マトリフのクソじじいの修行とかいう苦行を強いられた日々を過ごした結果、結構呪文を使いこなせるようになった。バグモシャス以外は。四連続カツ・コバヤシになるとかほんと何なん。勘が多少良くなろうがクソみたいな身体能力でどうしろっていうんだよ。
まあ何だかんだトベルーラもルーラもベタンも使いこなせるようになって、マトリフが「後はてめえで修行しろ。本当にどうしようも無くなった時に泣きついてこい。そん時はとっておきを教えてやる」とメドローアフラグをくれたので、最後にマリンになっていつもよりパフパフしといた。
やりたい事を色々考えていたが、とりあえず旅支度をしようとパプニカ城下で準備を整えていた所、パプニカの兵士に取り囲まれ捕まりました。正直飛んで逃げても良かったし、全員イオラで爆破しても良かったけど手配とかされたら面倒だったので流れに任せて無抵抗でしょっぴかれた。という訳で何故かパプニカ城の玉座の前でロープぐるぐる巻きにされて正座させられてます、ポップです。いやいやそこは牢獄とかじゃないの? と思ったけどまあ何も言うまい。
ちなみにパプニカ三賢者にちょい幼いレオナ姫、それにパプニカ王と王妃がいる。なんか読み切りでキラーマシン使って悪さしてた偉そうな奴と間抜けそうな奴もいるな。あとバダックじいさんも。なんでこんなに揃ってるんですかね?
「こいつです! このヒュンケルがモシャスを使って街で悪さをしていた奴です! 私に化けて勝手に……へ、変な物を買ったのもこいつです!」
「あ、初めましてポップです。兄弟子のヒュンケルを知ってるんですか?」
ぷりぷり怒っているエロ賢者マリンにポップは惚け面で挨拶をする。その言葉に呆気に取られるマリン。お前仮にも『賢者』とか言う肩書きならもうちょっと賢い感じだせやと思うが、原作でそんな雰囲気の賢者なんか一人もいなかったからしょうがないね。ていうかお前が怒ってるから落ち着かせる為に皆集まってる感じか。迷惑な奴め。
「あ、兄弟子ですって?」
マリンが何を言ってるんだと言う表情になったので、ポップは今だと会話の流れを取りにいった。この男、普段は阿呆だがこういう時だけは頭が回る。ほんとクズである。
「ヒュンケルはアバン先生の一番弟子ですから。あの、なんで僕は縛られて連れて来られたんでしょうか」
「勇者アバン殿の!? ……ちなみに貴方の知っているヒュンケルの外見の特徴は?」
アバンの名を出した事で、周りも「アバン殿の……?」と興味を一気に引く事が出来たようだ。この流れならイケるとポップは確信する。
「ヒュンケルは銀髪でイケメンです」
「確かに彼の言っていた外見と一致する。……貴方もアバン殿の教え子なの?」
「はあ、アバン先生に勧められて先日までマトリフ師匠に師事してたので、正確には二人の教え子になりますが」
「二人の教え子であるという証拠は?」
まだ訝しげなマリンに同じく三賢者である妹のエイミがある指摘をした。その指摘はポップに精神的ダメージを与える。
「見て、あのくそダサいベルト……。あんなくそダサいマトリフの顔のバックルのベルトを付けてるなんて彼の弟子に違いないわ」
そう、ポップは寝ている隙にあの呪いのベルトを装備させられていた。マジで取れないでやんの。どういう仕組みだよこれ。どんなに頑張っても取れない。ギラで焼き切ろうとしたけど取れない。教会に行って「取れませんか?」って聞いたけど、「そんな事言われても……」みたいな顔された。ドラクエなら教会でなんとかしろやボケがと思ったが、そんな下品な事を口には出せないので夜中、教会の外壁に『ひゅんけるさんじょう!』ってデカデカと家畜の糞で書いといた。
「確かに……あの難癖あるマトリフに弟子入りするなんて、確かに勇者アバン殿の紹介でもないと無理でしょうね……。その子の縄を解いて。ごめんなさい、ヒュンケルは貴方の姿にモシャスで化けて街で悪さをしていたの」
「そんな……、確かにヒュンケルは人間の屑みたいな奴で下劣でスケベで変態だけどそんな事をするなんて!」
「兄弟子である人がそんな事をしていたなんて、確かに信じられないかも知れないけど……事実なのよ」
「何かの間違いじゃないんですか!? 確かにヒュンケルはモシャスの一流の使い手で各地で色々な悪さをしているビチグソ野郎だっていう噂を聞いてはいますが、そんなの信じられない! だって、だってあいつはアバン先生の弟子なんだから! アバン先生の名を汚すような真似をするなんて!」
ドン!っと床に両腕を叩き付け、心の底から打ち拉がれたような様子を見せるポップ。そのポップの姿を見て皆、同情した。また、同時に彼の先生であるアバンを本当に尊敬し、大切にしている様に心を打たれていた。実際まったく本当にそんな事はない。ないんだよ。
「ポップ君……」
「ポップ君、信じられないかも知れないがヒュンケルがこのパプニカで、まあ大した事はまだしてないんだが、往来で迷惑を掛けたのは事実なんだ」
「大した事してないですってえ! 私に化けて変な物を勝手に買って迷惑かけられてるの、私なのよ!」
ぷりぷり怒っているマリンの怒りはまだ収まっていないようだ。まあ別にフォローするつもりは一切無い。だってポップに怒っている訳では無いのだから。ポップ的には的を完全に逸らしているのでマリンの怒りなど結構どうでもいいのである。
「お、落ち着いてマリン」
「しかし、ヒュンケルという者は他の国でも悪さをしているのか。他の国の王族にも伝えておかねばな」
パプニカ王が、なんか話を勝手に大きくし始めた。ヒュンケル、世界各国で警戒されるの巻。まああいついるの魔界だろうからどうでもいいか。ほっとこ。とりあえず話だけ繋げよう。
「そんな、(これから色々な国で)無銭飲食とか下着泥棒をして(ヒュンケルに罪を押し付ける予定で)いるって(俺の中で)噂があるだけで……、情けない兄弟子で申し訳ありません。アバン先生が知ったらきっと悲しみます……、うう……」
「泣かないでポップ君、君は何も悪くないんだから」
「そ、そうだポップ君、君は二人の先生に師事したんだろう? どれくらいやれるんだい?」
パプニカ三賢者の一人であるアポロがポップの様子を見て話題を変えた。床に向けられているポップの顔は完全に悪い顔で「計画通り!」と某デスノートの某月君になっているが床しかポップの顔は見えていないので誰も気が付かないよ!
「……どれくらいかって言ったら怒られそうだから言いません」
「そう言われると気になるな。正直に言ってくれて良いよ?」
「マトリフ師匠は、パプニカの城の人よりは強いとか言ってましたけど……、まあ師匠の言う事なのでその辺りは話半分に聞いてますが」
「へえ、それはもちろん魔法でっていう事で良いかい?」
「はい。あ、まあ師匠が言ってた事なんで怒らないで下さいよ?」
ちなみにマトリフはそんな事一言も言ってない。ただマトリフのせいにしてアポロを挑発しているだけである。一切自分の言葉に責任を持たないクソ野郎である。
そしてその後ポップの実力を見るという流れになり、アポロが自慢(笑)のフバーハを張り、「さあ、どこからでも来たまえ」とか言ったので、アポロをベタンで圧し潰した。フバーハ張ってる奴に炎とか氷系の呪文なんて使わないよバーカ。そしてその実力が買われ、何故か臨時でレオナ姫の家庭教師を少しだけする事になった。俺が言うのもなんだけど、流れがガバガバ過ぎませんかね? まあアバンとマトリフの教え子って言うのはブランドとして使えるようだ。しかしまだ原作開始数年前のクソガキなんだけどね、俺。仕方ないのですんげえ適当に「いいよーその調子」「あ、いいねー」「あーその感じ最高」とか言ってたら、何故かレオナ姫がイオナズンを覚えました。魔法力足りないからまだ一発で力尽きるみたいだけど。
……それ使えたらダイとのデルムリン島のイベント変な事になりませんかね? まあいいや。俺知らない。さっさと無責任にパプニカから離れる事にした。さーて次は何処に行こうかなあ。
ポップは兄弟子想いだなあ(遠い目)