲りたからな俺は。

 

 

 

 

「お父様ー!聞いて聞いてー!」

 

 フレイザードちゃんが嬉しそうに部屋に飛び込んで来たので、酒臭いバランを部屋から叩き出した。我が癒しフレイザードちゃんに比べれば竜の騎士の親子問題なんて些細な事よ。

 

「どうしたんだ?」

「今日ねー、初めてチェスでバーン様に勝ったよー!」

「……お、おう、凄いなそれは」

 

 え? 物語中盤まで姿をハドラーにすら見せてなかったバーンとチェスしてたの? いつの間にそんなに仲良くなったの?

 

「……布越しで?」

「チェスは対面でするものだよー?」

 

 だよね。この娘のコミュ力凄すぎ。流石に戦慄したわ。

 

「でねー。バーン様に暴魔のメダルっていうのを貰ったの!」

 

 おおう。あの忠誠心を試すイベント起こらないなと思ったらなにしてんだよバーン。

 

「これ、お父様に上げるね!」

 

 ……いらねー。流石にいらねー。マトリフの呪いのベルトだけじゃなくそれまで装備した「……いらない?」いに決まってるわ。誰だよいらないとか言った奴。「ありがとうな」って言ったら満面の笑みで俺にメダルを装備させるフレイザードちゃん。ええよ。その笑顔があれば俺戦えるわ。

 

「出来た! ……あれ? これ、外れない?」

 

 あはははは。これも呪いのアイテムか。俺いま風呂入る時、全裸にマトリフのベルトとかいう謎の罰ゲーム状態なのに暴魔のメダルが加わりました。ええよ。フレイザードちゃんがくれたものだもの。喜んでずっと付けとくわ。

 

「……お父様。外れなくなっちゃった」

「気にするなって。本当に嬉しかったからずっと付けとくよ」

「うん!」

 

 はー。癒されるわー。この後リンガイア行って街の様子見に行かなくちゃ行けないからだるいなーと思ってたけど、やる気出てきたわ。

 

 そう、多分このやる気がフラグだったのだと思う。

 

 

 

 めちゃめちゃマッチョで暴魔のメダルとダサいベルトを装備しているというごく普通の風体をしている俺は、まったく目立つことなく街中の視線を浴びながら街をふらふら歩いていた。心なしか、皆自然と俺から距離をとっている気がするが、皆シャイなんだと思う。

 

 

「おお、めっちゃ高いな。とても買えないわ」

 

 

 芋というより根っこだなと思えるような代物が、凄まじい価格で売られている。ここはジンバブエかな? さすがにジンバブエよりましか。ここから更にジンバブエ状態にしてもいいけど、そこまでやると立て直すのが面倒なので適度が大切だよ。

 

 

「……あの、すいません」

「ほえ?」

 

 

 とても珍しい事に、久しぶりに後ろから声を掛けられた。振り返ると占い師の少女が立っていた。……あれ? メルルじゃね? なんでこんな所にいるの?

 

 

「あの、ポップさん、ですよね?」

「ア、ハイ」

 

 

 そしてなんで名前知ってるの? 怖いわ。よし、逃げよ「貴方を探してました。早くお会いしたかったので。旦那様」

 

 ……ん? 今なんて言った? げんちょ「幻聴ではありませんよ」

 

 心読まれてやんの草生えるわ。

 

 

「えーっと、メルル?」

「なんでしょう?」

 

 こちらを見てニコリと笑うメルル。超怖い。

 

「初対面だよね?」

「はい」

「いきなり旦那様とかもうわけわかんないんだけど」

「この世界の人間では無いポップさんにも分からない事があるんですか?」

「なななにを言っているのかなあ君は、それにぼかぁ君の事なんて知らな」

「私、名乗ってませんよ? よく名をご存知で」

 

 

 

 話を聞くとメルルはある日占いをしていたら、急に未来が見えたらしい。人間と魔物が一緒に暮らす国の王となった俺。そしてその俺を占いで覗いた結果、よく分からなかったらしい。この世界の人間ではないという事以外は。なんなの占いって。超怖いんだけど。それ占いじゃなくて予知とかそういう次元というか、その占いの球って中にウィキペディア入ってたりするの? それ頂戴。

 

 

「差し上げてもいいですが、普通の占いの球ですよ?」

「心読むの辞めてくれませんかねえ……」

「ふふふ」

 

 

 あーメルルちゃん可愛いわー(棒)

 

 なんか凄く怖いけど放っておく訳にもいかず、とりあえず鬼岩城(もうすぐ完工)に連れて帰った。フレイザードちゃんに「その人誰!」っと何故か怒られたりしたが、上手く説明出来ずに「……誰だろう?」と思った事をそのまま言ってしまい、拗ねられてしまった。ごめんよ。俺もよくわからないんだよフレイザードちゃん。多分ストーカーとかそういう類いだと思うの。そりゃ見た目は可愛いんだけど、流石にこれ恐怖が勝つわ。ダイ君の居場所とか頼めば余裕で分かりそうだけど、頼み事をして貸しを作りたくないのでパスする方向です。バラン、お前はお前でなんとかしろ。俺、自分だけで精一杯だわ。




気付いたらポップになりましたのお気に入りが変態仮面の数を上回っていた。評価はあれだけどな!

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