「パプニカは……魔王軍と戦う事になるわ」
地底魔城で会ったレオナから、そうはっきり告げられた。言葉を発するまでは躊躇っていたようだったけど覚悟を決めたように発した後はいつもより強い目をしていた。やっぱりレオナはパプニカの姫なんだなってその目を見て思った。
「私個人が貴女と友達である事には変わらないけど……国となると別になるわ」
「分かってるよレオナ、そんなに気を使わなくてもいいわ」
「……ありがとう」
レオナは寂しそうな顔で笑った。そういう表情をしてくれたレオナの気持ち、痛いほど分かった。
「……魔王軍は敵対する者には強いよ」
「分かってるわ。パプニカだって……前大戦を乗り切っているのよ?」
「……うん、そうだね」
パプニカにはハドラーが魔王として居城に使っていた地底魔城がある。要するに前大戦で最も被害が大きかった国。魔族や魔物に対する嫌悪が最も強い国と言っていいとポップが言っていた。レオナは特別だと思えってポップが言っていたがほんとにその通りだと思う。それはポップにパプニカの王城に連れてきて貰う度に感じていた事。
ポップが私を連れてきたのは、そういう反応を見ていたのかも知れない。パプニカに、王城に魔族が来たらどういう反応を国民がするのかを(※そんな事はない。何も考えてない)
パプニカは古い国だとレオナが言った。急過ぎる変化には拒絶反応が起きてしまうと。でもそれは、正しいのかも知れないけどレオナが私に気を使って遠回しに言ってくれただけ。パプニカの街は一見平和そうに見えるが通りの裏に入れば戦争の爪痕が未だに残っている。それはポップが街中を連れ廻してくれた時に見せてくれた。ポップはその爪痕自体には何も言わずに私をただ連れ廻して見せていたけど、私にあれを見せたかったんだろうと魔王軍としてベンガーナと戦争が始まった時に分かった(※そんな意図はありません)
敵は魔王軍として蹂躙する。ポップはそう言っている。でも口でそう言っているけど実際は攻めてきた相手だけを撃退して、テランは話し合いで終わったしベンガーナも交渉で済むように準備して傘下に収めようとしている。裏で汚い事たくさんしてるから余裕だよってポップが言っている。でも、流れる血はただ攻めるより絶対に少ないと思う。それにポップがやっていなかったら共存どころか魔王軍は全部の国に対して一斉に襲撃を掛けていたはずだと、ザボエラおじいちゃんが言っていた。相手が攻めてきた時もポップはなるべく自分が最前線に立ち自ら人間相手に魔法を振るっている。そんな必要はまったくないのに、出来るだけ自分の手だけを赤く染めようとしている(※レベリングの為です)
テランのフォルケンおじいちゃんは有史以来、人と魔の歴史は戦いの歴史だと言っていた。共存など考え個人レベルでもお伽噺でしかない事を、世界規模で行っているポップは世界から見れば正しく破壊者だろうと言っていた。ポップの手は血に染まっている。
私は?
ポップは私が笑顔で生きられる世界を作ると言ってくれた。
私はポップに何か出来ている?
「レオナ、ここでももう会わないほうがいい」
「……そうね」
レオナとそう言った後、無言でお互い抱擁した。寂しくなるなって思ったけど、私とレオナの立場はそれを許してくれないのだから。長い間抱擁したと思う。お互いどちらからとも無く離れた後、私達は別れを告げた。
「……またね、レオナ」
「ええ、……また、フレイ」
フレイ。初めての友達のレオナが私に付けてくれた初めての愛称。レオナが口にしてくれた私の愛称を心に刻みながら私はレオナを見送った。
レオナと別れてから、すぐに私達の城に戻るには私の心の整理が追い付いていなかった。私はなんともなくふらふらと地底魔城をさ迷っていた。何か、顔に風の流れが当たったような気がした。私は風に誘われるように、流れに任せて足を向ける。そこに有ったのは宝箱。地底魔城はパプニカの人間が立ち入り大規模な捜索が行われていると聞いたのに何故宝箱があるのだろう。罠か何かだろうか。意を決して宝箱に手をかける。大概の罠が通じる程、私は弱くないが痛いものは痛いから少しだけ覚悟を決めた。宝箱はあっさり開いた。中から出てきたのは大きな貝殻だった。貝殻を手にすると魔力の流れを感じた。マジックアイテムの類いだろうか。なんとなく貝殻の口を耳に当てると、子を思う親の心と、ハドラーの非道さが記録されていた。
……これはヒュンケルに届けよう。私はハドラーが嫌いです。だからどうしようという事もないけど。私が生まれ、ポップに出会った。この一点の感謝があるからハドラーをどうこうしようとは思わないけど、嫌いなものはしょうがないと思う。この貝殻から声が聞こえて私は更にハドラーが嫌いになった。
城に戻り努めていつも通り振る舞ったけど、ヒュンケルとハドラーが戦っている様子を見てまた複雑な気持ちになった。私はハドラーが嫌い。でも別に傷付けば良いとか思った事も無い。けれど目の前で、然も怒り狂ったように振る舞うヒュンケルがハドラーを串刺しにしているのは私の行動が原因だから。私はヒュンケルに良かれと思って貝殻を渡したが、間違ってたのかなと思ってしまう。渡し方に問題があったかも知れないと思った。これ以上はヒュンケルの為にも辞めて欲しいと思って見ていたら、ふとヒュンケルと目線が交わった。察してくれたヒュンケルが剣を納めた。ヒュンケルには正当な怨みも怒りもある。だけどヒュンケルは剣を納めた。ヒュンケルは、冷たい印象が強いが根が優しい。でなければあんなにエイミが惚れてないと思う。エイミが一方的に惚れているように見えるけど、ヒュンケルはいつも然り気無くエイミをフォローしている。私に免じてとヒュンケルが言った。……私はここでも誰かの足枷になっている。
ポップの配下のアークデーモンから一報が入る。またポップが自分で前線に出ると言った。私も出ると言った。ポップにだけ手を血に染めさせたくなかった。だけどいつもの様にポップには断られる。
……私はポップに何が出来るのだろうか。
~超電磁魔王コンハドラーV~
ヒム「レッツコンバイーン!」
親衛隊「おう!」
ガシーン! ハドラー親衛隊は合体した!
『超電磁魔王コンハドラーV参上! くらえいきなり必殺! 超電磁ッターツーマーキー!』
背後からこそっとクロコダインが獣王痛恨撃!
『いまだ! 超電磁スピーン!!!』
「あ、あれ!? わしだけー!!?」
何故か分離し射出された右腕だったフェンブレンによるツインソードピニングによる高速回転が敵を貫く!
↑こうですね分かります。
やっぱりフレイザードちゃん回長くなりそうなので分ける事にしました。なんせ書いても書いても納得出来ない。
一応プロット通りに話進んでるので終着点心配されている方に関しては大丈夫と言っておきます。書けない問題は表現力の無い自分の低能です。