バカと乙女と戦車道! 作:日立インスパイアザネクス人@妄想厨
ぴぴぴっという電子音が私の意識を急浮上させた。
跳ね起きるようにベッドから転がって時計を停止させて、すぐさま寝間着を脱いで制服に着替えなきゃいけない。そして寝間着の上を肌けた所で目が覚めた。
「……」
寝ぼけた頭で考える。
確か自分の部屋はこんなアパートのようなフレッシュな様式じゃなくて、日本家屋の匂いのする落ち着いた部屋だった。けど見覚えはある。ここも自分の部屋なんだ。
そうだ。思い出した。ここは昨日引っ越してきた私の新居なんだ。
「そっか……もうウチじゃないんだ!」
◆
新しく引っ越してきた大洗の街は今まで住んでいた所と違って目新しいものばかり。
アンコウが街のイメージキャラクターになってるみたいで、ブサかわいいデフォルメアンコウを所々に見かけて頬が緩んだ。地元じゃサンクスが少なかったけど、大洗ではサンクスが主らしくってそんな違いにも喜びを感じた。
けど同じ学校の制服の人を見かけた時つい隠れてしまった。……まだ自分から話しかけて行くのは緊張してしまう。こんなんじゃ転校してきても友達なんかできないよね……。
「――っ!」
ぺちん、と頬を張って気合を入れなおす!
大丈夫、クラスの皆の名前と誕生日もしっかり覚えてきたし、友達をつくる準備は万端なんだから!
……受動的なポジティブってどうなんだろう?
新しい発見の数々に胸を躍らせながら歩を進めて、ようやく目指す学校に辿り着いた。
『県立大洗学園』。
何かしらの部活で優勝! みたいな目立った業績は聞いたことがないけど、歴史深くてのんびりした校風の学校。そんな所もいいなと思って転校先にこの学校を選んだ。白地に緑のラインの入ったセーラー服も可愛いしね。
多くの生徒が校門をくぐる中で私は感慨深く立ち尽くして居た。
新しい環境。華々しい新生活。この先に待ってる女子高校生らしい青春に胸をときめかせた。
「新しい教室に向かって……パンツァー・フォー!」
なんて、そう小さく呟いて一歩踏み出した――
『あっ! 西村先生、吉井君を発見しました! ウサギ小屋の近くです!』
『こちらも捉えたぞ園。これから追いかける。お前達はネットを持ってそこの道を封鎖しろ。待たんか吉井ィィィ――――――――っ!!』
『げぇ鉄人?! そんな、雄二を追ってたハズなのに!』
『坂本は既に指導室に居る。さぁ、大人しく補修を受けるつかまるがいい!!』
『諦めるかぁ!!』
絶叫。騒音。怒号。悲鳴。
それらが私の足を止めさせた。
止まったままの私に関わらず、学校の何処かで起きてる騒動の協奏曲は響き続ける。もう新生活の期待とか心構えとか無くなって、私の心にこれから起きる騒動の予感に不安が募ってきた……。
「私の青春のっけから台無しだよぉ‼︎」