バカと乙女と戦車道! 作:日立インスパイアザネクス人@妄想厨
でも内容はそんなに進んでないよ!
正直文章を書くのへたくそで遅いから前書きとか書くのも結構つらいんだ!
ともかく読んでってください。
季節外れのインフルエンザなんだそうだ。
「ん゛んっ、とりあえず親御さんには連絡しておくわ。全く、熱に浮かされても学校に来るなんてマジメ過ぎない? チッ、やっとバカ共を叩き出したのに……」
倒れた女子生徒を3人で保健室へ連れて行き、昼休みに忙しかったらしく遅い昼食を取っていた保険医に事情を説明すると、保険医は呆れた文句を呟いた。たしかさっき五十鈴さんが言っていたようにこの女子生徒が倒れたのは一度や二度じゃないみたい。
「ん゛っ、後はこっちでやっておくから、貴方達は戻って良いわよ。わざわざありがとうね」
面倒臭げにひらひらと手を振ってカレーを一口、そして軽く咳払いをする保険医。辛いのかな?
一方、私は返事を返す前にそういえば、と思う。
ボーっとして流されるまま保健室まで来たけど、さっきの出来事でだいぶ気持ちが落ち着いた。だからもうここには用は無くて教室に戻るべきなんだろうけど、今さら戻っていくのも気まずいっていうか……。
そう考えていると、武部さんが保険医に言った。
「あの、私達ちょっと気分が悪くて」
「保健室で仮病……沙織さん! これはもしや不良への第一歩、SA・BO・RI……っ!」
「昨日お鍋を食べ過ぎて頭の中まで雑炊が詰まってるので華の言うことは気にしないでください」
武部さんの言い分を聞いた保険医は胡乱気な目で見つめ、やがてため息を一つ吐いた。
プラスチック容器を持ち上げて勢いよく掻っこんだ。
「~~~~っ! それじゃあそっちのベッドを使ってね。彼女、一応隔離状態だからあまり近づかないように。あと職員室に行ってくるから。安静にねけほっ」
「! ありがとうございますっ!」
保険医が廊下へ出て行った後、私達は顔を見合わせて笑った。
◆
カレーくさい……。
「カレーの匂いが……」
「今日はカレー鍋ですね沙織さん」
「昨日あんなに食べたのに!?」
『――テスト……途中退席……Fクラス……? ……う~ん、頭が………』
そんなこんなで4人揃って(1人はカーテンを隔てて隔離状態)ベッドで寝込んでいるわけだけど、私は武部さんと五十鈴さんの頓珍漢な会話に加わらないで何となく天井を仰いでいた。
2人の会話をBGMに、私は昼間のことを考える。
いつどこで私と戦車道の関わりを知ったのかは知らないけど、生徒会長の要請は断ろうと思っている。
だってもう私は戦車道を諦めたんだ。これ以上、家にも学校にも迷惑をかけたくないから。
次、会うことがあったらはっきりと言おう。自分の口で、自分の想いを伝えないと。
「大体華は食い意地が――みほ?」
「みほさん……?」
「え? ああ、大丈夫だよ……あ、本当に大丈夫。色々ありすぎてなんかもうフッ飛んじゃって」
「……あ~そうだねー……」
「……あの、みほさん。差し支えないようでしたら、その、生徒会長と話していたことをお聞きしてもよろしいでしょうか? みほさんが言いたくないのなら無理には聞きませんが……」
五十鈴さんから反対へ顔を向ければ武部さんも同じような表情をしていた。
西住流でのことはあまり触れてほしくないけど、大洗で戦車道を復活させるということになったらいつかは私の素性が割れてしまうだろう。当然、そのことは2人の耳にも入るはず。その時に2人がどう思うかは私は想像したいと思わなかった。
なら、いっそここで告白するのもいいかもしれない、と思い言葉を紡ぐ。
「今年度から戦車道が復活するって、それで私に戦車道を選択するようにって言われて……」
「戦車道?」
「戦車道とは、乙女のたしなむ伝統的な武芸の?」
「それとみほに何の関係があるのよ? あ、わかった。生徒会の誰かと三角関係とかっ? 恋愛のもつれでみほを戦車に乗せて後ろからバンッ! みたいな?」
「えっ、今の戦車は装甲に特殊加工されてあるからそうなる危険は無い、はずなんだけど」
「ぜひ戦車道を選択するよう乞われるなんて、もしかしてみほさん、数々の歴戦を潜り抜けてきた戦の達人なんでしょうか? タイマンはったり暴走したりカツアゲしたり。生徒会の方々は中学の頃の因縁の相手で、転校してきたみほさんを学校ぐるみでフクロにしようと画策を?」
「絶対にそんなことはないから、だからそんなキラキラした目で見ないで五十鈴さん……」
2人とも色めきあった表情なのに発想が怖いよ……。
「そういう暴力沙汰な事じゃなくてね、単に私の実家が、戦車乗りの家系なだけなの」
「「へぇ~」」
「でも、あまり良い思い出が無くて……この学校に転校したのも、戦車を避けてのことだから……」
結局は逃げたんだ。
戦車に関わるもの全部から逃げてきた私が他の人に戦車を教えるなんて、私が捨ててきた全部に申し訳が立たない。
「「……」」
黙り込む2人。その静寂の時間が重苦しい。
……こういう話をするタイミングを間違えちゃったのかな? まだ会って間もないのに、こんな重い話をする人なんて対応に困るだけ。2人の反応を見る限り、こういった家のイザコザなんて無縁の世界で生きてきたようだし、こんな相談は返答し辛いよねぇ……。
はぁ、とまたため息をついて保健室の天井を仰いだ。とりあえずはこの空気を変えたいと思った。勝手に立ち直ったり落ち込んだりで纏まらない頭を回転させて言葉を探していると、不意に武部さんが口を開いた。
「う~ん……無理に続けなくてもいいんじゃない?」
「……え?」
「今時戦車道なんてさ~、女子高生がやることじゃないよぉ」
「沙織さん……伝統を古臭いと言われると私の立つ瀬が……」
「あっごめんそういう意味で言ったんじゃ」
慌てた様子で手を振る武部さん。およよと顔を伏せていた五十鈴さんの肩が小刻みに震える。
「冗談ですよ、ふふっ。でも私もみほさんの気持ちはわかります。家元となると今まで教わったことや周囲の期待に縛られて自分のやりたいことができなくなることがありますし。けれどやっぱり自分の意思で決めたことが良いと私は思います」
「そうそう、そういうこと! 生徒会の言うことなんて無視しちゃえば?」
「生徒会にお断りになるなら、私たちも付き添いますから」
「――っ」
……どう返せばいいか、すぐには思いつかなかった。
戦車道に関わりの無い2人だから言えること。だからこそ私の心に染み渡っていく。鼻の奥がツンとしてきて、私は掛け布団に顔をうずめた。
「――ありがとう」
そんな二人の言葉が、私には心強かった。
『――ダメです……っ。それは大切な……燃えちゃう……アキ……の写真集ぅ……! ……まだアップしてないのにぃ……』
隣から聞こえるうめき声に私たちは顔を見合わせて、また同時に噴き出した。いったいどんな夢を見ているんだろう?
ひとしきり笑った所で授業を終えるチャイムが鳴った。
「授業終わってしまいましたね。これで立派な不良さんですやりましたっ」
「立派な不良って何よ……。それよりもさ、帰りどっか寄ってかない? みほもまだ商店街とか行ったこと無いでしょ?」
「うん。買い物も近くのスーパーで済ませてたし、まだ商店街の辺りは見てないんだ」
今日は色々あって疲れちゃったけど、2人のおかげで気分が楽になった。
まだ問題は解決したわけじゃない。生徒会の人達に断りに行かないといけないし……今年から復活するっていう戦車道も何となく気がかり。でももう今日はそういった心配事を考えるのはやめたい。せっかくスッキリした気持ちになってるんだから、今日の残りの時間は思いっきり楽しんでいきたいな。
グッと背伸びをして帰る支度をしていると、また放送用スピーカーから音が流れた。
『全校生徒に告ぐ。体育館に集合せよ』
◆
私達が体育館に着いた頃にはすでに大勢の生徒が集まってクラス別に並んでいた。
『ホームルームとか聞いてないんだけど~』
『またなんか生徒会の思い付き?』
『生徒会のやることだしね~仕方ないよ~』
『ちくしょうっ!
『磔にしてたが、とっくに抜け出してるだろうな。鉄人に邪魔されてなければ……!』
『………携帯のGPSから位置を割り出せられる』
『『『吉井死なす!!』』』
周囲の様子を見る限り、この集会は本当に突然の出来事らしく困惑の声がちらほら。中には集まりに不満を持ってる人も居るようで、ここからじゃ見えないけど少し離れた所では怨嗟の空気が漂ってきているような……?
体育館前方のステージに立つ生徒会の人達は集まった生徒の戸惑いの声に動じずにいた。その佇まいを見てるとふと私のお姉ちゃんを思い出して身が強張った。
「静かに!」
生徒会の片眼鏡の人が声を上げる。
マイクを使っていないのに大きくよく通る声で、それだけで体育館の騒音が静まった。
「――ではこれから、必修選択科目のオリエンテーションを行なう」
と言って、ステージに立っていた3人は袖の方へ掃けていく。
体育館のライトが消されていき、壇上のスクリーンに『戦車道入門』の文字が浮かび上がった。
◆
――脚色満載の紹介VTRは終わった。
「実は、数年後に戦車道の世界大会が日本で開催されることになった。そのため文科省から全国の高校・大学に戦車道に力を入れるように要請があったのだ」
「でっ、ウチの学校も戦車道を復活させることになったってワケ。選択すると色々特典を与えちゃおうと思うんだ~。副会長」
「成績優秀者には食堂の食券100枚、遅刻見逃し200日、さらに通常授業の3倍の単位を与えますっ!」
「というわけでぇ! だからみんな戦車取ってね♪」
「かといって中途半端な気持ちで履修してもらうのは困る。いいか、我々が目指すのは優勝だ!それも全国の強豪校が集まる中で成し遂げなければならない!……そう。なんとしてでも勝ち抜かねば我が校は「小山ぁーちょっと黙らせて」む、何だゆずっえっそれスタンガンちょっゆずちゃぁぁぁぁん?!」
「……とにかくみんなよぉろしくぅ~!」
感想批評募集中……なんて催促するのはずうずうしいかなぁ、と思う作者なのであった。