キング オブ ポップ。
魔の森ヘビー級王者として連勝を重ねているポップに観客が付けた異名である。ポップが試合中に技を決め「ポウッ!!!」と叫ぶと、観客が一斉に「キングオブポップ! キングオブポップ!」の大合唱を始めるのである。実に楽しそうな観客たるモンスターや魔族達である。
『この体勢は~!!!』
『これはもう決まりますね』
『キン肉バスター!!! 決まりましたー!!! キングオブポップ、全魔物未到、V12達成~ッ!!!』
「ポウッ!」
『『『KOP(キングオブポップ)! KOP!』』』
『いやーマァムさん、私達は伝説の瞬間に立ち会いましたね!』
『はい、挑戦者ボラボーン選手もなかなかの強者でしたが、凍らせて砕く以外の戦法がないと分かれば後は王者の一方的な戦いとなってしまいましたね。やはりV7の時の謎の鎧の魔剣の使い手との戦い、あの激闘を乗り越えた王者の敵ではありませんでした』
『あの試合は後世に語り継がれるであろう名勝負でしたからねー、一体あの鎧の魔剣の使い手はナニンケルさんだったんでしょうか。ではまた来週この時間にお会いしましょう。実況は私、腐った死体と』
『解説はマァムでした』
『『ではまた!』』
ふぅー、今週も大変な戦いだったぜ。あ、どうもポップです。今や魔界で悪魔の目玉視聴率80%を超える魔の森プロレスで絶対王者をやってます。モンスターや魔族に超人気です。強さこそ全てみたいな魔界で超人気です。謎の鎧の魔剣の使い手(笑)さんからも試合後にサインをくれと言われた事もあります。
実は本当はヒュンナニさんには一つだけ謝らないといけない事がありました。
ここだけの話パプニカに行った時、実は地底魔城に行って魂の貝殻をゲットしてました。将来恩を高く売りつける為に。
ただちょっとした手違いでマトリフ師匠に海鮮鍋作ってる時に一緒に煮込んじゃって、慌てて拾って貝殻耳に当ててみたら「あ……あ……」とか聞こえてきたんで「おっさんの喘ぎ声とか誰得じゃぼけ!」と勢い余って魂の貝殻を叩き割りました。つまりあれですわ。孔明の罠って奴だと思いますわ。「はわわ!」って聞こえた気がするもん。自分の口から発した気もするけど。
……まあ大した問題は無いでしょう。誰にも言わなきゃ良いんだしという結論に至り、笑顔でナニンケルさんにサインを書いてあげました。サイン渡す時に「すまない。ありがとう」と言われたので多分きっと許された模様。やったぜ。
いやー今日もいい試合だったぜーと控え室へ戻ると、今や酒飲み友達となったおっさんことクロコダインとお初にお目にかかるミストバーンとキルバーンさんがいらっしゃいました。帰ってどうぞ。
「やあ、初めまして。僕の名はキル、キルバーンと呼ばれているよ。こっちは使い魔のピロロ、そしてこっちがミスト」
「……」
「は、初めまして!」
「ああ、ピロロは君の大ファンでね。良ければサインを貰えないかな?」
「いいぜ、……ピロロ君へっと」
「わあい! ありがとうKOP!」
腹話術ってネタが分かってると見てて面白いなこいつらと思いながらスラスラ色紙にサインを書いて渡すと、ミストバーンが控えめに色紙を差し出してきた。お前もかよ。ああ、こいつ自分で成長出来ないから強者には敬意をみたいな設定あったっけ? つまり俺のファンか。しょうがねえなとミストバーンから出された色紙もサインをスラスラと書いてやったら「……ありがとう」と言われた。「ミストが百年ぶりにしゃべった!」とかピロロが言ってたが、じゃあお前どうやってナニンケルに暗黒闘気教えたんだよと声を大にして言いたい。
「ありがとうKOP。今日は君に素晴らしい話があるんだ」
「素晴らしい話?」
「おめでとう、君は魔界の大魔王たるバーン様のお眼鏡に適ったようだ。君をスカウトしにきたよ」
「……」
キルバーンが喋りミストバーンが頷く。ポップはマジでこいつら何言ってんのと思ったが、突っ込む前にクロコダインのおっさんが喋り出した。
「俺も声を掛けられてな。俺は行く事にしたぞKOP。お前もどうだ?」
「いやいやいやいや、いいの? 俺魔族でも無いよ?」
「いや君は完全にこっち側だと魔界じゃ認識されているよ?」
キルバーンの返答に、ポップはそれもそうかと納得する。ポップ、お前それでいいのかよ。まあこれだけどっぷり魔物や魔族とプロレスやってたら致し方なし。
「そっか。まあいいや。よし行こう」
「え? いいの? 僕が言うのもなんだけど本当に? 何するかも言ってないよ?」
「おっさんも行くならしょうがねえ」
「グワッハッハ! お前ならそう言うと思ったぞKOP!」
多少は悩めよお前人間だろとちょっと困惑気味のキルバーンだが肩に乗ってるピロロは嬉しそうなのでこっちが本音だろう。心無しかミストバーンも嬉しそうである。それもそのはず。いまやポップは、キングオブポップは魔界のアイドルと言っても過言では無いのだから。どうしてこうなった。どうしてこうなった。
登場人物簡易まとめ
ポップ ←魔界のアイドルにしてプロレスの絶対王者
ナニンケル←世界各国で犯罪を犯す卑怯な男
マァム ←人気名解説者(家が近いのでバイトにきてるだけ)
レオナ姫 ←ポップの弟子、イオナズン使い
マリン ←エロ本大好き露出狂
北の勇者 ←ナンパ王
チウ ←実は技の練習台にされ過ぎてクロコダインより耐久力が高くなっているネズミ
うん、普通のダイの大冒険だね(棒読み)
ラッキーマンに出てくるスーパースターマンか、バキの花山薫を主人公にした恋姫の二次を書きたくなったが、前回投げた恋姫の別作品を書くのはなんか違うなと思い、前回のをチラ裏でこそっと完結させてから別の恋姫の奴を書こうかなと思いました。
やっぱり書き出したらどんな形でも完結させないと駄目だよね。フルボッコ叩かれるのは分かってるのだけれど。まあ先にこっち完結させてからかな。こっちは完全に話決めてるから完結させやすいし。