リンガイア王国。今リンガイアは王の暴政に、民は嘆き恨みの声が天高く響き渡っていた。国としての体裁を保つ事すら既に限界であった。怨嗟の声が拡がる領内において、ついに民が立ち上がり王城へ詰め掛けた。そして、ちょうど国民皆が目撃する。
王城へ組織だった魔物が強襲する。
───その日、リンガイア王国は終わりを迎えた。
「という訳で、リンガイア改めて新しい名前を考えました!」
「わー」
王城の一角。血生臭い玉座の間を、魔物達に掃除宜しくとポップは告げて会議に使う広い部屋にてとりあえず新たな国名を決める事にした。何故一番始めがそれなのか。もっとやることたくさんあるだろと思うかも知れないが、その通りです。でもポップだから仕方ないね。一緒にルーラでやってきたフレイザードちゃんやメルルも参加しています。ただ、血生臭い場面はポップは二人に見せていません。国名に関しては今回の褒美という事でバーンから好きに付けて良いと許可済みなのです。
「新たな国名は……ディ○ニーランド!」
「駄目です」
「ええ……これ、夢の国って意味だよ? 人と魔が共に暮らす夢の国だよ?」
「お父様……なんでか分からないけど駄目だと思う」
ポップは思う。まじかよ。五秒くらい必死に考えたのにと。
「……じゃあもう候補無いです」
「はい!」
「じゃあフレイザードちゃん!」
「KOP(キングダムオブポップ)でいいと思います!」
「ええー……で、でもそれじゃほら、呼び名と被る……」
「KOP(キングダムオブポップ)のキング、KOP(キングオブポップ)!」
ポップドン引き。ええー……。なんでフレイザードちゃんそんな目をキラキラさせて言ってるのかなと思った矢先、フレイザードちゃんの上目遣い足す少し涙目による「……駄目?」という一言で国名がKOPに決定しました。
「ふふ、おめでとうポップさん」
「これめでたいのか判断付かないんだけど」
「世界地図に名が刻まれますよ?」
「なおさら恥ずかしいわ」
「……むー」
メルルと話すと、何故かフレイザードちゃんがすぐ拗ねるのがポップの最近の悩みなのです。
それはともかく魔族と魔物が強襲し、王族が滅びたこのリンガイアは、何故か人間のポップが新たな国名を城の前に集まっていた国民に声高らかに宣言した。圧政に苦しんだ先にあったものが、まさかの魔族による統治の始まりであったのだ。しかしその魔族に対抗出来うる兵士は討たれてしまっている。国からも街道をモンスターが塞ぎ出ることが出来ない。国民は絶望した。
その後国民が皆、王族が城に溜め込んでいると思っていた食料が国内に解放されたのを皮切りに、税率の引き下げ、更に荒れていた国内のインフラ整備の為の公共事業の開始の為、労働者募集による仕事が無くなっていたものへの職業の斡旋などによって国内の景気は圧政以前のように、いやそれ以上に回復していった。KOPの国民は思う。なんだよ。魔族の統治いいじゃねえか。魔族って寿命長いんだろ? じゃあこの統治ずっと続くのか。いいじゃねえかと。しかしその評判が良いKOPのキング、KOPという中々に紛らわしい名前を持つ男に重大な問題が発生する。
「私、もうお父様の事、お父様って呼ばないから!」
「……え、な、なんで!?」
「これからは、ポ、ポップって……名前で呼ぶから!」
「あらあら」
「ま、負けないんだから!」
キッと睨むフレイザードちゃんに、笑顔で返すメルル。絶望に染まるポップの顔。キングダムオブポップは今日も平和です。