【完結】ポップになりました   作:しらいし

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7.ポップ君、調子に乗ってボコられマッスルデビルになる

 拳聖ブロキーナ。アバンが対魔王ハドラー相手に凍れる時の秘法を使う際に、大魔導士マトリフと共にパーティーを組んだ武術の神様と言われる達人である。くそ強い。何故この三人で当時のハドラーに苦戦したのか。まあ二人ともじじいでスタミナに難があるから……で無理矢理納得しとこう。スタミナに難があるじじい二人に時間を稼がせるアバン先生ェェェ。

 

 ロモスの山奥に住むブロキーナ老師の元へ一人のクソ野郎がやってきた。ここに来たのは偶然である。スカイドラゴンとトベルーラで競争をしていたら魔力が尽きて落下し迷子になっていただけである。馬鹿だね。

 

 

「ギャン!」

「ほっほっほっ。まだやるのかの」

「ぐぎぎ……まだまだああ!」

「ほい」

「ズッゴック!?」

 

 

 現在ポップはボッコボコにされている。ブロキーナブートキャンプに参加しているような状態にある。説明しよう! ブロキーナブートキャンプとは、武道家に転職してたった一ヶ月しか修行してないマァムがダイ達と合流したら最前線で敵と殴り合う事が出来る程実力が付くとかいうあの伝説の修行である。何故、ブロキーナに修行を付けられているのか。ブロキーナが空腹で倒れていたポップを偶然見つけ、助けたら性根が腐りきっていたので叩き直している最中である。さすがオバケネズミに人語を教えれるじいさんは違うね。作中一番魔物使いらしい描写があるのが武道家とかどうなってんの。

 

 一つ、大事な事を言えば別にポップは魔法使いを辞めていない。ただ、殴られてむかつくから一発殴りかえしたいだけの精神である。性根が腐りきっているので再生不可能です。新しい根っ子持ってきたほうが早いです。

 

 

「くそ、一発も当たらねえ!」

「何が足りないか分かるかポップよ」

「足りないもの……そうか、筋肉か!」

「そうそう筋肉……ん?」

 

 

 ブロキーナは邪念やらなんやらを諭すつもりだったが、ポップの予想より斜め上の返答に困る。わし、筋肉そんなに無いけどと言わんばかりにブロキーナは力こぶを作って見せる。

 

 

「わし、あんまりないよ?」

「いや、そもそも筋肉があれば殴られても平気なはずだ。俺に分厚い筋肉さえあれば……そうだ! 老師、一ヶ月だ! 一ヶ月後、また老師に会いに来るからな!」

「うん……?」

 

 

 ダダダダダダダーっと明後日の方向へ駆け出したポップ。ポップはある修行を思い出した。身体に重力を何倍も掛けてトレーニングする、ドラゴンボール方式の修行である。

 

 

「ベタン! ぐはぁ」

 

 さっそく自身に向けてベタンを放つ。当然潰れる。

 

「ま、負けねえぞぉぉぉ!」

 

 なんだかんだ真面目にトレーニングし始めたポップ。マトリフの時もやり返したいからという気持ちが強かったから修行を続ける事が出来たのだ。以外と反骨精神旺盛である。正義の味方側の精神してない。絶対ミナカトール出来ない(確信)

 

 

 

 

 そして自身にベタンを掛け続けて一ヶ月後、ズシン…ズシン…と音を立て、一歩一歩ゆっくり歩く筋骨粒々の男がブロキーナの元に再び現れた。ドラクエⅢでいうカンダタやオルテガ並みのマッチョっぷりである。たった一ヶ月と思うなかれ。この世界の一ヶ月半端無いんやで。

 

「ふはははは! どうだじじい! この鍛え上げたこの筋肉は!」

「わし、今おしりぴりぴり病」

「そうか怖いか! ふはははは!」

「やれやれ、聞いとらんのう」

「じゃあ行くぞじじい!」

「ひょいっとな」

「何!」

 

 ポップの大振りの攻撃を危なげなくあっさり避けるブロキーナ。ポップは拳を、蹴りをいくら繰り出しても当たらない。

 

「くぅ、何故だ!」

「動きに無駄が多いからの」

「そ、そうか! 筋肉が足りないのか!」

「……うん?」

 

 ブロキーナは首を傾げる。会話にならない。脳まで筋肉になっているようだと感じた。

 

「やれやれ……」

 

 

 

「土竜昇破拳」

 

 ブロキーナは地面に両腕を叩き付けた。ポップの足元の地面が爆発しポップの身体が宙に浮いた。

 

「な!?」

「猛虎破砕拳!」

「ハイゴッグ!?」

 

 宙に舞い無防備になったポップの身体に武神流最強の物理技を放つ。ポップは悲鳴を上げながら派手にぶっ飛び、でかい図体がゴロゴロと転がっていった。当然気絶した。

 

「やれやれ、こいつは……面白いがやっかいな奴じゃのう」

 

 一ヶ月で自身の身体をカンダタスタイルに作り替えたポップの腰に巻かれているマトリフのベルトを見ながらブロキーナは言う。

 

「まあなるようになるか」

 

 ブロキーナはポップの片足を掴み、巨体をズルズル引き摺りながら家に帰っていった。


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