【完結】ポップになりました   作:しらいし

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22.でろりんって凄い名前だよなあ

 KOPの諸国への手紙からベンガーナの敗走といった世界中に衝撃を与えるニュースが続く中で、更なる衝撃的ニュースが世界を駆け巡った。あの、世界中で魔物を倒しその勇名は留まる事を知らない勇者でろりんがKOPを支持するとの声明を発表したのだ。その勇者による声明は世界中の国民を大きく混乱させた。ポップが脅して言わせただけです。更に勇者でろりんはすでにKOP側に合流し、ベンガーナとの戦いでも最前線で活躍しているという。でろりん程度でも一般兵相手なら無双出来るやろと拉致ってきて脅して働かせているのはポップである。でろりん達に選択権などない。ないんだよ。ともあれ、"勇者"という分かりやすい世界の希望が人間と魔族との共存を支持したというニュースに、世界は驚きを隠せなかった。

 

 そんなある日、各地でモンスターが少年に殺されているという情報が入った。絶対ダイ君だな。ていうかさ、デルムリン島とかいうモンスター島で生まれ育ったくせによくモンスター殺せるよなダイ君。純粋って怖いわー。それはそれとして第二次ベンガーナ遠征軍をミストとザボエラの混合軍で壊滅させた我が魔王軍は、テランまでの道のりが海道沿いしかないのが不満だったので新たな街道を山脈を消し飛ばしながら作りました。

 

「メドローア!!!」

「ベタン!!!」

 

 フレイザードちゃんのメドローアで障害を消滅させて俺がベタンで大地を均して整地する。こうして出来た新たな街道は第一FP街道と名付けられました。ファイナンシャルプランナーではありません。フレイザードちゃんポップ街道です。いやKOPの旧名とテランで普通にリンガイアテラン新道にしようとしたら、フレイザードちゃんが「……駄目?」って聞いてきました。即決しました。

 

 そういう事もこなしながら中央に位置するギルドメイン大陸の四大王国の一つであるテランまで新道使ってやってきました。竜の神を信仰する森と湖に隣接した静かな王国。原作では魔王軍からも侵略価値がないと思われ侵攻を受けずに済んだ国。ダイ達が来なければノーダメージだった国である。国王のフォルケンは80歳の高齢のおじいちゃんでかつて、武力放棄して平和主義を貫こうとしたが、そのせいで国民は物が豊かな他の国に流れていき、全人口は50人ばかりにまで減少している。ぶっちゃけ国というか廃村寸前レベルである。ただし、世界地図的に立地がいい。あと自然が豊かなのでモンスター達が暮らすのにちょうどいい。というか既に森の中に沢山住んでいるから、もう共存してるようなものだし。魔界の魔族とか魔物の移住先はここをメインにしよう。つー訳でフォルケンおじいちゃんとお話する為にメルルとフレイザードちゃんと一緒に城にやってきました。

 

「この国、俺達に任せて隠居しない?」

「い、いきなりなんと無礼な……!?」

「すいません、ポップさんこうした言い方しか出来ない人なんですが、高齢を心配してなんです」

「よい。そなたは……確かナバラの孫娘の」

「はい、メルルにございます」

 

 開幕、俺の言った言葉に怒り出す側近のモブを窘めるフォルケン。そしてメルルに話し掛ける。俺は無視ですかそーですか。

 

「くすっ。旦那様怒らないで下さい」

「旦那……そうか、メルル。未来が見えたのか」

「はい。世界の変革とその中心が。……もう一つのあったはずの未来と共に。もっとも、見えずとも勇者アバン、勇者でろりん、元魔王ハドラーに魔界の魔族や魔物、元リンガイア王国の住民その全てがポップさんと共に世界を変えようとしています。この世界は変わります」

「そうか……」

 

 改めて言われるとハドラーは怪しいけどなんかすげえな。と他人事みたいに感心していると、フォルケンおじいちゃんが俺に話し掛けてきた。

 

「魔王ポップよ。この国の住民を傷付けぬと誓うか?」

「いや魔王じゃないんだけど……え、俺魔王って呼ばれてんの? ……ま、まあ自分の国の国民なら傷付けるような国にする気はないよ? 目的は共存だし。敵なら潰すけどね、容赦無く」

「……分かった。隠居か」

「もう年なんだから無理すんなって。案外変わった世界も悪い世界じゃないかもよ?」

「……メルルがいるからそうなのであろう。テランは任せる」

「あいよー」

「おじいちゃん、これ上げるね!」

 

 

 フレイザードちゃんは城の周りで編んでいた花冠をフォルケンおじいちゃんに手渡した。

 

 

「おじいちゃん、長生きしてね!」

「……優しい娘だな。魔族の娘か。……なるほどな」

 

 

 フレイザードちゃんを撫でながら何か納得しているフォルケンおじいちゃん。おいこらじじい。調子乗ってんじゃねえぞ。いますぐ引導渡してやろうかこら。言っておくが、俺基準の悪党とそうじゃない奴は気に入ったか気に入ってないかだけだからな。年寄りだろうが遠慮しねえぞこの野郎と思ったが、フレイザードちゃんが笑顔なので許してやろう。フレイザードちゃんに感謝しろよじじい。




次回、キルバーン死す!デュエルスタンバイ!


沢山高評価を頂きました。驚きです。ありがとうございます。こんな読む人を選びそうな腐れ主人公で拙い文章な話に沢山高評価を頂き感謝です。

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